⇒ニュース走査

☆スペクタルな能登が「里山里海国定公園」に

☆スペクタルな能登が「里山里海国定公園」に

   能登半島の海岸沿いには景勝地が連なっていることから、1968年に「能登半島国定公園」に指定されている。景勝地の特徴は大きく2つある。「外浦」と呼ばれる波風が荒い、千里浜海岸から能登金剛、曽々木海岸、木ノ浦、禄剛崎かけての西側エリアだ。禄剛崎は半島の尖端で、東側エリアに入ると「内浦」と呼ばれる波風が静かな、見附島や九十九湾、穴水湾、七尾湾、氷見海岸と連なる。まさに動と静が織りなすリアス式海岸の絶景だ。

   中でも自然のスペクタルショーを目にすることができるのは輪島市の曽々木海岸だ。秋の夕方、窓岩で知られる海に突き出た岩石の穴に夕日が差し込む。岩の穴と夕日がちょうど同じ大きさで、すっぽり収まったときは思わず拝みたくなるような神々しさだ=写真・上=。5分間ほどの光景である。

   前置きが長くなった。きょうの地元紙の朝刊は、海岸線が中心だった能登半島国定公園に内陸部の里山を含め広げる拡張候補地として選ばれたと、環境省の発表を報じている=写真・下=。その選定理由について、環境省公式サイト「国立・国定公園総点検事業フォローアップ結果について」(6月14日付)では以下のように記載されている。

「既存の国定公園周辺には、棚田や谷地田、塩田、まがき集落景観がみられ、気候や地形といった自然条件に適応した人の営みが里山の風景を形作っている。こうした人と自然との関わりが評価され、国内初の世界農業遺産に登録されている」「地域は昆虫類が豊富で、シャープゲンゴロウモドキをはじめとした二次的自然環境に依存する希少種も生息・生育し、生物多様性が高く、トキの本州最後の生息地であった」「これらの里山域は、隣接する既存の国定公園の風景を成す一体の要素と考えられる」

    能登半島は2011年に世界農業遺産(GIAHS、FAO国連食糧農業機関)に認定されていて、里山里海が一体化した風景は国際評価を得ているとの理由だ。生物多様性に富んだ能登では、ため池で見られるシャープゲンゴロウモドキなど希少種も多い。そして、本州最後のトキの生息地であったと記されている。ちなみに、本州最後のトキが絶滅したのは1971年、国定公園に指定されて3年後のことだった。

   今回の拡張候補地の選定によって、能登の里山里海そのものが国定公園化する。環境省は2030年度をめどに地元自治体とともにどの里山区域を指定するか作業を進める。今回の拡張候補地の選定で、環境省が進めている2026年度に向けた本州でのトキ放鳥の候補地としてさらに弾みがついたのではないだろうか。ブログ(6月12日付)でも紹介したコウノトリのひな3羽も能登で育っている。トキもコウノトリも国の特別天然記念物だ。人々に見守られて国定公園で羽ばたく日を楽しみにしている。

⇒15日(水)午後・金沢の天気    あめ

★「機を逸す」ヒトとコト

★「機を逸す」ヒトとコト

   手を打つべきときのタイミングを逃したのではないか。アメリカのダウ平均株価が800㌦を超える値下げを受けて、きょう14日の日経平均も前日に比べ一時630円安い2万6300円台に落ち込んだ(午前10時過ぎ)。円安も強烈で、きのう外国為替市場で1㌦が135円台前半まで下落した。メディア各社は24年ぶりの円安は、金融不安で「日本売り」に見舞われていた1998年以来と報じている。

   この円売りの背景として上げられるのが、日本とアメリカの金利の差だ。アメリカは物価上昇を抑えるためにFRBが大幅な利上げを行うとの見通しが広まり、日銀が超低金利政策を継続させていて、それぞれの金利差がさらに広がるとの読みから円売りドル買いが加速している。

   ロシアのプーチン大統領もウクライナとの停戦のタイミングを失ったようだ。愛国心に訴えて、ウクライナに侵攻したもののきょうで111日目。むしろ、プーチン氏に誤算が目立つ。日米欧による経済制裁や外資の撤退でロシア国内の経済と雇用環境が悪化することは目に見えている。ソ連崩壊後に匹敵する大打撃を受けることは現実味を増しているようだ。側近の中に、この侵攻にひと区切りをつける提案する人物はいなかったのだろうか。

★「国連軍縮会議」が吹っ飛ぶとき

★「国連軍縮会議」が吹っ飛ぶとき

   IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長の発言は国際世論を喚起する、ある意味で絶妙なタイミングだった。NHKニュースWeb版(7日付)によると、グロッシ氏は本部があるウイーンで理事会を開き、北朝鮮のプンゲリにある核実験場の坑道の1つが再び開いた兆候がみられると指摘した。さらに、記者会見で、その事実は衛星写真から確認していると明らかにし、「専門家の分析はこの活動は過去の核実験とも似ているというものだ」と核実験が行われる可能性に懸念を示した。

   IAEA公式サイト(6日付)=写真・上=にグロッシ氏のコメントが掲載されている。以下(意訳)。

豊渓里(プンゲリ)の核実験場では、おそらく核実験の準備のために坑道の1つが再開されたという兆候を観察した。核実験の実施は、国連安保理決議に違反し、深刻な懸念の原因となる。寧辺(ヨンビョン)のサイトでは活動が続いている。原子炉の運転と一致する継続的な兆候がある。ここにある放射化学研究所では、過去の廃棄物処理や維持管理活動中に観察されたことと一致する活動の兆候がある。遠心分離機濃縮施設の別館に屋根が設置されている。軽水炉付近では、2021年4月から建設中だった新棟が完成し、隣接する2棟が着工しているのが観測された。1994年に建設が中止された原子炉では、建物の解体と、他の建設プロジェクトで再利用される可能性のある一部の資材の移動が観察された。降仙(カンソン)複合施設と平山(ピョンサン)鉱山濃縮工場での活動の兆候が進行中だ。

   豊渓里では2006年10月9日に最初となる核実験が行われ、2017年9月3日までに6回行われている=写真・下=。長崎大学核兵器廃絶研究センター公式サイトによると、6回目のとき、北朝鮮は「ICBMに搭載可能な水爆実験に成功」と発表していた。核実験の地震規模としては最大でマグニチュード6.3(米国地質調査所)で、メガトン級の大規模な爆発威力だった可能性がある。今後北朝鮮がICBMに搭載可能なレベルにまで核弾頭を小型化させることは時間の問題である、と分析される。

   北朝鮮はこれまでICBMの発射実験を繰り返してきた。それに搭載する小型核弾頭が完成すれば、核・ミサイルによる打撃能力は完成形に近くづく。最高権力者としては、核実験を一刻も早く実施したいのではないか。NHKニュースWeb版(7日付)によると、アメリカ国務省のプライス報道官は6日の記者会見で、北朝鮮が核実験を行う可能性について質問され、「われわれは北朝鮮が近日中に7回目の核実験を行おうとしているのではないかと懸念している」と述べた。

   一方で、国連軍縮会議が今月2日、スイス・ジュネーブで開かれ、その議長国に北朝鮮が就いた。65ヵ国が参加して核軍縮などについて話し合うこの会議は、各国がアルファベット順に毎年6ヵ国が会期中持ち回りで4週ずつ議長国を務めていて、11年ぶりに北朝鮮が議長国となった。就任は5月30日付で、今月25日まで議長の座にある。

   開幕した軍縮会議で冒頭、G7を含む48ヵ国を代表してオーストラリアの代表が、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させていることについて「軍縮会議の価値を著しくおとしめる無謀な行動に深い懸念を抱く」と批判し、中国やロシアなどは北朝鮮を擁護する発言を行い、非難の応酬で実質的な議論は行われなかった。今回のIAEA事務局長の発言は北朝鮮批判に拍車をかけることになる。「議長国が軍縮の義務を破っている、議長の資格はない」として強烈なボイコットが運動が起きるかもしれない。さらに、この間に北朝鮮が核実験を行えば、前代未聞の事態となるだろう。軍縮会議の存在意義そのものがないとして解体運動へと展開するのではないか。

   そもそも、いま軍縮会議自体が機能不全に陥っている。1996年に包括的核実験禁止条約(CTBT)を採択したがいまだに発効されていない。国連安保理を含めて国連の矛盾が露わになってきた。

⇒7日(火)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆「デフォルト国家」のあがき:2題

☆「デフォルト国家」のあがき:2題

   ウクライナに侵攻しているロシアのプーチン大統領のこの発言は悪あがきの強弁ではないだろうか。BBCニュースWeb版(6日付)=写真=は「Ukraine war: Putin warns over Western long-range weapons」の見出しで、もし欧米諸国がキーウに長距離兵器を送れば、ロシアはウクライナで攻撃する標的のリストを拡大するだろうと、プーチン大統領が国営テレビのインタビューで警告したと報じている。

   もともと、欧米諸国のウクライナ支援は防衛を条件としている。アメリカは最大70㌔離れた目標に命中できる精密誘導ロケット弾を発射するシステム(HIMARS)を供与する計画だが、ロシア国内を攻撃しないという保証をゼレンスキー大統領から得た後で提供する。ドイツもロシア軍の空爆から都市全体を守ることを可能にする防空システム「短距離空対空ミサイル」を提供する(同)。

   BBCの記事を深読みすると、逆にロシアの国内状況が見えてくる。軍事侵攻はきょうで103日目だ。戦争の長期化で苦しくなっている。ロシア国債は国際金融市場でデフォルトとみなされており(6月2日付・NHKニュースWeb版)、金融市場での信用失墜で戦費の調達や軍隊組織そのものが行き詰まっているに違いない。ウクライナに進軍するも、道路に埋められた地雷をチェックする装備が不足しているため多大な損害が出ていて、派兵を拒否するロシア兵が増えている(5月23日付・同)。

   プーチン氏の強弁は国内の経済や軍内部の乱れへのあせりを反映しているのかもしれない。ロシアが脅威を受けた場合はその武器を供与した国を標的にするとは、偽旗作戦の格好の言い分だろう。確たる証拠がなくても、「ウクライナ軍がHIMARSを我が国に撃ち込んだ」とロシアが言い張れば、アメリカに対する攻撃の条件が整う。敵を新たにつくることで国内を引き締めるのは常套手段だ。

   きのう5日午前9時過ぎ、北朝鮮は弾道ミサイルを相次いで発射した。防衛省公式サイト(5日付)をチェックするとミサイルは少なくとも6発。落下したのは北朝鮮東側の沿岸付近および日本海であり、日本のEEZ外だった。きょうの北朝鮮の労働新聞Webなどを検索したが、その記事が見当たらない。5月25日にICBMを含む3発を発射しているが、これも国営メディアは報じていない。これまで発射の成功や核・ミサイル能力の開発を大々的に報じてきたのに、5月4日の弾道ミサイル発射以降は沈黙が続いている。この沈黙は何を意味するのか。

   前日4日に米韓合同演習が行われ、原子力空母「ロナルド・レーガン」が加わった。5日の弾道ミサイルはこれを牽制する狙いがあったとみられるが、それだったらなおさら公表するはずだ。おそらく、国家自体がデフォルト状態に陥っているのではないか。「建国以来の大動乱」と称される新型コロナウイルスとみられる発熱症状の拡大で国全体がロックダウンとなり、それにともなう食糧難と飢え。このような状況下にあるとすれば、国営メディアが弾道ミサイルを報じても、人々は「ミサイルより、食べ物よこせ」とあがき叫ぶだろう。最高権力者はそれが怖いのではないか。

⇒6日(月)夕方・金沢の天気    あめ  

☆いよいよ「少子化は国難」のステージに

☆いよいよ「少子化は国難」のステージに

   少子高齢化が進んだ地域集落でよく見かける光景、それは老人が買い物袋を携えて一人でとぼとぼ道を歩く姿だ。これを見て、健康のために歩いて買い物か、と前向きに考えなくもないが、なぜか後ろ向きに捉えてしまう。独り暮らし、高齢のため運転免許を返上、同乗して買い物に行く仲間はもういなくなった、バス運行の回数が少なくなった、地域にあった乗り合いタクシーが廃業してしまった。そして思うことは、これは日本の未来の光景ではないのか、と。

   きょうの各紙朝刊が一面のトップで、2021年に生まれた子どもの人数(出生数)は81万1604人で、前年より2万9231人(3.5%)少なく、明治32年(1899)に統計を取り始めて以降で最も少なくなったと、厚労省「人口動態統計」(3日発表)を報じている。1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は2021年は1.30で、前年を0.03ポイント下回っている。

   国立社会保障・人口問題研究所が2017年7月に発表した「日本の将来推計人口」では2021年の「合計特殊出生率」が1.42、出生数は86万9千人(中位)と算出されていた(4日付・朝日新聞)。実際は出生率1.30、出生数81万1604人だったので、少子化がさらに進んだと言える。新型コロナウイルス下で結婚や妊娠を控える傾向にあったことも想像に難くない。が、このままでは人口減少の加速に歯止めがかからない。

   少子化が進んだ原因は何だろう。厚労省「人口動態統計」をチェックすると、平成7年(1995)はもっとも多く出産した年齢は25-29歳だったが、同17年(2005)以降は30-34歳となっている。これは、女性の初婚年齢が高くなっているせいもあるだろう。ちなみに平成7年は26.3歳だったが、現在(令和2年統計)は29.4歳と3年余り「晩婚化」が進んでいる。

   さらに、夫婦とも仕事に就いていて、出産・子育てを両立させるには産休や育休の取りやすい職場環境やタイミングを見計らう必要もあるのだろう。そして、出産にかかる費用も考慮しなければならない。「出産育児一時金」は現在42万円支給されるのが、出産費用は増加傾向で「足りない」という声も周囲の人から聞いたことがある。共同通信Web版(5月26日付)によると、政府は出産育児一時金を増額する方向で検討に入り、今月中にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させるようだ。

   あのEV大手テスラの経営者、イーロン・マスク氏が5月8日付のツイッターで「Japan will eventually cease to exist.」と書き込み物議を醸した。出生率が死亡率を超える変化がない限り、日本はいずれ消滅する、それは世界にとって大きな損失だ、と。日本の総務省が発表した2021年の人口統計で、過去最高の64万4000人減少との記事についてのコメントだった。世界の著名人も注視する日本の少子化現象、いよいよ「少子化は国難」との位置付けで対策を打つべきときが来た。日経新聞など各紙が一面で取り上げることそのものに危機感が漂っている。

⇒4日(土)夜・金沢の天気    はれ 

★「針のむしろ」国連軍縮会議の議長国は北朝鮮

★「針のむしろ」国連軍縮会議の議長国は北朝鮮

        国連の会議がまた大荒れに。NHKニュースWeb版(3日付)によると、国連軍縮会議が2日、スイス・ジュネーブで開かれ、その議長国に北朝鮮が就いた。65ヵ国が参加して核軍縮などについて話し合う軍縮会議は、各国がアルファベット順に毎年6ヵ国が会期中持ち回りで4週ずつ議長国を務めていて、11年ぶりに北朝鮮が議長国となった。

   会議の冒頭、G7を含む48ヵ国を代表してオーストラリアの代表が発言し、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させていることについて「軍縮会議の価値を著しくおとしめる無謀な行動に深い懸念を抱く」と批判。日本の梅津公使参事官も「北朝鮮は大量破壊兵器や弾道ミサイル計画に資金を充てることで、すでに悲惨な人道状況をさらに悪化させている」と非難した。これに対して議長を務める北朝鮮の大使は「いかなる国も他国の政策を批判し、干渉する権利はない」と反発した。また、中国やロシアなどは北朝鮮を擁護する発言を行い、欧米や日本などとの間で非難の応酬となって、実質的な議論は行われなかった(同)。

   軍縮は国連の役割そのものだ。国連憲章は、総会と安全保障理事会の双方に具体的な責任を委託している。そして、軍縮条例をまとめるのが軍縮会議だ。これまで、核兵器不拡散条約(NPT、1968年)、生物兵器禁止条約(BWC、1972年)、化学兵器禁止条約(CWC、1993年)、包括的核実験禁止条約(CTBT、1996年)などの重要な軍縮関連条約を作成。国連総会で採択された。各国による署名と批准で発効するが、CTBTについては核兵器保有国を含む44ヵ国の批准が完了していないため、26年経ったいまでも未発効の状態だ。

   さらに、CTBT以降、軍縮会議は機能不全に陥っている。外務省公式サイト「ジュネーブ軍縮会議の概要」によると、軍縮会議の議題は「核軍備競争停止及び核軍縮」「核戦争防止(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約を想定)」「宇宙における軍備競争の防止」など8つあるものの、実質的交渉や議論をほとんど行っていないのが現状だ。

   条例を作成し、総会で採択されたものの、核保有国などが批准しないため未発効の状態が続いているが、北朝鮮は批准の前段階である署名すらしていない。さらに、ミサイル発射と核実験で国連安保理から制裁措置を受けていても、ICBMの発射を繰り返している。4週間の議長国とは言え、北朝鮮は今後も各国から突き上げられ、針のむしろだろう。

(※写真は、現地時間6月2日にスイス・ジュネーブで開催された国連軍縮会議。天井画はスペインを代表する現代芸術家ミケル・バルセロの作品「Room XX」=国連本部公式サイトより)

⇒3日(金)午後・金沢の天気   くもり時々はれ

☆「空間識失調」という自衛隊機の墜落原因

☆「空間識失調」という自衛隊機の墜落原因

   事故から4ヵ月、その原因が発表された。1月31日、航空自衛隊小松基地を離陸したばかりのF-15戦闘機が、西北西5.5㌔の日本海に墜落し、パイロット2人が亡くなった。戦闘機は「飛行教導群」と呼ばれる部隊の2人。戦闘機部隊を教育する任務に当たり、パイロットの中でも精鋭の2人だった。事故は、戦闘機から異常を知らせる無線連絡やパイロットが脱出する際に発せられる救難信号は感知されていない。一瞬の出来事だった。

   墜落の原因について、航空自衛隊公式サイトできょう2日付のプレスリリースが掲載されている。それによると、事故原因について、「(1)事故当時の気象・天象条件及び離陸直後の姿勢や推力の変更操作等の影響を受け、自らの空間識に関する感覚が実状と異なる、空間識失調の状態にあった可能性が高い」「(2)編隊長機を捕捉するためのレーダー操作等に意識を集中させていたため、回復操作が行われるまでは、事故機の姿勢を認識していなかった可能性がある」と2点をあげている。プレスリリースの添付されたイラスト=写真=では、墜落の11秒前に高度が低下し始め、墜落の2秒前になってパイロットは異常な姿勢から回復するための操作をしたものの間に合わず墜落した。

   気になるのは「空間識失調」という文字だ。Wikipedia「空間識失調」によると、「主に航空機のパイロットなどが飛行中、一時的に平衡感覚を失う状態のことをいう。健康体であるかどうかにかかわりなく発生する。機体の姿勢(傾き)や進行方向(昇降)の状態を把握できなくなる、つまり自身に対して地面が上なのか下なのか、機体が上昇しているのか下降しているのかわからなくなる、非常に危険な状態。しばしば航空機の原因にもなる」とある。

    2019年4月9日、航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが三沢基地(青森県三沢市)を飛び立ち太平洋上で消息を絶った。これについてもパイロットが「空間識失調」に陥り、墜落した可能性が高いとされている(同

   航空自衛隊では再発防止策として、空間識失調に関する教育・訓練を強化するほか、墜落しかけた戦闘機が自動的に回避動作をとるシステムの調査研究をするとしている(2日付プレスリリース)。

⇒2日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆重信房子と「あさま山荘事件」現場

☆重信房子と「あさま山荘事件」現場

   国際テロ事件を数々起こした日本赤軍の重信房子元最高幹部が20年の刑期を終えて28日、東京・昭島市の医療刑務所を出所した。「見ず知らずの人たちに被害を与えたことをおわびします」などと述べた。日本赤軍については2013年に解散を宣言しているが、現在もメンバー7人が逃亡している(28日付・NHKニュースWeb版)。

   日本赤軍の卑劣な手口は、ハイジャックや在外公館を武装占拠して人質を取り、日本国内で勾留中の日本赤軍の関係者を奪還する手法を取ったことだ。1975年にマレーシアのアメリカ大使館を襲撃し、あさま山荘事件(1972年)で逮捕された容疑者ら5人を超法規的措置で釈放させた(クアラルンプール事件)。77年には日航機をハイジャックし、連続企業爆破事件の容疑者ら6人を釈放させた(ダッカ事件)。その主犯が重信元最高幹部だった。

   ことし1月に南軽井沢の「あさま山荘事件」の現場を見に行った。1972年2月28日、連合赤軍が人質をとって立てこもっていた現場に警察機動隊が救出のために強行突入した。酷寒の山地での機動隊と犯人との銃撃の攻防、血まみれで搬送される隊員、クレーン車に吊った鉄球で山荘を破壊するなど衝撃的なシーンがテレビで生中継された。当時、自身は高校生でテレビにくぎ付けになって視聴していた。

   あさま山荘の現場が見える地に、犯人の凶弾に倒れ殉職した2人の警察官の顕彰碑「治安の礎」がある=写真=。「見ず知らずの人たちに被害を与えたことをおわびします」というのであれば、あさま山荘事件の現場に来て、この碑に手を合わせるべきではないだろうか。ただ、遺族の心情とすれば来てほしくはないだろう。

⇒31日(火)夜・金沢の天気     くもり

★ICBMが命中したカムチャッカ半島で今度は大噴火

★ICBMが命中したカムチャッカ半島で今度は大噴火

   気象庁公式サイトによると、きょう28日午後5時10分ごろ、ロシア・カムチャッカ半島のベズィミアニィ火山(標高2882㍍)で大規模な噴火が発生した。ウエザ-ニューズWebによると、噴煙は高度1万5000mに到達しているものとみられる。ベズィミアニィ火山は1955年以降たびたび規模の大きな噴火を起こしていて、近年も活発な火山活動を続けています。噴煙の高さのみで噴火の規模は比較できないものの、2019年3月にも今回と同程度まで噴煙を上げる噴火を起こしている。

   ウエザ-ニューズのツイッターはその噴火の様子の写真を掲載している=写真・上=。噴火もさることながら、写真の手前に富士山のような見事な山が見える。これはクリュチェフスカヤ山(標高4750㍍)。その後ろに隠れている山がベズィミアニィ火山のようだ。

   この噴火のニュースでふと連想したのは、4月20日にロシアがカムチャッカ半島にICBMを撃ち込んでいることだ。NHKやCNNニュースWeb版(4月21日付)によると、ロシア国防省は日本時間の20日午後9時すぎ、北部アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地の発射場から新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」を発射し、およそ5700㌔東のカムチャツカ半島にあるクーラ試験場に向けて目標に命中したと発表した。BBCニュースWeb版は「Russia releases video of intercontinental ballistic missile launch」と題して、ロシア国防省が撮影した「サルマト」の発射映像(43秒)を公開している=写真・下=。

   読売新聞Web版(4月21日付)によると、このICBMは射程1万1000㌔以上、重量200㌧を超える重量があり、10以上の核弾頭の搭載が可能とされる。弾頭部分をマッハ20(時速約2万4500㌔)で滑空飛行させ、既存のアメリカのミサイル防衛網での迎撃は困難とも指摘される。ロシア大統領府の発表として、プーチン大統領は「ロシアの安全を確保し、攻撃的な言動でロシアを脅かす人々に再考を迫るだろう」と述べ、ウクライナ侵攻を受けて対露制裁を科している米欧をけん制した。

   新型ICBMが命中し、そして大噴火。噴火は近年活発化していたようなので関連性はないようだ。それにしても極東のカムチャッカ半島がこれほど注目されるとは。

⇒28日(土)夜・金沢の天気    くもり  

★日本の「ゆでガエル」化を狙う隣国の軍事行動

★日本の「ゆでガエル」化を狙う隣国の軍事行動

   現代の世界の国家観を表現する絶妙な言葉ではある。「ならず者」と「ゆでガエル」。この2つの言葉を用いたのは、自民党の外交部会長、佐藤正久氏だ。元陸上自衛官で参院議員、テレビメディアの政治討論会でもよく見かける。FNNプライムオンライン(25日付)によると、きのうの自民党外交部会で、佐藤氏は24日の日米豪印によるクアッド首脳会合の最中に、中国軍とロシア軍の爆撃機が日本周辺の日本海や東シナ海、それに太平洋上空で長距離にわたって共同飛行したことについて、「ならず者国家」「常軌を逸した示威行動」と批判した。

   中露の軍事演習は当日午前から午後にかけて、中国の爆撃機「H-6」2機が、日本海でロシアの爆撃機「TU-95」2機と合流して行われた。また、ロシアの情報収集機「IL-20」1機が北海道礼文島沖から能登半島沖までの公海上空を飛行していることが確認された。これに対して、航空自衛隊は戦闘機をスクランブル発進させて監視を行った。中露による長距離の軍事演習は2021年11月以降で4度目となる(24日付・防衛省公式サイト「大臣記者会見」)。

   この中国とロシアの示威行動に対して、佐藤氏は「これはクアッド開催国の日本に対する当て付け・当て擦り以外の何ものでもなく、中国自らが力の信奉者、『ならず者国家』であることを示したようなものだ」と批判。そして、ウクライナ侵略の教訓として、「遺憾の意を示すだけでは国を守れない」との認識を示した(25日付・FNNプライムオンライン)。

   「ゆでガエル」発言が飛び出したのはこのタイミングだった。「日本はこうした常軌を逸した行動に対して単なる抗議だけではなく、国際法に基づいて毅然とした行動を示すべき段階に来ている。日本が『ゆでガエル』になっては絶対にいけない」。そして、「単なる抗議だけではなく毅然とした行動を示すべき段階に来ている」と述べ、自衛隊によるオホーツク海での訓練や台湾海峡の通過を実施すべきだと主張した(同)。

   「ゆでガエル」は、徐々に進む危機に気づかずに対処が遅れて命取りになる例えだ。確かにいまの日本をあり様を見渡すと、まさに「ゆでガエル」だ。尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域に中国海警局の艦船が連日来ているにもかかわらず、日本は「遺憾」を繰り返すだけだ。上記の中露の共同飛行でも両国に対し外交ルートで懸念を伝達しているが、佐藤氏が述べているような「毅然とした行動」は取らなかった。

   中国とロシアが日本周辺で軍事演習を繰り返す狙いの一つは、日本の「ゆでガエル」化なのだろう。日本の安全保障環境にあえて接近を繰り返すことで、緊張感を慣れへと持って行き、ウクライナ侵攻のように「偽旗作戦」を駆使して一気に領土に踏み込む。そのような思惑なのだろう。

   一方、23日の日米首脳会談で岸田総理は防衛費の増額を表明した。そして25日午後、航空自衛隊千歳基地のF15戦闘機4機とアメリカ軍三沢基地のF16戦闘機4機が日本海の上空で共同飛行を行っている。日本とアメリカが連携して対抗措置、すなわち隣国との「にらみ合い」を演じるステージに入った。ウクライナ侵攻から学んだ教訓でもある。

⇒26日(木)午後・金沢の天気      くもり