☆過払い金回収ビジネスとメディア
先日もロ-カルCMで石川県で過払い金請求の相談会をするとの内容で、東京の法律事務所の司法書士と弁護士がコンビで出ていた。なぜ、司法書士と弁護士がペアで相談会に回るのかというと、司法書士が扱う訴訟は簡易裁判所で訴訟の額は140万円までと制限があり、弁護士は140万円以上の過払い金請求訴訟を地方裁判所で起こすという図式になっているからのようだ。テレビだけでなく、新聞広告やチラシでも盛んにCMを打っている東京のある法律事務所のホームページをのぞいてみると、「過払い金回収実績」というページがあって、これまでに34万件1970億円を回収したと誇っている。
過払い金の回収は、消費者金融が「利息制限法」で定められている、金を貸す際に守らなければならない金利の上限(金額に応じて15-20%)を超えた金利を受け取っていた場合、借りた側がその超過部分の金を貸金業者から返還してもらうことだと解釈しているが、ここではその仕組みを論じるつもりはない。金融は素人だ。冒頭で気になると述べたのは、一度下火になった過払い回収がなぜ今再びという、ちょっとした疑問だ。
今は消費者金融とメディアも称しているが、1970年代の高度成長には「サラ金」(サラリーマン金融)と呼んで、テレビCMなどで盛んに宣伝されていた。ところが、「サラ金地獄」といった債務問題が社会問題化する。日本民間放送連盟(民放連)などは1977年に消費者金融のCMを排除を申し合わせたほどだった。
ところが、再び消費者金融が復活する。きっかけは1990年代のいわゆる「バブル経済」の崩壊だった。経済的に苦しい消費者が激増した。消費者金融の大手などは「むじんくん」や「お自動さん」といった自動契約機を各地で設置して借りやすい環境を整えていた。1980年代後半で54.75%だった出資法の上限金利も、1990年代には40.004%になり以前と比べ下がっていた。
また、そのころ消費者金融のテレにビCMも深夜帯に限って復活していた。1995年にはテレビCMが「解禁」となり、ゴールデンタイムなどにも流れ始めた。これらの追い風を受けて、個人向け融資の全盛期を迎え、2006年には消費者向け貸付残高が20兆9千億円(金融庁貸金業関係資料集より)にもなった。一方で利用者が複数の消費者金融業者からローンを借りる「多重債務」が社会問題化していた。
こうした状況下で2006年1月13日、最高裁の注目すべき判決があった。それまで出資法上の上限金利(当時29.2%)と利息制限法上の上限金利(15-20%)の差、いわゆる「グレーゾーン金利」について、利用者(債務者)が利息として任意に払い、契約時や弁済時に契約内容を示す書面が交付されてれば、それは「みなし弁済」ということで有効とされていた。ところが、最高裁判決では、特段の事情がない限り、利息制限法を超過する金利はすべて無効であり、「みなし弁済」は適応されないと判断した。つまり、過払い金として返還請求を全面的に認めたのだ。
この最高裁の判断によって翌年2007年には貸金業法が大幅な改正向けて動き出し、グレーゾーン金利そのものの撤廃や、新規の借入総額を年収の3分の1までとする「総量規制」が2010年6月までに完全施行された。消費者金融も2007年には貸付金利を大幅に下げて対応した。
法律事務所による過払い金回収のテレビCMなどが目立ってきたのはこのころだ。改正貸金業法では、消費者金融が金利20%を超えてお金を貸すと出資法違反で刑事罰が課せられ、利息制限法と出資法の上限金利の間で貸付けると貸金業法違反で行政処分の対象になる。過払い金の時効は10年なので法律事務所は「過払い金回収ビジネス」を加速させた。
2007年からの貸金業法の大幅な改正からことしで10年。上記で述べたように、過払い金を請求できる期限は完済した時から10年なので、ことしが「過払い金回収ビジネス」のラストチャンス。だから、業界が熱くなってCMが増えているのだろう。
最近面白いCM現象がある。過払い金回収のテレビCMをよそに、銀行の「カードローン」のCMがやたらと目につく。消費者金融の貸出は減り、CMも減った。銀行の消費者ローンが増えている。銀行とすれば、1%程度の住宅ローン金利に比べれば、年3-15%の消費者ローンは魅力だろう。それに、銀行は上記の改正貸金業法の対象外で総量規制などはない。
こうして眺めるとメディアは役得だ。消費者金融が立っても転んでもニュースになり、CMも得る。法律事務所の過払い金回収ビジネス、銀行のカードローンでもCMの恩恵に預かる。それが今後社会問題化すればさらにニュースも預かる。なんと恵まれたビジネスモデルであることか。
⇒7日(火)午後・金沢の天気 ゆき
4マスでの伸び率で言えばラジオが健闘した。これまでだと、ラジオが伸ることはありえなかったかもしれない。ところが、電通の分析はこうだ。ラジオの伸びは年間を通して好調に推移していて、業種別ではシェアの高い「外食・各種サービス」が同110.5%と2桁成長し、11年連続で増加した。そのほか「不動産・住宅設備」「自動車・関連品」なども増加している。とくに、「radiko(ラジコ)」は月間ユニークユーザ-数およびプレミアム会員数が前年に引き続き堅調に推移。また、リアルタイム以外でもラジオ番組が聴けるタイムフリーサービスがスタート(2016年10月)し、利用が促進された、としている。このラジコこそ、ラジオのネット同時配信なのだ。
そこで私は、視聴者コールセンターに電話したことがある。1)学生は勉強をするために大学にきているので、受信契約は親元がしていれば、親と同一生計である学生は契約する必要がないのではないか、2)携帯電話(ワンセグ付き)の購入の際、受信契約の説明が何もないのもおかしい、携帯所持後に受信契約を云々するのでは誰も納得しない、3)そもそも、放送法にある受信機の「設置」を「携帯」と拡大解釈するのは間違いではないか、と。これに対し、電話対応の男性は「ワンセグは受信契約の対象になります。いろいろご事情はあるかと思いますが、別居の学生さんの場合は家族割引がありますのでご利用ください」と回答するのみだった。
さやかれるローカル局側の議論とまったく同じような懸念が業界で渦巻いた。何しろ日本のテレビ局には県域というものがあり、東京キー局の系列テレビ局が地方に110社余りある。
ネットワークの在り方にも変化が出始めました」と意味深な内容だった。このネットワークの在り方の変化というのは、東京キー局とローカル局と関係性に不協和音が出始めたという意味だと直感した。
対応が素早かった。アメリカ訪問中の安倍氏は日本時間12日午後0時30分すぎ、この北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、フロリダ州パームビーチでトランプ大統領とともに記者会見し、「北朝鮮のミサイル発射は断じて容認できない。北朝鮮は、国連決議を完全に順守すべきだ。先ほど、トランプ大統領との首脳会談で米国は常に100%、日本とともにあると明言した。トランプ大統領はその意思を示すために私の隣に立っている」と述べた。
が結論を出せばよい話で全国ニュースではない。そもそも東京ローカルのニュースだ。こんなことをいつまで全国ニュースで伝えるのだろうか。
カは偉大」だ。どのような人物が大統領になろうと、アメリカはアメリカ、世界の耳目が集まる。トランプ氏が声高に言うまでもなく、すでに「アメリカ・ファ-スト」だ。
昨日(12日)未明のトランプ時期大統領の初めての記者会見をテレビで視聴していて、この大荒れの会見が次の時代の到来を端的に象徴してると実感した。注目したのは、CNNのホワイトハウス担当記者が「報道機関を攻撃するのであれば質問のチャンスを与えてください」と訴えたの対し、トランプ氏は「あなたのところ偽ニュースだ」と質問をさせなかった。
アメリカのオバマ大統領が昨日(11日)在職2期8年の締めくくりの演説を行った。次期大統領のトランプ氏はきょう12日、当選後初めての記者会見を開いた。その二人の様子が余りにも対象的だったので、感想を述べてみたい。
