⇒ニュース走査

★トランプ大統領、コロナショック

★トランプ大統領、コロナショック

   このニュースで驚いているのは中国かもしれない。ニューヨークタイムズは速報で伝えている。「Trump’s Virus Symptoms Appear Mild So Far」。新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領の症状は今のところ軽度だ、と。トランプ氏は陽性の検査結果を受けて風邪のような症状を呈している。マイク・ペンス副大統領と他の当局者は、陰性の結果を出ている。いよいよ、コロナ禍がホワイトハウスにまで攻めてきた。

   気になるのは感染ルートだ。ニューヨークタイムズは記事の中で「The Secret Service sustained a coronavirus outbreak at its training facility in Maryland in August, weeks before President Trump was infected, evidence of growing infections at the agency responsible for protecting the president.」と述べている。シークレットサービスは、トランプ氏が感染する数週間前の8月にメリーランド州の訓練施設でコロナウイルスのアウトブレイクを起こしており、大統領のガードに責任を持つ機関で感染が拡大していた。

   トランプ氏は自身のツイッター(2日付)で、「Tonight,@FLOTUS and I tested positive for COVID-19. We will begin our quarantine and recovery process immediately. We will get through this TOGETHER!」(今夜、@FLOTUS(大統領夫人)と私は、新型コロナウイルス感染症の検査で陽性と診断された。ただちに隔離と回復のプロセスに入る。共に乗り越えていく!)

   先月には「われわれはこの疫病を世界に振りまいた国、中国の責任を追及しなければならない。中国政府、そして事実上、中国に操られているWHOは、ヒトからヒトへの感染を示す証拠はないという偽りの宣言をした」(9月22日)と息巻いていた。今回、自身が感染したことで中国に対する矛先がさらに先鋭化していくのではないか。

   そして、あと1ヵ月後に迫ったアメリカ大統領選。対立候補のバイデン氏とのテレビ討論などはどう展開していくのか、目が離せない。

⇒2日(金)夜・金沢の天気     はれ

★「死なばもろとも」中国の不動産バブル

★「死なばもろとも」中国の不動産バブル

   中国のマンションの建設ラッシュはすさまじいと実感したことがある。世界農業遺産(GIAHS)の国際ワークショップで中国を訪れた2012年8月のことだった。降り立った上海市や会議が開かれた浙江省紹興市などは高層マンションが立ち並んでいた。見学ツアーで同省青田県の山あいの村でもマンション建設が進んでいて、新築マンションの看板がやたらと目についた=写真=。

   移動のバスの中で、中国人の女性ガイドに尋ねた。「なぜ山あいでマンションが建っているんですか」と。すると笑顔で答えてくれた。「日本でも結婚の3高があるように、中国でも女性の結婚条件があります」と。それによると、1つにマンション、2つに乗用車、そして3つ目が礼金、だとか。マンションは1平方㍍当たり1万元が相場という。1元は当時のレートで12円だったので円換算で12万円となる。1戸88平方㍍のマンションが人気というから1056万円だ。それに乗用車、そして礼金。礼金もランクがあって、基本的にめでたい「8」の数字。つまり、8万元、18万元、88万元となる。この3つの「高」をそろえるとなると大変だ。

   当時もマンションは投資対象になっていたが、ガイド嬢の話を聞いて、結婚の条件としてのマンション需要となるとさらにすそ野は広がると納得した。その中国のマンションの「不動産バブル」、最近異変が起きているようだ。

   中国の不動産大手「中国恒大集団」は今月7日から1ヵ月間、すべての不動産物件を30%値引きする方針を示し、ニュースになった。同社は同業他社との比較で多額の負債を抱えており、負債比率の削減を目指している(9月7日付・ロイター通信Web版日本語)。このニュースでいよいよ中国の不動産バブルは崩壊かとの印象も抱いた。そして、今月25日のニュース。中国恒大集団がデフォルト(債務不履行)の可能性について中国当局に警告した。同社が求める深圳上場を当局が認めなければ、中国の50兆㌦(5274兆円)規模の金融システムが動揺する恐れがあるとしている。中国恒大は広東省政府に宛てた8月24日付書簡で、資金不足を回避し、上場を確実にするために必要な再編案への支持を求めた。この書簡をブルームバーグは確認した(9月25日付・ブルームバーグWeb版日本語)。

   証券取引所に上場できなければ、破産するぞと脅しているとの印象だ。さらに、50兆㌦規模の中国の金融システムを揺るがすぞ、と。「死なばもろとも」だと。

   中国政府は2008年のリーマンショック後に、やみくもに成長を追い求めずに安定をめざす「新常態(ニューノーマル)」経営を企業に求めているが、常に投資が先行する不動産の場合は簡単ではないだろう。「3高」の結婚の条件が今でも変わっていなければ、買いのチャンスかもしれないが。

⇒28日(月)午前・金沢の天気    はれ時々くもり

☆爆破予告の犯人を推測する

☆爆破予告の犯人を推測する

   きのう23日午後0時40分ごろ、所用で小松市役所を訪れると、ものものしい雰囲気が漂っていた。正面玄関には警察官が数人いて、玄関を入ったロビーでは市の職員数十人が集まっていた。中には、相手の動きを封じ込める「刺股(さすまた)」を手にしている職人も数人いた。市役所の職員に尋ねると、「市役所に爆破予告があり、警察と協力して警戒態勢に入っています。愉快犯だとは思うのですが、それにしても度が過ぎます」と不快感をあらわにしていた。20日に市役所にメールが届き、「23日午後1時半に火薬を積んだトラックを市役所に衝突させる」などと記載されていた。

   地元新聞などメディア各社の報道をまとめると、爆破予告は小松市役所にとどまらず、石川県庁、七尾市役所や金沢市役所にメールで届いていた。県の行政相談ウェッブサイトには20日午後4時13分、「23日に金沢大学、金沢工業大学、市内の高校計9校、小中学校19校を爆破し、県庁や金沢市役所に火薬を詰め込んだトラックを衝突させる」といったメールが届いていた。同様のメールが届いた七尾市役所では、23日に市内の小中学校14校を臨時休校とし、市役所も午後1時から同2時30分まで閉鎖した。また、庁舎の出入り口には除雪用のトラックを並べて警戒にあたった。

   警察は威力業務妨害で捜査をしているようだが、メディアの報道を読むと、爆破予告に一つの特徴があることが分かる。その一つは、県庁、金沢市役所、小松市役所、七尾市役所にメールを送るということは、県内の地勢(金沢、加賀、能登)をよく知り尽くした「バランス感覚」の持ち主だということだ。これは、県外の人では思い浮かばないだろう。さらに、ずいぶんと大人だ。小松市役所に宛てた爆破予告メールでは、小松空港もその対象に入れているので、空港の利用経験があるのではないだろうか。爆破だけでなく、金沢市役所には給食調理場と浄水場への毒物混入、七尾市役所には水道施設への毒物混入も記載されていた。おそらく、犯人はそれぞれの市の浄水場の場所がどこにあるのを知っている人物ではないだろう。

   石川県の地勢と行政、交通インフラ、水道インフラなどを十分に理解した人物。それは、かなり限られてくる。連休中の20日にメールを出したということは、休日でメールがチェックされないことを知った上で、連休明けの23日に一斉に騒ぎが始まることを楽しみたかった。それも、金沢・加賀・能登と県内一斉に動揺する様子を。「騒ぎをプロデュースする感覚」の持ち主、いったい誰だろう。

⇒24日(木)朝・金沢の天気    はれ時々くもり

☆金沢悲喜こもごも、兼六園の間近で火の手

☆金沢悲喜こもごも、兼六園の間近で火の手

   金沢に住む一人としてうれしいニュースがあった。民間のシンクタンク「森記念財団都市戦略研究所」がまとめた政令指定都市など109の都市と東京23区を対象にした都市ランキングで、金沢市が前年より順位を一つ上げ8位となり、今年もトップ10にランクインした。金沢は「文化・交流」分野でイベントの開催数などの「ソフト資源」が高く評価され、また、「研究・開発」分野で金沢大学などの研究拠点の論文数なども評価さた(9月21日付・NHKニュースWeb版)。ちなみに、ランキングの1位は京都市、以下、大阪市、福岡市、横浜市、名古屋市、神戸市、仙台市と続く。大学が都市ランキングに寄与できたことはうれしい。

   一方で残念なニュースもあった。きのう21日午前中、兼六園と金沢城近くの道路を自家用車で通ると、車も人もとても多かった。連休中とあってマイカーでの観光客が多かった。そして、午後3時ごろ、消防車のサイレンがけたたましく鳴った。その時、大学の研修に参加していた。休憩時間だったので、スマホをチェックすると、「兼六園近くで火災」と。兼六園と大学は直線距離にして4㌔余りなのでサイレンがよく聞こえた。

   火災の現場は兼六園の桂坂近くの飲食店だった。金沢城に向き合った、いわば兼六園の正面入り口近くだ。午前中の観光のにぎわいを見ていたので、市民よりむしろ観光客が騒然となったことは想像に難くなかった。夕方のテレビを見ると、兼六園には直接的な被害はなかったが、園内に煙が立ち込め、逃げ惑う観光客が多く見られた。テレビ局のインタビューに「黒煙がどんどん押し寄せてきて恐ろしかったです」と、男性の観光客は汗をぬぐっていたシーンが印象的だった。

   政府の観光支援事業「Go To トラベル」がこのところ順調なだけに、今回の火災は金沢観光に水を差さしたのはないかと懸念している。「Go To トラベル」は1人1泊当たり1万4千円が上限の割引額があり、加賀温泉(山代、山中、片山津、粟津)や能登の和倉温泉の高級旅館がにぎわいを見せている。宿泊客の観光ルートが金沢であり、兼六園だ。また、来月からは東京発の「Go To トラベル」も解禁となるため、観光客は今後増えるだろう。

   今回の火災が全国ニュースとなっただけに、兼六園が敬遠されるのではないだろうかと案ずる。直接的な被害はなかったにせよ、多くの人は「兼六園火災」とイメージしているだろう。4連休最終日のきょうも通常通り開園している。

⇒22日(祝)午前・金沢の天気    くもり時々はれ 

☆「イチゴ農家の息子」 会見3213回の忍耐強さ

☆「イチゴ農家の息子」 会見3213回の忍耐強さ

   自民党の新しい総裁に選出された菅義偉氏は官房長官として記者会見に臨んだ回数は3213回に達したと報じられている。長官在職日数は歴代1位であり、会見回数もトップだ(9月14日付・時事通信Web版)。

   官房長官の会見は平日の午前、午後の定例会見と、大規模災害発生時などの臨時会見がある。有名な会見は令和の新元号を発表した2019年4月1日の会見だろう。会見には記者からさまざまな質問が飛ぶ。メディア業界でも有名なのは菅氏の「天敵」とも呼ばれる、ある新聞社の女性記者だ。記者は厳しい質問を繰り返しぶつけると、菅氏は正対せずに「指摘は当たらない」「承知していない」とあしらう。この繰り返しが続く。

    きのうが官房長官として最後の記者会見だった。「BuzzFeed News」(9月14日付)がその会見のコメントを記事として起こしている。最後のコメントだ。「報道陣:かなり質問させていただいたと思うんですが、こうした国民の疑問をですね、長官はどう感じてこられたか。率直な感想を教えてください」「菅氏この記者会見というのはご承知の通り、全く限られた中で10数名の記者の皆さんから様々の質問にお答えをするわけですから、なかなか納得のいくような説明はできないのかなということを常に気になりながら会見をしてきました。現実問題をかなり反映している、そういう質問だったという風に思います。ありがとうございました」。3213回の記者会見、継続はチカラなり。それにしても忍耐強い。

    では、海外のメディアは菅氏のことをどう伝えているのか。BBCニュースWeb版(14日付)=写真=は「Born the son of strawberry farmers, Mr Suga is a veteran politician.」(イチゴ農家の息子として生まれた菅氏はベテランの政治家だ)と紹介し、人柄として「精力的または情熱的な政治家とは見なされてはいないが、非常に効率的で実用的だとの評判がある」と伝えている。しかし、菅氏は、安倍総理の代表的な経済政策である「アベノミクス」を継続すると約束したが、新型コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックのもとでは、経済不振でさらに苦しむことになるだろうと予想している。

   それにしても、菅氏のことを日本のメディアは「農家の息子」と紹介しているが、BBCは「イチゴ農家の息子」と紹介しているところが、ヨーロッパ風ではある。あす16日の臨時国会で第99代の総理に指名される。

⇒15日(火)午前・金沢の天気   くもり

☆これは、解散・総選挙への「地ならし」か

☆これは、解散・総選挙への「地ならし」か

   「物議をかもす」という言葉がある。このブログでも時折使う。世の人々の議論を引き起こす、という意味で使っている。このごろの「物議をかもす」ニュースをいくつか。

   麻生副総理兼財務大臣がきょう13日、自民党総裁選を巡り、次期総理の下ですぐに衆院解散・総選挙が行われる可能性があるとの認識を示したと報じられた(9月13日付・共同通信Web版)。新潟県での講演で、次期政権は国民の審判を経ていないと批判されるだろうと指摘した。自身も2008年9月の総理就任後、時を置かずに解散したかったが、リーマン・ショックのためにできなかったと説明し、「タイミングは極めて大事だ」と強調した(同)。

   新型コロナウイルスの感染拡大の中で、自民党の総裁選では政治的な空白が起きないように全国の党員票は割愛して、国会議員票と各県連の票のみで総裁を決めるとの党の方針が決まっている。なのに、党の総裁選で選ばれ就任する次期総理は早々に衆院解散・総選挙に打って出るだろうか。新型コロナウイルスの感染拡が治まらない中で、国民の審判を仰ぐ以前に、国民の納得が得られないだろう。麻生氏の発言は総理経験者として自らの体験を話したまでと言えばそうかもしれないが。

   次期総理の下での衆院解散・総選挙については、河野防衛大臣も今月9日、アメリカのシンクタンク主催のオンライン形式の講演会で、「10月中にはおそらく行われると思う」と述べた(9月10日付・NHKニュースWeb版)。解散権は総理の権限であり、現職閣僚の立場にある人物の発言が物議をかもした。その2日後、河野氏は記者会見で「今後、口を慎むところは慎んでいきたい。言うべき人が言うべきものだと思う」と述べた(9月11日付・同)。

   ところが、政府関係者による衆院解散・総選挙の発言が相次ぐと、雰囲気づくりが意図的に行われているようにも思える。それをさらに裏付けするようなニュースもあった。

   政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(今月11日)が、11月末までの期限付きで、必要に応じて主催者らが参加者にマスクを配布して全員に着用させるなどの感染防止策を取れば、参加者らが大声を出さない環境が確保できる施設では収容人数いっぱいまでの入場を認めることを了承した(9月12日付・朝日新聞)。これは、うがった見方かもしれないが、全員がマスクをすれば立候補者による選挙集会も可能で、集会場も確保できるとの解釈もできる。

   次期総理の下での総選挙の「地ならし」が着々と進んでいるのか。

⇒13日(日)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆ホワイトハウスの請願サイトをチェックすると・・・

☆ホワイトハウスの請願サイトをチェックすると・・・

   ホワイトハウスへの請願サイト「WE the PEOPLE」を久しぶりにチェックした。すると、86万もの署名を集めてトップだったのが、「INDICT & ARREST Moon Jae-in for SMUGGLING the ChinaVirus into the US & ENDANGERING the national security of US & ROK!」(意訳:起訴し逮捕を。ムーン・ジェインはチャイナウイルスをアメリカに密かに持ち込み、アメリカと韓国の国家安全保障を危険にさらしている!)。ムーン・ジェインは韓国大統領の文寅在氏のことだ。2番目は「医療過誤と人道に対する犯罪のため、『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』への調査を求める」(署名数65万)だった。

   この請願サイトはオバマ大統領の時代、2011年に開設され当時から「開かれた政府」のシンボルとして注目された。たまにチェックしているが、過激な請願内容も多い。ただ、ほとんどがアメリカ国内の案件だ。ところが、韓国大統領の弾劾を求めた署名がこれだけ集まるとなると、アメリカにおける韓国への不信感が背景にあるのではないかと推測する。請願の提起者は、韓国愛国市民会議の教授を名乗っている。本文を読むと、最初に、新型コロナウイルスをアメリカに密かに持ち込んだ。2番目に、極東地域におけるアメリカのナンバー1の血盟同盟を不法に奪取して、同盟関係を脅かしている。3番目に北朝鮮や中国と共謀し、インド太平洋地域の地域安全保障を崩壊させるとしている。

   この請願文を読んで思い起こすのは、先月8月29日にグアムのアンダーセン空軍基地で河野防衛大臣とアメリカのエスパー国防長官の会談のことだ。テーマは東シナ海情勢・南シナ海問題、自由で開かれたインド太平洋を維持・強化、北朝鮮のたび重なる弾道ミサイルの発射に関連して経済制裁などの国連安保理決議の完全な履行を求め、引き続き日米が有志国と連携することを確認した(防衛省公式ホームページ)。この会談は北朝鮮問題もテーマとしていたので、本来、日米韓3ヵ国による防衛大臣会談が想定されていた。ところが、韓国側が欠席したため日米会談となった。韓国側は1週間前の22日に中国外交トップの党政治局員と会談し、習近平国家主席の早期訪韓などを確認している。こうした韓国の中国への政治的な配慮がアメリカでも報道され、物議を醸しているのだろう。

   この請願が立ち上がったのはことし4月23日なので、今後さらに米韓関係がこじれてくると署名数は増えてくる。ただ、ホワイトハウスがこの請願を受け入れるかはまったく別次元の話だが、アメリカ政府の意見を聞きたいものだ。

⇒11日(金)朝・金沢の天気    はれ時々くもり

☆番記者が手強さを感じる次の総理は

☆番記者が手強さを感じる次の総理は

   安倍総理の後継を決める自民党総裁選挙がきのう8日に告示され、石破茂、菅義偉、岸田文雄の3氏が立候補を届け出た。きょうの新聞各紙に党本部での演説会の内容と、その後の共同記者会見の発言要旨が掲載されている=写真=。記者会見の内容を吟味してみる。

   面白いは安倍政権へのそれぞれの評価だ。以下、発言順でコメントは一部を抜粋。菅氏「安倍政権の経済政策は私が引き継ぐ。客観的に見ておかしいことは見直す。文書改ざんは二度と起こしてはならない。謙虚に耳を傾ける」。岸田氏「経済政策や官邸主導、トップダウンで物事を決める姿勢は評価できる。一方で強力な権限は謙虚に使っていく姿勢が大事。説明責任をしっかり果たしていく姿勢は何より大事だ」。石破氏「地方や女性の潜在的な可能性を最大限に引き出すことはまだ不十分だ。森友、加計学園、桜を見る会はどの世論調査でも納得した人が非常に少ない。特定の人が利益を受けることを、政府がやっていいはずがない。要するに、えこひいきがあってはならない」

   菅氏と岸田氏は、いわゆる「モリカケ」問題ではそれぞれ通りいっぺんの回答だが、石破氏は突っ込んだ発言をした。「世論調査でも納得した人が非常に少ない」と。そもそも、石破氏は今回の総裁選そのものに批判的だ。「詐欺のような総裁選はやめるべき」と『週刊朝日』(9月11日号)で述べていた。記事を引用する。「現在、自民党は党員数の拡大を目指して総力を結集していますが、党員を勧誘するときのセールストークは『党員になれば、あなたにも自民党総裁を選ぶ選挙権があります』というもの。自民党総裁を選ぶことは多くの場合、総理大臣を選ぶことに等しい。その投票権があります、というのが一つのウリなんですね。いざとなったら、党員投票はやりませんというのでは、詐欺じゃないかと怒る党員もおられるのではないでしょうか」

   確かに、政治的な空白が起きるので、国会議員票と各県連の票のみで総裁を決めること自体が、「詐欺」に相当するというのは理にかなってはいる。うがった見方だが、石破氏はこのことを言いたいがために立候補したのではないだろうか。記者会見での「えこひいきがあってはならない」と主張しているのも、詐欺発言と文脈が連なるのではないか。

   もう一つ、国会と総理会見についてのそれぞれの発言だ。6月の通常国会の閉会後、2ヵ月半に安倍総理は記者会見を行わなかった。その是非について記者たちは問うた。

   最初に発言したのは石破氏だった。「メディアは国民を代表して聞いている。可能な限り、答えなければいけない。政治の義務だ」。菅氏「首相の国会出席は世界と比べて圧倒的に時間が多い。出席は大事なところに限定すべきだ。そうしないと行政の責任をなかなか果たせない。首相の会見については、官房長官が朝夕2回会見しており、内閣の方針は官房長会が責任をもって説明する」。岸田氏「記者会見は手が挙がらなくなるまで質問に答えるのが大事だ。首相の日程で限界があるのも事実だ。日本の首相の国会への拘束時間は先進国の中で桁外れだ」

   総理への記者会見は、権力者とジャーナリストの真剣勝負の場でもある。問題は、総理に聞くべきことを聞くことではないだろうか。時間の長さや回数の問題ではない。内閣全般のことであるならば、菅氏が述べた通り、「官房長官が朝夕2回会見しており、内閣の方針は官房長会が責任をもって説明する」でよいのではないか。

   ところが、メディアの記者たちはそれだけでは納得しない。総理が何を語ったことだけでなく、言葉や心のブレ、顔の表情、本音など心理的な変化も記者たちは読みたがっている。なので、あえて刺激的な言葉で質問したりする記者もいる。あるいは、国会議事堂や官邸で歩いている総理に「ぶら下がり」で質問をしたりする。上記の3氏の発言を読む限り、記者たちが本音をなかなか探れない人物とは誰か。発言を読んでも分かるように、実務肌の菅氏ではないだろうか。顔の表情を変えず、ブレない発言は石破氏や岸田氏に比べ、突っ込みどころがない。総理番の記者たちはすでに手強さを感じているかもしれない。

⇒9日(水)夜・金沢の天気    あめ

☆世論調査に表れた「判官びいき」の国民性

☆世論調査に表れた「判官びいき」の国民性

   きょう7日付の読売新聞に全国世論調査の結果が掲載されていた。それによると、安倍内閣の支持率は52%となり、前回調査(9月7、8日調査)より、15ポイントも上昇している。不支持率は38%と10ポイント下がっている。さらに、第2次安倍内閣の7年8ヵ月の実績を尋ねた項目では、「大いに評価」19%と「多少評価」55%を合わせると74%になる。自身の記憶でも、辞任表明後に支持率がこれほど上昇するのは異例ではないだろうか。それはなぜなのか。

   この傾向は読売新聞の調査だけではない。朝日新聞の調査(9月2、4日)でも、安倍内閣以降の7年8ヵ月間の実績評価は「大いに評価」17%と「ある程度評価」54%を合わせると71%となる。共同通信が実施した緊急世論調査(8月29、30日)でも、内閣支持率が56.9%と前回調査(8月22、23日)より20.9ポイントも増え、7年8ヵ月間についても、「ある程度」を含めて「評価する」が71.3%に上っている。マスメディア各社の調査では安倍内閣の実績評価は70%を超えているのだ。

   確かに、先月28日午後5時からのNHKテレビの生中継を視聴していて、自身もある意味でショックを受けた。8月上旬に持病の潰瘍性大腸炎の再発が確認され、安倍氏は「体力が万全でない中で政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはならない。総理の職を辞することにした」と述べた=写真=。拉致問題も憲法改正も北方領土もどれも道筋をつけられないままでの辞任表明。まさに断腸の思いだったに違いない。

   安倍氏の最大の功績は長期政権を築いたということに尽きるかもしれないと思っている。小泉内閣以降の2005年から短命政権が続き「7年間で7人の首相が誕生する」政治状況だった。当時は「回転ドア内閣」とも呼ばれ、総理の名前を覚える間もないほど交代劇が続き、日本のガバナンスや国際評価の足を政治が引っ張っていた。その意味で、7年8ヵ月続いた安倍内閣は政治の安定をもたらした。さらに、トランプ大統領と良好な関係を築きながら、アベノミクスで積極的な経済政策を推進し、女性の社会進出を拡大させた功績も大きい。

    「こころざし半ばで去ることになった人への判官びいきかもしれません」。安倍氏の辞任表明について書かれた知人からのメールの一文だ。おそらく、国民は声に出すほどのことではないが、7年8ヵ月の「最長の総理」をそれとなく心情的に評価しているということではないだろうか。「多少評価」55%(読売)、「ある程度評価」54%(朝日)といった、微妙な数字がその「判官びいき」ではないだろうか。ある意味で日本の国民性がシンボリックに表れた数字なのかもしれない。

⇒7日(月)夜・金沢の天気    くもり

★強烈な雨風、台風10号の緊張感

★強烈な雨風、台風10号の緊張感

   台風10号は925ヘクトパスカル、強烈な風と雨をともなって北上している。気象庁は6日午前11時50分、鹿児島県屋久島町に土砂災害や浸水害の危機が高まっているとして、記録的短時間大雨情報を発表した。レーダー解析によると、1時間に120㍉以上の猛烈な雨を観測している。 こうした事態を受け、政府は台風10号に備え、首相官邸の危機管理センターに設置している情報連絡室を官邸対策室に格上げした(共同通信Web版)。 

   鹿児島のローカル紙「南日本新聞」のホームページをチェックすると、台風10号の接近に伴い、鹿児島市正午、市内全域の危険な場所に住む13万5166世帯24万6251人を対象に避難指示を出した。長崎県五島市も午前10時、市内全域の1万9829世帯3万6392人に避難指示を出している。また、NHKニュースWeb版によると、直ちに危険な場所から全員避難が必要な警戒レベル4にあたる「避難指示」が午後0時30分現在で、長崎、熊本、鹿児島、沖縄の4つの県で合わせ16万8261世帯、30万8606人に出されている。

   国内の空の便は欠航が相次いでいて、沖縄県や九州南部の空港を発着する便を中心に、合わせて548便が欠航したり欠航が決まっている(NHKニュースWeb版)。九州新幹線は、熊本駅と鹿児島中央駅の間で、正午すぎから上下線で運転を取りやめている。また博多駅と熊本駅の間は、午後3時ごろから運転を取りやめる。いずれも7日は、始発から終日、運転を取りやめる。また、山陽新幹線は7日、博多駅と広島駅の間で始発から終日運転を取りやめる(同)。

    メディア各社のホームページをチェックしただけでも、台風10号に対するかなりの緊張感が伝わって来る。(※台風の進路予想図は気象庁公式ホームページから)

⇒6日(日)午後1時30分現在、金沢の天気  はれ