⇒ニュース走査

★コロナとナマズ 見えざる敵

★コロナとナマズ 見えざる敵

   手元のマスクが残りわずかになり、きのう金沢市内のドラッグストアを4軒回ったがどこも品切れだった。たまたま、文房具店に入ると、「ファッションマスク 1人5枚まで」とチラシが貼ってあった。ファッションマスクの意味を理解せず、5枚購入した。1枚162円。ネットで検索しても、ファッションマスクの意味がよく理解できない。商品の袋には飛沫予防、ポリウレタン素材で伸縮性があり耳が痛くなりにくいなどの説明書きがある。マスクとしての機能より、おしゃれ感覚で使う身につけるマスクという意味だろうか。

           新型コロナウイルスによる感染も怖いが、最近、日本列島の各地で頻発している地震も、大地震の予兆ではないかと不安心理に陥る。この一週間(今月20-26日)だけでも長野など中部、関東、東北、北海道で震度3から4の揺れが13回あった(気象庁公式ホームページ「地震速報」)。3月13日未明に能登半島の輪島で震度5強、金沢で震度3と身近に揺れがあり、神経が少々過敏になっているのかもしれない。

   ネット上で見つけた論文だが、「地震の前兆の可能性がある自然現象」(東北大学東北アジア研究センターの石渡明氏、2011年6月作成)の中で「ナマズなどの生態異常」という項目が目を引いた。以下一部引用する。

   「・・・1923年の関東大地震の前日に湘南の鵠沼海岸の池で、投げ網を用いて30 ㌢大のナマズをバケツ3杯分ほど漁獲した人がいた。ナマズは昼間は池の底に潜んでいるはずなのに、泳ぎ回っていて容易に捕獲されたことは、地震の前兆の何らかの刺激による異常行動かもしれない。関東大地震の直前に、向島の料亭において、池の水面から頻繁に小魚が跳び上がるのを見て、店の者に何という魚か聞いたところ、ナマズの幼魚で2~3日前からこのように跳ね上がっていて不思議なことだと答えたという。・・・」

   マナズと地震の関係性を最初に唱えたのは豊臣秀吉とされる。寒川旭著『秀吉を襲った大震災~地震考古学で戦国史を読む~』 (平凡社新書) に詳しい。1586年の天正地震。このとき秀吉は琵琶湖に面する坂本城にいた。湖のナマズが騒ぐと地震が起きるとの土地の人たちの話を聞いた秀吉は「鯰(ナマズ)は地震」と頭にインプットしてしまった。その後、伏見城を建造する折、家臣たちに地震対策をしっかりせよとの意味を込めた、「ふしん(普請)なまつ(鯰)大事にて候・・」と書簡をしたためている。この「なまつ大事にて候」の一文は時と所を超えて安政の江戸に伝わる。地震に怯える江戸の民衆は、震災情報を求めて瓦版や、鯰を諫(いさ)める錦絵=写真=を競って買い求めた。

   論文「地震の前兆の可能性がある自然現象」の中でナマズがバケツ3杯も獲れたとの話は、マナズと地震の口頭伝承がある江戸=東京であるがゆえに記録された日常の異変かもしれない。拡大解釈すれば、秀吉の「なまつ大事にて候」は人々に日常における危機意識を植えつけてくれた言葉と言えないだろうか。予兆を早めに察知する心構えや機転、情報共有をスムーズに伝播する知恵でもある。

   ところが現代人はメディアの発達によって、情報があれば危機意識を持つことは無用と思い込むようになったのではないだろうか。防災用語に「正常化の偏見」や「正常性バイアス」という言葉がある。目の前に危険が迫ってくるまで、その危険を認めようとしない人間の心理傾向、あるいは危険を無視する心理のことを指す。コロナ禍の緊急事態宣言の下でも、休業要請を無視するパチンコ店、そこに列をなす客。見えない敵への危機意識のなさは決して他人事ではない。自戒を込めての話だ。

⇒27日(月)午後・金沢の天気    はれ

☆コロナの新学期 学生たちの危機感

☆コロナの新学期 学生たちの危機感

          新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、金沢大学ではきのう危機対策本部会議を開き、4月22日から5月6日まで教職員は原則として在宅勤務とした。学生はすでに登学禁止なっており、履修科目のオンライン登録も20日からようやく始まった。講義は基本的には遠隔講義(リモート)となる。教員も慣れないリモート講義に右往左往の状態ではある。

   「大学クラスター」という言葉もあるように、大学から感染者を出さないためにとくに海外からの留学や旅行から帰国した学生、教員には厳格な対応が求められている。大学からのメールを以下引用する。「1.新型コロナウイルスに感染した者との接触があった学生、教職員等の対応 ⇒ 海外への渡航歴がある学生、教職員ならびに新型コロナウイルスに感染した者との濃厚接触歴がある学生、教職員等は全員14日間自宅待機し、健康チェックシートを記入して必ず健康観察を行ってください。自宅待機中に症状が出た場合は新型肺炎に関する電話相談窓口に速やかに電話連絡の上、医療機関を受診してください」

          逆に、この夏休みを利用して海外に短期留学を計画していた学生たちも計画が狂ってしまった。ある学生の話だと、イギリスに夏季留学を計画しその費用を金沢市内の居酒屋でのアルバイト代で賄おうと頑張っていた。ところが、アルバイト先が今月17日から時間短縮となり、「稼げなくなった」とこぼしていた。

   さらに同情すべきは就活に入った学生だろう。政府が今月7日に緊急事態宣言を発令してから、選考活動そのものを一時停止している企業も多い。「売り手市場」だったこれまでとは状況が一変した。別の学生は、3月下旬に東京のIT企業の説明会に参加を申し込んでいたが中止になった。「ひょっとして就職氷河期がまた来るかも」と学生は顔を曇らせた。

   1980年代のバブル経済が崩壊し、大手金融機関などが破綻した1993年から2005年にかけて、有効求人倍率は13年間「1」 を下回った。これが就職氷河期だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、またその兆候が見え始めた。厚労省が発表したことし2月の有効求人倍率は1.45倍(昨年同期は1.63倍)だった。経済活動が減速原則することを懸念して、企業の採用意欲が急低下している。今回の「1.45」は緊急事態宣言を発令する前の数字だ。しばらくは下がることはあっても上がることはない。どこまで下がるのか。(※写真は金沢大学の掲示板にあった厚労省のポスター)

⇒22日(水)夜・金沢の天気   あめ時々くもり

★続々々・ 「ポスト・コロナ」を読む

★続々々・ 「ポスト・コロナ」を読む

   これも新型コロナウイルスの感染拡大による影響だろう。ガソリン価格の値下がりが続いている。きのう(20日)自宅近くのガソリンスタンドで給油すると1㍑あたり123円(会員価格)だった=写真・上=。2月1日は1㍑141円、3月5日は136円だったので、月あたり10円ほど価格が落ちたことになる。ウイルス感染で政府や行政からの不要不急の外出自粛でリモートワークや「巣ごもり」の生活スタイルが広がっている。金沢の街中でも普段の半分もないくらいの交通量だ。もちろん、これは金沢だけの話ではない。

   ロックダウンによる国内外で人々の出入りが規制され、ガソリン需要は世界的に急減している。20日のニューヨークの原油先物市場で史上初めて価格が1バレル当たりマイナス37㌦になったと、メディア各社が大々的に報じている。需要減で在庫が増えて保管スペースがなくなり、買い手がつかないのだ。売り手がお金を支払って原油を引き取ってもらうという、通常では考えられない事態だ。これを受けて、同日のニューヨーク株式市場のダウの終値は先週末に比べて592㌦値下がり。21日の東京株式も午前の終値を310円下げた。

   パンデミックの需要減、出口の見えないガソリン価格

   ガソリン価格の値下がりで記憶に残るのはリーマンショックだ。2008年12月31日夜に撮影した金沢市内のガソリンスタンドの電飾看板は「レギュラー99円(会員価格)」だった=写真・下=。リーマンショック後に安全通貨として円が買われ、1㌦が90円から87円台まで円高に動いた、このときは「円独歩高」という状態で、輸出企業は苦しんだが、ガソリンのような輸入製品は安価になった。その後も、2010年のユーロ危機で円が買われ1㌦83円に、さらに2011年の東日本大震災で日本の保険会社が支払準備として海外資産を円に換えるとの観測が広がり、円高は1㌦76円へと急激に進んだ。こうした円高でガソリン価格が低迷した時期が長く続き、国内のガソリンスタンドの廃業が相次いだ。

   ところが、今回のようにパンデミックで買い手がつかないマイナス取引となると、国際商品市場での異常事態だけに経済危機のレベル感がこれまでとは異なる。サウジアラビアなど産油国による供給過剰も今回のマーケット崩壊の背景にあるだろう。でも、今回のマイナス取引は果たして石油に限った問題なのだろうか。ポスト・コロナの見えない出口がさらに世界経済への不安を煽る。

⇒21日(火)正午すぎ・金沢の天気      はれ

★コロナ恐慌 経済損失9兆㌦の衝撃

★コロナ恐慌 経済損失9兆㌦の衝撃

   金沢市内のデパートが臨時休業を始めた。正月休みなどと状況が違って、問題は再開の見通しは立っていないということだ。市内中心部の香林坊、日銀金沢支店と道路を隔て向き合っている「香林坊大和」=写真・上、左側の建物=はきのう14日から臨時休業に入った。きょうからはもう一つの市内中心部の武蔵にある「めいてつ・エムザ」が休業に入る=写真・中=。それぞれの地下の食品売り場は時間を短縮して営業を続けるものの、市内の中心部にあるデパートが臨時休業すると、見慣れた繁華街だけに心にぽっかりと穴が開いたような気がする。

   臨時休業は新型コロナウイルスの感染拡大で、13日に石川県が独自の緊急事態宣言を出したことに応じたもの。きのうは金沢市など県内で感染による死者が3人も出て全国ニュースになった。臨時休業の判断は正解かもしれない。

   一方で別の不安がよぎる。金沢は消費経済都市でもある。北陸3県からこれらのデパートや専門店街に買い物に訪れる。金沢だけではなく、国内デパート最大手の三越伊勢丹は首都圏の6店舗を8日から臨時休業している。政府の緊急事態宣言が解除されるまで続く。こうなると、地域の経済は、日本、世界の経済は本当に大丈夫なのかと思いを巡らしてしまう。

   IMFが最新の世界経済見通しを公表した(14日)=写真・下、IMF公式ホームページ=。それによると、2020年の成長率はマイナス3%との予測だ。リーマンショックどころではない。1930年代の大恐慌(Great Depression)以来の最悪の景気後退に陥るとの見方だ。世界が今年中にウイルスの封じ込めに成功し経済活動を再開させることができれば、2021年の世界の成長率はプラス5.8%まで回復する。ただ、事態は楽観できない。経済見通しをまとめたIMF調査局長は「パンデミック危機による2020年から21年の世界GDPの損失は合計約9兆㌦に達する可能性があり、これは日本とドイツのGDPの合計を上回る」(IMF公式ホームページ日本語)と述べている。9兆㌦、日本円にしてざっと965兆円の経済損失だ。

   調査局長はコメントをこのように締めくくっている。「世界がこの危機をともに乗り越えるためには、医師や看護師の方々と同じような勇敢な行動が、世界中の政策当局者にも求められている」(同)と。

  「今頑張っているのは医師と看護師だ、次は経済政策担当者の出番、心して行動せよ。世界経済を死なせてはならぬ」と叫んでいるのだ。IMFも必至だ。

⇒15日(水)朝・金沢の天気    はれ

☆命拾いしたイギリス首相のメッセージ

☆命拾いしたイギリス首相のメッセージ

   ヨーロッパで猛威をふるう新型コロナウイルス。アメリカのジョン・ホプキンズ大学のまとめによると、イギリスでは8万5200人が感染、1万629人が死亡した(日本時間13日午前9時時点)。BBCニュースWeb版(13日付)によると、イギリス政府科学顧問は「イギリスが欧州で最悪級の、下手をすると最悪の被害を出す可能性がある」と、番組で述べたと報じている。欧州では現在イタリアが死者1万9800人以上で最も多く、スペイン、フランスと続き、イギリスは4番目だ。

   イギリスの死亡者数は病院で確認された人数で、院以外での死者数を含んでいない。この数字を踏まえた上で、イギリス政府科学顧問は感染の第2、第3の波の到来は「おそらく不可避だ」と警告。治療法とワクチンの開発がされても、必要としている何百万もの人々に行き渡るには長い時間がかかるだろうと説明した(同)。

   暗い話ばかりのイギリスだが、朗報があった。集中治療室で入院していたボリス・ジョンソン首相が12日退院し、ツイッターを6日ぶりに更新した=写真=。「It is hard to find the words to express my debt to the NHS for saving my life.The efforts of millions of people across this country to stay home are worth it. Together we will overcome this challenge, as we have overcome so many challenges in the past.」(意訳:NHSには命を救ってくれたことへの恩義を表す言葉を探すのが難しい。この国で何百万もの人々が家にいる努力はそれだけの価値があるのです。私たちは過去に多くの難題を克服してきました、ともにこの難題を克服しましょう)

   動画では24時間つきっきりでケアしてくれた看護師2人の名前を上げて感謝している。命拾いした首相の丁寧な感謝のメッセージはむしろ国民、あるいは世界の人々に励みにもなっている。もうすでに1000万回も再生されている。

⇒14日(火)朝・金沢の天気   くもり時々はれ    

★ついに石川県独自に緊急事態宣言

★ついに石川県独自に緊急事態宣言

   ニュース速報が流れた。石川県の谷本知事は午後2時30分、県庁で記者会見し、新型コロナウイルスの感染者が増加していることから、県独自の緊急事態宣言を出した。宣言の期間は5月6日まで。知事は不要不急の外出や移動の自粛徹底を要請し、県外からの来訪自粛なども求めた。知事は「改めて危機感を共有し、社会全体が一致結束しなければならない」と強調した。県内では現在113人の感染が確認されている。

  石川県知事がこれほど危機感を持って対応したのは、金沢市の10万人当たりの感染者が15.3人と東京都の13.6人と比べて多く、全国トップとなっているからだ。市内のある病院では5人の感染者が出て、クラスター化している。8日付のこのブログでも記したが、病院の医師が岐阜市内のナイトクラブで感染したとされる。中日本高速道路グループ関連会社15人、市内の飲食店関連で11人、3ヵ所のクラスターで計31人だ。隣県の富山県の全体30人より多い。石川県知事の切迫感を察する。知事が会見で、東京都民に向けて「無症状の人はお越しいただければ。新幹線もあり、2時間半で来られる」と述べて話題となったのは先月、3月27日のこと。随分と「隔世の感」がある。

   話は変わるが、この時節にこのような予算配分をしたら、国民にとてつもなく不公平感を生むのではないだろうか。ウイルスの感染拡大で和牛の需要が落ちていることから、農林水産省は500億円の予算規模で和牛の販売に奨励金を出すなどして販売促進を図る、と報じられた(13日付・NHKニュースWeb版)。宴会など飲み会のキャンセルが続出し、和牛の需要が落ち込み、国内産牛肉の在庫が平年より6割増の1万4000㌧に増えているようだ(同)。

   今の閉塞状況は生産者だけが被害を被っているのではない。そこに生産者に500億円という数字が出てくると、数字が独り歩きをして、妬みややっかみがかぶさって、批判の矛先が生産者に向くことを懸念する。「国難」という状況下で特定の業種や生産者への助成金は意味がない。国民の不信感を増幅させるだけだ。

⇒13日(月)午後・金沢の天気     あめ

★疫病退散の祭りも中止に

★疫病退散の祭りも中止に

   新型コロナウイルスの感染者は、石川県で92人となった。人口10万人当たりの感染者で見ると、驚くことに北陸が多い。総務省が公表している最新の人口推計で割った「人口10万人当たりの感染者数」(10日午後5時現在)の都道府県別で最も多い東京が11人、福井10.6人、石川は8人の順となる。緊急事態宣言が出されいている大阪7人、兵庫・千葉5.7人、福岡4.9人、神奈川4.4人、埼玉3.9人より多いのだ。しかも、市町村別で比較すると、金沢市が14人となり、東京都の11人を上回る(11日付・NHKニュースWeb版)。地元の新聞メディアは石川県が独自に緊急事態宣言を出すのではないかと報じている=写真・上=。

   確かに、金沢に住んでいると、感染者は身近にいる。いつも利用しているタクシー会社の運転手や、近場の病院、そして職場の大学でも感染例が報告された。知人の話では、今月中ごろに金沢市内の病院で人間ドックを予約していたが、キャンセルされたという。受診者が陽性だった場合、内視鏡などの従事者へ感染する恐れがあるためとの説明があったという。すでに医療の現場が受診者を警戒しているのだ。知人は「次の予約の目途も教えてくれなかった」と憤慨していた。双方に疑心暗鬼が生じている。

   能登に住む知人からの一報だ。毎年7月初旬に行われる能登町の「あばれ祭り」が中止になるとの連絡だった。あばれ祭りは能登半島のキリコ祭りを代表する祭りだ。それを執り行うことを断念したということは、相当重い判断だったろう。

   あばれ祭りは、40基のキリコが繰り出し、広場に集まって、松明(たいまつ)のまわりを勇壮に乱舞するのが見どころだ=写真・下=。また、神輿を川に投げ込んだり、火の中に放り込むなど、担ぎ手が思う存分に暴れる。祭りは暴れることで神が喜ぶという伝説がある。江戸時代の寛文年間(1661-73)、この地で疫病がはやり、京都の祇園社(八坂神社)から神様を勧請し、盛大な祭礼を執り行った。そのとき大きなハチがあらわれて、病人を刺したところ病が治り、地元の人々はこのハチを神様の使いと考えて感謝した。それから祭りでは「ハチや刺いた」とはやしながら練り回ったというのが、この祭りのルーツとされる(日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」公式ホームページ、写真も)。

   日本、そして世界に元気がない。疫病を退散させる元気な祭りでコロナに打ち勝ってほしい。そう願うばかりだ。

⇒11日(土)午後・金沢の天気      くもり

☆コロナ感染、ニュースを巡る

☆コロナ感染、ニュースを巡る

  新型コロナウイルスに関するニュースが世界を交錯している。日本では詐欺が横行している。新型コロナウイルスの感染拡大に便乗したオレオレ詐欺(特殊詐欺)が横行している。ある金融機関がホームページで発生事例を公開している。息子に成りすました犯人から現金を要求され、被害者は銀行の窓口で犯人から指示された通りに「新型コロナウイルスの流行で外出できないので、まとまったお金を手元に置いておきたい」と説明して、多額の現金を引き出す。その後、受け子が息子の代理人を名乗って取りに行く、という手口だ。   

  巧妙なのは、今回の緊急事態宣言では東京都の対応案でも、銀行など金融機関や病院、薬局、コンビニ、スーパーマーケットなど「生活インフラ」に関しては営業休止の要請の対象ではない。すると、金融機関の窓口も社会的な使命感を持っているので、「新型コロナウイルスで外出できないので・・・」と言われるとその言葉に納得してしまうかも知れない。このご時世を読んだ騙しの手口ではある。

           イギリスではすでに7978人が死亡している。ボリス・ジョンソン首相が新型コロナウイルスの感染で集中治療室に入った(現地時間・今月6日)とのニュースからその後の様子が伝わってこなかった。55歳のジョンソン首相は酸素供給は受けているが、人工呼吸器を使っているわけではないという(現地7日付・BBCニュースWeb版)。

   集中治療室に入った日のツイッター=写真=ではこう述べていた。「Last night, on the advice of my doctor, I went into hospital for some routine tests as I’m still experiencing coronavirus symptoms. I’m in good spirits and keeping in touch with my team, as we work together to fight this virus and keep everyone safe.」(意訳:新型ウイルスの症状が続いているため、医師の助言のもと、定期検査のために昨夜入院した。私は元気で、このウイルスと戦い、皆さんが安全でいられるよう、引き続きチームと連絡を取り合っている)

   現地9日付のBBCは最新ニュースとして、「Boris Johnson out of intensive care」の見出しで、集中治療からは外れたと伝えている。はやくツイッターを更新してほしい。そのツイッターを読んでイギリス国民はひと安心するだろう。

   イタリアから痛ましいニュースが流れてきた。新型コロナウイルスで死亡した医師が105人に上った。イタリアの医師会連盟は声明で、「命を落とした医師の多くは開業医で、防護のための装備も十分ないまま新型コロナウイルスとの戦いに送られた」と述べ、哀悼の意を表した(10日付・NHKニュースWeb版)。治療の最前線に立つ医師がこれほど多くの命を落とすとは。

⇒10日(金)午前・金沢の天気    くもり

★In the pocket of China

★In the pocket of China

   新型コロナウイルスによる世界全体の感染者数が150万人を超え、死者は8万7000人以上となったと報じられている。そこで、WHOのホームページをチェックすると。8日のテドロス事務局長の記者会見の発言内容が掲載されていた。

「Tomorrow marks 100 days since WHO was notified of the first cases of “pneumonia with unknown cause” in China.It’s incredible to reflect on how dramatically the world has changed, in such a short period of time.」(意訳:中国で「原因不明の肺炎」の最初の症例がWHOに通知されてから、あすで100日目となります。 このように短期間で、世界がどれほど劇的に変化したかを振り返ると驚くべきことです)

   記者会見の冒頭のコメントだ。率直に違和感を感じた。1月下旬は中国の春節の大移動で、フランスやオーストラリアでも初めての感染者が確認されるなど世界的に感染拡大の兆しが見え始めていた。にもかかわらず、1月23日のWHO会合では、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を時期尚早として見送った。WHOが緊急事態宣言を出したのは1週間遅れの30日だった。中国以外での感染が18ヵ国で確認され、日本をはじめアメリカ、フランスなど各国政府が武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。なぜWHOは23日に宣言を見送ったのか、中国に配慮して「武漢ウイルス」を国際的に宣言するのをためらったのはないか、との疑念が残っていた。

   この会見の後、記者との質疑の掲載はないが、世界のメディアがその様子を報じている。アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルス感染症へのWHOの対応が「中国に偏っている」と批判していることについて、テドロス氏は「われわれは全ての国に寄り添っている」と述べ、特定の国への配慮などは行っていないと反論した(9日付・共同通信Web版)。

   テドロス氏の反撃もあった、トランプ大統領の名指しはしなかったが「さらなる死者の増加を望まないのであれば、政治問題化するのは、やめてほしい」と主張し「(WHOの)われわれも人間なので間違うこともある」としながらも、WHOが「最新のデータや情報、根拠などを世界に提供してきた」と、感染拡大防止に尽力してきたと訴えた(同)。言い訳がましさを感じないだろうか。

   テドロス氏の冒頭の会見の模様は、ユーチューブ動画で公開されている=写真=。批判のコメントが続々と。「WHO cannot be trusted in they’re in the pocket of China. Pathetic gentlemen, very sad state indeed.」(WHOは中国のポケットにいるため、信頼できない。哀れな紳士、確かに悲しい状態)

⇒9日(木)朝・金沢の天気     はれ

☆緊急事態宣言 今ここにある難局

☆緊急事態宣言 今ここにある難局

      7都府県とは言え、新型コロナウイルスの感染対策として緊急事態宣言が発令された。金沢大学でもこの3月に医学系の大学院を修了した30代男性の陽性が確認された。卒業後に研究室を訪問していたので、本人からの聞き取りで、接触した10人は現在自宅待機となっている(金沢大学公式ホームページ)。石川県内の感染者は51人ではあるものの、大学キャンパスに感染者が出たとなると、コロナウイルスがごく身近に迫ってきたと実感する。

           金沢市内の精神科の病院でも医師3人と患者1人の4人の感染が伝えられている。このうち30代の男性医師1人は3月26日にクラスターが発生した岐阜市内のナイトクラブを岐阜大学医学部附属病院の医師らと訪れていた。27日に金沢市に戻り、今月3日まで勤務していた。この間に他に医師2人と患者1人が感染したとみられる(8日付・北陸放送Web版)。これは心の隙間を突かれた感染事例だろうか。

   今月5日付のブログでテレビ番組がコロナウイルスの感染拡大に番組の制作を中断していると述べた。日本テレビも6日付のホームページで「新型コロナウイルス対策と番組編成指針について」と題して発表している。それによると、「現時点で安全確保が難しいと判断される番組の制作について本日(6日)から2週間の休止期間を設けることといたしました」と。

 制作を休止するのは、1)バラエティ番組のスタジオ収録、2)報道・スポーツ・情報番組以外(情報・制作局バラエティ部門)の番組のロケ、3)ドラマのスタジオ収録・ロケ、の制作活動。「出演者や社員・スタッフ、番組制作の全ての関係者の感染予防を最優先に考え、安全を確保したうえで通常通りの番組制作スケジュールを消化することは難しいという判断からです」と述べている。

 「未知」であり「見えない」ウイルスの脅威に対して、メディア事業者として対応する「番組編成指針」を以下記している。 ①「真実を伝え、生活者から信頼される報道・情報番組」の編成(公平・公正さを保ち、迅速・正確な情報を発信します)、②「豊かな時を提供し、生活者に希望と活力を届ける健全な娯楽番組」の編成(心に通う番組制作を心掛け、創造的で良質な娯楽を発信します)、③「学びの場を提供し、生活者の知見を広められる教育・教養番組」の編成(社会的良識に基づき、文化創造と社会貢献に繋がる教養を発信します)

  最後に「日本テレビは上記の番組編成指針、番組制作の基本姿勢のもと、社員・スタッフ一丸となり、社会的責任を果たし、日本の未来に貢献する番組制作に引き続き、邁進してまいります」と。この最後の一文を読んで、これは「対コロナ、メディア宣言」ではないかと思えた。5日付ブログで紹介した他のキー局とは違い、日本テレビはテレビ局として一丸となって今ここにある難局を乗り切る姿勢を打ち出している。

⇒8日(水)午後・金沢の天気    はれ