⇒メディア時評

☆美女軍団の笑顔と漂着船の遺体

☆美女軍団の笑顔と漂着船の遺体

   韓国で平昌オリンピックが始まったが、スポーツの祭典がこれでよいのかといぶかる毎日だ。きょう13日、学食に行った。隣で、サークルの学生たちがワイワイと話している。北朝鮮の美女軍団がどうのこうの、金正恩労働党委員長の実妹の金与正氏の特使派遣がどうのこうの、と。男子学生が「今回のオリンピックは見え見えの政治ショーだよな」と。すると、もう一人の男子学生が「南北会談に文在寅大統領が平壌に招待されているけど、ドル札を持って返礼に来いということですよね」と。一瞬シーンとなった。少し間を置き、「なるほど」と別の男子学生。「で、どのくら持っていくのかな」と女子学生。「5億ドルくらいかな」と口火を切った男子学生。「美女軍団って、そんなに高くつくの・・・」と盛り上がっていた。

   日本海側の各地の海岸で北朝鮮の難破船がすさまじい勢いで流れ着いている。石川県だけでも、きょう羽咋市の海岸で木造船が1隻見つかった。今月11日にも加賀市の海岸で木造船が1隻、10日にも志賀町の海岸に2隻、9日にかほく市で1隻、7日に輪島市で1隻と、今月だけでも6隻が漂着している。1月には10日に7人の遺体が見つかった木造船が金沢市の海岸に、24日と28日に志賀町と羽咋市にそれぞれ1隻、計3隻が流れ着いている。ことしに入って石川県の海岸だけで9隻も、だ。船体にハングルと番号表記があり、船底が平らな同じ型の船だ。漁網などもあり漁船と推測される。船の大きさにもよるが、1隻に8人が乗っていたと仮定すれば72人の人命が失われている。すさまじい現実だ。

   安倍総理が9日、韓国・平昌で開かれた文大統領主催のレセプション会場で、北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長と言葉を交わしたと報じられている。拉致問題と核・ミサイル問題に言及したとされるが、ついでに「日本海で無理な操業するから、多くの人民の命が失われている。漁を即中止するべき」と忠告すべきだったのではないか。

   先月17日、金沢市の安原海岸で7人の遺体が見つかった北朝鮮の漁船を見に行った=写真=。船の周囲にもう1人の遺体がみつかっていて、遺体は8人。現場にはハングル表記の菓子袋が落ちていた。漂流する船の中で8人で細々と分け合って食べたのだろうかなどと想像した。日々ニュースに流れる美女軍団の笑顔の陰で日本海に漂う大量の木造船と遺体。日本のマスメディアが世界に伝えるべきは、この北朝鮮のあからさまな現実ではないのか。

⇒13日(火)夜・金沢の天気    ゆき

☆消雷装置のご利益か

☆消雷装置のご利益か

         先月(1月)10日、北陸放送と石川テレビ放送が共用する送信鉄塔施設=写真=で、落雷による火災が発生し、石川県内の一部地域を除く38万世帯で両社のテレビ放送が15時間も視聴できなくなるという事故が発生し、全国ニュースにもなった。現在も一部の世帯では 視聴できない状況が続いている。我が家でも雪が激しい降る日などはテレビ画面がブラックアウトとなる日がこれまで何度かあった。完全復旧に向けて遅くとも8月末までかかるようだ(北陸放送HPより)。

   今回の放送障害事象が放送法の重大事故に相当することから、両社は発生原因や再発防止策などを取りまとめ、きのう(9日)総務大臣あての報告書を北陸総合通信局に提出した。以下、報道各社が報告書の概要を伝えている。

       そもそも火災の原因は何だったのか。先月10日午後0時11分ごろ、鉄塔の高さ110-120㍍付近に雷が横から落ちたと推測されている。その際、鉄塔内で気中放電(スパ-ク)が発生して鉄塔内のケーブルが発火、火が徐々に上に伝わってアンテナや別のケーブルが焼け、電波が停止した。報告書はもう一つの火災の可能性があるとしている。高さ130㍍付近に落雷し、映像音声の受信装置(FPU)のケーブルに雷の電気が流れ、発火したというもの。消防署の調べでは、FPUの避雷器盤がもっとも激しく焼けていることが判明したが、火元は特定されていない。午後6時40分に石川テレビが停波、その後7時ごろに北陸放送も停波した。

   両社は再発防止策として、横からの落雷を防ぐ避雷針を設置する、監視カメラや煙感知器を設置する、ケーブルを燃えにくいものにする、などの対策を講じるとしている。

   先日(2月2日)テレビ業界の関係者から興味深い話を聞いた。落雷があった送信鉄塔と同じ金沢市観音堂町にテレビ金沢、北陸朝日放送、NHK金沢の3社が共用する送信鉄塔がある。同じ域内にあるテレビ鉄塔で被害があった、なかったの違いはどこにあるのかと。業界関係者は「それは消雷装置のおかげではないですか」と話した。初めて耳にした「消雷装置」とは何か。電気を通さない数十㌢の特殊なガラス管を避雷針に設置し、雷の原因となる大気中の電子の移動を打ち消す装置。金沢工業大学の教授が開発し、テレビ金沢の本社鉄塔で実証実験を経て、送信鉄塔に取り付けた経緯があるという。

   業界関係者は「落雷があった鉄塔に消雷装置が取り付けてあったかどうかは定かではないし、消雷装置がどこまで有効なのかは科学的には分からない。ただ、取り付けてある鉄塔にはこれまで雷の被害がなかったのは事実」と。この消雷装置は特許申請がなされている。

⇒10日(土)午後・金沢の天気   くもりのち雨

★トランプ減税、バブルの予感

★トランプ減税、バブルの予感

    最近の週刊誌で来年は株価急騰すると見出しで煽っている。「『日経平均3万円超え』は6月」(週刊現代12月30日号)や「株価3万円の大台に GDP3%成長も」(週刊エコノミスト12月26日号)、「18年末『3万円』の“強気派”も北朝鮮と中国経済には警戒感」(週刊ダイヤモンド12月30日号)などだ。

    景気拡大は実感できないし、消費も増えているような気配は皮膚感覚として感じられないのに、なぜ週刊誌は「株価3万円だ」と飛ばしているのだろうか。確かに、株価は実体経済の1年から1年半くらいを先読みするものだから、おそらく投資のプロは読み込んでいるのだろう。それにしても素人には理解しがたいと半信半疑になっていたところに、アメリカ発のニュースが目に留まった。新聞メディア各社が伝えている。「トランプ減税、法成立 10年で170兆円規模」(朝日新聞12月24日付)
    
    トランプ大統領が最重要政策に掲げていた、30年ぶりとなる税制改革法案が議会上下院で可決され、大統領が22日ホワイトハウスで署名した。来年1月から法人税率を35%から21%に引き下げる。減税規模は10年間で1.5兆㌦(170兆円)に上るとされる。日本のメディアは、今回の税制改革について、大企業や金持ち優遇でありアメリカの世論調査は過半数が否定と伝えている。しかし、紙面を読み込むと、今回の税制改革は法人税率だけはない。

  アメリカの企業が海外で稼いだ利益にも税を課す「全世界所得課税方式」を廃止し、今後は企業が海外で得た利益の大半についてアメリカの所得税課税からも免除する。さらに、アメリカの企業が海外に留保する利益を本国に戻す際に1回限りの課税を行い、税率は現金・流動資産が15.5%となる。企業の海外で保留する利益を本国アメリカに還流させる狙いだ。これまで、企業は海外子会社から配当を受ける際に35%の高い税率を本国で課せられるため、海外に現金・流動資金を込んでいた。ちなみにその額は2.5兆㌦(280兆円)とも指摘されている。

    これが、今回の税制改革で本国アメリカに大きなうねりとなって還流するかもしれない。資金還流性が実現すれば、アメリカ企業によるM&A(合併・買収)や設備投資が活発化するだろうし、株主への配当増などで株価などの押し上げ効果も期待できる。

    単純計算だが、法人税減税分(10年間)と海外留保資金を合わせると4兆㌦(450兆円)にもなる。アメリカ版「バブル経済」が再びうねるのか。話を冒頭に戻す。日本の株価3万円説はトランプ減税の経済効果を織り込み済み?

⇒24日(日)午後・金沢の天気   くもり

★この判決はオワコンか

★この判決はオワコンか

   大学で学生たちとメディア論の話をしていて、「NHK」の言葉に過敏に反応する学生たちが何人かいた。「なぜ」と尋ねると、彼らの話はこうだ。先日、NHKの契約社員という中年男性がアパ-トに来て、「部屋にテレビがありますか」と聞いてきたのでドアを開けた。「テレビはありません」と返答すると、さらに「それでは、パソコンやスマホのワンセグでテレビが見ることができますか」と聞いてきたので、「それは見ることができます」と返答すると、「それだったらNHKと受信契約を結んでくださいと迫ってきた」と。学生は「スマホでNHKは見ていませんよ」と言うと、契約社員は「ワンセグを見ることができればスマホもテレビと同じで、NHKを見ても見なくても受信契約が必要です」と迫ってきた。学生が「親と相談しますから、帰ってください」と言うと、契約社員は「契約しないと法律違反になりますよ」とニコッと笑ってドアを閉めた。「本当に気分が悪くなった」

    実はこのたぐいの話は毎年学生から聞く。上記の学生は親と相談して、受信契約を結ぶことにした。親は「法律を犯すことはない」と契約を勧めたという。でも、本人は今でも「スマホでちょっとテレビを見るだけなのに」と納得はしていない。NHK受信料制度が契約の自由を保障する憲法に違反するのかどうかが争われた裁判で、最高裁大法廷は合憲と判断した(6日)。選挙速報や異常気象、災害、地震の情報など民放では速報できないニュースを、NHKがカバーしており、その公共性の高さを考えれば、放送法64条にあるテレビが自宅に設置されていれば、受信料契約ならびに支払いは社会的にも認められると考える。

    問題は、最高裁判決がどこまでテレビとするのか「テレビの概念」にまで踏み込まなかったことだ。最高裁は「お茶の間のテレビ」を対象として支払い義務があるとの判断が下されたにすぎない。では、ワンセグ付きのスマホ(携帯電話)はどうのか。電話にテレビの受信機能があるだけでテレビと言えるのか。64条では「受信設備を設置した者は受信契約をしなければならない」と定めている。NHKは「設置」には「携帯」の意味も含まれてと主張していてい、冒頭の学生に契約社員は「法律違反になる」と契約を迫った。ところが、社会通念としても、個人的な感覚としても「茶の間のテレビ」は視聴が目的、「スマホのワンセグ」は機能の一部にすぎない。

    ワンセグのNHK受信料をめぐる裁判では、2016年8月26日のさいたま地裁判決で「受信契約の義務はない」との判断を、ことし5月25日の水戸地裁では「所有者に支払いの義務がある」と判断している。もし、今回の最高裁判決で「ワンセグはテレビ」あるいは「ワンセグはテレビではない」のどちらかの判断が示されていたら、ひょっとして画期的な裁判になったかもしれない。示されなかったことで、今回の最高裁判決はオワコン(終わったコンテンツ)と呼ばれても仕方ない。

⇒10日(日)午前・金沢の天気    くもりのちはれ

☆北の難破船、いつまで続く

☆北の難破船、いつまで続く

   北朝鮮による新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射、そして、日本海沿岸に次々と流れ着く転覆した木造船、今後さらに何が日本海で起きるのか。金沢大学の能登学舎(珠洲市三崎町)で同僚たちと北朝鮮問題について話す機会も多いのだが、すぐ目の前の海に「北の船」が現実に現れたのには驚いた。

    先月27日午前8時40分ごろ、同市三崎町の小泊漁港500㍍沖で木造船が浮いているのが発見された。七尾海上保安部と珠洲警察署などが捜索。報道によると、木造船は全長12㍍、幅2.6㍍で、船内に人影はなく、船内からは網などの漁具のほか、ハングル文字で書かれたタバコの箱やビニール袋などが見つかった。能登半島沖300㌔の好漁場、大和堆あたりで漁をしていて、難破したものと見られる。

   漂着した北朝鮮の漁船の写真を提供いただいた。船の前方にはすでに藻がこびりついていて、「556—60268」という数字が書かれている。木造の船体はいかにも古そうで、荒れた海では波をまともにかぶりそうだ。

   今回特徴的なことは、遺留品にハングル文字で「264軍部隊」と文字が記されたカードがあったことだ。漁民が軍から船を借り受けた際に与えられた証明書との見方がなされている。さらにここから深読みすると、軍から船を借りてまで日本のEEZ(排他的経済水域)に向かう国家の現状だ。北朝鮮の慢性的な食糧不足は想像に難くない。いわゆる国策として漁業を奨励し、「冬季漁獲戦闘」と鼓舞して波の高い冬場も無理して船を出しているようだ。報道によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版、11月7日付)の社説 で「漁船は祖国と. 人民を守る軍艦であり、魚は軍と人民に送る銃弾・ 砲弾と同じだ」と出漁を呼びかけている。

   北朝鮮は沿岸付近の漁業権を中国企業に売却しており、漁師たちは遠洋に出ざるを得ない状況に置かれていると一部報じられている。それにしても、冬型の気圧配置で、北風で波が高くなるこの時期、いくら食糧確保のためとはいえ、古い木造船で出漁を煽るとは、難破の悲劇をわざわざつくり出しているようなものだ。これが北朝鮮の現実なのだ。漂流や漂着、どこまで続くのか。(※写真提供:一般社団法人能登里海教育研究所 浦田慎氏)

⇒2日(土)夜・金沢の天気   はれ

★「国難の海」の現実

★「国難の海」の現実

    最近のニュースで解せない点が、このブログで何度か取り上げた、北朝鮮の漁船による能登半島沖の大和堆(日本のEEZ=排他的経済水域)での違法操業だ。地元紙は「1千隻規模の不審船がレーダーなどで確認している。夏より多い」との漁業関係者の憤りの声を記事にしている。しかし、9月の国連安全保障理事会による北朝鮮への追加制裁決議で、漁船の燃料となる原油や石油製品の規制を設けたはずだ。

    追加制裁では、原油輸出は採択後の12ヵ月間の総量を採択前の12ヵ月間の実績を超えない、石油精製品の輸出量は2017年10-12月50万バレル、18年以降は年間上限を200万バレルに設定した。加盟国には北朝鮮への輸出量を毎月報告するよう求めた。追加制裁が額面通り実施されていれば、ガソリンなどは軍事優先で占められ、漁船への配分は限られると推測する。にもかかわらず、「夏より多い」とはどういうことだろうか。海上保安庁は8月までに延べ820隻の違法操業船を警告や散水して退去させたと発表している。

    この背景は何だろう。追加制裁がまさにザル法と化して、漁業者に潤沢にガソリンが提供されているということなのか、あるいは食料自給が水産物に頼らざるを得なくなり国策として、漁業者に優先的にガソリンを回しているのか。

            15日午後、能登半島沖360㌔のEEZ外で漁船が転覆してるのを海上自衛隊の航空機が発見し、海上保安庁の巡視船が乗組員を救助したとニュースがあった。救助された乗組員は北朝鮮籍の男性3人。漁船は小型船で15人が乗っていたという。残りの12人は不明で捜査が続けられている。乗組員は10月24日に北朝鮮北東部の清洋港を出港し、日本海で操業、寄港する途中にに転覆した。3人は帰国を希望しており、別の北朝鮮船籍の漁船に引き渡された。海上保安庁は新たに能登沖340㌔で別の船が転覆しているのを発見している。相次ぐ転覆。勘ぐれば、大和堆でスルメイカを獲り過ぎて漁船はバランスを崩したのか。

    同じ日の15日、石川県漁協のイカ釣り漁関係者が水産庁を訪れ、北朝鮮による違法操業への取り締まりの強化を水産庁長官に要望した。能登半島のイカ釣り漁の拠点である小木漁協では、最盛期の11月でも水揚げ額は2億円、これは昨年の3割でしかなかく、「死活問題になっている」と窮状を訴えたと報じられている。イカ釣り漁関係者の一行は外務省や海上保安庁の担当者にも同様の訴えを行ったが、臨検や拿捕といった取り締まりの強化策には言及はなかったという。

    これらの報道に目を通せば、日本海で今起きていることの現実が見えてくる。大量の北朝鮮漁船に違法操業の現実、国連安保理による経済制裁の実効性への疑念、北朝鮮漁船の帰港途中の転覆事故、日本漁船の水揚げ急減の窮状、懸念される所轄官庁の反応。日本海は日増しに「国難の海」へと状況が加速している。

⇒16日(木)夜・金沢の天気   あめ

★ニュースのサイコパス

★ニュースのサイコパス

   テレビのニュース価値は下がるばかりだ。おそらくテレビ局側も現場は士気が下がっているのではないだろうか。今月6日夜、札幌のススキノからタクシーに乗った男が運転手が道順を巡って、タクシーの防護板を足でけって破壊する様子が今でも繰り返し番組で流されている。男は990円の料金を払わずにタクシーを降り、スマートフォンを投げつけた。その後、ネット上では早々と、この男が札幌弁護士会に所属する30代の弁護士だと実名出ていた。

    そこで、札幌弁護士会のホームページを確認すると今日(13日)、「市民の皆様へ」と、札幌弁護士会の会長のコメントが掲載されていた。「当会の会員が、タクシー乗車中、車内の器物を損壊する等に及んだことが報道されております。事実であれば、断じてあってはならないことであり、極めて遺憾というほかありません。当会としても、必要な情報収集を行い,会員の非違行為が確認できた場合には,厳正に対応する所存です。」と。

   このコメント自体に違和感を感じるというか、「ぬるい」。「会員の非違行為が確認できた場合には,厳正に対応する所存です」との部分だ。非違行為は非法行為と違法行為のことだが、あの映像は誰が視聴しても破壊行為であり、暴力行為だ。運転中のドラバーの後ろのシートを蹴っているので、道路交通法違反(運転妨害)でもあるだろう。単なる、器物損壊ではない。それを「会員の非違行為が確認できた場合には、」などとコメントすること自体、違和感を増幅させる。「厳正に対応する所存です。」でよいのではないか。

   テレビのニュース価値を下げている、もう一つのニュースがサイコパス(精神病質者)的な犯罪と言われる神奈川県座間市の連続殺人事件。先月31日に事件が発覚して以来、その事件の異常性が伝えられている。その惨状を想像すると嫌悪感がわく。知り合いは「最近テレビのチャンネルを変えるどころか、テレビそのものを見たくない」と拒否反応の様子だ。

   そうした視聴者の心境を察してか、テレビ局はこぞって、トランプ大統領と娘のイヴァンカ大統領補佐官の来日(それぞれ今月5-7日、2-4日)を競うように明るい話題として扱った。それも、メラニア大統領夫人のファッションがどうだこうだ、と。日本政府主催の「国際女性会議WAW!」で、イヴァンカ氏が「アベノミクスはウーマノミクスである」とスピーチをすると、父親のトランプより演説のレベルが高いなどと番組のコメンテーターが褒めそやす。そんな程度なのだ。

   7日にトランプ大統領が離日、するとまた座間の連続殺人の続報、それに札幌のタクシー事件が加わった。それにしても、座間事件は9人も殺害された凄惨な事件だ。果たして裁判員裁判が成立するのか。裁判員を辞退するのは3人に2人といわれる。その理由に、遺体写真を見てトラウマ(心的外傷)になることを恐れる人が多い。もし、私にこの事件の裁判員の通知が届いたらどう判断するだろうか。そんな余計なことまで考えてしまう。
   
⇒13日(月)夜・金沢の天気   はれ

★ドナルドとシンゾーに望む‐追記

★ドナルドとシンゾーに望む‐追記

   それにしても「見事な外交手腕」だ。去年12月、真珠湾攻撃から75年、安倍総理がアメリカのオバマ大統領とともにハワイのパールハーバーを訪れ、かつて攻撃した側と攻撃された側の国の首脳がそろって慰霊した。その前の5月にオバマ氏が広島を訪問し、原爆犠牲者の慰霊碑に花を手向けた。両首脳は謝意といった外交辞令のような言葉をあえて口にしなかったが、世界の人々は日本とアメリカの信頼関係を視覚で実感したのではないだろうか。

    不思議だったのは、安倍総理がトランプ氏が大統領就任前の去年11月、ニューヨークのトランプ・タワーの私邸を訪ね、1時間半の非公式会談を行ったことだ。いくら日本とアメリカの信頼関係が不可欠であるとしても、就任前に私邸を訪れたことに、違和感を感じた国民も多かった。私自身も「そこまで愛想しなくても」と。海外メディアなども「charm offensive」ではないかと皮肉っていた。ちなみに、charm offensiveは目標を達成するために意図的にお世辞や愛想をふるまうこと。

   そのcharm offensiveから1年、きょう(5日)は日本の地を初めて踏んだトランプ大統領と安倍総理は「霞ケ関カンツリー倶楽部」(埼玉県川越市)でゴルフを楽しんだ。2月にフロリダに続いて2度目のゴルフ外交だ。トランプ氏は去年の大統領選の期間中、一貫して「大統領に就任すれば、日本などアメリカ軍が駐留する同盟国に駐留経費の全額負担を求める」などと演説していた。そのときの、緊張感に比べれば何の「しこり」もない、実に爽快なプレーだ。

   中国、北朝鮮、ロシアといった隣国が核保有国でもあり、日本にとっては誰が大統領になろうとも、日本とアメリカの同盟関係、信頼関係を確定しておくことが、日本の安全保障に必要なことを安倍総理は理解しているのだろう。その意味では見事な外交手腕だ。

※写真は総理官邸ホームページ(5日付)より

⇒5日(日)夜・金沢の天気    はれ

☆ドナルドとシンゾーに望む

☆ドナルドとシンゾーに望む

    面白いキャッチフレーズだ。安倍総理はあす(5日)、来日するアメリカのトランプ大統領を出迎え、ゴルフを楽しみ日米会談に臨む。すでに、二人は「ドナルド、シンゾー」と呼び合う仲だそうだ、二人でぜひとも世界平和を実現してもらいたい。課題は山積している。

   日本海側に住む国民の一人として、やはり北朝鮮による違法操業はなんとかしてほしい。能登半島の北300㌔にある大和堆(やまとたい)にはEEZ(日本の排他経済水域)であるにもかかわらず、北朝鮮の木造船が大挙して押し寄せていると、地元の新聞各紙は報じている。それによると、北朝鮮の木造船が日本の漁船の集魚灯を目当てに次々と近づいてくる。北朝鮮の船は釣りではなく、漁網によるイカ漁であり、その漁網が日本の漁船のスクリューに絡まった場合、船の損傷となることから避けている。それをさらに集魚灯目当てに追いかけてくるというのでタチが悪い。日本で有数の漁場が無法地帯と化しているのだ。

   そして空だ。これも地元紙での報道なのだが、漁船保険の一種で、戦争による攻撃の被害に備える戦乱等特約への加入が急増している。この特約を販売している日本漁船保険組合での加入は去年実積で235隻だったが、今年は10月末ですでに1630隻に上っているという。北朝鮮の弾道ミサイルが8、9月の2度上空を通過した北海道では特に増えているというのだ。戦乱等特約は通常の漁船保険に追加で契約するものだ。有事の際の補償対象が船体だけでなく、乗組員の生命や積み荷も補償対象となっている。

         北朝鮮は9月3日に6回目の核実験を実施した。同15日に弾道ミサイルを日本上空に飛ばした。それを国連総会で、トランプ大統領が「ロケットマンが自殺行為の任務を進めている」と演説した(同19日)。世界各国が国連安保理の制裁決議に同調するようになったはこのころだろう。「ロケットマン」演説の通り、この国の暴発をどのように防ぐのか。

⇒4日(土)夜・金沢の天気    はれ

   

   

   

★選挙の開票結果と暴風雨

★選挙の開票結果と暴風雨

            衆院選は22日投開票で、与党が総定数465のうちち、300議席超を確保する勢いとなった。午後8時から選挙特番は自民の圧勝を一斉に伝えた。自民党は単独でも過半数(233)を獲得し、大勝となった。自民党は争点に挙げた北朝鮮への圧力強化など、国民の信任が得られたとして、動きを加速させるだろう。何しろ、アメリカのトランプ大統領が来月5日から2泊3日の日程で日本を訪れる。それまでに特別国会を召集し、首班指名、新内閣の発足と慌ただしい。

    ところで、海外のメディアと今回の総選挙をどう伝えているのか。イギリスの公共放送「BBC」は23日0時00分のホームページの見出しで「Abe on course for strong victory in Japan」と伝えている。「日本の選挙は安部の圧勝だ」と。さらに記事の中で、日本の戦後の、平和憲法を改正するという安部総理の野心にとって大多数での勝利は不可欠」と述べ、自民党は改憲に向けて大きく進むだろう、と論評している。

    アメリカのテレビ「CNN」もNHKの選挙速報の数字を引用して伝えている。出口調査の結果で、大勝が判明した総選挙について安倍総理は「謙遜にこの勝利に向き合わねばなりません」と述べ、「有権者は、我々与党に大多数を与えてくれた。これは日本人の声です。そして、我々は公約を推進して、選挙結果に応える」とNHKのインタビューで答えたと報じている。

    アメリカの経済紙「ウオール・ストリート・ジャーナル」は「Japan’s Abe Cements Hold on Power With Election Win」と見出しで伝え、安倍総理は日曜日の国政選挙で有権者から強い新しい委任を得た(NHK出口調査による)。 「1947年に施行された憲法について、最初の改憲に向けて進むだろう。(選挙の)勝利が彼を励ましている」と報じている。

    海外メディアは、安部自民党は改憲に向けて突き進むだろうとの論調で、選挙勝利を伝えている。選挙結果では、確かに野党含め改憲勢力が8割に達したことで、改憲に現実味が帯びてきた。それにしても台風21号の勢いが未明にかけて吹き荒れている。金沢には土砂災害警戒情報が流れている。

⇒23日(月)朝・金沢の天気   暴風雨