⇒ニュース走査

☆SDGsと能登の尖端、その未来可能性

☆SDGsと能登の尖端、その未来可能性

   きょう15日午前、うれしいニュース(知らせ)が入った。能登半島の最先端、珠洲市が「SDGs未来都市」に選定され、けさ内閣府で選定証の授与式があったというのだ。今回29の自治体が選ばれ、授与式に出席した市長に同行した課長は電話で「地域の可能性を拓くためにこれからよろしく」と声を弾ませた。

   「SDGs未来都市構想」は内閣府が全国の自治体から公募していたもので、同市の提案「能登の尖端“未来都市”への挑戦」が採択された。SDGsは国連が推進する持続可能な開発目標。社会課題の解決目標として「誰一人取り残さない」という考え方が基本に込められている。少子高齢化が進み、地域の課題が顕著になる中、同市ではこの考え方こそが丁寧な地域づくり、そして地方創生に必要であると賛同して、内閣府に応募していた。

  同市が提案した主な内容は「能登SDGsラボ」の開設。SDGsの基本施策は、市民や企業の参加を得て、経済・社会・環境の3つの側面の課題を解決しながら、統合的な取り組みで相乗効果と好循環を生み出す工夫を重ねるというもの。簡単に言えば、経済・社会・環境をミックス(=ごちゃまぜ)しながら手厚い地域づくりをしていく。そのために、金沢大学、国連大学サスティナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわ・オペレーティングユニット(OUIK)、石川県立大学、石川県産業創出支援機構(ISICO)、地元の経済界や環境団体(NPOなど)、地域づくり団体に今回開設するラボに参加を呼びかける。

  具体的にどのようなことにチャンレンジしていくのか。たとえば金沢大学が現地で取り組み、私自身も運営に関わっている社会人の人材養成プロジェクト「能登里山里海マイスター育成プログラム」のカリキュラムに新たにSDGsのコンセプトを導入する。また、現地で実証実験が行われている自動運転を「スマート福祉」に社会実装する支援。SDGsを取り込んだ学校教育プログラムの開発、世界農業遺産(GIAHS=2011年FAOが「能登の里山里海」認定)の資源を活かした新たな付加価値商品や、「奥能登国際芸術祭2020」に向けた参加型ツーリズムの商品開発を進めていく。国連大学と組んで過疎地域から発信するSDGs国際会議の開催や、県立大学とのコラボによる新たな食品開発など実に多様だ。

  昨年の奥能登国際芸術祭2017の開催をきっかけとして、確かに、地元市民の中には地域を見直す動きや、里山里海を資源としてビジネスモデルを創る積極的な取り組みが具体的なカタチで起きている。また、経済・社会・環境の分野で新たな技術やプランを持ったU・Iターンの人材が集まってきている。同市ではこのチャンスを最大限に活かすステージとして「SDGs未来都市」を用意したのだろう。能登半島の尖端、過疎地の最前線が新たなチャレンジに動き出すことに期待したい。

⇒15日(金)午後・金沢の天気    くもり

★トランプの赤ネクタイ-下-

★トランプの赤ネクタイ-下-

    やはり、トランプ氏の赤ネクタイは「勝負ネクタイ」だったのか。71歳のトランプ氏が終始、34歳とされる金氏をリードしながら丁寧に対応する姿はまさに勝負師そのものだった。見方によっては、世間慣れしていない息子を諭すように教える老父という感じもした。ワーキングランチ前の記者に向かってのトランプ氏の言葉「Getting a good picture, everybody? So we look nice and handsome and thin? (みんな、いい写真を撮っているかい?かっこよく、細く見えてるだろう?)」。要は、金氏を細くかっこよく撮ってくれよと。ジョークではあるものの、金氏への気遣いだと見て取れた。

      共同声明に盛り込まれなかった「IAEAの査察」の今後      

    両者が署名した共同声明にはCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)の文言はなく、果たしてこれでよいのかと戸惑うものの、こうしたトランプ氏の振る舞いを見ていると、共同声明にある「Reaffirming the April 27, 2018 Panmunjom Declaration, the DPRK commits to work toward complete denuclearization of the Korean Peninsula.(2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む)」の下りは期待できるようにも思えてくる。

    トランプ氏の単独の記者会見でも「Chairman Kim has told me that North Korea is already destroying a major missile engine testing site that’s not in your signed document. (合意文書を調印した後に金氏から「北朝鮮は既に主要なミサイルエンジン実験場の破壊に取り掛かっている」と口頭で伝えられた)」と述べていた。金氏の非核化に向けたヤル気を察知したのかもしれない。

    だとすると、金氏が非核化への準備をしているのであれば、IAEA(国際原子力機関)による査察を共同声明として提案すべきでなかったか。すなわち、核が保管されている施設を申告させて場所を明確にする「特定査察」、そこに監視カメラを設置して、平和目的かどうかを監視する「通常査察」、そして、監視によって疑惑が出た場合には「特別査察」を行うことだ。トランプ氏は「IAEAの査察を受け入れれば、アメリカだけでなく国際社会も歓迎するよ。君はあすからヒーローになれる」とアドバイスすべきではなかったか。

    さらに、問題になると思ったのは、会談後の記者会見でトランプ氏がアメリカと韓国が行っている合同軍事演習を凍結すると発言したことだ。理由は「経費節減」のようだが、この会見を聞いて誰しもが、近い将来、朝鮮戦争の終結に合意し在韓米軍を撤収するのではないかと印象付けたに違いない。

    前回ブログの繰り返しになるが、韓国の文在寅大統領は在韓米軍撤収の動きと連動して「一国二制度」の半島統一に素早く動くのではないだろうか。一方で非核化へのプロセスは4、5年の中長期にわたると言われている。その間、核弾頭が存在すれば「いつの間にか韓国と北は核を共有している」という事態にならないだろうか。国際政治の舞台はいろいろイメージを膨らませてくれる。(※米朝首脳会談後、トランプ氏の記者会見を伝えるNHKニュース=12日午後7時25分)

⇒13日(水)朝・金沢の天気    あめ

☆トランプの赤ネクタイ-上-

☆トランプの赤ネクタイ-上-

       アメリカのトランプ大統領はやはり赤いネクタイだった。ズボンのチャック辺りまで長く垂らす、見慣れたスタイルだ。この赤いネクタイは「勝負ネクタイ」というより、平常心を保つための「落ち着きネクタイ」ではないのか。きょう12日午前、シンガポールで北朝鮮の金正恩党委員長の2人だけの会談に入る前のトランプ氏の姿を視聴した印象だ。

   その2人の会見の様子で気になった言葉は、金氏の「ここまでくるのは容易ではなかった。我々の足をひっぱる過去があり、誤った偏見と慣行が我々の目と耳をふさぐこともあったが、我々はそのすべてを乗り越えてここまで来た」と述べて笑みを見せたことだ。この「我々」とは金氏とトランプ氏の2人のことなのか、あるいは北朝鮮の国を指すのか。「我々」の解釈によって意味が全く違う。北朝鮮の国を指す場合は、相手(アメリカ)を罵っているように聞こえる。このフレーズ全体を聞けばやはり金氏の「我々」は北朝鮮の国を指す。ところが、トランプ氏は「その通りだ」と応じ、再度握手した。通訳を介しての対話なので、トランプ氏には「We」と伝えられ、金氏とトランプ氏の2人のことと解釈したに違いない。

       「朝鮮戦争の終戦宣言」と「核あり統一」の複雑化   

   2人だけの会談の内容については午後にトランプ大統領が記者会見するようだが、最近の米朝首脳会談の論調で気になることがある。それは「完全な非核化」と併せて「朝鮮戦争の終戦宣言」をトランプ氏サイドから打ち上がっていることだ。

   首脳会談で「完全な非核化」がこじれ、とりあえずの成果として「朝鮮戦争の終戦宣言」が優先した場合、この歴史的な対話は少々おかしな方向うのではないかと考え込んでしまう。というのも、終戦宣言となれば、次は南北の統一だろう。当面は一国二制度かもしれない。とすると、核を保有したままで半島統一となる可能性も出てくる。実際、日本と違って韓国では核兵器の保有論は一定の支持を得ている。韓国ギャラップの調査(2017年9月5-7日、1004人対象)では韓国の核保有に賛成する意見は60%で、反対は35%なのだ(2017年9月9日付・産経ニュース電子版)。

   韓国の文在寅大統領は、これまでの外交成果を軸に北朝鮮と交渉を続けるだろう。北朝鮮の非核化を前提としての交渉ではなく、「一国二制度」のような構想を互いに模索するのかもしれない。そうすれば、韓国にとって在韓米軍や米韓軍事演習も不要となる。さらに核保有国として、近隣諸国に睨みを効かせることができる。「いつの間にか韓国は核保有国」のシナリオで描いているのではないだろうか。それを国民も反対しないとなれば、なおさらである。

   「核なき統一」は日本もアメリカも国際社会も望むところだ。それが「核ありの統一」ということが鮮明になった場合、日本の外交スタンスもガラリと変わる。油断ならない。(※写真は米朝首脳会談の様子を伝えるTBSWeb版)

⇒12日(火)午前・金沢の天気     あめ

★子への虐待、日米の認識度

★子への虐待、日米の認識度

      5歳の女の子が虐待を受け死亡した東京・目黒区での事件=写真=。女の子が書き残した文章を読むと実に痛ましい。この子は必死で親に気持ちを伝えようとした。しかし、親は無視はしたのだろう、伝わらなかった。この子には文章による訴える力がある。5歳児とは思えないくらいだ。以下、朝日新聞Webニュースより。

   もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします

    ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおします

    これまでどれだけあほみたいにあそんでいたか あそぶってあほみたいなことやめるので もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいぜったいやくそくします

   涙を誘うフレーズは「じぶんからきょうよりもっともっとあしたはできるようにするから」だ。今日よりもっと明日は出来るようにする。もう1フレーズ。「きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおします」。昨日できなかったこと、これまで毎日やってきたことを直します。時間軸に身を置いて、明日はもっとよくする、という5歳の強い意思表示だと読み取れる。この子のどこに罪があるというのか、あるはずがない。

   昨日、子どもの虐待について知人らと話していると、アメリカで子育てをした経験のある研究者が「アメリカでは子供といっしょに風呂に入るだけでも虐待とみなされる」と。このひと言に驚き、「なぜ」と問うと、「狭い空間で裸でいると性的虐待が疑われるということなんだ」と。研究者も知人から聞いて調べたという。アメリカの在ナッシュビル日本総領事館のホームページに事例がいくつか出ていると教えてくれた。同総領事館HPの「安全情報」の中の「米国での生活上の注意事項」に掲載されている。

   入浴に関する事例は、HPを引用する。「某日、幼稚園に通う少女が、父親と一緒にお風呂に入るのがいやだと幼稚園の作文に書いた」、すると「幼稚園の先生が、児童虐待(性的暴力)容疑者として父親を州政府の児童保護局に通報し、調査活動が行われた」。また、「某日、乳児をお風呂に入れている写真を近所のドラッグストアで現像に出した」、すると「ドラッグストアが児童に対する虐待容疑で児童保護局に通報し、児童虐待(性的虐待)容疑で調査活動が行われた」。いずれの事例も実際に邦人がアメリカで体験したケースのようだ。 

   日本とアメリカの文化による認識の違いで、日本では許容されることでも、アメリカでは「犯罪」として扱われる事例だろう。入浴のほかにも、言うことを聞かない子どもの頭を人前でたたいたり、買い物をするときに、乳幼児を車に置いて離れたりすることなども、虐待の容疑で親の身柄が拘束されることもあるようだ。

   総領事館のHPで掲載されている事例を読んで思うのは、文化による認識の違いや誤解があるにせよ、アメリカでは「善意の通報」が行き届いていることだ。ところが、日本では目の前で親から子へのあからさまな暴力があったとしても、「関知せず」であえて見過ごすケースがあるのではないだろうか。アメリカでは人権侵害としての児童虐待の観念が徹底しているので第三者が通報する。日本では虐待なのか「しつけ」「教育」なのかグレーゾーンととらえられ、看過されるケースが起きるのではないだろうか。

   冒頭の5歳の女の子に多数の「善意の通報」があれば救われていたに違いない。

⇒7日(木)朝・金沢の天気     はれ

★日本海のイカ漁場、厄介な現実

★日本海のイカ漁場、厄介な現実

   北朝鮮の動きがいよいよ「活発」になってきた。東シナ海で北のタンカーが別の船に横づけし、ホースで石油などを移し替えする「瀬取り」を行っているのを先月24日、海上自衛隊の護衛艦が確認。政府は国連安保理の北朝鮮制裁委に通報した。そして、日本海では日本のEEZ(排他的経済水域)にある大和堆(やまとたい)で北のイカ漁船が数10隻確認され、退去に応じなかった漁船には海上保安庁の巡視船が放水して退去させている=写真=。

   スルメイカ漁が今月1日に解禁になり、3日には多くの日本漁船が大和堆でのイカ釣り漁を開始する。EEZ内での違法操業はもちろん問題なのだが、もっと厄介なことがある。日本漁船は釣り漁であるのに対し、北のイカ漁船は網漁だ。夜間に日本漁船が集魚灯をつけると、集魚灯の設備を持たない北の漁船が多数近寄ってきて網漁を行う。獲物を横取りするだけでなく、網が日本漁船のスクリューに絡むと事故になる危険性にさらされる。

   また、夜間では北の木造漁船はレーダーでも目視でも確認しにくいため、衝突の可能性が出てくる。衝突した場合、水難救助法によって北の乗組員を救助しなければならない。そうなればイカ漁どころではなくなる。だから、「厄介な危険物」にはあえて近寄らない。昨年、多くの日本漁船が好漁場である大和堆を避けるという現象が起きたのはこのためだ。
 
   漁業関係者に苛立ちや不安が積もっている。昨年7月に開かれた「大和堆漁場・違法操業に関する緊急集会」(国会内の会議室)では国会議員や漁業関係者の発言は厳しいものがあった。当時のメディアの報道によると、質問が集中したのは海上保安庁に対してだった。海上保安庁も巡視船で退去警告や放水で違法操業に対応していたが、イタチごっこの状態だった。漁業関係者からは「退去警告や放水では逆に相手からなめられる(疎んじられる)」と声が上がった。違法操業の北の漁船に対して、漁船の立ち入り調査をする臨検、あるいは船長ら乗組員の拿捕といった強い排除行動を実施しないと取り締まりの効果が上がらない、と訴えた。

    言うまでもないが、領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。そのような北の漁船に排除行動を仕掛けると、北朝鮮が非批准国であることを逆手にとって自らの立場を正当化してくる可能性がある。取り締まる側としてはそこが悩ましいところなのだろう。

    きょう2日付のWebニュースによると、アメリカのトランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との初めての会談をいったん中止すると通告していたが、金氏からの親書を受け取ったことで、予定通り今月12日にシンガポールで会談すると明言した。こうした外交の裏側で国連安保理決議に反する「瀬取り」、そして日本のEEZ内での違法操業がまかり通る。シビアな現実がそこにある。(※写真は海上保安庁が公表した映像、NHK画面より)

⇒2日(土)朝・金沢の天気     はれ

☆「司法取引」小物に餌与え、大物を釣る

☆「司法取引」小物に餌与え、大物を釣る

   世間を騒がせている森友学園への国有地売却や決裁文書改ざんをめぐる問題で、大阪地検特捜部はきのう(31日)、虚偽公文書作成などの疑いで告発された佐川前国税庁長官ら関係者全員を不起訴とした。きょう1日付の朝刊を読むと、各紙の論調は「まだ幕引きは許されぬ」(朝日新聞)といった感じで、私自身も何だか釈然としない=写真=。しかし、どこかでケジメをつけないといつまでも「モリカケ問題」が国会の論戦になっているのはいかがなものか、とも。

   そんな思いで紙面に目を通していると、アメリカのニュースなどでよく出てくる「司法取引」がきょうから日本でも始まるとの記事に目が止まった。読むと、アメリカの司法取引とは意味合いがかなり異なるようだ。日本の場合、司法取引でタ-ゲットとする犯罪は、組織犯罪や企業犯罪、汚職事件など。より具体的には、振り込め詐欺など組織犯罪、また贈収賄・詐欺・横領などの事件、さらに独占禁止法・金融商品取引法などの経済犯罪、薬物銃器犯罪などとしている。一方で殺人や性犯罪などは対象外。つまり、特定の犯罪に限定しているのだ。

   アメリカの場合は、自分の罪を正直に供述して刑の減免を受ける、いわゆる「有罪答弁型」だ。日本の場合は、たとえば容疑者・被告が共犯者など他人の犯罪の捜査に協力すれば検察が見返りとして起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする法制度。組織犯罪や経済犯罪で逮捕された部下が指示した上司(ボス)のことを供述したり、証拠を提出するなど検察側に協力をすれば、不起訴や軽い罪での起訴、軽い求刑など有利になる。いわば「捜査協力型」、言葉は悪いが、「小物に餌を与え、大物を釣る」のたとえだ。

   ただ、単に捜査に協力するのではない。司法取引に関して、検察側と容疑者・被告の間で合意をするには、その過程で弁護人の立ち合いが義務化されている。確かに、司法取引として検察側が末端の者の犯罪に刑の減免を約束して、組織の上層部の犯罪について供述を求めることで、事件解明のスピードが早まることになるだろう。ただ、素朴な懸念も生じる。自らの処分を有利にするために虚偽の供述をする、あるいは伝聞の話を供述して、無関係の人物まで事件に巻き込むといったことにはなりはしないだろうか。いわば冤罪だ。

   もう一つ。他人のことを供述して、自らの責任を減免することは国民感情としていかがなものだろうか。もちろん、司法取引には、個人の責任よりも巨悪を懲らしめるという社会的責任が優るという大義があるだろう。検察側でその思いが逸(はや)ると、大阪地検特捜部の主任検事が郵便不正で押収したフロッピーディスクのデータを改ざんした事件(2010年9月)にもなりかねない。

        今回のブログは大阪地検特捜部に始まり、大阪地検特捜部で終える。もちろん、冒頭の不起訴処分で検察側と財務側で「司法取引」はなかったと信じたい。

⇒1日(金)朝・金沢の天気    くもり

★なぜ審判が問われないのか

★なぜ審判が問われないのか

   今月6日に行われたアメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦。日大学のDL(ディフェンスライン)の選手が関学大の司令塔のQB(クォーターバック)の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題。今月21日に被害届が大阪府警に出され、刑事事件になる可能性がある。一連のニュースを視聴して腑に落ちないのは、競技中の悪質なタックルに対し、なぜ審判員は即刻退場を命じなかったのか、ということだ。

   動画を見れば、一目瞭然だ。試合開始の早々に、日大のDL選手がパスをし終わった関学大のQB選手に真後ろからタックルを浴びせて倒している。QBが球を投げ終えて少し間を置いてから、わざわざ方向を変えて突進しているので、意図的なラフプレーだ。3プレー目でも不必要な乱暴な行為があり、5プレー目で退場となった。ここで疑問なのは、1回目のラフプレーでDL選手をなぜ退場にしなかったのか。明らかに「レッドカード」ではないのか。単なる見逃しであるならば、審判員に対してなぜ責任が問われないのだろうか。

   これはあくまでも「スポーツの世界」であり、審判員が試合を適切に判断できないのであればスポーツは成り立たなくなる。監督が「つぶせ」と指示したとしても、審判員がそれを見逃さずに早々と退場にしていれば、よかったのではないか。それがスポーツの世界だろう。単なる見逃しだったのか、その判断を聞きたい。審判員としての釈明がなければ、逆に日大と審判員の関係性を勘ぐってしまう。

   では、関東学生アメリカンフットボール連盟の見解はどうなのか。今月10日に、DL選手の1回目のプレーについて「試合中に審判クルーが下した『アンネセサリーラフネス(不必要な乱暴行為)』を超えるものである」と発表し、「追加的な処分の内容が確定するまでは、当該選手(DL選手)の対外試合の出場を禁止する」と処分を決めた。しかし、即退場としなかった当時の審判の差配は適正なものだったのかについては述べていない。関東学生アメリカンフットボール連盟は月内に臨時理事会を開き、日大の処分などを判断する方針だというが、審判の在り様の問題もぜひ説明してほしい。

   今回の悪質なタックルの問題は、日大の「不誠実」とも取れる対応で、連日のようにニュースになり、いっこうに収束の気配が見えない。それよりなにより、スポーツがこのように刑事事件になるのは筋が違うのではないか。

⇒29日(火)朝・金沢の天気     はれ

☆金正恩氏の心理面を読む

☆金正恩氏の心理面を読む

   前回のブログで防衛関連株として値動きを注目している石川製作所(本社・石川県白山市)の株価が、今回の米朝首脳会談の中止を受けてどのように動くのかと述べた。26日の終値は前日比125円高の2385円、率にして5.53%アップだ。高値の要因はおそらく、トランプ大統領が金正恩党委員長に送った会談中止の書簡のこの一文にその理由がある。

You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerfu1l that I pray to God they will never have to be used.(貴方は自国の核能力について語っているが、我々の核能力は大規模かつ強大であり、使わなければならない時が来ないよう祈っている)

   トランプ流交渉の「脅しのタックル」だ。すると金正恩氏は実にスピード感のある対応に出た。その日(26日)に韓国の文在寅大統領と板門店で会談。前回の首脳会談は4月27日だったので、1ヵ月足らずでの再会談は異例だろう。このニュースを視聴した人は誰しも「トランプの揺さぶりに金正恩はうろたえた」との印象を持ったことだろう。特に今回は板門店の北朝鮮側の施設での会談なので、金正恩氏からの一方的な要請によるものだったと推測できる。

   表向きは、文在寅文氏が今月22日にワシントンでトランプ氏と会談したので、米朝首脳会談を前にして、北朝鮮の非核化に関するトランプ氏やアメリカ政府の考え方など聞き、米朝首脳会談の落としどころ(妥協点)を探ることだったのかもしれない。それにしても、文在寅氏、中国の習近平国家主席とそれぞれ2回の会談。急速な会談の連発に別のことを勘ぐってしまう。金正恩氏の心理面についてだ。

   昨年の今ごろのニュースは、北朝鮮が弾道ミサイルを異常なペースで連射させたことだった。国連安全保障理事会が「最大限の懸念」を表明し、強く非難・警告したにもかかわらず収まらなかった。当時、これは偏執型、あるいは妄想型の性格であるパラノイア(Paranoia)ではないかと報じられた。パラノイアの特徴はいくつかり、異常な支配欲や激しい攻撃性がともなうものの、思考論理は一貫していて、行動や思考にブレがないとされる。一方で、自己中心的な性格(ナルシシズム)が出てくると、今回のように相手(文在寅氏)の迷惑を顧みず「電撃的な会談」を一方的に申し入れたりする。

   では仮にトランプ氏との首脳会談が実現したとして、次にどのようなことがパラノイアの現象として起きるのか想像してみる。おそらく、トランプ氏はビジネスで鍛え上げた交渉術で、金正恩氏に向かって先の言葉「You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerfu1l that I pray to God they will never have to be used.」を呪いをかけるように言い浴びせるに違いない。アジア的な文在寅氏や習近平氏のキャラクターとは違い、金正恩氏はトランプ氏の内面に西欧の悪魔的な魅力を見出すかもしれない。すると、今度はサタニズム(Satanism)に陥る。サタン崇拝、つまり熱狂的なトランプファンになるのではないか。

   両者の会談が実現することを期待している。非核化の進展とあわせて、金正恩氏に果たしてサタニズムが出るか。偏執・妄想、自己中心、そしてサタニズムの3点セットがそろえば、歴史上まれな「パラノイア型リーダー」として世界の心理学者たちが注目するに違いない。これまで述べたことは言葉の遊びにすぎないが。(※写真は27日付・韓国「聯合ニュース」Web版より)

⇒27日(日)朝・金沢の天気   はれ

★トランプ流タックル

★トランプ流タックル

    私は株主でも株式投資家でもないが、居住地である石川県に本社を置く石川製作所の株価を時折チェックしている。昨日(24日)は開始の9時過ぎに見て、日経平均が全体が軟調だったのに、石川製作所は100円も上がっていた。どれだけ上げるのかと思いながらパソコンを離れ、2時間ほど後にチェックすると前日の終値(2365円)付近に戻っていた。それからは下がり続け、終値は前日比105円安だった。損得の感情は一切ないが、これまで同株価をウオッチしてきた経験から「何か起きる」と少々予感があった。

    同社は追尾型の機雷を製造する、いわゆる防衛関連株だ。昨年9月にアメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金正恩・朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した10月にかけては最高値4205円(10月16日)を記録した。が、平昌オリリンピックへの北朝鮮の参加による平和ムードが広がり、徐々に株価は下がり、3月29日に韓国と北朝鮮による南北首脳会談(4月27日)が決定すると1943円に落ちた。その後は、「平   和の演出」のにおいが感じられるようになり、最近では米朝首脳会談の「中止」「延期」のメッセージが発せられ同株価は上向きに転じた。日本の防衛関連株は朝鮮半島をめぐる国際政治や外交のホットな動きと連動していて、目を逸らせない。

    完全に潮目が変わった。昨日、トランプ氏が金正恩党委員長に会談中止の書簡を送ったと発表し、その書簡の全文を公開した=写真=。ポイントはここだろう。

I was very much looking forward to being there with you. Sadly, based on the tremendous anger and open hostility displayed in your most recent statement, I feel it is inappropriate, at this time, to have this long-planned meeting. Therefore, please let this letter serve to represent that the Singapore summit, for the good of both parties, but to the detriment of the world, will not take place. You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerfu1l that I pray to God they will never have to be used.(私はシンガポールで貴方と会うことを楽しみにしていた。残念なことに、貴方の直近の声明にあった強い憤りとむき出しの敵意を鑑みると、長い間計画していた会談を今開くことは不適当だと、私は考えている。そのため、この手紙をもって、双方(アメリカと北朝鮮)にとっては良いことで、世界にとっては不利益ではあるが、シンガポール会談は行わないことをお知らせする。貴方は自国の核能力について語っているが、我々の核能力は大規模かつ強大であり、使わなければならない時が来ないよう祈っている)

    米朝会談の開催は即決だったが、中止もこれまた実にスピード感がある。アメリカンフットボールのような試合運びだ。そして、前文を読めば、決定的な乖離を感じさせるが、最後の締めくくりには期待感も感じさせる。

If you change your mind having to do with this most important summit, please do not hesitate to call me or write. The world, and North Korea in particular, has lost a great opportunity for lasting peace and great prosperity and wealth. This missed opportunity is a truly sad moment in history.(もし貴方の考えが変わり、この重要な会談をしようと思うなら、遠慮なく私に電話をするか、手紙を書いてほしい。世界、とくに北朝鮮は、恒久平和や大いなる繁栄、裕福さを得る素晴らしい機会を失った。こうして失われた機会は歴史上、非常に悲しい時である)

    要は相手側の司令塔であるQB(クォーターバック)の判断力や戦略に揺さぶりをかけるトランプ流タックルではないか。脅し、誉め、叩(はた)く。これまで韓国の文在寅大統領や中国の習近平国家主席と会うなど機動力を見せてきた金委員長は次にどのような一手を打ってくるのか。きょうの石川製作所の株価の値動きが見ものだ。

⇒25日(金)朝・金沢の天気     はれ 

☆社会的な罪と法律的な罪

☆社会的な罪と法律的な罪

         森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざん問題で国会の証人喚問をテレビ中継で視聴できたのは、循環器系のカテーテル検査で入院していたおかげだった。3月27日午前中、点滴を受けながら前国税庁長官の佐川宣寿氏に対する参院予算委員会での証人喚問をじっくりと。

    証人喚問の様子はテレビを見ながらメモを取っていた。自民の丸川珠代氏が、森友学園との国有地取引に安倍総理や夫人の影響があったかを尋ねた。その中で、丸川氏は国有地取引に関する決裁文書では書き換え前に「特例的」とか「特殊性」といった表現が記載されていたことについて「総理夫人の関与を意味しているか」と質問した。佐川氏は「通常は国有財産は売却するが、貸し付ける場合の期間は通達に3年間と書いており、その期間は特例承認をもらって変えることができる。特例とはそういう意味だ」と述べ、「本件の特殊性」という記述は政治家の関与を意味しているものではないとした。点滴が一滴一滴落ちる様子を見ていると、なぜか心が落ち着き、物事に集中できる。「特殊性とはこういう意味か。でも、後付けの逃げ口上ではないか」(当時のメモ)

     その後、佐川氏の発言で気になったのが、「告発されている身なので答弁は控える」「刑事訴追のおそれがあるので答弁は控えたい」と繰り返し答弁を拒んだことだった。佐川氏は補佐人の弁護士にたびたび助言を求め、「刑事訴追の恐れ」を繰り返し証言を拒否する場面が印象に残った。市民団体が昨年10月、虚偽公文書作成容疑での告発状を出している。国家公務員の場合、刑事訴追が現実になれば、退職金がゼロになることもあるので、「必死に予防線を張っているのだろうか」(当時のメモ)と。

    この日の証人喚問では、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざん問題が「忖度」する役人のシンボリックな行為との印象は個人的には消えなかった。ところで、肝心の「刑事訴追」の件はどうなっているのか。きょう18日付の読売新聞Web版によると、「大阪地検特捜部は、虚偽公文書作成容疑で告発状が出ている佐川氏らを不起訴(嫌疑不十分)にする方針を固めた」と。

    掲載記事によると、改ざんされたのは国有地売却などに関する14の決裁文書で、交渉経過のほか、安倍総理夫人や複数の国会議員の名前などが削除された。改ざんは昨年2-4月に、財務省理財局が財務局に指示して行われた。当時、理財局長だった佐川氏の国会答弁との整合性を取るためだったとされている。不起訴の理由として、「虚偽公文書作成罪の成立には、作成や決裁権限を持つ者が文書の趣旨を大幅に変える必要がある」と。公文書の一部削除では趣旨の大幅変更に相当せず、虚偽公文書作成とは言えない、と。

    記事はおそらく抜きネタ(スクープ)で、検察サイドへの裏取りをしてのことだろう。言葉として少々語弊があるかも知れないが、これで佐川氏は名実ともに逃げ切った。記事を読んで、ではあの国会証人の意義は何だったのだろうか、と。証人喚問の中継では視聴者の改ざん疑惑を膨らませた。しかし、検察サイドは不起訴。これだったら、果たして証人喚問は必要だったのか、との世論も出てくるだろう。「改ざん」という言葉のイメージから起きる罪の連想、そして法律的には虚偽公文書作成とは言えないという判断。「セクハラ罪という罪はない」(5月4日・麻生太郎財務大臣)と状況は似ている。社会的に罪として解釈されても、法律的な罪として適合しない。最近この社会的な罪と法律的な罪の乖(かい)離が広がっているようにも感じる。マスメディアが煽り過ぎるのか、あるいは法律が旧態依然としているのか。

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