⇒ノウハウ検証

★梅雨の中休みに草むしり したたかなチドメグサの話

★梅雨の中休みに草むしり したたかなチドメグサの話

テレビメディア各社の速報によると、イランの首都テヘランで複数の大きな爆発音が聞こえたと第一報。同時に、イスラエル軍はイラン各地の核関連施設を含む数十ヵ所の軍事目標への第1段階の攻撃を行ったと発表した、と報じている。イスラエルは敵対するイランの核開発を強く非難しており、核施設を攻撃するとかねて警告していた。この動きがロシアによるウクライナ侵攻などに今後どう連鎖するのか、不穏な動きが漂う。

話は変わる。梅雨の中休み、金沢はきのうきょうと晴れの天気に恵まれた。チャンスとばかりに、庭の草むしりを行った。何しろこの時季、雑草が勢いがすさまじい。昭和天皇のお言葉に「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる」という有名なフレーズがあるので、あえて植物名で言えば、スギナ、ヨモギ、ヤブカラシ、ドクダミ、チドメグサなどだ。取っても抜いても、必ず復活してくる植物だ。

中でも手強いのがチドメグサだ=写真=。ほかの草と比べても、自身の思い込みでもあるが、生態のレベルが格段に高い。漢字では「血止め草」と書き、学名は「Hydrocotyle sibthorpioides」。葉の汁には止血成分が含まれ、古くから民間で外傷の止血に使ったためこの名があるようだ(Wikipedia「チドメグサ」)。

生態のレベルが高いと前述したが、この草と向き合っていて、人に重宝されてきたというプライドと同時にずる賢さを感じる。たとえれば、「隠れ蓑」戦術だろうか。細い茎はよく枝分かれし、節から根を出して地面をはうのだが、芝生の生息地に入り込み、目立たないように勢力を拡大しているのだ。目を凝らして、なんとか葉や茎は取っても、芝生の根にチドメグサの根が絡まって離れようとしない。一本一本外すとなると相当な労力と時間がかかる。

もう一つのずる賢さは 「空蝉(うつせみ)の術」だ。大切にしているスギゴケの庭に入り込んでいる。スギゴケ群の中では、チドメグサは見えにくい。葉と茎を1本取ったかと思ったら、隠れるように別の葉と茎がある。まるで分身があちこちにあり、本体の根っ子の部分がなかなか見つからない。つまり、自分の分身を周囲につくり、人の注意を振り分けている。すると、こちらがうっかりとスギゴケを抜くこともある。人の注意をそらす、したたかな草なのだ。

植物と向き合い、直接手で触れて想像をめぐらしながら草むしりをする。楽しく充実したひとときでもある。

⇒13日(金)午後・金沢の天気   はれ

★安価でも備蓄米の大袋は禁物、コメ食い虫が狙っている

★安価でも備蓄米の大袋は禁物、コメ食い虫が狙っている

大手コンビニの「ファミリーマート」が来月6月上旬の店頭での販売に向けて政府備蓄米の申請をしたことに期待を寄せていた(今月27日付のブログ)。が、29日に農林水産省が発表した申し込み確定事業者から漏れたようだ。今後は、中小スーパーや地域の米穀店を対象とした販売に再度、申し込みをする予定という(メディア各社の報道)。ファミリーマートが備蓄米が購入できれば、1袋1㌔に個包装し、6月上旬から税抜き400円で販売する予定だ。「コメはなるべく小袋の方がよい」は自身の体験から得た教訓でもある。以下、2021年8月13日付・ブログ「『つづれ米』と米食い虫の話」の再録。

4年前の夏のこと、玄米20㌔を知り合いの農家からいただき、それを金沢の知人たちにお裾分けした。残った10㌔ほどの玄米を袋ごと自宅のガレージのすみに置いていた。10日ほど経って気が付くと、米袋にガのような虫が群がっていた。さらに袋を開くと玄米に無数の虫が繁殖していた。袋ごと処分しようかとも考えたが、いただいたコメでもあるのと「もったいない」の気持ちが心をよぎって、まず虫を除けることから始めた。

  米づくりに詳しい知人にメールで処理の仕方を尋ねると、「つづれ米ですね。まず、ムシを除去して天日で乾燥してください」との返信だった。このとき、初めて「つづれ米」という言葉を知った。「綴(つづ)れ」は 破れ布をつぎ合わせた古着のことで、コメに虫が発生し一部変色して糸でつながっているようなコメのことを言う。虫は数種類いる。ネットなどで調べると、ガのようなものは「ノシメマダラメイガ」、クワガタのようなものは「コクゾウムシ」、別名「コメ食い虫」と言うようだ。変色したコメが白い糸のようなものでつながっているのは、ノシメマダラメイガのサナギが出す分泌物のようだ。(※写真・左がノシメマダラメイガ、右がコクゾウムシ=「Wikipedia」より)

玄米を目の細かな金網で濾し、広げた新聞紙の上で天日干しをした。ムシやサナギはなんとか除去できたが、おそらく米粒の間には卵もあるだろう。3時間ほど天日で乾かした後、今度は米粒を通さない目の細かな金網で干した玄米をふるう。卵だろうか、白い粉のようなものがパラパラと落ちてくる。そして、ふるった玄米を別のポリバケツに入れて、なんとか作業は完了した。

まさか、コメに虫がつくとは思ってもいなかったのが甘かった。せめて袋の口をヒモでしっかり結ぶなどしておけばよかった。ボリバケツの中を乾燥させるため玄米の上に木炭を置いて、フタをする。一日がかりの「つづれ米」の処理作業となった。それ以降、長く置かないようにコメを買うときは2㌔の小袋を買うようにしている。

⇒30日(金)午後・金沢の天気   はれ

☆能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~祭りの絆は復興のチカラ~

☆能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~祭りの絆は復興のチカラ~

日本で一番大きい祭りの山車は能登・七尾市の青柏祭の「でか山」。高さは12㍍あり、重さは20㌧にも及ぶ。ビルにして4階建ての高さになる。このでか山3台が今月3日から5日にかけて市内の大通りで引き回された。

青柏祭は平安時代から伝わる能登半島の代表的な春の祭りとされ、「でか山」が練り歩く「曳山行事」は2016年にユネスコ無形文化遺産に登録されている。去年は元日の能登半島地震で市内の道路にゆがみや破損が生じたことから、安全確保ができないとの理由で中止となり、ことしは2年ぶりの巡行となった。

3日と5日に祭りを見学した。3日午前中に行くと、午後からの巡行に向けて、でか山の組み立てが最終段階に入っていた。その様子を眺めているいると、でか山を動かすのは大変だけど、その準備も大がかりだということがよく理解できた。何しろ、クレーン車をつかって組み立てや飾り付けをしていた。そして、作業をする数十人がキビキビと動き回っていた。でか山をこれから動かすぞ、というパワーを現地で感じた。この様子を見て、祭りのために地域の人たちがチカラを合せる、これはまさに震災復興のパワーになるのではないかと思った。

5日午後に行くと、JR七尾駅前の通りで引き回しがあった=写真=。車輪は直径が2㍍もあり、曲がり角では「でか山」の車輪を浮かせて方向転換をする「つじ回し」が行われる。狭い路地を巧みに曲がると引き手と観客がともに歓声を上げていた。この迫力と盛り上がりは復興のチカラではないだろうか。楽しく祭りを続けたい、だから震災に負けないという能登のパワフルなメッセージのように感じた。

⇒6日(火・振)朝・金沢の天気 くもり 

★能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~隆起沿岸を使う~

★能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~隆起沿岸を使う~

能登の海岸は日本海側を外浦(そとうら)、そして七尾湾側の方を内浦(うちうら)と呼んでいる。去年元日の地震で外浦は海岸の隆起、内浦は津波や地盤沈下が起きた。外浦の輪島市門前町の鹿磯(かいそ)漁港では、地震で海底が4㍍も隆起した。漁港の海底の一部が陸になり、漁船が乗り上げたような状態になった写真・上、2024年3月4日撮影=。これだけ隆起したので、漁船が港に入れない状態が続いていた。  

輪島漁港でも海底が1㍍から2㍍盛り上がって、漁船200隻が港から出れなくなった。船を動かすと、船の底が海底にぶつかる可能性があるので動かせない状態が続いていた。輪島漁港は石川県で一番の漁獲高を誇る港だったが、ほぼゼロに。水産庁などが一刻もはやく漁船が港から出れるようにと、海底の土砂をさらう浚渫(しゅんせつ)作業をいまも行っている。漁船は11月ごろから徐々に漁に出れるようになり、いまはノドグロなどを取っている。

鹿磯漁港に漁船が接岸できるようになったと地元メディアが報じていたので、現地に行ってみた(今月3日)。漁船が海で取った魚を陸に移すことを「水揚げ」と言うが、沿岸が隆起して陸に近づけなかったのでこれまで水揚げはできなかった。実際に鹿磯漁港に行ってみると、なるほどと思った。隆起した部分に道をつけ、漁獲した魚を水揚げする場所が新たに設けられていた=写真・下=。

隆起した部分をうまく使っている。復旧・復興というのは元通りに戻すのではなく、変化した現場をうまく活用して現状復帰することではないかと、このとき教えられた。鹿磯漁港のほかにも、外浦でトンネルが崩落し、国道249号が部分的に通行止めとなっていたが、トンネル横で隆起した海岸に道路が造られ、いまでは全線で通行が可能になっている。

⇒5日(月・祝)午前・金沢の天気  はれ 

☆能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~オフグリッドの先端へ~

☆能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~オフグリッドの先端へ~

「奥能登 人口5万人割れ」とメディア各社が報じている。石川県がきのう(1日)発表した県内の「人口と世帯の推計結果」によると、能登半島地震の被害が大きかった奥能登の2市2町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の人口は4万9558人となった。去年元日の地震発生からことし4月1日までの1年3ヵ月の人口推計で、5655人減り、減少率は10.24%となった。奥能登はもともと過疎・高齢化による人口減は進んでいたが、地震が拍車をかけた。

その奥能登で時代の先端を行くような試みを行っているチ-ムがある。一般社団法人「現代集落」のプロジェクト。能登の「限界集落」が「現代集落」になる可能性があるのと発想で、水や電気や食を自給自足でつくる集落をつくり、自然のなかで楽しむ生活を「ビレッジDX」と位置付けている。金沢町家の一棟貸し民宿の経営を行っている林俊伍氏が代表理事となり、建築家らが参加している。

プロジェクトのモデル地区となっているのが、珠洲市の真浦(まうら)地区=写真=。これまで何度か現地を訪れている。去年8月に行くと、住家の庭に四角のテーブルのようなものがあった。近くの人に訪ねると、衛星インターネットの「スターリンク」とのことだった。あのアメリカの実業家イーロン・マスク氏が率いる「SpaceX」のインターネット。光ファイバーによるネット環境が整った都市部や平野部などとは違い、真浦地区は回線環境が整っていない。そこで、アンテナを設置するだけで高速インターネットが利用できるスターリンクはリモートワークをする人たちにとっては不可欠との説明だった。

その真浦で今度は、自給自足の生活を理解してもらうための「モデルルーム」が完成した(メディア各社の報道)。薪ストーブでの発熱や、地下水をろ過装置した生活用水など。太陽光での発電(電力は蓄電池でにためる)もある。電力の日常使いでは、電力会社からの電気と自家発電した電気を手動で切り替えながら使う。取り組みに参加する世帯が広がることで、将来は集落全体でエネルギーをまかなう構想という。

モデルルームの披露会に出席した珠洲市の泉谷満寿裕市長は「オフグリッド化は珠洲市のモデルになる仕組み」と述べた(今月29日付・日経新聞)。オフグリッド(off-grid)という言葉は、公共のインフラに依存せずに電力や水道などを独立して確保する生活様式の意味でまさに自給自足のこと。珠洲市では地震による水道管の破損で大規模な断水を起きたことから、水源を集落単位で確保するオフグリッド化を目指している。真浦の取り組みは行政に先んじていると市長が評価した。

一社現代集落では今年度内にオフグリッドの生活を営む5世帯から10世帯の参加を見込んでいる(同)。オフグリッドは世界が注目するトレンドでもある。この取り組みが被災地、過疎化の復興の先端となるか。

⇒2日(金)午後・金沢の天気 あめ

★能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~仮設から公営住宅へ~

★能登地震1年4ヵ月 復興の現状は~仮設から公営住宅へ~

きょう5月1日で能登半島地震から16ヵ月となる。震災の被害状況を公表している石川県危機対策課のまとめによると、県内の犠牲者は581人に増えている。震災で家屋の下敷きになるなどして亡くなった直接死は228人、避難所などでの疲労やストレスが原因で持病などが悪化して亡くなった災害関連死が353人(うち7人は自治体の公式認定待ち・4月30日時点)。石川以外にも富山県で4人、新潟県で6人が関連死と認定されていて、3県で591人が震災で亡くなったことになる。

建物も甚大な被害となっている。住家は全壊が6151棟、半壊が1万8646棟となっており、一部損壊を合せた住家被害は11万6069棟に上る。空き家や納屋などの非住家の損壊は3万7103棟(半壊以上)、公民館など公共施設443棟にも被害が及んでいる(県危機対策課まとめ・4月30日時点)。

石川県が整備していた地震被害の仮設住宅6882戸は入居を終えている。仮設住宅はあくまでも応急措置であり、契約期間は原則2年だ。復興となると、長年にわたって使える公営住宅が急がれる。県の公式サイト「復興公営住宅の整備状況について」によると、能登を中心に9市町(輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町、中能登町、羽咋市、内灘町)で被災者向けの公営住宅を建設する。

被害が大きかった輪島市では4ヵ所で公営住宅が整備される計画で、中心街に近い同市宅田町ではRC造(鉄筋コンクリート造り)の集合住宅150戸が2027年3月までに建設される。県では9市町で計3000戸程度の公営住宅を建設する見通しを示していて、「災害に強く地域の景観やコミュニティの維持に寄与し、子供から高齢者まで安心して暮らせる環境や持続性を持った住まいづくり」を整備指針に掲げている。

災害に強く持続性を持った公営住宅が復興のシンボルの一つとなるのか、どうか。(※写真は、能登半島の尖端に位置する珠洲市の仮設住宅。建築家・坂茂氏が設計などを手掛けた)

⇒1日(木)午前・金沢の天気 はれ

★「まだ降りやまぬ」 落雷で停電、雷サージをどう防ぐ

★「まだ降りやまぬ」 落雷で停電、雷サージをどう防ぐ

   きのうの深夜から未明にかけて、金沢では激しい雷雨となった。気象庁はきょう未明にも「顕著な大雨に関する情報」を発表した。石川県で線状降水帯が発生し、土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっているとメディアやネットを通じて注意を喚起した=写真=。

   午前0時過ぎごろに自宅近くで落雷があり、停電となった。電源のブレーカー(電気回路の遮断器)が落ちていた。オンにしたが復旧しない。近所を見渡すと住宅の西側一帯の街灯が消えていた。ということは周囲一帯が停電になったようだ。

   そして懐中電灯を灯して書斎に行く。パソコンは大丈夫かと心配になったからだ。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合でも「雷サージ」と呼ばれる現象が広範囲に起きる。いわゆる電気の津波だ。この雷サージがパソコンの電源ケーブルから機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。PCをチェックしたが、異常はなくひと安心した。

   何しろ、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ(気象庁「雷日数」1991-2020)。このため、金沢では雷害からパソコンを守るためにガードコンセントは不可欠だ。現在使っているガードコンセントは金沢市に本社があるメーカーが製造したもの。北陸で雷害のケースと実情を研究し耐雷対策に取り組んできた企業の製品なので信頼を寄せている。が、それでも気になり、念のためPCをチェックした次第。

   雷がとどろけば、落雷も発生する。1602年(慶長7)に金沢城の天守閣が落雷による火災で焼失している。石川県の消防防災年報によると、県内の落雷による火災発生件数は年4、5件だが、多い年(2002年)で12件も発生している。雷が人々の恐怖心を煽るのはその音だけではなく、落雷はどこに落ちるか予想がつかないからだ。

   金沢地方気象台は、きょう午後からは再び雨が降りだしあす14日昼前にかけて大雨となるところがある見通しで、引き続き土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒するようにと呼びかけている。

⇒13日(木)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

★雪国の美徳「雪すかし」とマイクロプラスチック問題

★雪国の美徳「雪すかし」とマイクロプラスチック問題

   きょうも朝から雪が降っている。積雪は自宅周囲で5㌢ほどだが、降雪の合い間にご近所さんが「雪すかし」を始めると、町内の家々からも人が出てきて始まる。「また降りましたね」と。雪すかしは朝のあいさつ代わりでもある。金沢の雪すかし、除雪にはちょっとした暗黙のルールのようなものがある。

   雪をすかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角の家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。登校の児童たちが歩く歩道の部分でよい。すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく。冬場の側溝は雪捨て場となる=写真・上=。

   雪国の住民の「自助・共助」の美しい街の光景ではある。では、行政は何もしないのかというとそうではない。町会が費用を負担し、事業者に除雪車など機械による市道の除排雪を委託する場合に、30万円を限度としてその費用の3分の2を補助する制度を設けている。ただ、自身は毎年この雪の季節にまったく別の問題を考えてしまう。スコップとマイクロプラスチック問題のことだ。

   かつてスコップは鉄製が多かったが、軽量化とともにアルミ製に変化し、最近ではプラスチックなど樹脂製が主流となっている。除雪する路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。微細な破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。

   さらに粉々に砕けたマイクロプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持つとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

   自身はなるべくステンレス製のスコップを用いるようにしている。ただ、ご近所を見渡すとほとんどがプラステチック製だ。雪国から排出されるマイクロプラスチックは想像を絶する量ではないだろうか。この問題を解決する方法はただ一つ。一部には製品化されたものもあるが、スコップのさじ部分の尖端をステンレスなど金属にするしかない。これを法令で措置すべきだ。「2050年のカーボンニュートラル」宣言の次は、「マイクロプラスチック・ゼロ宣言」ではないだろうか。

⇒13日(木)午後・金沢の天気    ゆき

☆「透かし」と「雪吊り」金沢の庭木アート

☆「透かし」と「雪吊り」金沢の庭木アート

    先日、能登半島・珠洲市で開催されている奥能登国際芸術祭の作品を鑑賞して思ったことは、「場のアート」というコンセプトだ。その場で訴えることがもっとも感性が伝わる。半島の最尖端という地勢で、大陸からの海洋ゴミが大量に流れ着く海岸で、廃線となった駅舎で、それぞれのアーティストたちが創作した作品からそのメッセージがダイレクトに伝わり、心に響く。

   「場のアート」という言葉は、庭師の仕事にも当てはまるのではないかと思っている。先月末に庭木の刈り込み(剪定)を造園業者にお願いした。ベテランや若手の庭師4人が作業をしてくれた。庭木は放っておくと、枝葉が繁り放題になる。庭として形状を保つためには、剪定によって樹木を整える。

   金沢の庭師は剪定のことを「透かし」と言う。透かし剪定は、枝が重なり合っている部分の不要な枝をとことん切り落とす。出来上がりを見ると、樹木全体がすかすかに透けて見えるくらいになる。素人の目線では、そこまで強く刈り込むと、樹木が枯れるのではないかと思うくらいだ。庭師によると、透かしによって、樹木が有する本来の美しさを保つ。その意味は、樹木の日当たりや風通しを良くすることで、葉を食う毛虫類や、幹に穴をあける害虫がつきにくくする効果がある。もう一つの効果は、べったりと重い金沢の積雪から庭木の枝を守るためなのだという。

   確かに、庭木に雪が積もると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった、金沢でよく見られる雪害が起きる。そこで、庭師は樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」の雪害対策の判断をする。毎年見慣れている雪吊りの光景だが、縄の結び方などがまったく異なる。雪吊りで有名なのは「りんご吊り」だ。五葉松などの高木に施される=写真=。マツの幹の横にモウソウチクの柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっているところが、アートでもある。

   金沢の庭師は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行う。このために強く刈り込み「透かし」を施す。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に成長して、雪害の要因にもなる。庭木の生命や美の形状を保つために、常に雪のことが想定しながら作業をする。透かしと雪吊りの技術、まさに「場のアート」ではないだろうか。

⇒12日(日)夜・金沢の天気     くもり

★グランド・カバーの攻防 相手の巧みな戦術

★グランド・カバーの攻防 相手の巧みな戦術

  それにしてもこの雑草は恐ろしいほどに手ごわい。向き合って戦いを挑んでも、必ず復活してくる。しかも、復活するとさらに茎を張りめぐらし、勢力を拡大しているのだ。これまでグランド・カバーの戦い(庭の雑草取り)で、いくつかの雑草と勝負してきたが、レベルが格段に高い相手だ。その雑草の名はチドメグサ。漢字では「血止め草」と書き、学名は「Hydrocotyle sibthorpioides」。

  チドメグサは実に巧妙に戦いを仕掛けてくる。その特徴は「隠れ蓑」戦術だろう。細い茎はよく枝分かれし、節から根を出して地面をはうのだが、芝生の生息地に入り込み、目立たないように勢力を拡大している。先日、「堂々と勝負しろ」と戦いを挑んだ。まず芝刈り機で芝生を刈り込み、隠れていた相手をリングに引きずり出した。

  ところが、葉や茎は取れたが、芝生の根にチドメグサの根が絡まって離れようとしない。一本一本外すとなると膨大な労力と時間がかかる。「オレに勝ちたいのならば、芝生の根を絶やしてみろ」と不敵な笑みを浮かべているのだ。この日の戦いは午後7時を回り、時間切れでドローとなった。悔し涙がポロリと落ちた。

   チドメグサとの戦いの第二幕は、スギゴケの庭での勝負となった。芝生ゾーンとは違って、スギゴケを刈り込むわけにはいかない。それだけに、相手の姿が見えにくい。葉と茎を1本取ったかと思ったら、隠れるように別の葉と茎がある。まるで分身があちこちにあり、根っ子がある本体が見つからない。これは忍法「空蝉(うつせみ)の術」だ。自分の分身を周囲につくり、敵の注意を分身に向けているのだ。根っ子がある本体はどこか。スギゴケをかき分けかき分け、チドメグサの根を探し出し、手繰り寄せるようにして抜く。こちらも誤って、大切にしているスギゴケを抜くこともある。

   実に根気のいる勝負になると予測し、日曜日の午後に試合に挑んだ。ただ、気温がぐんぐんと上がり、水分補給も限界、熱中症が心配になり途中で退場した。すると、相手のせせら笑いが背後から聞こえた。「しょせん人間は弱い、オレたちに勝てるはずがない」と。闘争心がめらめらと燃えてきた。

⇒16日(月・海の日)夜・金沢の天気   はれ