⇒メディア時評

★「M6.0±0.5」地震が20日頃までに北信越で起きるのか

★「M6.0±0.5」地震が20日頃までに北信越で起きるのか

    週刊誌『週刊ポスト』(4月15日号)が「4月12日までに北陸で巨大地震」の地震予測の記事を書いた。このブログ(3月30日付)でも取り上げてから10日余り。いよいよ「4月12日」が近づいてきた。記事では、3月16日の福島県沖地震を発生7時前に予測、的中したとされる東大名誉教授、村井俊治氏の分析を基に警告を発している。村井氏は測量学が専門で、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の動きの「水平方向の動き」という3つの主な指標を総合的に分析している。

  記事によると、「(3月)23日午前9時23分頃に石川県能登地方で震度4の地震が発生したが、それを凌ぐ地震発生の可能性があります」「この半年、新潟県南部、富山県、石川県、岐阜県北部などで、〚異常変動』が集中しています。『隆起・沈降』では、北陸3県の広い範囲が沈降する一方、石川県の能登半島先端が隆起し、その境目にある電子基準点『輪島』や『穴水』周辺に歪みが溜まっていると考えられる」「北信越は、最新のAIによる危険度判定で東北に次ぐ全国2位で、衛星画像の解析でも地震の前兆と思われる異常が観測されている」

   能登半島では2007年3月25日の能登半島地震(マグニチュード6.9、震度6強)があった。2020年12月ごろから、能登半島の尖端を震源として再び揺れが多発している。震度1以上の揺れは去年は年間70回、ことしに入りすでに42回観測されていて、3月は8日=写真=と23日に、4月は4日と8日にはそれぞれ震度4の揺れだった。

   先日、村井氏らの地震分析チームが発信しているメールマガジン「週刊MEGA地震予測」を購読している知人から、「北陸の地震は4月12日までに」が「4月20日までに」と修正されたようだとメールが届いた。それによると、「(富山県、石川県、福井県、長野県、新潟県)ピンポイント予測を発出していましたが、新たに前兆を観測したため、エリアと期間を修正します。 警戒を怠らないでください」「北信越地方周辺でM6.0±0.5の地震が4月20日頃までに起きる可能性があります」という内容だった。

  「北信越地方周辺でM6.0±0.5の地震が4月20日頃までに」と修正予測されたことで、さらに不安が広がる。これまでの「北陸地方」から「北信越地方」と広範囲になった。最大で震度6強クラスの地震だ。警戒したい。

⇒11日(月)夜・金沢の天気     はれ時々くもり

★甲府「特定少年」事件 「実名報道はしません」

★甲府「特定少年」事件 「実名報道はしません」

   この4月から施行された改正少年法では、事件当時18歳と19歳の「特定少年」が正式に起訴された場合、検察は実名を公表し、新聞・テレビなどメディアも実名報道が可能となる。ただ、日本新聞協会は少年保護を重視する法の趣旨を踏まえ、一部の場合を除き実名報道はすべきでないとの基本的な考え方は維持しており、実名報道は「各社の判断で行う」としている(2月16日付・公式ホームページ)。特定少年の実名公表の初めての事例がきのう8日、甲府地検であった。メディア各社の実名報道について対応が分かれた。

   まず事件が概要を。去年10月、甲府市の住宅で50代の夫婦がナイフで殺害され住宅が放火された。定時制の高校に通っていた19歳の少年が逮捕された。夫婦の長女と面識があり逮捕後の調べに対し「好意があったが思いどおりにならず、本人やその家族を殺害するつもりだった」などと供述した。3月、少年は家裁に送られたが、「凶器を計画的に準備し証拠を隠滅するために放火した。資質や成育過程の問題が影響を及ぼした可能性もあるが反省や謝罪の態度は見られず結果は重大で、刑事処分が相当だ」として検察に逆送された。甲府地検は、精神鑑定など行い、刑事責任を問えると判断して起訴し実名を公表した(8日付・NHKニュースWeb版)。

   けさ朝刊各紙をチェックしたが=写真=、実名報道をしていなかったのは北陸中日新聞のみだった。同系の中日新聞、東京新聞も同じだろう。その理由について、「本紙は匿名報道を続けます」の2段見出しで記載している。「中日新聞社は、事件や事故の報道で実名報道を原則としていますが、二十歳未満については健全育成を目的とした少年法の理念を尊重し、死刑が確定した後も匿名で報道してきました。少年法の改正後もこの考えを原則維持します。社会への影響が特に重大な事案については、例外的に実名での報道を検討することとし、事件の重大性や社会的影響などを慎重に判断していきます」

   一方、実名報道をした朝日新聞は「おことわり」として「改正少年法を受け、本社は甲府市で2021年に起きた放火殺人事件について、事件の重大性などを考慮し、起訴された少年を実名で報じます」としている。読売新聞も「おことわり」として、「読売新聞はこの事件について、これまで容疑者を匿名で報道してきましたが、2人の命が失われた事件の重大性や社会的影響などを検討した結果、実名で報じることが適切と判断しました」と記載している。各紙も事件の重大性を考慮して実名報道を判断したとしている。

  さらに、顔写真を掲載したのは産経新聞と北國新聞の2社。「公共の利益にかない、国民の『知る権利』に答えるものと判断した」(産経)、「実名で報じる必要性があると判断しました」と述べている。

   テレビメディアではNHKほか民放も実名での報道を行っている。ただ、顔写真を使うかどうかの判断は分かれている。NHK岐阜放送局のニュースをチェックすると顔写真は使っていないが、日本テレビ系列のNNNニュースでは顔写真を入れている報道している。判決が出たときは新聞・テレビの各社は顔写真を使うのだろうか。

   世論は実名報道に賛成が多い。共同通信Web版(3月20日付)によると、18歳以上を対象としたインターネット意識調査で、実名報道について「賛成」50%、「どちらかといえば賛成」30%を合わせ賛成は89%に上った。賛成理由は「民法上成人であり、大人と同じ扱いをするべきだ」が49%と最多だった。それにしても、中日新聞にこだわりの強さを感じる。

⇒9日(土)午前・金沢の天気      はれ

☆「虎穴」に入り、「墓穴」を掘る

☆「虎穴」に入り、「墓穴」を掘る

   「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉は今でもマスメディアの記者がよく使っている。権力の内部を知るには、権力の内部の人間と意思疎通できる関係性をつくらならなければならない。そこには取材する側とされる側のプロフェッショナルな仕事の論理が成り立っている。その気構えがなければ記者はつとまらない、という意味だと解釈している。

   その事例として、2020年5月、新型コロナウイルス禍の緊急事態宣言のさなかに東京高検の検事長と産経新聞記者2人と朝日新聞社員(元司法担当記者)が賭けマージャン問題がある。検事長の定年延長問題が国会などで問題となっていた時期で、渦中の人物と賭けマージャンをする行為は報道の独立性や公正性に疑念を抱かせるなどとして記者と社員は停職処分を受けた。では、このケースはどう考えるべきか。

   きのう7日付の朝日新聞は「本社編集委員の処分決定 公表前の誌面要求『報道倫理に反する』」との見出しで、編集委員の記者47歳を停職1ヵ月とする懲戒処分を決め、編集委員の職を解いたと報じている。記事によると、3月9日に「週刊ダイヤモンド」の副編集長が安倍元総理に外交や安全保障についてインタビュー取材した。翌日9日、記者はすでに顔見知りだったダイヤモンド社の副編集長の携帯電話に連絡し、「安倍(元)総理がインタビューの中身を心配されている。私が全ての顧問を引き受けている」「とりあえず、ゲラ(誌面)を見せてください」「ゴーサインは私が決める」などと語った。副編集長は断り、記事は3月26日号(同月22日発売)に掲載された。

   ダイヤモンド社編集部は朝日新聞社に対して、「編集権の侵害に相当する。威圧的な言動で社員に強い精神的ストレスをもたらした」と抗議し、朝日側は社内調査を進めていた。質問書を送った安倍事務所からは「ダイヤモンド社の取材を受けた際、質問内容に事実誤認があり、誤った事実に基づく誤報となることを懸念した」「(記者に)事実の誤りがないかどうかについて確認を依頼した」などと回答があった。

   この流れを読めば、記者は安倍事務所側の意向をくんで、かねてから知り合いだったダイヤモンド社の副編集長に、事前にゲラを見せるよう促した。安倍氏の代理人のような感覚だったのか。それにしてもダイヤモンド社に誤解や反感を頂かせたのは、「顧問を引き受けている」「ゴーサインは私が決める」という上から目線の言葉だろう。記者は「私が安倍氏の顧問をしている事実はない。ゲラは安倍氏の事務所に送るように言った」と社内調査で説明した。

   記者はネット上で「朝日新聞社による不公正な処分についての見解」と題して、「私は、最大の政治トピックの一つになっているニュークリアシェアリング(核共有)について、重大な誤報記事が掲載されそうな事態を偶然知り、それを未然に防ぐべく尽力し、幸いにして、そのような誤報は回避されました」「私は、安倍氏から過去にいかなる金銭等も受領していません。安倍氏からは完全に独立した第三者として専門的知見を頼りにされ助言する関係であった」と経緯を説明している。また、今回の処分の不当性については法的にも明らかにしていくと述べている。

   他紙も含めて記事を読んで思うことは一つ。インタビューとは関係のない第三者、それも別の報道機関の記者が安倍元総理の「代理人」のごとく事前チェックを要求する理由はどこにあったのだろうか。誤報が心配ならば、事務所の広報担当が電話して事前にゲラをもらい、それをチェックするのが筋ではないだろうか。「虎穴」に入り、「墓穴」を掘った。

⇒8日(金)午後・金沢の天気      はれ   

☆「4月12日までに北陸で巨大地震」は来るのか

☆「4月12日までに北陸で巨大地震」は来るのか

   朝刊を開くと、週刊誌の広告に「4月12日までに北陸で巨大地震」とあり、気になって購入した。2007年3月25日の能登半島地震(マグニチュード6.9、震度6強)以来、地震を間近に感じるようになった。それより何より、このところ能登半島の尖端あたりを震源として再び揺れが多発している。震度1以上の揺れは去年は年間70回、ことしに入り33回観測されていて、今月8日と23日には震度4の揺れがあった。少々ドキドキしながら週刊誌『週刊ポスト』(4月15日号)のページを開いた=写真=。

   3月16日の福島県沖地震を発生7時前に予測、的中したとされる東大名誉教授、村井俊治氏が警告している。それによると、「(今月)23日午前9時23分頃に石川県能登地方で震度4の地震が発生したが、それを凌ぐ地震発生の可能性があるという」。以下、引用だ。

   「この半年、新潟県南部、富山県、石川県、岐阜県北部などで、〚異常変動』が集中しています。『隆起・沈降』では、北陸3県の広い範囲が沈降する一方、石川県の能登半島先端が隆起し、その境目にある電子基準点『輪島』や『穴水』周辺に歪みが溜まっていると考えられる」「北信越は、最新のAIによる危険度判定で東北に次ぐ全国2位で、衛星画像の解析でも地震の前兆と思われる異常が観測されている」

   村井名誉教授は測量学が専門で、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の動きの「水平方向の動き」という3つの主な指標を総合的に分析する。

   地震の専門でない者が軽々に語るべきことではないが、地図に記されている「1週間内に7㌢以上の変動を記録した電子基準点」では石川県と岐阜県にまたがる白山(2702㍍)近くで8㌢以上の上下の動きあった地点が2ヵ所記されている。白山は活火山だけに、噴火の兆しではないかと不安がよぎる。気象庁公式ホームページによると、「白山では、山頂付近のやや深部を震源とする地震が増加しています。火山活動の活発化を示す変化は認められていませんが、今後の火山活動の推移に注意してください」と記載されている。周辺の沈降と地震はどう関連しているのか。

   記事は2㌻の構成で、的確な文章で分かりやすい。ただ、一つ疑問が残ったのは、なぜ「4月12日までに」なのか説明がほしかった。具体的な数字が示されているということは根拠があるはずだ。それをあえて記事にしなかったのはなぜか。伏せたのか。むしろ気になる。

⇒30日(水)夜・金沢の天気     はれ

★改正少年法による「実名報道」で何が起きるのか

★改正少年法による「実名報道」で何が起きるのか

   改正少年法をめぐるメディアの「実名報道」について考えてみる。4月から民法が改正され、成人年齢が18歳以上となる。これに合わせて少年法も改正され、18歳、19歳については「特定少年」として扱われる。もともと少年法は立ち直りを重視し、犯罪を犯した場合は警察や検察の捜査を受けた後に家庭裁判所に送られ、非公開の審判で裁判官が本人の立ち直りにふさわしい処分を判断している。

   これについて改正少年法では、刑事裁判の対象となる犯罪をこれまでの殺人や傷害致死など故意に人を死亡させた罪に加え、新たに強盗や強制性交、放火、組織的詐欺など法定刑の下限が1年以上の罪が対象になり拡大する。家裁の審判で刑事処分が相当と判断され、事件が検察官に戻される「逆送」で起訴されれば成人と同様に公開された法廷で裁判を受けることになる。

   と同時に、新聞やテレビ報道の法律上のルールも変わる。現行の少年法では立ち直りの妨げにならないよう、本人を特定する実名報道や写真掲載などは禁止されている(第61条)。今回の改正によって、「特定少年」が逆送され起訴となった場合には、その段階で実名報道の禁止が解除される。

   だからと言って、新聞・TVなどのメディアは機械的に受けて入れて実名報道をするだろうか。判断はケースバイケースで分かれるのではないだろうか。冒頭で述べたように、社会において責任ある主体として民法上で18歳以上を成人とする。それにともなって少年法が改正される。法が厳しくなることで少年犯罪のブレーキになるとの期待も一部にはあるが、改正少年法を理解する18、19歳はほとんどいないだろう。今後も未成熟さゆえに深く考えずに犯罪に関わるケースが多々あるだろう。

   日本新聞協会は「18、19歳の被告名は各社判断で報道 少年法第61条の扱いの方針改定」との見出しで、「4月1日の改正少年法の施行に伴い、18、19歳について起訴後に氏名や顔写真が報道できるようになることから、実名報道は『各社の判断で行う』との説明を加えました。少年保護を重視する法の趣旨を踏まえ、一部の場合を除き実名報道はすべきでないとの基本的な考え方は維持しました」と述べている(2月16日付・「日本新聞協会」公式ホームページ)。   

★問われるコンプライアンス、揺らぐ報道の信頼性

★問われるコンプライアンス、揺らぐ報道の信頼性

   報道を担う立場の人物が詐欺容疑で逮捕された。じつにショッキングなニュースだ。毎日新聞Web版(1日付)などによると、大阪府警はきょうテレビ朝日報道局報道番組センターの奥山明宏容疑者、47歳を詐欺の疑いで逮捕した。容疑者は報道番組「スーパーJチャンネル」の特集担当デスクを務めている。容疑者が関わったのは、中小企業のデジタル化を支援する経産省の「IT導入補助金」。中小企業がITシステムを導入する際に国に登録した業者の支援を受けた場合、経費の半分が補助される制度。容疑者は3年前、虚偽の申請をして中小企業のデジタル化を支援する国の補助金900万円を不正に受給した疑いが持たれている。

   この事件をめぐっては、同局のセールスプロモーション局ソリューション推進部長の男49歳も詐欺容疑で大阪府警に2月8日に逮捕されていて、2人目の逮捕となる。テレビ朝日は「現状では2人の関連性は確認されていません」とコメントしている(日本テレビNEWS)。

   テレビ朝日と言えば、代表取締役社長が業務との関連が認められない会食やゴルフなどの費用を業務と装って会社の経費を私的に流用していたことが発覚して、自ら辞任を申し出て受理された(2月10日付・テレビ朝日公式ホームページ「ニュースリリース」)。去年8月以降、スポーツ局の社員・スタッフによる不祥事が連続して発覚したことから、12 月に「役職員の業務監査・検証委員会」を設置。スポーツ局のガバナンスを中心に検証した過程で、スポーツ局統括でもある亀山氏の業務執行上の不適切な行為が明らかになった。まさに、身から出た錆(さび)だった。

   テレビ朝日ホールディングスの公式ホームページに掲載されている「コンプライアンス憲章」をチェックすると、「私たちは、高い倫理観をもって、放送法・その他法令をはじめ社会規範を守ります。良識に基づいた節度ある言動をとり、公正で健全な事業活動を行います。私たちは、真実を迅速、公正かつ正確に報道し、楽しく魅力的なコンテンツを制作します。そして広告放送によって、経済・社会の発展に寄与します。」とある。

   報道機関のコンプライアンスはいったいどこに行ったのか。「憲章は絵に描いた餅」なのか。それにしても、報道のデスクという仕事はニュースの価値判断をする重要なポジションだ。その立場にある人物が詐欺を働いていたとなると、テレビ朝日の報道そのものの信頼性が揺らぐ。

⇒1日(火)夜・金沢の天気      あめ時々くもり

☆五輪後に漂うキナ臭さ

☆五輪後に漂うキナ臭さ

   日増しにキナ臭さが漂う世界の動きだ。時事通信Web版(2月15日付)によると、防衛省は15日、ロシア海軍の艦艇24隻が今月1日以降、日本海とオホーツク海南部で活動しているのを確認したと発表した。さらに、岸防衛大臣は次のように述べている。

   「(ロシア海軍は)オホーツク海および太平洋に広大な訓練海域を設定して演習を実施するとともに、2月12日には、演習に参加するロシア海軍の艦艇が、アメリカ海軍の原潜のロシア『領海』への進入に対応した旨、主張しています。こうしたことを踏まえれば、少なくとも昨今のウクライナ周辺におけるロシアの動きと呼応する形で、ロシア軍が東西双方で同時に活動し得る能力を誇示するため、ロシアの戦略原潜の活動領域であるオホーツク海においても、その活動を活発化させていると考えられます」(2月15日付・防衛省公式ホームページ「防衛大臣記者会見」)

   BBCニュースWeb版日本語(15日付)は「ロシアはウクライナ国境付近に約13万人規模の軍部隊を配置している。戦車、大砲、医療施設、後方支援態勢など、すべてがそろっている」と報じている。また、20日付では、イギリスのジョンソン首相がウクライナ問題について、「ロシアは1945年以来、ヨーロッパで最大の戦争を計画している」と語ったと報じている=写真=。その一方で、東側の日本海とオホーツク海南部にロシアは艦艇24隻を配備している。なぜロシアはこのような西と東の2正面展開を行っているのか。

   以下はあくまで憶測である。中国の習近平国家主席は今月4日、北京オリンピックの開幕に合わせて北京を訪問したロシアのプーチン大統領と会談を行っている。このときの確認事項は、中国はロシアのウクライナ併合を支援し、ロシアは中国の台湾併合を支援することではなかったか。そう考えると、ロシアの艦艇24隻が今後日本海を南下して台湾を囲んで、アメリカ海軍と対峙するのではないかと想像する。中国海軍とロシア海軍が合同でアメリカ海軍と向かう。同時に尖閣諸島を取り囲み、日本と対峙する、そのようなシナリオではないのか。

   CNNニュースWeb版日本語(20日付)によると、オーストラリア国防軍は19日、空軍の哨戒機が飛行中に中国軍艦からレーザー照射を受けたとして、「命を危険にさらす恐れのある行為」を非難する声明を出した。 声明によると、哨戒機は17日、豪州北部とインドネシア東部ニューギニア島の間に位置するアラフラ海の上空で、東進中の中国軍艦2隻のうち一方からレーザーを照射された。レーザーを照射された操縦士は方向感覚を失ったり、痛みやけいれん、視界の異常を起こしたりすることが知られている。

           中国軍の挑発的とも読めるこの行為は何を意味しているのか。北京オリンピックの後、何が始まるのか。軍事力による一方的な現状変更が西と東で起きるのか。

⇒20日(日)夜・金沢の天気     くもり

☆IOC声明 中国との妙な関係性を裏読み

☆IOC声明 中国との妙な関係性を裏読み

   北京オリンピックをはじめとして連日のように「中国」が日本のメディアをにぎわせている。「たかが中国、されど中国、やっぱり中国」と感じたニュースを。北京五輪で中国を訪れているIOCのバッハ会長は、中国の前の副首相から性的関係を迫られたことをSNSで告白したとされるプロ子テニスの彭帥(ペン・シュアイ)選手と5日、夕食をとりながら会談したとIOCが発表した(7日付・NHKニュースWeb版)。新型コロナの感染対策として北京オリンピックの大会関係者が外部の人と接触しないようにしているいわゆるバブル内で、別のIOC委員を含め3人での会食だった。会談で話した内容についても詳しくは言及されていないが、3人はそれぞれオリンピアンとしての経験を話し合ったとしている(同)。

   さっそくIOC公式ホームページをチェックした。サイドの「ニュース」覧に「IOC statement on meeting with Peng Shuai」の見出しで掲載されている=写真=。読んで感じたことは、なぜ3ショットの写真を掲載していないのか、そもそもこの会食はIOC公式ホームページで「声明」として取り上げるべき話題なのだろうか。さらに奇妙に感じたのはこの下りだ。

「In this context, she also shared her intention to travel to Europe when the COVID-19 pandemic is over, and the IOC President invited her to Lausanne to visit the IOC and The Olympic Museum, to continue the conversation on their Olympic experiences. Peng Shuai accepted this invitation.」(意訳:彭選手はパンデミックが治まったらヨーロッパを旅行したいと話題にすると、バッハ会長はスイス・ローザンヌにあるオリンピック博物館に彼女を招待したいと述べ、引き続きIOCとの対話を続けることを提案した。彭選手も承諾した)

   文面を読めば、和やかな雰囲気が伝わってくるのだが、このホームページの記事を読んだ世界の多くの人は、「IOCのバッハ会長はなぜペン・シュアイ選手と会食したり、誘ったりしているのか。彼女がSNSを発信して一時消息が分からなくなっていた。それが問題ではないのか」と勘繰っているに違いない。

   世界ではすでにIOCのバッハ会長は「Baron Von Ripper-off」(ぼったくり男爵)で知られている。IOCは公的な国際組織ではなく、非政府組織 (NGO) の非営利団体 (NPO)で、4年に1回のイベントで得た収入で運営される。収入の73%は放映権料、最上位スポンサーからの協賛金は18%を占める。収入の9割を各国・地域のオリンピック委員会(NOC)や国際競技団体(IF)に分配し、残り1割は運営費。金額で5.7億㌦(2013-16年収入実績)がIOCの手元に残る。なので、バッハ会長はパンデミックになろうと人権侵害・ジェノサイドがあろうと、オリンピックは簡単に中止にはしない。

   以下裏読みだ。IOCと中国の間で「密約」があるのではないか。中国は彭選手をIOC委員として送り込もうとしている。彭選手はオリンピック3回出場(2008年北京、12年ロンドン、16年リオ)のベテラン選手でもあるので、バッハ会長もこれに同意した。オリンピック博物館に彼女を招待するのはその雇用契約のためではないのか。中国側の狙いはバックヤードからIOCをコントロールするためではないか。このように憶測すると話のつじつまが妙に合ってくる。

⇒8日(火)午前・金沢の天気     くもり

★ベテランパイロット操縦の戦闘機、なぜ墜ちたのか

★ベテランパイロット操縦の戦闘機、なぜ墜ちたのか

  「ジェット戦闘機」という言葉が脳裏に焼き付いたのはこの事故だった。1969年2月8日午前11時59分、金沢市泉2丁目の住宅街に航空自衛隊小松基地の「F104J」戦闘機が墜落し、死者4人、負傷者22人、全焼17戸という大惨事だった=写真・上は1969年2月8日付・北國新聞夕刊=。墜落の原因は落雷で、パイロットは脱出し、無人の戦闘機が市街地を直撃した。翌年入学した高校が墜落現場から1.5㌔離れたところにあったことから、何回か現場を見に行ったことを覚えている。当時は「70年安保粉砕」「自衛隊違憲」が盛り上がっていたころで、社会が騒々しく動いていた。

   53年前の墜落事故を思い起こさせる事故がきのう31日に起きた。NHKニュースWeb版(1日付)によると、午後5時30分ごろ、小松基地のF15戦闘機1機が訓練のために離陸したあと、基地から西北西におよそ5㌔離れた日本海上空でレーダーから機影が消えた=写真・下=。この戦闘機は「飛行教導群」と呼ばれる部隊の2人乗りの機体で、パイロット2人が搭乗していた。防衛省や海上保安庁が捜索した結果、消息を絶った周辺の海上でこの戦闘機の外板や救命装備品のそれぞれ一部が見つかった。パイロットはまだ見つかっていない。

   記事を読んで考え込んだのは、自衛隊の説明によると、「飛行教導群」は戦闘機部隊を教育する任務に当たっていて、高い技術が求められる航空自衛隊の戦闘機パイロットの中でも精鋭が集められている、ということだ。パイロットの中でもベテラン中のベテランだ。戦闘機から異常を知らせる無線連絡やパイロットが脱出する際に発せられる救難信号は感知されていない。一瞬の出来事だった。事故は単なる操縦ミスなどはなく、予期せぬ落雷か、あるいはそれに相当する何かの異変が起きたのか。

   同基地のF15戦闘機は領空侵犯をする可能性がある飛行物体に対してスクランブルをかける任務に当たっている。

⇒1日(水)午後・金沢の天気    くもり時々あめ  

★保守三つどもえ 石川の「マンボウ知事選」

★保守三つどもえ 石川の「マンボウ知事選」

   「マンボウ」という言葉が身近で再び使われている。今月26日に対面での会議が予定されていたが、さきほどスマホのショートメールで「すみません、マンボウでリモートとさせていただきます」と主催者から連絡があった。マンボウは「まん延防止等重点措置」のことだが、石川県は県内で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないことから、きのう23日、国に対して同措置の適用を要請した=写真=。今回で3回目だ。1回目は去年5月16日から6月13日、2回目は8月2日から9月30日だった。言葉は不謹慎かもしれないがすっかり慣れっこになった。マンボウの呼び方はそれを現している。

   ただ、これまで2回のまん延防止等重点措置と異なるのは、対象地域はこれまで金沢市だったが、今回は県内全域を対象としている。というのも、県の発表によると、感染者数が今月21日は229人、22日は過去最多の263人、23日も226人と3日連続で200人以上、そしてきょう24日は193人だ。金沢市を中心に県内全域に感染が広がっていて、きょうだけで高齢者施設や保育園、幼稚園などで8つのクラスターが新たに発生している。

    県内ではこれまでに9913人の感染が確認され、このうち140人が死亡している。このペースだと、あすは感染者が1万人の大台を突破しそうだ。谷本知事は緊急の対策本部会議(23日)で、「かつてない規模とスピードで感染者が増加している。断腸の思いではあるが、厳しい措置を講じる必要がある」と述べた(24日付・NHKニュースWeb版)。具体的には、飲食店への時短要請や県民旅行割の予約受付などを停止する。

   そして病床使用率についても23日時点の病床使用率は31%だが、谷本知事は「病床使用率が50%を超えるかもしれない。法律上できる限りの対策をとって感染者数の増加に歯止めをかけたい」と危機感を募らせた(同)。

   そして気になるのは、来月24日は知事選の告示、3月13日は投開票だ。2回目のまん延防止等重点は2ヵ月続いた。3回目も2ヵ月続けば、マンボウ下での選挙戦をどう進めていくのか。立候補を表明しているのは、元プロレスラーで自民党の前衆院議員の馳浩氏(60)、元農林水産審議官で自民党前参院議員の山田修路氏(67)、そして金沢市長の山野之義氏(59)の3人で「保守三つどもえの戦い」となっている。

   候補者が感染したり、後援会事務所でクラスターが発生するとその陣営はアウトだろう。マンボウと知事選は今後どう絡んで展開していくのか。注目したい。

⇒24日(月)夜・金沢の天気     くもり