⇒ニュース走査

★「安楽死」議論は避けられない

★「安楽死」議論は避けられない

   全身の筋肉が動かなくなる難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)で、京都に住む51歳の女性からSNSで「安楽死させてほしい」との依頼を受けた宮城と東京の男性医師2人が薬物を投与して女性を死なせたとされる事件=写真=。この報道で率直に思うことは「安楽死の議論をいつまで放置しておくのか」だ。

   不治の病に陥った場合に本人の意思で、医師ら第三者が提供した致死薬で自らの死期を早める「安楽死」は基本的に認められていない。現在の法律では嘱託殺人や承諾殺人、自殺ほう助の罪に問われる。今回の事件で、医師2人は嘱託殺人の疑いで逮捕された。ただ、患者や家族の同意で延命措置を中止する「尊厳死」は医療現場で容認されている。

   問題は安楽死を認めるか、認めないかだ。昨年2019年7月の参院選挙では、「安楽死制度を考える会」から9人が立候補し、この議論を全国に広めようとしたが争点にはならなかった。超高齢化社会を迎えて、自らの人生の質(QOL)を確認して最期を迎えたいという願いやニーズは確かにある。しかし、日本では尊厳死や安楽死に関する法律はまだない。これは、憲法が保障する基本的人権の一つ、幸福追求権(第13条)ではないだろうか。もちろんさまざまな議論があることは承知している。問題は、国会がその議論をずっと避けてきていることだ。オランダやスイスは安楽死を合法化している。

   この議論は避けられないのだ。内閣府の「高齢社会白書」(平成29年版)によれば、2030年には75歳以上は2288万人と推定される。高齢となった自身が不治の病に陥った場合、おそらく主治医に致死薬で自らの死期を早めるようお願いするだろう。身内の話だが、92歳で他界した養父は胃がんだった。「90になるまで生きてきた。世間では大往生だろう」と摘出手術を頑なに拒否した。安らかに息を引き取った。尊厳死だった。

   自らの人生のQOLを確認して最期を迎えたいという願いはこれから高まるだろう。オランダやスイスに行って安楽死する必要はない。これは日本の人権問題ではないだろう。今回の事件が投げかける意味は深い。メディアには、犯罪報道ではなく、安楽死についての議論として世論提起をしてほしい。逮捕された2人の医師を擁護するつもりはまったくない。

⇒24日(金)夜・金沢の天気    あめ

☆キャンパスがクラスター化するということ

☆キャンパスがクラスター化するということ

   残念なことだが、金沢大学がクラスターと判断された。石川県がきょう21日発表した新型コロナウイルスによる新たな陽性患者数は女性3人と発表した。このうち30代の女性は大学の学生で、あと2人は同居する60代女性とゼロ歳の女児。今月18日にも20代の男子学生1人が陽性と発表していて、大学関連の感染者はこれで5人となった。この状況で、石川県は県内で7つ目のクラスターと認定した。 

   新型コロナウイルスの感染拡大で金沢大学では4月からすべての対面型の授業は中止となっていた。このため、講義はインターネットによる遠隔授業(オンデマンド型)のみで、学生は在宅授業だった。サークルや部活なども禁止。また、研究室の学生や大学院生の研究活動も登学は原則禁止となっていた。何しろ学生だけで1万人余りいる。キャンパスという限られた空間で、「大規模集会」を毎日開催するようなもので、感染が広がればひとたまりもない。

   緊急事態宣言が解除され、対面授業が再開されたのは6月19日だった。ただし、授業における「3密」を回避する条件がついている。たとえば、51人以上の規模の大きな講義は引き続き遠隔授業に。また、50人以下であっても、1学生当たり4平方㍍のスペースを確保することが対面授業の条件となっていた。このため、学生たちは少人数の限られた授業しか受講できない状態が続いている

   「3密」対策が取られているのは授業だけではない。学生がよく集まる図書館のカフェや生協食堂もそうだ。カフェは1テーブルにつき1人掛け。食堂のテーブルは対面ではなく一方向で横のイスの間隔も一つ空けてある。普段は12人掛けのテーブルだが、3人掛けだ。にぎわいからほど遠い。営業時間も午前11時から午後1時30分で、金曜と土日・祝日は休業だ。

   自身はリモートワークが続いている。久しぶりにキャンパスを歩いても、いつものにぎやかしい雰囲気が戻っていない。それだけに、今回のクラスター認定で学生たちの気持ちそのものがロックダウンするのではないか。そんなふうに案じている。

(※写真は、大学キャンパスの学生ラウンジ。学生たちの姿は少なく閑散としている)

⇒21日(火)夜・金沢の天気     くもり

☆リアリティ番組、いよいよ「BPO沙汰」に

☆リアリティ番組、いよいよ「BPO沙汰」に

   台本のない共同生活を描いたリアリティ番は実話、損害賠償金つきの誓約書兼同意書によって、出演者たちが制作者側の意図に沿って演じていた番組だった、のか。フジテレビの番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーが自死した問題で、遺族がBPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会に人権侵害を申し立てる書類を提出した(7月15日付・共同通信Web版)。

   番組の中で、同居人の男性が女子プロレスラーが大切にしていたコスチュームを勝手に洗って乾燥機に入れたとして怒鳴り、男性の帽子をはたく場面が流れ、視聴者から誹謗中傷のSNSなどが集中し、本人が追い込まれた。母親によると、このシーンについて、スタッフの指示があったと本人がかつて話していて、「暴力的な女性のように演出・編集され、過呼吸になっても撮影を止めてくれなかった。人格や人権が侵害された」と訴えている(同)。

   BPOがこの問題を審議することになれば、リアリティ番組の中で、女子プロレスラーが凶暴な悪役を演じさせられたのか、それが誰の指示によるものだったのか、損害賠償金つきの誓約書兼同意書の意図はどこにあったのか議論になるだろう。台本のないリアリティさを売りにしていた番組だったので、映像に描き出される彼女の言動そのものが、人格・個性と視聴者に受け止められた。これが、娯楽バラエティー番組であれば役者による演技と受け止められ、視聴者からのSNSによる誹謗中傷もそれほどではなかったのではないか。リアリティ番組で過剰な演技が要求されていたとすれば、まさに「人権侵害」といえるだろう。

   フジテレビの社長は7月3日の記者会見で、「現在、検証作業中であり、事実関係の精査などを行っている」と前置きし、「一部報道にスタッフが“ビンタ”を指示したと書かれているが、そのような事実は出てきていない。一方で、『テラスハウス』という番組は性質上、出演者とスタッフが多くの時間を過ごしており、多くの会話をしている中で、撮影では、出演者へのお願い・提案などはある。 」と述べている(フジテレビ公式ホームページ)

   この問題は「BPO沙汰」にすべきだと考えている。5月にこの問題が発覚し、女子プロレスラーの自死はSNSでの誹謗中傷が招いたと社会問題となった。自民党はインターネット上での誹謗中傷対策を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、匿名による中傷を抑制する法規制などを検討を始めている。ところが、この問題の根本はテレビ局側が出演者に過剰な演技を要請したことが原因ということになれば、別次元の問題だ。視聴者もテレビ局側にある意味で騙され、煽られたことになる。

   BPOは放送や番組に対して政治や総務省が介入することを防ぐ目的で、NHKと民放が自主的に問題を解決する姿勢を示すために設けた第三者機関である。「人権侵害」と認定されれば、テレビ局側もそれ相当の自己改革が迫られる。この際、リアリティ番組の放送基準を明確にすべきだろう。このままうやむやにしてはならない事案だと考える。

(※写真はイギリスのBBCニュースWeb版が報じた女子プロレスラーの死=5月23日付)

⇒16日(木)朝・金沢の天気    くもり

★日本も例外ではない「ズーノーシス」の接近

★日本も例外ではない「ズーノーシス」の接近

   「ズーノーシス(zoonosis)」という言葉を初めて知った。UNEP(国連環境計画)がこのほどまとめた報告書に出てくる。新型コロナウイルスの発生源として論議を呼んでいるコウモリなど動物由来で人にも伝染する感性病を総称してズーノーシス(人畜共通伝染病)と呼ぶそうだ。新型コロナウイルスの感染症やエボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)、HIV、ライム病といったこれまで人間が罹ってきた感染症はズーノーシスに含まれる。

   では、なぜズーノーシスが繰り返されるのか、UNEPのインガー・アンダーセン氏らが報告書=写真=をまとめた。以下、UNEP公式ホームページで掲載されているダイジェスト版「Preventing the next pandemic: Zoonotic diseases and how to break the chain of transmission」(次なるパンデミックの防止:人獣共通感染症と伝染の連鎖を断ち切る方法)から以下引用する。

   低・中所得国では毎年200万人がズーノーシスである炭疽病、牛結核、狂犬病で死亡している。これらの国々は家畜への依存度が高く、野生生物に近い地域社会である。その原因は人の生産活動にある。肉の生産量は50年間で260%増加し、農業生産も強化された。大規模な耕作地や灌漑、ダムなどの農業インフラを拡張したものの、同時に野生生物の空間を犠牲にした。その結果、人と野生動物は近くなり、ズーノーシスとも密接になってきている。

   野生生物の領地やその他の天然資源の過剰な開発をやめ、持続可能な農業を行うことで、土地の劣化を逆転させ、生態系の健全性を守るための投資が必要、と提言している。

   これを読んで、日本ではまったく逆のズーノーシスが起きる可能性が高まっているのではないかと感じた。たとえば、金沢でも人里や住宅街にクマやサル、イノシシ、シカが頻繁に出没している。ドングリなどのエサ不足に加え、里山と奥山の区別がつかないほど里山や耕作放棄地が荒れ放題になっていて、クマ自身がその領域の見分けがつかず、人里や住宅街に迷い込んでくる、とも言われている。

   ズーノーシスに感染したこれらの野生生物が街中を徘徊することを防げるだろうか。

⇒9日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆検証されるべきはWHOと中国の関係性

☆検証されるべきはWHOと中国の関係性

   気になった国際ニュース。アメリカはWHOから来年7月6日付で脱退すると国連に正式に通告した。トランプ大統領が5月下旬、新型コロナウイルスを巡る対応が中国寄りだと主張し、脱退すると宣言していた。7月6日に通告を受けた国連サイドは、脱退条件を満たしているかどうか確認作業に入ったとしている。アメリカは1948年にWHOに加盟し、最大の資金拠出国となっており、脱退による活動への影響が懸念されている(7月8日付・共同通信Web版)。

   トランプ氏はこれまで何度も「WHOは中国に完全に支配されている。WHOとの関係を終わらせる」と脱退の意向を示してきたので、ついに実行に移したか、という印象だ。当のWHOは今回の通告に対してまだコメント発表していない。ただ、テドロス事務局長はこれまでアメリカ政府は協力の恩恵を世界は長年受けてきたと強調し、公衆衛生の改善に大きな影響を与えてきたアメリカの貢献を称賛している(6月1日・WHO記者会見)。

   今回の通告を11月のアメリカ大統領選の争点にしようとしているのが、大統領の座を争うことになる民主党のバイデン氏だ。さっそく、7日のツイッターに「大統領としての初日にWHOに戻る」と投稿し、政権を奪還すれば、来年1月に大統領に就任してすぐ、脱退を撤回する考えを示した(7月8日付・NHKニュースWeb版) 。

   冒頭の記事にあるように、国連サイドはアメリカの脱退条件を満たしているかどうか確認作業に入ったとしている。ぜひ、テドロス氏と中国の関係性を明らかにしてほしい。これまで指摘されているように、中国でヒトからヒトへの感染を示す情報がありながら、WHOがその事実を知りながら世界に共有しなかったのはなぜか。トンラプ氏でなくとも疑問に思う。

   そもそも、WHOと中国の関係性が疑われたのは1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスやオーストラリアなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出したが、テドロス氏は「宣言する主な理由は、中国での発生ではなく、他の国々で発生していることだ」と述べた(1月31日付・BBCニュースWeb版日本語)。日本やアメリカ、フランスなど各国政府はすでに武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。

   ぜひとも、こうしたWHOと中国の関係性がアメリカの主張の通りなのか、国連サイドとして検証してほしいものだ。

(※写真は4月27日、テドロス事務局長の記者ブリーフィング=WHO公式ホームページ) 

⇒8日(水)夜・金沢の天気    あめ

★コロナと大雨の二重禍、そしてボランティアは

★コロナと大雨の二重禍、そしてボランティアは

   きょう未明から雨が降り続き大雨だった。午前中、車で能登方面に出かけたが、フロントガラスに雨が激しく叩きつけ、前方がよく見えかった。ワイパ-を最高速にしたが、かえって見にくい。車体がグレーでライトをつけていない車は要注意だった。

         今回列島を襲っている記録的な大雨で、これまでに熊本県を中心に57人が亡くなり、2人が心肺停止、12人が行方不明となってる。まだ被害が把握できていないところもあり、警察や消防、自衛隊などが引き続き捜索している(7月7日付・NHKニュースWeb版)。

   山中の道路が寸断され、孤立した集落が数多くあるだろう。記録的な大雨の犠牲者は今後さらに増える可能性もある。熊本県の公式ホームページにきょう行われた災害対策会議の模様が動画で掲載されいる。参加者は全員マスクを着用し会議に臨んでいた=写真=。熊本県内では新型コロナウイルス感染で48人の感染者、そして3人が死亡しているので、コロナと大雨の二重の災禍と向き合っている、そんな光景に映った。

   水害の復旧のためのボランティアをどのように集めるのか気になって検索をかけていると、熊本県社会福祉協議会の公式ホームページで「災害・生活復興支援ボランティア情報」(7月7日付)のページがあった。その中で気になったのは、ボランティア参加に関しては、ウイルス感染防止から参加を制限していることだ。

   ホームページをもう少し詳しく見てみる。同協議会では、災害ボランティアセンターの設置に向け準備を進めている。「開設後は新型コロナウイルス感染症拡大防止から、当面は県内被災地近隣の方々に限るなど、範囲を定めてボランティアの募集が行われる予定です。ご理解・ご協力をお願いいたします。」と。これだけの大災害となると連日テレビが大きく取り上げる。すると本来ならば災害ボランティアは全国から集まって来る。ところが、ウイルス感染の防止から全国からの受け入れには慎重にならざるを得ない、ということなのだろう。

   しかし、ボランティアの被災地で作業は「3密」状態だろうか。マスクの着用を守ってもらい、 被災者との「濃厚接触」を避けてもらえばそれだけでよいのではないだろうか。被災地の近隣のボランティアだけは人数が足りない。ましてや、これだけ広範囲の水害となると近隣からは集まらないだろう。

   コロナ禍では、移動の自粛をめぐって意見の違いが交錯する。東京都の小池知事が、ほかの県への不要不急の移動を控えるよう呼びかけたことについて、コロナ対策の西村経済再生担当大臣は政府として移動の自粛は求めない考えを重ねて示した(同)。この意見の違いは、ボランティアにも当てはまる。被災地の復旧をサポートしたいというボランティアの気持ちを前向きに受け入れてはどうだろうか。

⇒7日(火)夜・金沢の天気   あめ

☆「ワード・ポリティクス」の女帝、2期目の難題

☆「ワード・ポリティクス」の女帝、2期目の難題

   選挙の争点は何だったのか。自身は都民ではないが、今回の東京都知事選をメディアを通して観察していて不思議を感じる。何しろ現職、小池百合子氏の得票率は59.7%である。小池氏の場合は2期目なので1期目で掲げた「セーフ・シティ」「ダイバー・シティ」「スマート・シティ」で掲げた27個の公約をどれだけ実行できたか、その評価が選挙の争点だろう。 

   「スマート・シティ」の公約にある「東京をアジアナンバーワン1の国際金融市場として復活。国際金融特区や税優遇を活用し、世界から企業や高度人材を呼び込む。英語による諸手続きが可能な環境を整備」は評価が高い。とくに、中国の国家安全法で揺れる香港の金融機関の移転先として国際的にも注目されている。先見の明があるのかもしれない。一方で、同じ「スマート・シティ」の公約にある「老朽廃棄物処理場の集約」は都議会で議論されたことがあるのだろうか。少なくともネットの検索ではその様子が出てこない。2016年7月の前回は得票率は44.4%だった。今回は15ポイントも増やしているので、総じて前回の公約は信任されたということだろう。

   得票率を15ポイント上げた、もう一つの要因が新型コロナウイルスの感染拡大にともなう数々の記者会見ではなかっただろうか。「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」、そして「東京アラート」などのカタカタ用語が会見で次々飛び出した。あえて報道陣の前でお披露目して、メディアが読者・視聴者向けに分かりやすく解説する。それが、都民だけでなく全国の注目を集めた。こうした言葉によって政治を動かすことを「ワード・ポリティクス」、テレビを意識した言葉の政治を「テレ・ポリティクス」と称したりするが、まさにメディアを巧みに利用する政治手腕ではある。

   1期目の当選では「ジャンヌ・ダルク」と自称したが、2期目で「女帝」を座を揺るぎないものにした。問題はこれからだろう。コロナ禍の休業補償に都の貯金とも言える財政調整基金9345億円のほとんどを使い、残りは807億円と言われる。都民の命と健康を守る新型コロナウイルスの感染症対策、築地市場の跡地問題、そして、オリンピック・パラリンピックの縮小開催か、パンデミックの影響でひょっとして返上か中止か、世界の耳目が集まる。これらの難題をどう乗り切るのか。(※写真は「小池百合子公式ホームページ」より)

⇒6日(月)午前・金沢の天気     あめ

★コロナ禍と東京都知事選

★コロナ禍と東京都知事選

   きょうは東京都知事選挙の投開票日だ。立候補者は過去最多の22人。きょう午後3時現在の投票率は23.9%、前回2016年の選挙より3.7ポイント低いとメディア各社が報じている。今回関心があるのは、誰が当選するかというより、開票をどのようにするか、だ。というのも、開票作業は「3密」そのものだ。しかも、このところ連日100人超えの感染者が出ている東京都だ。開票作業も慎重に行われる分、かなり遅れるのではないだろうか。

   開票作業が遅れる原因は3つある。一つは3密を避けるため、作業を行う都の職員は立ち位置の間隔を空ける。1人4平方㍍を確保するとして、職員はこれまで3分の2ほどではないだろうか。もう一つが、ゴム手袋を着用しての作業となるだろう。手袋は紙を扱う作業には向いていない。投票用紙そのものも特殊な素材ですべすべしているので、かなり手間取るのではないだろうか。

   3つ目が「疑問票」の処理だ。投票用紙に書かれた名前が読めなかったり、間違っていたり、関係のないことが記載されていることがある。この疑問票についてはチェックに時間がかかる。とくに、候補者陣営からのいわゆる「開票立会人」が意見を述べることができる仕組みとなっているので、今回のように22人の立候補者がいると立会人の数も多くさまざまな意見を言うことも想定されるので、票の確定まで相当な時間がかかるのではないだろうか。

   話は「当選確実」の報道に移る。おそらく午後8時00分にテレビ各社は一斉に「当確」の選挙速報をテロップで出すだろう。新聞のテレビ欄では、NHK総合は午後7時59分から「都知事選開票速報」として1時間の特番を組んでいる。「出口調査の結果は?夜8時ちょうどに速報」とわざわざ手の内を明かしている。

   それにしても、この表現では適切でないかもしれないが、現職の小池知事=写真は東京都公式ホームページ、3月25日の会見=は波乗りが上手だ。コロナ禍が収束するかに思えたが、東京を中心に第2波が来ている。現状で新人候補に投票する有権者は多くはないだろう。争点は一つ。この事態をはやく収束させてほしい、が都民の願いだろう。仮に投票率が過去最低であったとしても責められることもない。

   小池氏は前回公約として「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」を掲げ、元総務大臣の増田寛也氏=自民、公明など推薦=、鳥越俊太郎氏=民進、共産、社民など推薦=と戦って破った。孤軍奮闘のまさに、自ら称した「ジャンヌ・ダルク」のようだった。

⇒5日(日)午後6時00分・金沢の天気     くもり

☆ギャングのマスクから戦う愛国のマスクへ

☆ギャングのマスクから戦う愛国のマスクへ

   新型コロナウイルスの感染拡大でWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言(1月30日)を発してから157日になる。ジョンズ・ホプキンス大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)の最新版では感染者総数は1118万人、死者数は52万人に上る。中でもアメリカは現在でも増え続け、感染者数283万人、死者数12万人だ。テレビのニュースで報じられるアメリカの様子を視聴していると、WHOの緊急事態宣言が出されたころに比べ、マスク姿が断然多くなっていることに気づく。ウィズコロナの意識改革が浸透しているのだろうか。

   自身はもともとマスクは嫌いなタイプだった。コロナ以前は、マスクをしていると自らが病気をしていると他人に知らせるようなもので、弱々しさを感じさせると思っていた。また、マスクは顔を隠すためのものという印象もあった。 2019年12月30日にレバノンに逃亡したことで物議をかもしたカルロス・ゴーンが昨年3月6日、一回目の保釈で東京拘置所から出てきた姿は、青い帽子に作業服姿、顔の半分以上はマスクで隠していた。保釈金10億円を納付したのだから堂々と出てきて、記者会見をすればよかったのではないか、と。マスクは変装の道具というイメージだった。

   これは憶測だが、アメリカでもおそらくマスクと言えば、強盗ギャングの顔隠し、あるいはアメリカでヒットしたテレビドラマ『ER緊急救命室』の手術室でのマスク姿の医師たちの緊迫したシーンのイメージがあったに違いない。つまり、日常生活とはかけ離れた存在で、抵抗感もあったのではないだろう。

   それが一転、アメリカは1日で感染者が5万人を超える日もあり、外出時のマスク着用を義務化する州や都市が増えている。6月18日に義務化したカリフォルニア州知事は「経済を再開し、人々を仕事に復帰させるためのカリフォルニア州の戦略は、人々が安全に行動し、公衆衛生上の勧告を順守することによって初めて成功する。つまりフェイスカバーを着用し、手を洗い、物理的な距離を置くことが求められる」と述べている(6月18日付・ロイター通信Web版日本語)。コロナ禍と人類の社会活動と経済を共存させるためにマスクは欠かせない、好き嫌いではない義務だと、まるで「人類とコロナの共存のためのマスク宣言」のようだ。(※写真は、5月29日付・BBCニュースWeb版より)

   また、ニューヨーク州知事は「マスクの着用は戦いに参加していることを意味する。着用ほど愛国的なことはない」とツイートした(7月4日付・NHKニュースWeb版)。トランプ大統領も、自らも他の人と近い距離にいる時はマスクを当然着用すると述べた。ただ、マスク着用を全国的に義務化する必要はないとの考えを示している(7月2日付・ロイター通信Web版日本語)同)。もし、マスクが全米で義務化されれば、アメリカのマスクの歴史が塗り替わる。ギャングのマスクから、戦いのための愛国マスクへと。

⇒4日(土)夜・金沢の天気    あめ

★「マイバッグ」と「マスク」の両立問題

★「マイバッグ」と「マスク」の両立問題

   きょうからレジ袋の有料化が始まった。午前中、コンビニに入ろうとしてマイバックを忘れたことに気がついた。有料化のこの日に備え、コンビニ用の小さめのバックを用意していた。レジ袋を買い求めるか迷った。というのも、コンビニ弁当などを入れたレジ袋を持って職場に入れば、おそらく目線が注がれるだろう。「エコに関心がない人」と。マスクを着けずに職場に入ると感じる目線と同じではないだろうか。入ろうとしたコンビニの入り口に「プラスチック削減に向けて、マイバックのご利用をお願いします」と横断幕=写真=が掲げてあり、これにも気が引けて結局、何も買わず車に戻った。

   きのう(6月30日)ブログでレジ袋の有料化について書いた。メディア各社がどのように取り上げているかチェックしていて、気づいたことが一つある。新聞メディアは「マイバック」と表現し、テレビメディアは「エコバック」と称している局が多い。持参しましょうとの意味を込めているのが「マイバック」で、エコロジーに役立ちますよと意義を強調しているのが「エコバッグ」、ということだろうか。で、このブログではどうするか迷ったが、日常言葉で使っている「マイバッグ」とすることにした。

   そのマイバッグと新型コロナウイルスの関係性がよくない。随分前から近くのスーパーではマイバッグを持参して買い物をしてきた。レジで精算するときにマイバッグを出すと、店員が商品をダイレクトにバッグに入れてくれた。この便利さもあり、マイバッグを持参していた。

   様相が変わったのは、4月16日に感染防止対策として緊急事態宣言が全国拡大し、「特定警戒県」に石川が指定されたころだ。この頃から、マイバッグに買ったものを店員が入れてくれなくなった。「ご自身で入れてください」と。マイバッグは使い回すのでウイルス感染リスクが高く、店員は触れない、というわけだ。

   けさのNHKニュースで、アメリカやヨーロッパでレジ袋を無料で提供する動きが広がっていると伝えていた。アメリカ・カリフォルニア州は2016年、全米で最も早く小売店などでのプラスチック製レジ袋の無料提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋を10セント(日本円で10円余り)で販売する有料化の法律を導入した。ところが、客が持ち込むマイバッグで店員が感染するおそれが高まるなどとして、ことし4月、レジ袋などを無料とした。また、サンフランシスコでは客が再利用できるバッグやマグカップなどを店に持ち込むことそのものを禁じる行政命令を出した(7月1日付・NHKニュースWeb版)。

   レジ袋、つまりプラスチックの利用を減らすべきだという考えが日本でも根づき、法律上でも施行が始まったタイミングだけに、「マイバッグ先進国」欧米での逆行するトレンドには違和感がある。店員がマイバッグに触れなければよいだけのことで、コロナ感染をそこまで優先させるのは、神経質になりすぎではないか、と。ただ、マスク(ウィズコロナ)とマイバック(エコロジー)をどう両立させるか知恵出しする絶好の事例ではある。

⇒1日(水)正午・金沢の天気    くもり