⇒メディア時評

★ギョウカイの裏読み

★ギョウカイの裏読み

   テレビメディアの「劣化」を指摘する声をよく聞く。放送内容もさることながら、最近目立つのがテレビ業界(ギョウカイ)の不祥事だ。きょうもネットニュース(読売新聞Web版)で毎日放送(MBS、大阪市)の男性社員が同僚の女性社員を盗撮したとして、警察が迷惑防止条例違反の疑いで捜査していると報じられている。盗撮に気がついた女性が警察に被害届を提出し発覚した。MBSではことし4月にも男性の局長がセクハラで懲戒処分を受けている。山梨、山形で20代の3人の女性に性的暴行を加えたとして強姦致傷などの罪に問われ逮捕されたたNHKの記者がいた。ことし4月の判決で懲役21年の刑が言い渡されている。   

   折しも、報道関係者が集まってきのう(20日)ときょう札幌市で「マスコミ倫理懇談会」全国大会が開催されている。マスコミ倫理懇談会全国協議会のホームページをチェックすると分科会は7つあり、「岐路に立つ実名報道」、「極端化する災害と取材・報道」、「ネット時代を、マスメディアはどう生き抜くか」、「公文書管理と情報公開」、「働き方改革」、「国民投票法を考える」、「地方活性化と広告の可能性」とある。それぞれ重いテーマなのだが、「報道機関でパワハラ、セクハラ、性犯罪がなぜ起きるのか」を緊急案件として入れるべきではなかったのか。

    それにしてもタイミングが悪い。日本民間放送連盟(民放連)の大久保好男会長(日本テレビ社長)がきのう午後2時からの定例の記者会見で、憲法改正の際に賛否などを呼びかけるCMについて、放送時間の長さなどの量的な規制はしないことを決めたと述べ、物議をかもしている。民放連のホームページに会見の内容が記されている。以下引用。記者は「憲法改正の国民投票をめぐり、テレビCM規制のあり方が議論されているが、どのようにお考えか。また、自主規制について、民放連で検討が進んでいるのか」と質問した。

   これに対し、大久保会長は「憲法改正をめぐる国民投票運動のテレビCMのあり方について、私たちに検討が投げかけられており、国会の検討の場に招かれて説明も行った。本日開催した理事会で、この問題を担当する放送基準審議会から検討状況の報告があった。その中で、民放連として一律にCMの量的規制はしない方向で検討を進めていくとの説明があり、これを了承した。民放連がCM量についてどのような自主規制を行うのか、との問いに対して、現時点の考えを確認したものだ。今後、この基本的な考え方に沿って番組・CM全般の論点を検討していく」と述べた。文面そのままでは分かりにくいので以下考察する。 

   3選を果たした安倍総理は、憲法第9条の第1項と第2項を維持したまま、自衛隊の存在を規定する第3項を加える方向で憲法を改正を任期中に行う考えを示している。憲法改正には衆参両院の3分の2の賛成を得た上で国民投票で過半数の承認を得る必要がある。憲法改正の発議が本格化すれば、当然賛否の論が沸き、テレビを使ったキャンペーン(CM)が激しさを増すことは想像に難くない。

   というのも、国民投票法にもとづく国民投票運動は選挙運動と違ってかなり自由度が高い。例えば、選挙運動では街頭演説は午前8時から午後8時に限定されているが、国民投票運動には制限はない。選挙運動では禁止されている戸別訪問や自分で自由にビラやポスターを作って配布することもできる。インターネットや電子メールも制限なく使用できる。ただし、国民投票法では投票日14日前からのメディア(新聞、テレビなど)を使ったCMを禁止している。が、14日前までならばCMを大量に流してもよいのだ。記者会見で民放連会長はそのCMに関して国民投票運動は原則自由であり自主規制はしないと述べたのだ。ただ、CM内容で誹謗中傷がないかを放送前にチェックする考査について今後検討していくと述べた。

   資金力がある側(自民)が大量にCMを流すと公平性が保てない恐れがあると野党側はテレビ局側に量的な自主規制を求める声を上げていたが、民放連はそこには踏み込まなかった。自衛隊をめぐる憲法改正は安倍政権の総仕上げだ。昨年の自民党の政党助成金173億7400万円はダントツに多い。一方、2017年の日本の広告費(電通調べ)ではインターネット広告費は4年連続二ケタ成長であるのに対し、テレビは前年比99%と減少傾向にある。数年後にはテレビを抜く勢いだ。喉から手が出るほどCMがほしいギョウカイの下心が見えたか。
 
⇒21日(金)夜・金沢の天気   はれ

☆ニュースの裏読み

☆ニュースの裏読み

     報じられるニュースと報じられないニュースがある。簡単に言えば、報じられるニュースは建て前、報じられないニュースは本音、あるいは不都合な真実と言ってよいかも知れない。その事例をいくつか。

     経団連中西宏明会長が2021年春以降に入社する学生への会員企業の採用活動に関し、経団連が定めている面接解禁などの統一ルールを廃止する意向を表明したと報じられた。これに対し、遊説先で安倍総理は「企業側ともよく話をした結果、『採用活動は6月開始』というルールをつくったところだから、このルールをしっかりと守っていただきたい」と述べ、経団連は指針を守るべきだと述べたという。

     経団連がつくった就活の統一ルールはすでに形骸化している。リクルートキャリアが発表した数字では、面接など企業の選考活動が解禁されたことし6月1日時点で、大学生の就職内定率は68.1%となっていた。このままでいけば、経団連に加盟する大企業が「貧乏くじ」を引くことになってしまう。そもそも、リクルートスーツで身を固めて会社訪問というパターン化された就活に違和感を持つ学生は多い。最近聞いた学生の話では、留学先(オーストラリア)から東京の企業にメールで問い合わせ、後日スカイプで面接をして内定。帰国後に企業訪問をして卒業後の具体的な仕事内容について段取りをしてきた、と。学生の本分である勉学が就職活動が早くなることで疎外されること懸念する向きもあるが、リクルートスーツで何十社と回るより時間的なロスが少ないのではないだろうか。

    障害者手帳は地方公共団体に認定を受けると発行される、障害を証明するための手帳である。手帳は2 年ごとに更新が必要だ。いま問題となっている障害者雇用の問題はこの手帳を持っているのか、いないのかが基準となっている。正直私だったらこの手帳を持ちたくない。実際に手帳を持っている人の話だ。精神に障害を持つ彼は、担当の医師に手帳の更新の申請書を書いてもらう。その時、医師は「症状は随分とよくなっていると思いますが、そのまま書くと手帳がもらえなくなるので少々きつく書いておきますね」と言われたそうだ。実際書かれた申請書に目を通すと「暴れる」「奇声を発する」など大げさに書いてあった。

    働くために手帳をもらう。手帳をもらうために症状の水増しが行われる。彼は「人格が傷つけたれた思いがした」「本音を言えば手帳はいらない。更新時が憂鬱だ」と。このような声はニュースにはいっさい出てこない。

⇒4日(火)朝・金沢の天気    くもり時々はれ

★「張り手」と「搦め手」のバトル

★「張り手」と「搦め手」のバトル

   24日付のニューヨーク・タイムズWeb版で気になる記事が出ていた=写真=。「Trump Asks Pompeo to Cancel North Korea Trip, Pointing to Stalled Diplomacy」との見出しで、非核化に向けたアメリカと北朝鮮の交渉で進展が見られないので北朝鮮への訪問(今月27日)を中止してはどうかとトランプ大統領がポンペイオ国務長官に指示した、と。その4日前、ロイター通信社のインタビューでトランプ氏が金正恩委員長と再び会談する「可能性が最も高い(most likely)」と述べたと報じられていた。それが一転した。非核化交渉が進まいことにしびれを切らしたトランプ氏が例の「張り手」を演じたのかと思ったが、どうやら背景はもっと複雑なようだ。

   「張り手」とは、横綱・白鵬の「張り手」も以前話題になったが、立ち合いで相手の頬っぺたを叩いてひるませるやり方なのだが、トランプ流は「行かない」「止める」「中止」の脅迫的な言葉でカウンターパンチを食らわせる。予定されていた米朝首脳会談(6月12日)を中止すると発表したことは記憶に新しい。交渉を優位に進めようとするにはそのくらいの手練手管は必要なのだろう。今回の一件で分かったことは非核化交渉は膠着しているということだ。メディアのニュースを斜め読みしただけでも、その背後に中国の存在があるかもしれないと思ってしまう。

   その一つ。北朝鮮の9月9日の建国記念日の行事に中国の習近平国家主席が参加するとのニュースが広がっている。金氏はことし、中国を3回(3月、5月、6月)訪問し習氏と会談している。会談の中で北朝鮮訪問を習氏に懇願したであろうことは想像に難くない。それが実現するとすれば、中国国家主席の訪問前に、アメリカに外交成果(非核化交渉)を誇示させることはしたくないと金氏は考えるだろう。非核化交渉の膠着はこれが要因か。

   二つ目が肝(きも)かもしれない。互いに高関税をかけあって一歩も引かないアメリカと中国の貿易摩擦だ。アメリカと厳しい貿易交渉を行っている中国は、北朝鮮とアメリカの非核化交渉の進展をただ眺めているだけだろうか。これまでの金氏と習氏の3回の会談で、金氏は自国への経済制裁解除を要求しているはずだ。貿易摩擦をめぐるアメリカと中国の駆け引きの材料の中に北朝鮮への経済制裁の解除が中国の「交渉カード」になってはいないだろうか。簡潔に言えば、米中貿易の交渉でアメリカの圧力が強まれば、中国は北朝鮮への経済制裁に協力しない、と踏み込む。アメリカにとって困ることは、北朝鮮との非核化交渉がさらに膠着化することだ。

   敵の背後に回って襲いかかることを「搦(から)め手」と言うが、まさにこれだ。北朝鮮への制裁解除を匂わせてアメリカの譲歩を引き出す戦術だ。アメリカの「張り手」と中国の「搦め手」の壮絶なバトルではないか。勝手な想像なのだが。

⇒26日(日)朝・金沢の天気    はれ

☆強い光源、「サッポロポテト現象」

☆強い光源、「サッポロポテト現象」

   「こまめに水分や塩分を取るなど熱中症対策に万全を期してください」。テレビで各地の猛暑を伝えるたびに繰り返されるこのコメント、正直もう聞き飽きた。この「こまめに」というフレーズが出てくると、「分かったよ、もういい」とつい思ってしまう。もっと他の言い方はないのだろうか。たとえば、「ひんぱんに」とか「ちょくちょく」とか「たびたび」とか。「こまめに水分」はこの夏の流行語大賞か。もっと言葉のバリエーションがほしい。

  それにしてもこの猛暑だ。きのう29日午後3時ごろ、山手の金沢大学周辺で乗用車の温度センサーは外気温37度だった。この暑さは記録的なのだという。7月1日から26日までの平均気温は28度(速報値)で過去最高。統計を取り始めた1882年以降で、金沢の7月の平均気温がこれまで最高だったのは1978年の27.5度。また、平年(1981-2010年の30年間の平均)と比べると、なんと2.7度も高い(7月28日付・北陸中日新聞)。

       かつて「うだる暑さ」という言い回しがあったが、そのような生易しい言葉は通用しなくなり、最近はもっぱら「猛暑」や「酷暑」が使われている。

       「猛暑」は公用語にもなっている。気象庁は天気予報や解説などで予報用語を使っているが、最高気温が35度以上の日を「猛暑日」と定義して、2007年4月から使っている。これまでは最高気温が30度以上の日を「真夏日」としていたが、最高気温が35度以上の日が1990年以降急増したため、レベルアップした用語が必要となった。もちろん、用語の場合は定義が必要なので35度以上とした。

   でもその「猛暑日」ですら生易しく感じるようになってきた。金沢に住んでいても35度超えは驚きではない。関東や東海地方では40度超えが続出。今月23日には埼玉県熊谷市では気温が41.1度まで上がった。こうなるとさらにレベルアップした用語が必要となる。40度以上の日を何と称するのか。気象庁の予報用語はまだない。

   熱中症の危険度を判断する国際指標が「WBGT(暑さ指数)」では28度を超えると熱中症患者の発生率が急増するという。40度以上になれば暑さというレベルを超えて「災害」ではないだろうか。熊谷市で41.1度を記録したこの日、気象庁の予報官が記者会見でこう述べていた。「命に危険をおよぼすレベルで、災害と認識している」と。深刻な発言に思えた。では、40度以上の日、これを「災暑日」としてはどうか。

   写真はきょう午前10時30分ごろの太陽。樹木の上から激しい日差しが照りつける。周囲の赤い光玉は、強い光源が画面内に入り込むと、カメラのマイクロレンズに反射した光がカバーガラスに二次反射して格子状や赤玉のゴーストが写り込む。ネットで検索すると、このゴースト現象は「サッポロポテト現象」と呼ばれている。カルビーの商品「サッポロポテト」のポテトチップスと形状がよく似ていることからカメラマンの間ではそう呼ばれているようだ。きょうも金沢は37度を超えそうだ。

⇒30日(月)午前・金沢の天気    はれ

★「テレビ的」ではないが

★「テレビ的」ではないが

   サッカーW杯で2大会ぶりの決勝トーナメント進出を決めた日本代表だが、テレビを視聴していて、0-1でリードを許しながら、後半40分ごろから攻めることなくボールを回し続けた。攻めずにボールを回し続ける光景は摩訶不思議だった。まったく「テレビ的」でなかった。なぜ、自力で突破が決められる勝ち点を狙わなかったのか。不思議な光景だった。そして、視聴する側とすると、もどかしさが心に残ったいのである。こんな画面はテレビ的ではない、と。

   自力突破で勝ち点を狙わず、警告数の差のみで決勝トーナメント進出を狙う。これでよかったのか。サムライならば勝負に出る、それを期待していたのだ。 来月2日(日本時間3日午前3時)、予選3戦全勝のベルギーと日本の対戦(中継はNHK総合)。果たして夜中の3時からどれだけの人が視聴するだろうか。今回の一件で割と覚めた人が多いのではないだろうか。内容のない試合を視聴する価値はどこにあるのだろうか。「結果オーライ」でよいのか。日本人でも考え悩む。

   海外メディアの目線はもっと厳しい。イギリスのBBCはWeb版で「mind-boggling farce」、「あぜんとする茶番劇」と論評している=写真=。元イングランド代表のコメントで「最後の10分はW杯で見たくないものだった」と紹介し、北アイルランド代表の監督の「日本は次戦でボロ敗けにされるだろう」と挑発的なコメントを掲載している。

   確かに日本代表の西野監督は「非常に厳しい選択」と語っていた。そして、「少し後悔はあるが、この状況で自分の中になかったプランを選択した」と。ただ、見方を変えれば、西野監督は稀代の勝負師なのかもしれない。FIFAの発表によると、今回のロシア大会では賞金総額は4億㌦(438億円)とされていて、決勝トーナメント進出を決めれば、1200万㌦(13億1900万円)は確保したことになる。出場する全チームには準備金として150万㌦(1億6400万円)が支給されるので実に14億8300万円となる。もし初戦突破となれば、1600万㌦(17億5900万円)と準備金で1750万㌦(19億2300万円)を確保することになる。グループステージで敗退となっていれば、800万㌦(8億7900万円)と準備金で950万㌦(10億4300万円)だった。勝負を続けることは数字になって現れる。

   今回の試合戦術で西野監督に感謝すべきはテレビ局側かもしれない。NHKと民間放送連盟が共同制作する放送機構「ジャパン・コンソーシアム」がFIFA(国際サッカ-連盟)に払った放映権料は600億円といわれる。64試合すべてを日本で放送する権利料なのだが、前回2014年のブラジル大会に比べ実に1.5倍に跳ね上がっている。600億円の負担割合はNHK70%、民放30%といわれ、特に民放側は回収が難しいとささやかれている。もし、日本代表がグループステージで敗退していれば、とたんにサッカーW杯熱は冷めただろう。ポーランド戦の内容は決してテレビ的ではなかったが、日本代表がなんとか決勝トーナメント進出を決めてくれたのでスポンサーとつながっていられる。民放側はそんな思いだろう、か。

⇒29日(金)夜・金沢の天気   あめ

★米朝首脳会談への勘ぐり

★米朝首脳会談への勘ぐり

  いよいよ歴史に刻まれることになる米朝首脳会談が始まる。ただ、成果は出せるのだろうか。メディア各社の記事を読んでもその点ではぼかしが入っている。たとえば、会談の成果は北の非核化と安全の保証に関する合意文書の取り交わしだろうと想像するが、アメリカCNNのWebニュース=写真=をのぞいても成果予想が分からない。以下引用文。「Trump chases the ultimate deal at Singapore summit, but will Kim let him seal it? (トランプ氏はシンガポール首脳会議で究極の取引を追うけれども、キム氏はそれを封印するのではないか?)」

   会談で仮に金氏が非核化に応じたとしても、IAEA(国際原子力機関)による査察に応じるのだろうか。IAEAの査察(検証活動)はしっかりしている。核が保管されている施設を申告させて場所を明確にする「特定査察」、そこに監視カメラを設置して、平和目的かどうかを監視する「通常査察」、そして、監視によって疑惑が出た場合には「特別査察」を行う。このIAEAの検証活動を合意文書に盛り込めなければ、単なる口約束にすぎない。つまり、非核化は約束はするがIAEAの査察についてぼかす、あるいは逃げ切る。CNNの記事にある「封印」はまさにこのことだ。

   韓国の聯合ニュースのWebニュース(日本語版)は、金氏がシンガポールに到着したときの様子を伝えている。10日朝に平壌から3機の航空機が飛び立ち、正午すぎにシンガポールのチャンギ空港に到着した。1機は北朝鮮の輸送機(IL-76)で移動用の専用車のベンツや、移動式トイレを搭載してきたという。トイレは、排出物の状態から金氏の健康状態に関する情報が外部に漏れないようにするためだと記載されている。トイレの一件を疑ってしまう。「健康状態」というよりも、ひょっとしてもっと別なことがあるのではないかと。勘ぐり過ぎか。

   続いて、中国国際航空の旅客機ボーイング747、そして金氏の専用機「チャムメ1号」が到着した。金氏が乗っていたのは中国国際航空機の方だった。聯合ニュースは、専用機は旧ソ連が1963年に初飛行させた「イリューシン62型」で、老朽化が指摘される。これまで長距離飛行の実績もなく、金氏が「安全」のため専用機には搭乗しなかったとの見方もあると伝えている。ここで気がついた。金氏は5月8日に中国の大連を訪れ、習近平氏と会った。2人は3月25-28日に北京で会談をしたばかり。立て続けの訪中はどこか不自然と感じていたが、「主席がいつも乗っている航空機を貸してください」とお願いに行ったのか、と。これも勘ぐり過ぎか。

⇒11日(月)朝・金沢の天気   くもり

☆続・解せないニュース

☆続・解せないニュース

  それにしても、被害者とは示談も成立し、謝罪会見を行い、そして起訴猶予となった。さらに、事務所の社長もお詫びのコメントを出した。あとは本人の再起を期すだけではないのか。ところが、6日付で契約解除、つまり解雇である。一連のニュースをウオッチして、演出されるステージの華やかさとは裏腹に、ジャーニズ事務所の「暗さ」を感じる。

    下された「審判」、自らを啓発するチャンスに
   
 「TOKIO」の公式サイトをのぞいてみると、すでに山口達也の写真やプロフィルは削除されている。事件が発覚して間もなく同サイトを検索したときには、メンバー5人の写真と名前が掲示されていた。どうやら、4人が記者会見した2日に削除されたようだ。その後、6日付で契約解除ということは、勘ぐるに2日の時点ですでに、事務所の役員の腹は「解雇」で決まっていたのかもしれない。

     会見ではリーダーの城島茂が、山口の辞表を預かっていると述べていた。その後、事務所側に辞表が託され、正式に受理されたということだろう。山口は2月に自宅マンションの部屋に女子高生を呼び出し、無理やりキスをするなどのわいせつな行為をしたとして、警視庁から強制わいせつの疑いで書類送検されていた。示談が成立していたので、東京地検は起訴猶予にした。本来ならば、ここからが再起のステップになるのだが、役員は見限ったのだろう。

   彼はこれで社会的には事実上「孤立無援」の状態になった。前回ブログでも述べたが、自ら断酒を宣言し、俗世間とのかかわりを絶ち、ある意味で自己啓発の道を進むべきだと思う。まだ、46歳だ。いっそう海外にボランティアに出かけてはどうだろうか。アフリカの難民キャンプで飢えた子どもたちの医療サポートをする。その現実を目の当たりにすることで、まったく違った世界が見えてくる。それが自己啓発だ。自分を追いつめることではない、自分をまったく違う世界に目覚めさせることだ。

   6日に4人が事務所を通じて、コメントを出している。「自分たちに変えられるものがあるとすれば、それは明日であり、目の前にあることからです。」と。いい言葉だ、いい仲間たちだ。5人が相互に高め合うチャンスになるかもしれない。

⇒7日(月)朝・金沢の天気   あめ

★解せないニュース 2題

★解せないニュース 2題

  このところ解せないニュースを見聞きする。これでよいのか、こんなことがあってよいのか、と。きのう(2日)午後2時からテレビのワイド番組で生中継されていた「TOKIO」メンバーによる記者会見の様子をしばらく見ていたが、何のためにどんな目的の会見なのかコンセプトが理解できなかった。はたして多くのファンは納得したのだろうか。

     「TOKIO」記者会見、アルコール問題の行方は  

  そもそもTOKIOの山口達也が2月に東京の自宅マンションの部屋に、女子高生を呼び出し無理やりキスをするなど、わいせつな行為をしたとして、警視庁から書類送検されたことが明るみに出たのがきっかけ。被害者との示談も成立し、今月1日付で東京地検は起訴猶予としている。所属するジャニーズ事務所は、本人の芸能活動は「無期限の謹慎」としている。

     この事件を突き詰めて考えると、会見でも話が出ていたように山口本人のアルコールによる自己管理のなさ(酒癖の悪さ、あるいは酒乱)がそもそも問題だろう。城島茂は「現場で酒の匂いがするとか、二日酔いで調子悪そうだなということは確かにあった。円滑にロケが進まないようなこともあった」と。さらに、松岡昌宏はこう述べていた。「山口はアルコール依存症なんだと思っていたが、いろいろな病院に診断書を求めても、アルコール依存症というのは出てこない。本人も先の会見でそう言っていた通り、30日の時点での診察の紙には『依存症』とは書かれていない。どこが原因なのかと我々も、もちろん彼もわからない」と。

  察するにアルコールは好きだが、おぼれるタイプではないので依存症ではない。おそらく、酒を一定量飲むと人格が変わるタイプなのだ。普段は真面目だが、凶暴になる「二重人格」タイプもいる。とすれば、TOKIOの仲間たちが山口に促すことは「断酒宣言」しかない。その実践を仲間で見守ることだ。記者会見では「5人で仕事を続けたい。そのために彼には断酒を宣言し実践してもらう。それを見届けて、グループに復帰してもらう」と言い切った方がすっきりした内容になったのではないか。

   「取らぬタヌキ」のノーベル平和賞

  もう一つ、解せないニュース。きょう(3日)のNHKニュースで、史上初となるアメリカと北朝鮮の首脳会談を前に、アメリカの共和党の議員がノーベル平和賞の選考委員会にトランプ大統領を推薦する書簡を送った、と報じらた。先日(4月29日)のニュースでも、ノーベル平和賞について、イギリスの大手ブックメーカーの予想で、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の2人が一番人気となっている、と。

  米朝首脳会談は日時も場所もまだ公表すらされていない。まして核廃棄の道筋(ロードマップ)も具体化していない中でノーベル平和賞が取りざたされるとは、授与者のノルウェー政府も戸惑っているに違いない。さもありなんと、それを報じるメディア側もいかがなものか。

⇒3日(木)午前・金沢の天気   あめ

★「日朝首脳会談」演出のシナリオ

★「日朝首脳会談」演出のシナリオ

    27日の南北首脳会談について、安倍総理が韓国の文在寅大統領と電話会談し、会談の中で、金正恩朝鮮労働党委員長が、日本との対話の用意があると表明した、とメディア各社が報じている。また、文氏は正恩氏に対し日本人拉致問題を取り上げ、安倍総理の意向を伝えたとも。

    金委員長が安倍総理と首脳会談を行うとなると、また、演出されたシナリオが透けて見えてくる。以下は想像だ。金氏は日朝首脳会談の前に、ある人物を日本に送り込んで、日本のメディアの論調を自らに引き込む。そのカードは寺越武志氏(68歳)ではないだろうか。年老いた母・友枝さん(86歳)に会いに日本に来るという涙を誘うシナリオだ。

   1963年5月、能登半島沖へ漁に出たまま行方不明になり、87年1月に北朝鮮で生存が判明した寺越武志氏。2002年10月、39年ぶりに一時帰国し、故郷の石川の地を踏んだ。その時は朝鮮職業総同盟の訪日団の一員として訪れた。本人はこれまで一貫して「自分は拉致されたのではない。遭難し、北朝鮮の漁船に助けられた」と拉致疑惑を否定してきた。「金英浩」という現地名を持ち、妻と子供3人をもうけているので、拉致疑惑を否定せざるを得なかったのかもしれない。

    演出されたシナリオはたとえばこうだ。北朝鮮側が寺越武志氏の拉致を認め、公式に謝罪する。その他の拉致被害者については調査中だとして、まず、寺越氏を日本に帰国させるのだ。母の友枝さんはこれまで65回も息子に会いに北朝鮮を訪問している。武志氏は「もう母親に辛い思いをさせたくない」とインタビューに応じる。そうすると日本の世論は沸騰する。拉致を認め、帰国させれば、その時点で金氏の一本勝ちだ。このムードで今度は日朝首脳会談に臨む。過去の歴史清算を基盤とした日朝国交正常化を切り出し、賠償金や経済援助の引き出しを狙う。ざっとそんなシナリオではないだろうか。

    もう一つの思惑もあるだろう。北朝鮮の一連の「平和外交」の狙いは、自分たちは世界に「危険な存在」ではないとアピールしながら国連の経済制裁を緩和させることだろう。アメリカのトランプ大統領との米朝首脳会談がそのヤマ場だが、その前にさらなる一手を打つとすれば、上記の「拉致カード」だ。なぜなら、トランプ大統領は安倍総理の意向を受けて、拉致問題を切り出すことは目に見えている。その前に、「トランプさん、拉致問題は解決済みですよ」と機先を制するのだ。

⇒29日(日)夜・金沢の天気    はれ

☆「南北首脳会談」演技は目立ったが

☆「南北首脳会談」演技は目立ったが

    やはり「演技がうまい」と印象だ。きのう27日、板門店で開催された「南北首脳会談」をテレビで視聴して率直に思った。韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が抱擁する場面など。そして、南北軍事境界線の縁石越しに文氏と握手し、金氏が韓国側に一歩踏み出したものの、「私はいつ(北側に)越えられるのか」との文氏の言葉に「ではいま、越えましょうか」と文氏の手を取って2人で北朝鮮側に入った。生中継を意識していると言えばそうのなのだが、サプライズや感動を地で行く演出だった。まだある。金氏の夫人が夕食会に出席し、ファーストレディーを同伴することをあえて演出したカタチだ。テレビの解説では夫人の同伴は知らさせていなかったというが、これも演出か。

   会談の最大の焦点は「非核化」だ。韓国メディアはどう評価しているのか。現地ではさぞ「万歳」と会談を称える論調だろう思いながら、チェックしてみると意外と冷静だ。本日(28日)付「朝鮮日報」webサイトは社説で次のように述べている。以下抜粋。

   「…北朝鮮の核廃棄については本当に深い議論が交わされたのか疑問に感じるほど、合意文書にはわずかな内容しかなかった。本来この会談が開かれた理由はただ1つ、北核廃棄がその目的だったはずだ。誰もがそのように期待した。もしこの問題で進展がなければ、他に何を合意しても何の意味もないからだ。ところが実際の合意文をみると、『非核化』という言葉は仕方なく入れたか、あるいは単なる装飾のように最後の項目にわずか3つの文章しかなく、その量は全体の10分の1にもならなかった。本当に必要なことはよくみえてこないが、それ以外のことばかり派手に書かれた合意文書だといっても過言ではない。…」

    さらに「2005年の9・19共同声明に比べて後退している」とも。9・19共同声明では「北朝鮮は全ての核兵器と現存する核計画の放棄を公約した」と明記されていた。さらに「検証可能な韓半島の非核化」や「検証」についても明記されていた。しかし、実態は、それからわずか1年後、北朝鮮が最初の核実験を強行し、「韓半島に核という暗雲をもたらしたのは周知の事実だ」と懐疑的なのだ。

    となると、はやり注目されるのは6月上旬までに開催されると予告されるアメリカと北朝鮮の「米朝首脳会談」だ。この会談でトランプ大統領が、いわゆる「リビア方式」のようなきっちりとした核廃棄の道筋(ロードマップ)が具体化するかどうかだろう。1)国際原子力機関(IAEA)による査察、2)核兵器・ミサイル装備などの解体、3)申告以外の疑わしい施設の査察、だ。 

    「演技はもういい」。まず、核廃棄のロードマップの合意、そして次に日本人拉致被害者の即時一括帰国だ。日本海側の海岸に今でも次々漂着している北朝鮮の転覆漁船のニュースに接していると、再度言いたくなる。「演技はもういらない」

⇒28日(土)午後・金沢の天気     はれ