⇒ニュース走査

★不穏な中国の動き 反日を煽り、怒りをぶつける狙いは何か

★不穏な中国の動き 反日を煽り、怒りをぶつける狙いは何か

きょう午後3時ごろ、金沢の東の空を眺めると、雲行きが怪しくなっている=写真・上=。北陸では寒冷前線が通過する見込みで、夜遅くにかけて落雷や竜巻などの激しい突風、降雹(ひょう)、急な強い雨など大気が非常に不安定となるようだ(金沢地方気象台発表)。気象だけでない、中国の動向もとても不穏だ。

今月7日の衆院予算委員会で台湾有事について問われた高市総理が 「戦艦を使って武力行使を伴うのであれば、存立危機事態になり得る」と答弁した。翌日、中国の薛剣(セツ・ケン)駐大阪総領事が SNSで「汚い首は斬ってやるしかない」と投稿した (※現在は削除)。これがエスカレートし、中国政府は日本の治安への不安を理由として中国国民に日本への渡航自粛、留学の慎重な検討を求めた。また、中国大手旅行社は日本旅行の販売を停止。日本のアニメ映画などの中国上映も一部が延期。中国政府は19日に日本政府に対し、日本産の水産物の輸入を停止すると通達。さらに、スパイの摘発を担う中国の国家安全省は、日本人の摘発を念頭に取締りを強化すると発表した(メディア各社の報道)。

こうした中国のヒステリックとも思える反応に日本国内でもさまざまなネガティブな動きが出てきた。きょうの地元メディアによると、中国政府が国民に対して日本への渡航自粛を勧告したことを受けて、石川県の馳知事は記者会見(20日)で、中国・上海向けの誘客イベントを凍結すると発表した。ネットで影響力がある中国のインフルエンサーを招いて県内の観光スポットを発信してもらう予定だった。

そもそも中国が「反日」を煽り、日本に怒りをぶつける背景に何があるのか。以下自身の憶測だ。中国の経済は不動産不況に端を発して厳しい状況が続いているとの分析がさまざまにある。大規模なインフラの建設が経済発展を担った時代は終わり、人口が減少に転じる中でとくに地方は厳しい財政状況に直面しているといわれる。失業率も高いとされ、人びとの不満の矛先が中央政権に向かっても不思議ではない。その矛先を逸らす必要があった。このタイミングで日本の総理の「存立危機事態になり得る」発言が浮かんだ。さっそく中国側は中台が不可分であるとする「一つの中国」原則を日本が踏みにじったという宣伝を繰り広げ、対立を煽っている。

あえて外敵をつくることで文民を統制するノウハウは独裁的な国家ではよく見られることだ。その後はさまざまな外交カードを持ち出し、相手国に対し有利に決着を図ろうとすることもよくあることだ。ひょっとして、習近平主席から高市総理に和平会談が持ち込まれるかもしれない。両氏は先月10月31日に韓国・慶州で会談を行ったばかり=写真・下、外務省公式サイト「日中首脳会談」より=。もし、実現すれば、習氏は国内経済の苦境を訴え、日米首脳会談(10月28日)でトランプ大統領と約束した5500億㌦(約84兆円)とされる巨額な対米投資を、「ぜひ中国にも」と詰め寄ってくるかもしれない。根拠のある話ではない。

⇒21日(金)夜・金沢の天気   くもり

★「台湾有事」めぐる総理答弁 中国は反発の意志表示を次々と 

★「台湾有事」めぐる総理答弁 中国は反発の意志表示を次々と 

国会(今月7日)で台湾有事について問われた高市総理が 「戦艦を使って武力行使を伴うのであれば、存立危機事態になり得る」と答弁した。翌日、中国の薛剣(セツ・ケン)駐大阪総領事が SNSで「汚い首は斬ってやるしかない」と投稿した (※現在は削除)。これがエスカレートし、中国政府は日本の治安への不安を理由として中国国民に日本への渡航自粛、留学の慎重な検討を求めた。また、中国大手旅行社は日本旅行の販売を停止。日本のアニメ映画などの中国上映も一部が延期に。そして、きょう(19日)中国政府は日本政府に対し、日本産の水産物の輸入を停止すると通達した(メディア各社の報道)。

水産物の輸入停止は2度目だ。2023年8月の福島第一原発の処理水放出以降、停止されていた。今月5日にようやく輸入が再開され、北海道産のホタテの中国への輸出が始まっていた。それが再び停止となる。むしろこれは中国側の日本に対する強い意志表示なのかもしれない。ここまで来ると、中国の次なる一手は「官製デモ」ではないだろうか。

2012年9月に日本政府が沖縄県の尖閣諸島を国有化する手続きをとると、その数日後に北京などで大規模な抗議デモが繰り返された。「日本製品ボイコット」を叫びながら日系スーパーをことごとく襲い商品を略奪する。「反日無罪」を叫びながら日本の自動車メーカーの車を焼き、日系ディーラーの建物を破壊する。日本料理店を襲った。当時、テレビでその様子を見ていたが、現地の反日デモは単なる暴徒にしか見えなかった。

中国の身勝手な行動はこれまでも繰り返されてきた。南シナ海はオレのものとばかりに島々に軍事基地を造るなどして実効支配。さらに「中国は一つ」なので台湾はオレのものとばかりに、軍事演習と称して台湾周辺や日本のEEZ内に弾道ミサイル11発を放った(2022年8月4日)。そして、「尖閣諸島はオレのもの」と領海侵犯を重ねている。中国のこうした身勝手な行動の背景にあるのは、中華は天下(世界)の中心という「中華思想」なのだろう。脈々と受け継がれるこの思想には「国境」という発想がない。

この中華思想を明治期に指摘したのが、福沢諭吉だった。『脱亜論』を唱え、専制的なアジアの政治制度に限界を感じて見限った。彼は言った。「悪友を親しむ者は、共に悪名を免(まぬ)かる可(べか)らず。我れは心に於いて亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」(鈴木隆敏著『新聞人福澤諭吉に学ぶ』)。当時の日本は民主国家ではなかったが、それでも中国などアジアの近隣国の政治体制は古臭く、嫌気を感じたのだろう。

このところの一連の中国の動きに日本人も再び嫌気を感じ始めている。そのうち中国が「沖縄もオレのもの」と言い出す日がやってくるかもしれない。

⇒19日(水)夕・金沢の天気  くもり

☆横綱・大の里「4日目の鬼門」を突破 クマ対策にきな臭さ

☆横綱・大の里「4日目の鬼門」を突破 クマ対策にきな臭さ

JR金沢駅の入り口の観光案内所では、石川県の郷土力士の等身大パネルが設置されている。きのう駅に行くと、パネルが入れ替わっていた。横綱の大の里と十両の輝はそのままだが、元小結の遠藤が引退したため外れ、新入幕で前頭の欧勝海が加わった=写真・上=。パネルを眺めていると、やはり大の里には貫禄がある。その大の里はきのう「4日目の鬼門」を振り払って、九州場所を4連勝とした。前回の秋場所の4日目で平幕の伯桜鵬に土俵際で突き落とされ、初黒星を喫していた。大関に昇進した昨年の九州場所以降の6場所で4日目は1勝5敗だったので、鬼門は今回で2勝5敗となった。

話は変わる。このところクマ出没が金沢でも相次いでいる。石川県ではことしのクマの出没件数は336件(今月11日時点)で、このうち金沢市内では50件ほどになる。先日11日午後6時35分ごろ、金沢市の山手に近い銚子町で体長1㍍ほどの1頭を目撃したと住民から行政に出没情報が寄せられた。このため、市職員と警察署員のパトロールを行った(地元メディアの報道)。銚子町は付近に北陸大学があり、金沢大学とも近い。金沢大がある角間キャンパス付近では「クマ注意」などの看板が掲げられている=写真・下=。通学する学生たちの間でも緊張感が漂っているのではないだろうか。

全国各地でクマの被害が相次ぐ中、きょう(13日)から警察官によるライフル銃を使った駆除が可能となる。クマの駆除をめぐっては、特殊な銃の用途について定めた国家公安委員会規則の一部が改正された。生活圏に出没したクマを対象に、警察官によるライフル銃を使った駆除が目的となる。ただ、警察庁は原則としてハンターに依頼するこれまでの運用は変わらないとしていて、緊急時に限った運用となる。

警察庁では被害が深刻な秋田県と岩手県に、テロなどの対応にあたる「銃器対策部隊」の機動隊員を派遣し、地元の猟友会からクマの特性を学ぶなどして準備を進めてきた。その上で警察庁は、全国の警察本部に通達を出し、クマの駆除を実施するための体制を確立するとともに、市町村長と緊密に連携し、ライフル銃の使用にあたっても十分な意思疎通を図るよう指示した。

ここまで来ると単なる獣害の域を超えている。テロ対策とまで言わないが、きな臭さを感じる。

⇒13日(木)午後・金沢の天気   くもり

☆能登で演じ、演出した俳優・仲代達矢氏死去

☆能登で演じ、演出した俳優・仲代達矢氏死去

俳優の仲代達矢氏が亡くなった。40年前に、主宰する無名塾の合宿場所を能登半島の中ほど位置する七尾市中島町に設け、同町で造られた能登演劇堂では、自ら演じ、演出を行ってきた。能登半島地震の復興に想いを寄せ、ことし5月と6月に能登演劇堂で演じた『肝っ玉おっ母と子供たち』が最後の舞台となった。このブログでは仲代氏が演出した『等伯~反骨の画聖~』について書いている。以下再録。                

織田信長や豊臣秀吉が名をはせた安土桃山時代の絵師、長谷川等伯は七尾で生まれ育った。その等伯をテーマとする演劇『等伯~反骨の画聖~』が2023年10月に能登演劇堂で上演された。無名塾と市民キャストによる合同公演で、演出は仲代達矢氏。鑑賞に行ってきた。

感想から先に言えば、京都で画壇の一大勢力となっていた狩野永徳らの狩野派に、能登からやってきた等伯が挑み、名刹の障壁画や天井絵などを手掛けて狩野派の壁を破っていく。下剋上の戦いを制したかと思ったときに、親交があった千利休が切腹を余儀なくされ、跡継ぎの長男・久蔵が病で亡くなる。その後に古里である能登の風景の『松林図屏風』を渾身の想いで描く。松林図屏風に等伯が込めた想いとは何だったのか。強風に耐えて細く立ちすくむ能登のクロマツの林に、等伯は自らの心を重ねたのだろうか。等伯の人生ドラマはここで終わる。

演出を担当した仲代氏は松林図屏風を描いた等伯の心情をこう表現している。「天下一の絵師となるために政りごとに阿(おもね)るかのような、世俗に仕えた彼の一面を見るような気がするのである。とは言え、彼はその世俗に流されることなく、彼自身の独自の世界を切り拓いていった。それは、松林図屏風に象徴されるように、世の中の動きとはっきり一線を画した、彼の孤高の世界だったように私には思えるのである」(『等伯~反骨の画聖~』公式パンフレットより)

等伯が「松林図」を描いたのは1594年、56歳のころだった。その後、大徳寺や南禅寺で襖絵を手掛け、僧侶の地位である「法眼」に叙せられる。時代は江戸幕府へと移り、家康の命だったのだろうか、72歳で江戸に向かうも発病。到着して2日後に亡くなったと伝えられている(同)。墓は等伯が上洛し身を寄せた京都市上京区の本法寺にある。

                    ◇

仲代氏はことし2月に等伯生家の菩提寺である七尾市の本延寺で営まれた等伯の四百十六回忌法要に参列している。このとき、能登との縁で演出した等伯の人生ドラマに自らの人生を重ねていたかもしれない。享年92歳。(※写真は、能登演劇堂公式サイトより)

⇒11日(火)夜・金沢の天気    くもり

★選挙通じ組織固めか 旧統一教会元会長が金沢市長選に出馬へ

★選挙通じ組織固めか 旧統一教会元会長が金沢市長選に出馬へ

しばらく鳴りを潜めていた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が再び動き始めた。きょう5日付の石川県の新聞メディアによると、来年3月の任期満了に伴う金沢市長選に、旧統一教会の元会長の徳野英治氏(70歳)が立候補の意向を固め、今月10日にも記者会見し、正式表明するという。韓国の前の政権との癒着疑惑で旧統一教会トップの韓鶴子総裁が逮捕・起訴され、また、日本では解散命令の是非が東京高裁で審理されている=写真、3月26日付の各紙=。このようなタイミングで元会長の金沢市長選への出馬の狙いは何なのか。

徳野氏はある意味で危機管理が強みのようだ。金沢の高校時代に入信し、その後、2008年に11代会長に就任する。統一教会の霊感商法が社会問題となり、2009年2月に警視庁の摘発を受け複数の教団信者が逮捕されるという事件があった。このとき、徳野氏は記者会見で謝罪し、「コンプライアンス宣言」を発した。コンプライアンス宣言以降は捜査機関による検挙はなかったものの、霊感商法は止まっていなかった。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、1987年から2021年までの霊感商法による「被害件数」は3万4537件で、「被害総額」は約1237億円に上る(Wikipedia「全国霊感商法対策弁護士連絡会」より)。

さらに政治家とのネットワークづくりにも長けている。徳野氏が2012年から13代会長(2020年まで)となり、2016年6月、当時の安倍総理から首相官邸に招待されていたとの報道もあった。双方が反共産主義の立場を共有していて、教会側が党候補者の選挙支援などを行っていた。自民の議員秘書の中には信者が入り込んでいるなどと、新聞メディアなどで報じられたこともある。

教団の実力者である徳野氏が金沢市長選に出馬する狙いは何だろうか。以下、あくまで憶測だ。それは、旧統一教会トップの韓鶴子総裁が逮捕・起訴され、また、日本では解散命令の是非が東京高裁で審理されていている中で、動揺する信者の気持ちを引き締めたいとの思いがあるのかもしれない。おそらく、徳野氏の立候補がきっかけとなり、各地で旧統一教会の幹部の出馬が続くかもしれない。選挙を通じて信仰を訴え、組織内を引き締めていく、そんな新たな布教の手段だろうか。あるいは、宗教法人の解散を見越して政治団体化を狙っているのか。

⇒5日(水)午前・金沢の天気   くもり

☆建築家の坂茂氏が「文化功労者」に 能登復興への美学と使命感 

☆建築家の坂茂氏が「文化功労者」に 能登復興への美学と使命感 

前回ブログの続き。取り上げる順番は逆になったが、政府は2025年度の文化勲章・文化功労者を発表した(10月17日)。その中で能登の国際芸術祭や震災復興と関わってきた建築家の坂茂(ばん・しげる)氏が文化功労者に選ばれている。坂氏の能登での仕事の一端を初めて見たのは、能登半島地震の前年2023年5月5日に震度6強の揺れが起きた珠洲市を訪れたときだった。以下再録。

同市に入ったのは10日後の5月15日だった。家屋などの被害が大きかった同市正院町を歩いていると、横から声をかけられた。市長の泉谷満寿裕氏だった。金沢大学の教員時代に同市との協働プロジェクトを手掛けたことが縁で、これまでも声をかけていただいていた。そのときに、「バンさんのマジキリがすごいので見に行かれたらいい」と。「バンさんのマジキリ」の意味が分からなかったが、「それはどこにありますか」と尋ねると、近くの公民館にあるとのことだった。

さっそく行ってみると、公民館は避難所となっていた。スタッフの人が案内してくれた。実際に見てみると、避難所でつくられた個室パーテーションだった=写真・上=。説明によると、坂氏は被災した人々にプライバシーを確保する避難所用の「間仕切り」の支援活動を行っていて、同市にも震災後にいち早く間仕切りが寄贈された、とのこと。間仕切りは木製やプラスティックなどではなく、ダンボール製の「紙管」を使ったもの。カーテン布が張られているが、プライバシー確保のために透けない。中にあるベッドもダンボールだ。坂氏は1995年の阪神大震災を契機に災害支援活動に取り組んでいて、このような「バンさんのマジキリ」を開発したようだ。

坂氏はその年の秋に同市で開催された「奥能登国際芸術祭2023」では、日本海の絶景が見渡せる丘の上に長さ40㍍、幅5㍍の細長い建物「潮騒レストラン」を造った=写真・中=。一見して鉄骨を感じさせる構造だが、よく見るとすべて木製だった。ヒノキの木を圧縮して強度を上げた木材を、鉄骨などで用いられる「トラス構造」で設計した日本初の建造物という。日本海の強風に耐えるため本来は鉄骨構造が必要なのかもしれないが、それでは芸術祭にふさわしくない。そこで、鉄骨のような形状をした木製という稀にみる構造体になった。まさにこの発想はアートだと感じ入った。

もう一点。2024年元日の最大震度7の能登地震で同市では坂氏が監修した仮設住宅が整備された=写真・下=。木造2階建ての仮設住宅は木の板に棒状の木材を差し込んでつなげる「DLT材」を積み上げ、箱形のユニットとなっている。地元県産のスギを使い、木のぬくもりが活かされた内装となっている。観光名所でもある見附島近くあり、外装の色合いも周囲の松の木と妙にマッチしていて、まるで海辺のリゾート地のような雰囲気を醸し出していた。

建築を通じて社会貢献をしていきたい、社会課題を解決していきたいという提案型の作品をつくり続ける坂氏の美学、そして使命感が伝わってくるようだった。

⇒4日(火)午前・金沢の天気   はれ

★漫画家の永井豪氏に「秋の叙勲」 ふるさと能登復興への想い

★漫画家の永井豪氏に「秋の叙勲」 ふるさと能登復興への想い

きょう3日付で秋の叙勲受章者が発表された。芸術文化の分野で漫画家の永井豪氏に旭日小綬章が贈られることなり、新聞メディア各社が報じている。永井氏は能登半島の輪島市出身で、朝市通りにあった「永井豪記念館」の名誉館長をつとめていた。このブログで何度か永井氏と能登の関わりを述べているので、受賞のお祝いの気持ちを込めてまとめてみる。以下再録。

今から43年前に自身は新聞記者として輪島支局に赴いた。当時の永井豪氏の作品のイメージは、『ハレンチ学園』などギャグ漫画や、『デビルマン』などテレビアニメ作品だった。地元の人たちは永井氏が輪島出身ということを知ってはいたが、当時それを土地の自慢話として語る人はほとんどいなかった。むしろ、ローマオリンピックなどで銀メダルを獲得した競泳の山中毅選手の話はよく聞いた。

その後、地元での評価が一転したのは日本のアニメが海外で大ブームとなり、永井氏の『UFOロボ グレンダイザー』などがヨーロッパで人気を博したことだった。こうなると地元輪島でも世界の漫画家として評価が高まった。輪島市役所は2009年に「永井豪記念館」の設置へと動いた。永井氏は2019年、フランス政府から芸術文化勲章「シュバリエ(騎士)」が贈られた。これがきっかけで永井氏のアニメ作品は地元の美術館などでも展示されるようになった。永井豪記念館へは、インバウンド観光の見学者が増えるなど、観光スポットの一つにもなっていた。

その記念館は去年元日の能登半島地震で朝市通り一帯が焼けて、ビルも焼け焦げた=写真、2024年3月10日撮影=。展示してあったアニメ原画や一部のフィギュアなどの展示物などは無事だった。その後、ビルは公費解体で撤去された。永井氏と所属プロダククションは輪島市と石川県にそれぞれ1000万円、計2000万円の義援金を贈っている。永井氏は「漫画はつらいときこそ、力になって希望を満たすことができる。漫画を描くことで『前に進もう』というメッセージを伝えたい」と語っていた(2024年1月25日付・読売新聞オンライン)。

去年5月29日、永井氏は石川県の観光大使の委嘱を受けた。「復興支援も続けていきたい」と述べ、永井豪記念館の再開にも意欲を示した(同6月1日付・同)。ことし6月にも輪島市役所を訪れ、ロボットアニメの金字塔でもある『マジンガーZ』の作品を寄贈している。この際、行政とタッグを組んで永井豪記念館の再建を具体化してはどうか。能登復興の先進事例になるのではないだろうか。

⇒3日(月・祝)金沢の天気   くもり時々あめ

☆日本企業に期待寄せる対米投資 トランプ大統領「私に電話を」

☆日本企業に期待寄せる対米投資 トランプ大統領「私に電話を」

それにしても総理就任から1週間で日本にとって最も重要な日米外交を高市総理はこなし切ったイメージだ。会談に関する共同文書は作成しなかったが、ことし7月の日米関税合意で約束した巨額投資の履行と、レアアースなど重要鉱物の供給と確保に向けた協力の2つの文書に署名した。署名は実行を約束したことになる。中でも気になるのが、5500億㌦(約84兆円)とされる巨額な対米投資の内容だ。メディア各社の報道(29日付)によると、すでに国内の21社が名乗りを上げているようだ。

首脳会談に合わせ日米両政府はきのう(28日)「日米間の投資に関する共同ファクトシート」を発表した。ファクトシートは事業主体の候補企業と事業内容をまとめたもの。内容は、①原子力発電などのエネルギー、②AI向けの電源開発、③AIインフラの強化、④重要鉱物などーの4分野で21件のプロジェクトが掲げられている。このうち、事業費が明記された16件の総額は3931億㌦(約60兆円)だった。(※写真・上は、日米首脳会談で署名された合意文書を掲げる高市総理とトランプ大統領=28日付・総理官邸公式サイトより)

以下、日経新聞(29日付)ならびに読売新聞(同)の解説記事=写真・下=から以下、引用する。トランプ大統領は日米首脳会談、ならびにアメリカ軍横須賀基地での原子力空母「ジョージ・ワシントン」の乗艦の後、駐日米国大使館の公邸で、投資を名乗り出ている日本の企業経営者らと夕食会を開いた。その時の演説で、「途方もない富と安全保障を太平洋の両岸にもたらす」「もし物事がうまく進まなかったら私に電話してほしい。他の閣僚を差し置いてでも、私が対応する」とアピールした。このコメントを読んで、トランプ大統領は政治家というより、やはり投資家なのだ、との印象を強くした。夕食会はこのひと言で和んだに違いない。

では、日本の企業はどのような対米投資をもくろんでいるのか。ソフトバンクグループはエネルギー関連として「大規模電力インフラ構築に向けた設計と開発」(事業規模・250億㌦)、ニュースケール/ENTRAIエナジーはAI向け電源開発として「AI向けのガス火力や原子力開発を検討」(同・記載なし)、三菱電機はAIインフラの強化として「データセンター向けの発電システムや機械」(同・300億㌦)、パナソニックは同「エネルギー貯蔵システムやその他の電子機器、部品」(同・150億㌦)、カーボン・ホールディングスは重要鉱物関連として「アンモニアや尿素肥料施設の建設」(同・30億㌦)、などとなっている。

アメリカ政府とすれば、日本企業の技術力を高く評価しており、アメリカでの事業展開や米企業との連携に期待を寄せているのだろう。繰り返しになるが、トランプ大統領の「物事がうまく進まなかったら私に電話して・・・私が対応する」の言葉はまさにこの期待を表現している。

⇒29日(水)午後・金沢の天気   はれ

★日米首脳会談で浮かんだ「安倍レガシー」と高市外交のこれから

★日米首脳会談で浮かんだ「安倍レガシー」と高市外交のこれから

「同盟の新たな黄金時代を共につくりたい」。高市総理がきょう午前、アメリカのトランプ大統領と臨んだ日米首脳会談で交わした言葉が印象的だった。会談をNHK中継番組で視聴していた=写真・上=。「黄金時代」と述べるだけあって、日米双方が利する投資を含めたさまざまな話がテーマに上っていた。

高市総理から「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)について日米で進展に向けた協力を進めたいと表明。その後、日米両首脳がレアアースなどの供給と確保についての合意文書に署名した。日米で半年以内に担当閣僚会議を開催し、どのようなプロジェクトに日米で資金を投じるべきか議論を積み上げていく。その上で、日米はオーストラリアなど供給網の多様化を進める国々と連携し、半年以内に投資を実施することを目指す。まさに黄金時代への第一歩と言える。

また、会談の冒頭で高市総理は「安倍総理に対する長きにわたる友情に感謝している。安倍氏からはよく大統領のダイナミックな外交について話を聞いていた」と笑顔で述べた。すると、トランプ大統領は、「私の偉大な友人だった。彼はあなたのことを大変評価していた」と応じた。トランプ大統領と安倍氏はかつて、趣味のゴルフでとともにホールを回り、「ドナルド」「シンゾー」とファーストネームで呼び合う仲だった。写真・下は総理官邸のツイッター(2019年5月26日付)で公開されたもの。安倍総理と(右)とトランプ大統領(左)が千葉県のゴルフ場で自撮りした写真だ。

今回の日米首脳会談の中身が濃く、しかもスムーズに運んだのも、安倍氏が総理在任中に築いたトランプ大統領との蜜月関係がよりどころとなっていたのだろう。メディア各社の報道によると、高市総理はトランプ大統領へのプレゼントとして、安倍氏が使っていたゴルフクラブを用意した。高市総理を安倍氏の「後継者」と印象づける狙いがあったようだ。

首脳会談の後、高市総理とトランプ大統領は都内の在日米軍基地から大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に同乗して、アメリカ軍横須賀基地に行き、停泊中の原子力空母「ジョージ・ワシントン」に乗艦した。中国の海洋進出などが目立つことから、日米同盟に基づく安全保障協力を強化する姿勢を強調したようだ。高市総理は「日本の防衛力を抜本的に強化してこの地域の平和と安定により一層積極的に貢献していく」と述べた。トランプ大統領は「アメリカと日本の大切な同盟は全世界で最も卓越した関係のひとつだ」と語り、第2次世界大戦を念頭に「悲惨な戦争の灰の中から生まれ、80年以上にわたり我々の絆は成長し、現在の美しい友好関係にある」と強調した。

日米会談による新たな経済協力と、横須賀基地での日米同盟の確認。高市総理にとって「安倍レガシー」を乗り越える高市外交のきっかけとなったのかどうか。少なくとも内閣支持率はさらにアップするかもしれない。

⇒28日(火)夜・金沢の天気    小雨

☆テレビが世論をリードする「テレポリティクス」時代の終焉

☆テレビが世論をリードする「テレポリティクス」時代の終焉

きょう(27日)東京株式市場で日経平均株価が初めて5万円の大台に乗せた。前週末と比べた上げ幅は1200円を超え、終り値は5万0512円台だった。報道各社の世論調査で高市内閣の支持率が軒並み高水準(FNN75%、日経74%、読売71%)だったことに加え、アメリカと中国の両政府による貿易協議でアメリカが100%の対中関税発動を見送る方向となったことが追い風となったようだ。

話は変わる。ジャーナリスト田原総一朗氏のBS朝日討論番組『激論!クロスファイア』(今月19日放送)での発言が波紋を広げている。番組では自民党の片山さつき氏、立憲民主党の辻元清美氏、社民党の福島瑞穂氏がゲストだった。問題発言のきっかけは、選択的夫婦別姓をめぐる議論で、導入に慎重な立場を取る高市自民党総裁(当時)に対して、田原氏は「何で高市を支持しちゃうの。あんな奴は、死んでしまえと言えばいい」と言い放った。収録番組だったにもかかわらず、問題発言をカットしなかった局側も問われ、番組は打ち切りとなった。

田原氏が司会をするテレビ朝日系番組『サンデープロジェクト』や『朝まで生テレビ!』をこれまで何度も視聴してきたが、田原氏の手法はあえて相手を挑発して本音を引き出すことを得意技としていた。同じくアメリカCNNのトーク番組「ラリー・キング・ライブ」のインタビューアー、ラリー・キング氏(1933-2021)の手法は執拗に食い下がって相手の感情をさらけ出してしまうというものだった。手法は似て非なるものだったが、要は相手に迫る迫力が聞き手(キャスター)にあるということだ。ただ、田原氏は御年91歳、この迫力をいつまで保つことができるか。

ある意味で田原発言はテレビの時代のターニングポイントになったのではないだろうか。「テレポリティクス」と呼ばれた、テレビが世論をリードする時代の終わりだ。全盛期の1990年代から2000年初頭にかけて、テレビ朝日の番組『ニュースステーション』で久米宏氏がキャスターとして、いわゆる都市型選挙の世論をリードした。田原氏も番組『サンデープロジェクト』や『朝まで生テレビ!』で当時の自民党政権の政治責任を追及する先兵役を担っていた。テレポリティクスの象徴的な出来事もあった。1993年にテレビ朝日の報道局長が民放連の内輪の勉強会で、「反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないかと報道内部で話した」などと発言。この発言が新聞記事=写真、1993年10月13日付・産経新聞=で報じられ、国会での証人喚問(同年10月25日)という異例の展開となった。

テレポリティクスの終わりを示す数値がある。ビデオリサーチ社による調査「自宅内における各メディアとの1日の接触時間」(2000-2024年)によると、テレポリティクスの全盛時代の2000年の1日のテレビ視聴は208分だったが、2024年には116分に大幅ダウン。録画再生の23分と合わせても139分だった。一方、インターネット(PC・スマホ・タブレット・携帯)との接触は2000年は1日8分とわずかだったが、2024年は117分に伸びている。

事件や災害、スポーツの情報をリアルタイムで伝えてくれるのはテレビであることは間違いない。テレポリティクスなどと気負わずに淡々と報じてくれればそれでよい。田原総一朗氏の問題発言からそんなことを思った。

⇒27日(月)午後・金沢の天気  あめ