⇒ニュース走査

☆「人に忠誠を尽くさない」新韓国大統領の法治国家への道

☆「人に忠誠を尽くさない」新韓国大統領の法治国家への道

   韓国の新しい大統領に野党「国民の力」の前検事総長、尹錫悦(ユン・ソギョル)氏が選ばれた。韓国・中央日報Web版(10日付)=写真=によると、得票率は尹氏が48.56%、与党候補が47.83%で文字通りの僅差だ。票差にして24万7千票余り。投票率は、連日30万人の新型コロナウイルス感染者が出ているにもかかわらず、77.1%と高い。韓国の有権者はなぜ政権交代を選択したのか。そして、政治経験がまったくない尹氏に何を委ねたのか。
 
   メディア各社のこれまでの報道から印象的な尹氏のイメージは、権力に遠慮することなく司法の刃(やいば)を向けてきたことだ。朴槿恵(パク・クネ)政権下での「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」では朴前大統領を拘束起訴(2017年3月)。この実績により、文在寅(ムン・ジェイン)大統領によってソウル中央地検長に抜擢された尹氏はさらに李明博(イ・ミョンバク)元大統領も拘束起訴した。2019年6月に検事総長に任命されてから、矛先は文大統領の側近にも向けられた。曺国(チョ・グク)前法務部長官の捜査を手初めに、蔚山市長選挙介入疑惑、月城原発経済性ねつ造疑惑など次々と捜査のメスを入れた。曺氏の後任の秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官と対立して去年3月に辞職した。
 
   大統領から任命を受けても、権力と対峙した尹氏は「私は人(権力)に忠誠を尽くさない」という言葉を放って国民に知られるようなった。尹氏が大統領になることで期待されるのは、「法治国家」という共有の概念ではないだろうか。権力の不正や腐敗を正す法治である。司法、行政、立法の三権分立は日本では中学の公民の教科書にも出て来る。ところが韓国では大統領に権力が集中している。時々の政権の都合により法解釈が曲げられたりすることのない国であること、これこそ政治経験のない尹氏に国民が委ねたことはではないか。
 
   尹氏は選挙期間中、国際法や国際協定なども遵守する姿勢を打ち出した。とくに日米韓の安全保障の協力強化は、北朝鮮の核ミサイルに対する協調態勢を念頭に置いてのことだろう。さらに、冷え込んだ日韓関係の修復を図っていくと述べている。日本とすれば、日韓の戦後補償問題は「完全かつ最終的に解決された」と規定した1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みとの立場であることに変わりないが、「シャトル外交」を進めながら相互理解を再構築することはマストだろう。
 
   油断ならないのは北朝鮮の動きだ。文大統領の任期は5月7日までだが、政権運営としては実質的に何もできない「レームダック状態」に陥る。「日米より、こっちを向け」と韓国に何か仕掛けて来るかもしれない。そして、ことしに入って弾道ミサイルを9回発射している北朝鮮は新大統領めがけてどのような難題を放つのか。
 
⇒10日(木)夕方・金沢の天気      はれ

☆能登半島の尖端で頻発する地震の不気味さ

☆能登半島の尖端で頻発する地震の不気味さ

   3月は地震のイメージが強く残る。「3・11」の言葉で象徴される東日本大震災(2011年3月11日)はもちろんそうなのだが、さらに「3・25」の能登半島地震(2007年3月25日)と重なる。マグニチュード6.9、震度6強だった。本震の後、震度5弱の余震が続いた。能登には「2・7」もある。1993年2月7日にM6.6、震度5を記録した能登半島沖地震だ。積雪が残るこの時季は春を待つこともさることながら、どうしても揺れを警戒してしまう。

   きょうの夜中に知人からメールが入った。地震情報だった。「能登に大きな被害はないようだけれど、金沢も注意してください」と。「また地震か」と憂鬱な気分になった。きょう午前1時58分ごろ、能登地方を震源とする震度4の揺れを観測する地震だった。マグニチュードは4.8、震源の深さは10㌔、最も揺れたのは半島の尖端・珠洲市だった。金沢は震度1だったが就寝中で気がつかなかった。

   ウエザーニュース社の公式ホームページを確認すると、震度4に続く震度3の揺れは半島のほかに、富山県舟橋村、新潟県の長岡市と糸魚川市、上越市で、震度2や震度1の揺れは東北や関東など広い範囲に及んでいる=写真・上=。M4.8でこれほど広く揺れるとは。

   この地震の52分前の午前1時6分ごろにも震度3が、前日午後4時36分にも震度2がそれぞれ珠洲市で観測されている。珠洲市だけではなく、半島の先端では2020年12月ごろから地震活動が活発化していて、震度1以上の地震が2021年は70回、2022年はすでに18回発生している。

   中には不気味な揺れもあった。去年9月29日、日本海側が震源なのに太平洋側が揺れる「異常震域」という初めて聞く地震があった。震源の深さは400㌔、マグニチュード6.1の地震に、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した=写真・下=。この地震は大陸のユーラシアプレートに沈み込む海洋の太平洋プレートの内部深くで起きたとみられている。震源が深かったため、近くよりも、遠くが大きく揺れる現象とされる(9月29日付・朝日新聞Web版)。

   半島の尖端で何が起きているか、朝日新聞Web版(1月2日付)を引用する。「プレートには、海底下にあった時に岩石の隙間に入り込んだ海水や、鉱物の構造の中に含まれる結晶水と呼ばれる水がある。こうした水の多くはプレートとともに地球の地下深くに入っていくが、地下250㌔ほどから何らかの原因で分離し、十数㌔まで上昇した可能性が考えられるという」

   「マグマだまり」ではなく「水だまり」の可能性が指摘されている。その先例として、1965年8月から約5年続いた長野県の松代群発地震が指摘されている。地下深くから上昇してきた水が岩盤にしみ込み、岩盤の強度が下がって地震が起きたとみられる。このときは山が1㍍隆起したほか、水が噴き出す水噴火という現象もあった(同)。

   能登半島の尖端で水噴火があるとどうなるのか。周囲が海なので、どのような現象が起こるのか。

⇒8日(火)午後・金沢の天気      はれ

★反戦とロシアへ怒り込め「Peace!」IPC会長スピーチ

★反戦とロシアへ怒り込め「Peace!」IPC会長スピーチ

☆「原発占拠」と「注射器の投棄」不気味さ増すロシア

☆「原発占拠」と「注射器の投棄」不気味さ増すロシア

   おそらくロシアはこれをNATOやEUへの脅しに使ってくるのではないかと考え込んでしまった。メディア各社の報道によると、ウクライナ南部のクリミア半島近くにあるザボロジエ原発がロシア軍から砲撃を受け、占拠された=写真=。ウクライナにある15の原子炉のうち6基がザボロジエ原発に集中している。ザボロジエ原発が爆発すれば、チェルノブイリ原発の10倍の被害になるとして、ウクライナ側はロシアに即時停止を求めた。ゼレンスキー大統領はFacebookに動画を投稿し「もし核爆発が起きればみんなおしまいだ。ヨーロッパの終わりになる。ヨーロッパの即座の行動だけがロシア軍を止められる。ヨーロッパを核で破滅させるわけにはいかない」と危機感を露わにした(4日付・NHKニュースWeb版)。

   ロシア側はザボロジエ原発を占拠した理由について、原発に貯蔵されている使用済み核燃料や高レベルの放射性物質をウクライナが核兵器に利用する恐れがあると主張した。IAEAは原子力施設に対する武力攻撃は国連憲章、国際法などの原則に反すると声明を発表し、ロシアをけん制した。いまのところ、原発周辺の放射線量に変化はなく、ウクライナ側は火災は主要設備に影響していないとIAEAに報告した(同)。ロシアがザボロジエ原発を占拠したことで、ヨーロッパへの脅しに使ってくるのではないか。「いつでも爆破させるぞ」と。

   ロシアの不気味なニュースをもう一つ。石川県の地元メディアによると、能登半島の尖端付近の海岸に大量の注射器が漂着し、輪島市の海岸だけで625本が見つかった。包装用の袋にはロシア語の表記があった。注射器の長さは約10㌢で、針のついているもの、針だけ包装されているものもあった(4日付・北國新聞夕刊)。

   これまで島根や鳥取、兵庫、京都府の海岸でも似た注射器が見つかっている(2月28日付・共同通信Web版)。これだけ広域に漂着しているということは以下のことが推測できる。能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れ着く。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本海側の沿岸に流れてくる。とくに能登半島は突き出ているため、近隣国の漂着ごみのたまり場になりやすい。おそらく、ロシア、あるいはロシアから提供を受けた北朝鮮が沖合で廃棄した注射器ではないだろうか。見つかっているのはごく一部で、膨大な量の注射器が海を漂っているに違いない。

   ことし1月には能登半島の珠洲市の海岸で、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いた。船体にはロシア語が書かれていた。能登海上保安署は、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。ロシアは日本海でなぜ、どのような理由で射撃訓練をしたのか。実に不気味だった。

⇒4日(金)夜・金沢の天気     くもり

★詭弁を弄するロシア大使の手練手管

★詭弁を弄するロシア大使の手練手管

   「詭弁を弄する」とはこのことを言うのだろう。昨夜、BSフジの番組『プライムニュース』で、駐日ロシア大使のミハイル・ガルージン氏と元防衛大臣の小野寺五典氏が論戦を交わしていた=写真=。ガルージン氏は流暢な日本語で、「ウクライナの市街地を空爆しているかのようなビデオが流されているが、我々が攻撃しているのは軍事施設だけ」と述べ、ウクライナ第2の都市ハリコフの州政府庁舎などが攻撃を受けたことについて、「おそらくウクライナ軍による誤射です」と主張した。

   その後もガルージン氏はキエフのアパートへの攻撃について、「われわれの軍の専門家がウクライナのミサイルの誤射だったと確認した」と主張し、「ウクライナを占拠する意図は一切ない」と繰り返していた。小野寺氏は一つ一つ事実関係をもとにガルージン氏の主張を論破していた。それにしても、事実でないことをいろいろ理屈を付けて事実であるかのように語ることを「詭弁」と言うが、ガルージン氏の手練手管に言いくるめられる日本人もいるだろう。

   その一人が元総理の鳩山由紀夫氏ではないだろうか。今月1日付の自身のTwitterで、「同時にウクライナのゼレンスキー大統領は自国のドネツク、ルガンスクに住む親露派住民を『テロリストだから絶対に会わない』として虐殺までしてきたことを悔い改めるべきだ」「なぜならそれがプーチンのウクライナ侵攻の一つの原因だから」と書いて、ロシア寄りの論調がSNSで批判を浴びた。実は、駐日ロシア大使館の公式ホームページをチェックすると、先月10日にガルージン大使が75歳の誕生日(2月11日)を迎える鳩山氏を訪問したことが記載されている。ページの最後には、「元首相は祝辞に心から感謝していると述べました。また、ロシアとの統合後のクリミアの客観的な状況を日本国民に伝えるなど、今後も両国の交流の促進に積極的に協力する意向を示しました」と記されている。

   上記の文からは、ロシアがウクライナを統合するプロセスについて鳩山氏に説明し、鳩山氏は「国民に伝える」と述べたと読める。以下憶測だ。鳩山氏はガルージン氏の訪問を受けて、ロジックがありそうな同氏の温和な語りを聞いて、鳩山氏はそれを詭弁ではないかとは疑わなかったのだろう。なので、その語りの論調をそのままTwitterに上げた。鳩山氏は2015年3月にロシアが一方的に編入したクリミア半島を、外務省の訪問中止要請を振り切って訪れている。ガルージン氏とすれば、ハトにエサを与えるように、手なずけるのは簡単な人物と読んでいるのかもしれない。

⇒3日(木)午前・金沢の天気     くもり時々はれ

☆「Shame on you」渦巻くロシア非難

☆「Shame on you」渦巻くロシア非難

   きょうお昼に金沢市内の回転寿し店に入った。杖を突いて店に入って来たシニアの男性と付き添いの女性2人が横の席に座った。話し声が聞こえた。「ウクライナに攻め込んで好き放題に街を壊しとる。プーチンは許せん。この杖で叩いてやりたい」と。女性は「あまり感情的になると、また咳き込むから」となだめている。もう一人の女性も「ロシアに好き勝手させて、アメリカも国連も止められんのやね」と憤っていた。ロシアのウクライナへの侵攻への市民の怒りにも似た感情に気づかされた。

   メディアで連日報道されているこの侵攻は激しさを増している。ロシア軍の車列は首都キエフまで27㌔に迫り、きのう1日は同市内にあるテレビ塔などを攻撃したと報じている。テレビ塔の狙い撃ちは市民への情報通信を遮断することが目的だったのだろう。逃げ惑う市民の姿も映し出されていて、侵攻以降でウクライナから隣国ポーランドに避難した人々は41万人にものぼるという(2日付・NHKニュースWeb版)。イギリスのジョンソン首相は「ロシアは1945年以来、ヨーロッパで最大の戦争を計画している」と語った(2月20日付・BBCニュースWeb版日本語)。まさにその様相を呈している。

   キエフにある日本の大使館も一時閉鎖に追い込まれている。朝日新聞Web版(2日付)によると、外務省は大使館をウクライナ西部の都市リビウに移転すると発表し、「ロシアによる侵略が拡大し、首都キエフの情勢が極度かつ急速に緊迫化した」と説明した。在留邦人は先月27日時点で120人、その多くがキエフに在住している、

   ロシアがむき出しの軍事行動の理由にあげているのが、ウクライナ政府によるロシア系住民に対する「ジェノサイド(集団殺害)」から守るために国連憲章第51条が定める自衛権を行使するとの主張だ。駐日ロシア大使館のTwitterを読むと、あからさまな表現で日本とウクライナを非難している。27日に岸田総理がロシアへの追加制裁としてプーチン大統領の資産凍結について発表した。すると、28日の駐日ロシア大使館のTwitterでは、ウクライナ政府を「ナチス」にたとえ、支援している日本政府を非難している。「日本は100年も経たぬ間に二度もナチス政権を支持する挙に出ました。かつてはヒトラー政権を、そして今回はウクライナ政権を支持したのです」と=写真・上=。

   このTwitterには政治家も参戦している。ロシア大使館が同じく28日に「ソーシャルメディア上でロシアに対して情報戦が繰り広げられています。・・・ウクライナの民族主義者の犯罪を記録した映像や動画が、ロシアによるものであるかのように紹介されているのです」と。これに対し、河野太郎氏(元外務大臣、自民党広報本部長)は「Shame on you」(恥を知れ)と真っ向から非難のリツイートを行っている=写真・下=。庶民も政治家もロシアへの激しい怒りだ。

⇒2日(水)夜・金沢の天気  くもり

★「瀬戸際外交」「人質外交」 日米はどう向き合うのか

★「瀬戸際外交」「人質外交」 日米はどう向き合うのか

   ウクライナ情勢は一線を超えたのか。ロシアはウクライナ国境付近に13万人規模の軍部隊を配置している。戦車、大砲、医療施設、後方支援態勢などすべてがそろっている(2月15日付・BBCニュースWeb版日本語)。ロシアのプーチン大統領はウクライナを攻撃して侵攻するつもりはないと繰り返してきた。しかし、ついに21日、停戦協定を破棄し、ウクライナ東部で親ロシア派の武装分離勢力が実効支配してきた2つの地域について、独立を自称してきた「共和国」を承認。加えて、この2地域にロシア軍部隊の派遣を命令した。「平和維持」が目的だと、プーチン氏は言う(23日付・同)。

   ロシアのこの手法は2014年3月にウクライナのクリミア半島を併合したときと同じだ。クリミア半島にはロシア系住民が多くいたことから、ロシアは主権・領土の一体性を保障する国際法を無視して半島に浸出し、現地での住民投票でロシアへの編入を望む声が圧倒的多数だったとして半島を併合した。このとき、プーチン氏は演説で「9割以上がロシア併合に賛成したことは、十分に説得力のある数字だ」と述べた(Wikipedia「ロシアによるクリミアの併合」)。正当性がありそうな主張に聞こえるが、そもそも国際法違反だ。ロシアのむちゃぶりな「瀬戸際外交」だ。ロシアによるクリミア併合は認めないとする国連総会決議も採択されている。

   中国のケースは「人質外交」を狙っていると言えるかもしれない。NHKニュースWeb版(23日付)によると、 北京の日本大使館の職員が21日午後、北京市内で公務中に中国当局に一時的に拘束された。日本の外務省の事務次官は、中国の駐日臨時代理大使を呼んで、正当な公務中の拘束でありウィーン条約に明白に違反していると厳重な抗議を行った。これに対し、中国大使館は23日、報道官の談話を発表し「日本の外交官は中国でその地位にふさわしくない活動を行っており、中国の関係部門が法律に基づいて調査を行った。中国は日本側のいわゆる抗議を受け入れない」と反論した。

   日本も中国も批准しているウィーン条約では外交官が現地の国内法に違反していても逮捕を免れる「不逮捕特権」を認めている。おそらく、中国は一時拘束はしたものの、逮捕はしていないので条約違反ではないと言いたいのだろう。それにしても、中国側が大使館員の情報収集活動などの公務を逐一チェックしていることが明白になった。中国には「国家情報法」がある。11項目にわたる安全(政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核)を守るために、日本の大使館員がこうした関係者に接触した場合、重大な機密情報を盗み出す行為と解釈すれば長期の拘束もありうるだろう。

   以下憶測だ。先月21日、岸田総理はアメリカのバイデン大統領とテレビ会議方式で会談を行った=写真、外務省公式ホームページより=。両者は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、ウクライナ情勢について日米連携を確認した。これに対し中国は、日米は台湾に口出しするなと言いたいだろう。そして、駆け引き材料となるような「人質」を狙っているのかもしれない。
 
   そう憶測させる事件として、2018年12月に中国の通信機器「ファーウェイ」の副会長がカナダ当局に詐欺疑惑で逮捕された。その後、中国は国内にいたカナダの実業家と元外交官の2人をスパイ容疑で逮捕。2021年9月にファーウェイ副会長はアメリカに身柄の引き渡しが決まっていたが、アメリカとの司法取引に応じることで起訴猶予となり釈放。実刑が決まっていたカナダ人2人も釈放された。この事件、中国は「人質」を駆け引きの材料に、カナダとアメリカを相手に激しい外交協議を行っていたことは想像に難くない。

   ウクライナ、そして台湾海峡をめぐる情勢に、ロシアは「瀬戸際外交」を、中国は「人質外交」を駆使してくる。日米はどう向き合っていくのか。

⇒24日(木)午後・金沢の天気    くもち時々ゆき

★雪桜のような冬季五輪だったが

★雪桜のような冬季五輪だったが

   ふと見ると、満開のヨメイヨシノのようにも見える。落葉した桜の木に雪が降り積もり、まるで満開の桜のようだ=写真=。北陸では「雪桜(ゆきざらく)」と言ったりする。ネットで調べると、「雪降桜(ゆきふりのさくら)」という言葉もあった。雪が桜の枝に積もり、風が吹くとまるで桜が舞い散るように雪が舞う。さらに、「桜隠し(さくらかくし)」という言葉もある。桜の咲く頃に雪が降ることを表現する。風流な言葉ではある。

            雪桜のように冬に「満開の花」を咲かせたのが、北京オリンピックでの日本勢の活躍ではなかっただろうか。冬のオリンピックで最多となる18個のメダルを獲得した。金が3個、銀6個、銅が9個で、これまで最多だった平昌大会の13個を上回った。カーリング女子の決勝はイギリスに3対10で敗れ、銀メダルだったが、「氷上のチェス」とも称される理詰めの試合展開にはテレビで観戦する側も息をのんだ。そして、スノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢選手は難度の高い大技「1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)」を披露した。実況アナが「人類初めての公式戦での演技」と称賛していたのにも納得した。

   北京オリンピックをテレビで観戦していて、今ごろ気がついたことがある。それは、テレビのCMがなかったことだ。「がんばれニッポン」のCMを見かけなかった。平昌大会ではコカ・コーラやJALなどがCMを流していた。去年の東京オリンピックのとき、オリンピックの大口スポンサーでもあるトヨタは新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中での開催の是非について世論が割れていることを理由にテレビCMを見送り、今回の北京オリンピックでもCMを流していない。ウイグル族への強制労働など、中国の人権状況に対して「外交的なボイコット」を展開したことも背景にあるのだろうか。逆にCMを流せば、「東京で流さなかったに、なぜ北京で」とバッシングが起きたかもしれない。

   ともあれ、北京冬季五輪の17日間は幕を閉じた。開催国の中国は大会を盛り上げようと努力したが、前述の「外交的なボイコット」や新型コロナウイルスによる選手の「バブル」隔離、スーツ規定違反やドーピング問題や、ウクライナ有事などが複雑に絡んでいつの間にか幕を閉じた。次回オリンピックは2024年夏のパリ、26年冬のミラノ・コルティナダンペッツォだ。ここでも、「Baron Von Ripper-off(ぼったくり男爵)」こと、IOCのバッハ会長がしゃしゃり出て来るのだろう。IOCは公的な国際組織ではなく、非政府組織 (NGO) の非営利団体 (NPO)だ。そろそろ国連機関に所管を委ねるべきではないだろうか。

⇒21日(月)夜・金沢の天気      くもり時々ゆき

★「そだねー」が聞きたいカーリング女子決勝

★「そだねー」が聞きたいカーリング女子決勝

   昨夜は北京オリンピックのカーリング女子の日本代表「ロコ・ソラーレ」の準決勝の中継をNHK総合で視聴していた。相手のスイスには17日の予選リーグ最終戦で敗れていて、2日連続の対戦。見せ場は第5エンド。スキップ藤沢選手が相手のストーン2つを一気にはじき出すダブルテイクアウトを決め=写真=、日本側に試合の流れを引き寄せる。これが4点を奪うビッグエンドとなり、逆転の5対2に。その後も第6、第8、最終第10エンドにそれぞれ1点を加えて8対6で逃げ切った。

   カーリングにはまったく興味はなかったが、2018年の平昌オリンピックでロコ・ソラーレのメンバーたちが競技中に「そだねー」と声をかけ合っていたのが印象的で何度か見た。今回も競技よりもむしろ、「そだねー」が聞きたかったので、新聞のテレビ欄を見てチャンネルを合わせた。ところが、きのうの試合では「そだねー」が聞こえなかった。「ナイッスー」に変わっていた。なぜだろう。

   標準語だと「そうだね」だが、「そだねー」は「う」が抜けて、語尾が下がらない独特なイントネーションだ。北海道の北見市出身の選手が多く、北海道地方の独自の言い回しなのだろう。アスリートたちが自然に発した意思疎通のための地の言葉だが、初めて聴く視聴者にとっては新鮮で心が和み、ほっとする光景でもあった。

   ここからは憶測だ。北海道に住む人とそうでない人で、言葉で受ける印象に違いがあるのかもしれない。北海道の人たちが「そだねー」を聞けば、普段聞き慣れているだけに、「ウザイ」と感じた人がいたかもしれない。ましてそれが、テレビ中継されて全国に広まったことで、恥ずかしと感じた人もいたかもしれない。金沢でも似た意味の言葉で「そうながや」「そうしまっし」という方言がある。もし、金沢のアスリートたちが使い、テレビで全国に広まったとしたら、観光のキャッチで使えると喜ぶ人もいるかもしれないが、競技では別の言葉でモチベーションを上げてほしいとモノ申す人もいて、金沢で意見は2分するかもしれない。

   そう考えると、今回は「そだねー」は北海道の人たちの気持ちや、言葉の賞味期限ということを考えてチームとして使わないことにしたのだろうか。また、逆なことも憶測してみた。「そだねー」は世相を反映した言葉を選ぶ「2018ユーキャン新語・流行語大賞」で年間大賞に選ばれた。そこでチームとして2022流行語大賞を狙うため、あえて「ナイッスー」を使っているのかもしれない。

   金メダルをかけた決勝はあす20日、イギリスとの対戦だ。「ナイッスー」も悪くはないが、「そだねー」をもう一度聞きたいものだ。

(※写真は、民放テレビ局オリンピック公式競技動画配信サイト「gorin.jp」のカーリング 女子準決勝・日本×スイス戦 ハイライトより)

⇒19日(土)午前・金沢の天気      くもり

★聞き捨てならないニュース

★聞き捨てならないニュース

   聞き捨てならないニュースをいくつか。秋篠宮家の長男悠仁さまが書かれて受賞したという、「第12回子どもノンフィクション文学賞」(北九州市主催)の作品『小笠原諸島を訪ねて』がネットで掲載されているので読んだ。報道では、ガイドブック『世界遺産 小笠原』(JTBパブリッシング、2012年刊行)と一部文章が似ていて、コピーペーストではないのかと問題が指摘がされている。自身の手元にこのガイドブックがないので比較はできないが、悠仁さまの作品を読んだ感想を述べてみたい。

   この作文は悠仁さまが2017年、小学5年生のときに母の紀子妃と旅行された小笠原諸島の思い出を綴ったものと冒頭で記されている。執筆したのは中学2年のときで、「ノンフィクション文学賞」にふさわしく、事実関係がしっかりと描かれ、形容詞もほとんどない。なので、読み手の想像力を膨らませ、一気に読ませる。むしろ読んでいて、気になったのはこれが中学2年の文章表現と思うほど、大人っぽいのだ。

   たとえば、受賞作品集の77㌻にある、「あるものは海流に乗って運ばれ、あるものは風によって運ばれ、翼をもつものは自力で、あるいはそれに紛れて、三つのW、Wave(波)、Wind(風)、Wing(翼)によって、海を越えて小笠原の島々にたどり着き、環境に適応したものだけが生き残ることができました」という下り。海流、気象、生物に熟知したプロが表現するような文章との印象だ。さらに、「です」「ます」調なら少年らしいと読めるが、「でもあります」という表現も出てきて少々大人っぽい。文章表現だけでなく、ぜひご本人の言葉で小笠原諸島の旅の話を聞いてみたいものだ。

   総務省は放送制度について検討する有識者会議で、特定の事業者が多数の放送局に出資し、経営支配することを避ける「マスメディア集中排除原則」を緩和する方針を示した(16日付・共同通信Web版)。集中排除原則は表現の自由を確保することを目的に多くの企業に放送事業に参入する機会を与えるもので、ローカル局が別の局を経営することを原則として禁止している。地方局の経営環境が厳しさを増していることから、今後、東京キー局を中心とした持ち株会社が系列局を傘下に収めることになるだろう。

   そもそも、ローカル局には放送法で「県域」という原則があり、放送免許は基本的に県単位で1波、あるいは数県で1波が割り与えられている。1波とは、東京キー局の系列ローカル局のこと。現在は地方にいても、パソコンやスマホ、タブレットがあれば動画配信サービス「TⅤer」で東京キー局の番組を視聴できる。ローカル局は視聴されなくなるかもしれないという不安がローカル局にはある。テレビ業界における「ポツンと一軒家」化だ。マスメディア集中排除原則という理念そのものがすでに形骸化している。

⇒17日(木)夜・金沢の天気      あめ