★能登半島地震から1年5ヵ月、仮設住宅の団地自治会まだ6割
能登半島地震の被災者が暮らす仮設住宅の団地は石川県内では七尾市や輪島市など能登地区を中心に10の市町に156ヵ所あり、1万3000人余りが生活している。能登地区は平地が少ないことから、仮設住宅の立地は河川沿いや山沿い、学校のグランウンドなどが多い。
このため、去年9月の48時間で498㍉という「記録的な大雨」では、輪島市と珠洲市の合わせて6つの団地では、近くの河川が氾濫し、床上浸水などの被害が起きた。住人にとってはまさに震災と豪雨による二重災害となった。仮設住宅の修繕が終わり、住人が避難所から戻ったのは豪雨から3ヵ月を経た12月下旬だった。そして、ことし2月には北陸に吹き荒れた「最強・最長の寒波」に見舞われた。今後気になるのが、間もなくやってくる梅雨、北陸では平年で6月11日が梅雨入りだ。

梅雨で大雨となった場合、仮設住宅での高齢者の避難などをどう進めるかが課題となっているようだ。メディア各社の報道によると、石川県では防災対策の強化にもつながるとして、仮設住宅団地に自治組織の設立を呼びかけている。自治組織ができれば、避難の呼びかけや、誘導の担当者を決め、防災訓練を定期的に行ったりして、二次災害や三次災害に備えることにもなるだろう。ところが、仮設住宅156ヵ所のうち、4月末時点で自治組織が立ち上がったのは89で、全体の6割程度にとどまっている(6月1日付・NHKニュースweb版)
では、なぜ自治組織の設立へ向けた動きが広まらないのだろうか。仮設住宅では高齢者の1人暮らしや互いに面識のない被災者も多いことから、まとめ役を買って出る人が少ないのかもしれない。一方で、活発な仮設住宅団地もある。輪島市町野町の仮設住宅団地=写真=では夏の朝、ラジオ体操を行っていて、入居者同士のコミュニケーションにも役立っていると聞いた。そして、炊き出しなどを積極的に受け入れている。窓口となっているのが、団地の自治会だ。
自治会というと少々肩ぐるしいイメージもあるが、仮設住宅にこそ欠かせない組織だと言える。まだ動きがない団地には、行政が段取りして動かすしかないだろう。
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