⇒ニュース走査

★車座で語り、すしに舌鼓 岸田総理の「能登時間」

★車座で語り、すしに舌鼓 岸田総理の「能登時間」

   今月24日に投開票の参院石川選挙区の補欠選挙は選挙戦も終盤に入り、各候補者の訴えもボルテージが上がってきた。立候補しているのは自民党の宮本周司氏、立憲民主党の小山田経子氏、共産党の西村祐士氏、NHK受信料を支払わない国民を守る党の齊藤健一郎氏の4氏。きのう日曜日は岸田総理ほか、立民の泉代表や共産の市田副委員長、N党の立花党首らそうそうたるメンバーが応援に駆け付けたと地元メディア各社が報じている。

   ニュース番組で流れた4人の党首らの演説で異様だったのは立花氏だった。「彼(齊藤候補)は立候補しているが選挙活動は一切しません。みんな選挙に行かなくていいです。もっと言うと齊藤候補に入れなくていいです。今回なぜ齊藤氏が立候補したかというと練習です。2ヵ月後に選挙(参院選)があるのでポスターをどれだけの人に貼ってもらえるのか、政見放送をどんな形でできるのかといった練習なので(投票に)行かなくていいです」(17日付・石川テレビ)。まるで「石川の選挙は来る参院選の練習、供託金300万円は授業料」と言わんばかりの自虐的なコメントだった。映像で見る限り、会場にはそこそこ人は集まってもいた。

   岸田総理の動きはまるで「能登・金沢・加賀」の縦断ツアーのような日程だった。朝日新聞の「首相動静(17日)」によると、午前9時5分に羽田空港発、同46分に能登空港着。10時3分、輪島市の「里山まるごとホテル」のレストラン「茅葺庵 三井の里」で地元企業関係者らと意見交換。11時56分、七尾市の公園「湯っ足りパーク」前で街頭演説。午後0時49分、道の駅「能登食祭市場」を視察。1時7分、市内の印鑰(いんにゃく)神社で祭りの山車「でか山」の制作風景を見学。同18分にすし店「松乃鮨」で、西田自民党衆院議員らと食事。同47分、報道各社のインタビュー。2時32分、かほく市の「のと里山海道高松サービスエリア」で休憩。以上が能登での動き。

   さらに、午後3時12分、金沢市の「いしかわ四高記念館」前で街頭演説。4時31分、能美市の根上総合文化会館前で街頭演説。5時16分、小松市のうどん店「中佐中店城南店」で佐々木同党衆院議員と食事。5時53分に小松空港に到着。宮橋小松市長らと。6時25分、同空港発。7時14分、羽田空港着。

   時間の配分を見ると、能登では輪島と七尾で4時間も費やしている。ちなみに金沢は1時間、加賀は2時間。以下憶測だ。能登での遊説は、補選の応援もさることながら、先の知事選(3月13日)の「後遺症」を払拭する狙いもあったのかもしれない。知事選では能登地区の国会議員、首長、JAやJFなど団体が馳浩氏と対抗した山田修路氏を支援した。岸田総理ほか自民の幹部は馳氏の応援に駆け付けた。党を巻き込んだ保守分裂選挙だった。今回の補選を機にその分裂の溝を埋めたいと、あえて能登での時間配分を考慮したのではないだろうか。

   地元紙によると、岸田氏は輪島の古民家で囲炉裏を囲み車座で地域の人たちと語り、七尾の神社では祭りの準備をする若い衆の木遣り歌で出迎えられ、すし店では七尾湾特産のトリガイなど11貫に舌鼓を打った(18日付・北國新聞)とある。この心憎いほど内容の濃い「能登時間」を演出したのは誰か、むしろその人物の方が気になった。

⇒18日(月)午後・金沢の天気     くもり 

☆「一度あることは二度ある」「二度あることは三度ある」

☆「一度あることは二度ある」「二度あることは三度ある」

   皇室関連のニュースにはつい振り向てしまう。秋篠宮家の長女・眞子さんは民間人と結婚されて現在、ニューヨークに住んでいる。夫の小室圭氏はニューヨーク州の司法試験にチャレンジしているが、日本で勤務していた弁護士事務所の奧野善彦弁護士あてに15日電話し、今回の司法試験の結果について「残念ながら落ちました。合格点に5点足りず、とても無念です」と不合格を伝えたという。ことし7月に3度目の挑戦をするようだ(15日付・NHKニュースWeb版)。

   「5点足りず」という表現には悔しさがにじんでいるが、今回は合格する自信があったのだろう。ただ、資格試験は合格か不合格かの判定なので、点数評価は入らない。1点差であろうが、5点差であろうが不合格は不合格だ。「言い訳がましさ」を感じる。

   小室圭氏の司法試験については海外メディアも報じている。イギリスの「Daily Mail Online」(15日付)は「Will it be third time lucky? Princess Mako’s ‘commoner’ husband Kei Komuro fails bar exam for a SECOND time – as his wife takes job as unpaid volunteer at the Met after quitting her royal life to move to the US with him」の見出しで、「三度目の正直」はあるのかと伝えている=写真・上=。

   皇室関連のニュースでもう一つ気になったのが、秋篠宮家の長男・悠仁さまが中学2年の時に書いた作文が、「第12回子どもノンフィクション文学賞」の佳作を受賞したものの、文章の一部はコピーペーストではないかと指摘を受けていた問題。宮内庁は今月8日の記者会見で、悠仁さまが参考文献などを追記して、主催者の北九州市に送付したと発表した(同日付・時事通信Web版)。

   「週刊新潮」(2022年2月24日号)でこの問題が報じられ、実際に「第12回子どもノンフィクション文学賞」の公式サイトで掲載されている作品を読ませてもらった。報道では、ガイドブック『世界遺産 小笠原』(JTBパブリッシング、2012年刊行)と一部文章が似ていて、コピペではないのかと問題が指摘がされた。自身の手元にこのガイドブックがないので比較はできなかったが、悠仁さまの作品を読んで「はたして中学2年生の文章だろうか」との感想は持った。

   たとえば、受賞作品集の77㌻にある、「あるものは海流に乗って運ばれ、あるものは風によって運ばれ、翼をもつものは自力で、あるいはそれに紛れて、三つのW、Wave(波)、Wind(風)、Wing(翼)によって、海を越えて小笠原の島々にたどり着き、環境に適応したものだけが生き残ることができました」という下り。海流、気象、生物に熟知したプロ表現の印象だ。

★Jアラート訓練再開へ 日本海「今そこにある危機」

★Jアラート訓練再開へ 日本海「今そこにある危機」

   ことし1月4日に能登半島の尖端、珠洲の海岸に船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いているのを住民が見つけ、海上保安庁に連絡した。船体にはロシア語が書かれていて、海上保安庁では、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ていると公表した(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。このニュースは今にして思えば、ロシアが日本海で軍事訓練を繰り返していることの証左なのだろう。

   共同通信ニュースWeb版(4月14日付)によると、ロシア太平洋艦隊の潜水艦2隻が14日、日本海で巡航ミサイル「カリブル」の発射演習をした。2隻は最新ディーゼル潜水艦の「ペトロパブロフスクカムチャツキー」と「ウォルホフ」で、ミサイルは敵の船を模した海上の標的に命中したとしている。

   日本海では今月11日からアメリカ海軍の原子力空母「エイブラハム・リンカーン」と駆逐艦「スプルーアンス」、海上自衛隊の護衛艦「いなづま」などが共同訓練を行っている。日本海での共同訓練は、北朝鮮が核実験やICBMの発射を繰り返した2017年11月以来のこと(13日付・NHKニュースWeb版)。そうした日米の動きを牽制するかのように、ロシアの潜水艦による巡航ミサイルの発射演習を行った。日本海に緊張感が漂う。  

   総理官邸公式サイトによると、松野官房長官は14日の記者会見で、読売新聞の記者が15日に北朝鮮の金日成主席生誕110周年にあたる「太陽節」を迎えることについて質問した。それに松野氏はこのように返答している。「北朝鮮は、国際社会に背を向けて、核・弾道ミサイル開発のための活動を継続する姿勢を依然として崩していない。今後もさらなる挑発活動に出る可能性も考えられる」。(※写真は3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM=同月25日付・労働新聞Web版)

   こうした政府の見解がベースにあるのだろう、きょうのNHKニュースWeb版(15日付)によると、政府は北朝鮮の弾道ミサイルの発射を想定して、国民保護法に基づいて、自治体と共同で住民も参加して実施する避難訓練を4年ぶりに再開させる方向で調整を進めるという。この避難訓練とは、北朝鮮からミサイルが発射され、日本の国土に到達することを想定し、政府が全国瞬時警報システム(Jアラート)で速報する。それを受けて住民がコンクリの建物などに避難する訓練だ。2017年から日本海側などの自治体で行われていたが、2018年6月に米朝首脳会談が行われて以来、実施されていなかった。

   自身もこの「Jアラート」訓練に参加したことがある。2017年8月30日に能登半島の輪島市で実施された。この年の3月6日、北朝鮮は弾道ミサイルを4発発射し、うち1発を輪島市の北200㌔の海上に着弾させた。同市には航空自衛隊の監視レーダーサイトがある。避難訓練はリアリティがあった。9時ちょうどに防災行政無線の屋外スピーカーから「これは防災訓練です」と前置きして、Jアラートの鈍い警報音が流れた。その後「ミサイルが発射された模様です」「ただちに頑丈な建物や地下に避難してください」とアナウンスが流れた。防災行政無線による避難の呼びかけは10分間ほど続いた。輪島市文化会館では住民による避難訓練や、市内の小学校では机の下に入り、身をかがめて頭を守る訓練も行われた。

   ロシア潜水艦によるミサイル発射、北朝鮮のICBMなどはまさに「今そこにある危機」でもある。危機のステージが日本海側にシフトしている。

⇒15日(金)午後・金沢の天気    くもり

★日本海で日米共同訓練 地政学的リスクはないのか

★日本海で日米共同訓練 地政学的リスクはないのか

   防衛省・自衛隊の公式ツイッターによると、ことし1月17日から5日間、沖縄南方の海空域でアメリカ軍の原子力空母などを交えて日米共同訓練を展開していた。2021年度で8回の共同訓練のようだ。では、この共同訓練は今年度初めてとなるのだろうか。

   きょう13日付のNHKニュースWeb版によると、NHKはアメリカ海軍の原子力空母「エイブラハム・リンカーン」が11日正午ごろ、対馬海峡を東の方向に通過する様子を上空のヘリコプターから確認した。空母周辺では、アメリカの駆逐艦「スプルーアンス」や自衛隊の護衛艦「いなづま」が航行していた。アメリカ海軍の空母が日本海に展開したことが明らかになったのは、北朝鮮が核実験やICBMの発射を繰り返した2017年11月以来のこと(同)。

   日本海側に住む一人として、このようなニュースに接するとそれなりに緊張する。北朝鮮は先月3月24日に新型のICBMを発射し、北海道の渡島半島の西方約150㌔の日本海(EEZ内)に落下させている。全長23㍍と推測されるこの大型化したICBMを「モンスター・ミサイル」とメディア各社は報じた。このとき、岸防衛大臣は記者会見で「アメリカの東海岸を含む全土が射程内ではないか」「我が国、そして国際社会の平和と安全に対する深刻な脅威だ」と語った。ホワイトハウスの報道官も国連決議に反する「brazen violation」(恥知らずな違反)と不快感をあらわにした(3月25日付・BBCニュースWeb版)。

   日米のこの憤りが北朝鮮に対する強いメッセージとして、日本海での共同訓練になったことは想像に難くない。さらに、北朝鮮にとって今月15日は「建国の父」である金日成主席の生誕110周年の節目にあたることから、国威発揚を目指してのICBMの発射や、7回目となる核実験につながる可能性も想定されるのだ。日米の軍事情報筋は衛星画像などを解析して北朝鮮の軍事的な動きを読み取ったのかもしれない。

   今回の日本海での日米の共同訓練は北朝鮮への牽制となりうるのかどうか、突発的な紛争は起こらないだろうか。対岸のことなので気にかかる。自身のこの妙な緊張感は地政学的なリスク感覚なのかもしれない。

(※写真は空母「エイブラハム・リンカーン」、Wikipedia「エイブラハム・リンカーン(空母)」より)

⇒13日(水)午後・金沢の天気     くもり

☆国連安保理の機能不全を問いただしたゼレンスキー演説

☆国連安保理の機能不全を問いただしたゼレンスキー演説

   ついに、ウクライナのゼレンスキー大統領が国連安保理でオンライン演説を行った。メディア各社の報道によると、安保理に対して強烈なメッセージを発した。「”Are you ready to close the UN? And the time of international law is gone? If your answer is no, then you need to act immediately,” he said, adding that “accountability must be inevitable”.」「”We are dealing with a state that turns its veto at the UN Security Council into the right to [cause] death,” he said.」(6日付・BBCニュースWeb版)=写真=。

   国連の果たす役割は終わってしまったのか、国際法の時代は終わったのか、もし答えがノーなら、直ちに行動をとってほしいとゼレンスキー氏は述べた。安保理の拒否権が『死の権利』とならないよう、国連のシステムは直ちに改革されなければならないと語った。

   国際法や国連憲章の違反を無視してウクライナ侵攻を続けるロシアだけでなく、香港やウイグルにおける人権弾圧問題で国際批判を浴びている中国も常任理事国だ。常任理事国の座にあれば問題を起こしても国連では問われない。拒否権を発動すればよいだけだ。これが「世界平和の番人」安保理の現実の姿だ。

   機能不全に陥っている国連安保理を痛烈に批判したゼレンスキー氏に対し、拍手を送った日本人も多かったのではないだろうか。ウクライナ侵攻以前の調査だが、アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」は、創設75年の国連の実績について世論調査(2020年6-8月)を行った。調査対象国は日本、韓国、オーストラリア、アメリカ、カナダ、デンマーク、ドイツ、オランダ、イタリア、スウェ―デン、ベルギー、フランス、スペイン、イギリスの14ヵ国で、その中で日本は国連に対する好感度が最も低かった。「好感を持つ」は29%で、「好感を持たない」が55%と半数を占めた。CNNは「Americans think the UN is doing a good job. Japanese people disagree.」と伝えた(2020年9月22日付・Web版)。

   日本人には解せないもう一つ国連の姿がある。国連憲章(第53、107条)の「敵国条項」だ。日本はいまだに第二次世界大戦の「敵国」だ。ある国を攻撃する場合は国連安保理の承認が必要だが、「敵国」に再侵略の企てがあるとみなせば先制攻撃が可能で、安保理の承認は不要という規定だ。ロシアや中国はいつでも日本に対する先制攻撃が可能なのだ。 

   ゼレンスキー氏の演説に戻る。ロシアに対して猛烈に非難した。前日にみずから訪れた首都キーウの北西の町ブチャについて、「ロシアが犯した第2次世界大戦後、最も恐ろしい戦争犯罪だ。ロシア軍と彼らに命令を下した者に直ちに法の裁きを下さなければならない」。そして市民の遺体だとするおよそ1分間の映像が、スクリーンに映し出された(6日付・NHKニュースWeb版)。

  このあと各国からもロシアの責任を厳しく問う声が相次ぎ、このうちアメリカの国連大使は「ロシアがいかに人権を尊重していないかが日々明らかになっている」と述べ、ロシアの国連人権理事会の理事国としての資格を停止すべきだと呼びかけた(同)。さらなる制裁の発動が重要だ。

⇒6日(水)午後・中能登町の天気   くもり

★石油に依存しない未来社会へ 退路を絶つという発想

★石油に依存しない未来社会へ 退路を絶つという発想

   ロシアによるウクライナへの侵攻、それにともなうロシアへの経済制裁は国内でもじわりと影響が出ている。日常生活でその影響が分かりやすいのは原油高によるガソリン価格の値上がりかもしれない。金沢市内のガソリンスタンドで目につくのは「1㍑173円」の看板。能登半島ではさらに輸送コストがかさんでいて「1㍑179円」となっているようだ。

   政府が石油の元売り会社に「価格抑制補助金」を支給しているにも関わらずこの価格だ。ともとも、ガソリン価格は新型コロナウイルスのパンデミックで上昇傾向だった。それに、ロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけたかっこうだ。ガソリン価格の上昇の背景にはもっと根本的な問題がありそうだ。それは円安。かつて国際紛争などが起きると、「有事の円買い」が起きて、円高状態になった。ところが、今回のロシアのウクライナ侵攻では、「円安ドル高」が一気に進んで一時125円という値動きになった(3月28日)。

   むしろ「有事のドル買い」が一方的に進んでいる。「有事の円買い」はいつの間にか忘れ去られたのか。むしろ貿易赤字が問題なのだろう。財務省が発表した2022年1月の貿易統計速報では、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆1910億円の赤字だった。2014年1月の2兆7951億円に次いで過去2番目の大きさだった。2月の速報では、赤字は6682億円と縮小したものの、原油などエネルギー価格の高騰と円安で貿易赤字は止まらず7ヵ月連続の赤字となった。

   話は冒頭のガソリン価格に戻る。アメリカはガソリン高騰に思い切った手を打った。BBCニュースWeb版日本語(1日付)によると、バイデン大統領は今後6ヵ月間にわたって備蓄石油を最大1億8000万バレルを放出する。1974年以降で最大規模の放出となる。ロシアのウクライナ侵攻で、世界2位の原油輸出国ロシアからの輸出が西側の制裁対象となり、原油の供給不安が起きている。アメリカ政府は今回の放出で状況を改善したい考え。

   日本政府もIEAと協調して備蓄石油750万バレルを放出する方向で動いているが、この際、大幅に放出してはどうか。石油の元売り会社に「価格抑制補助金」を支給するより買わせる。同時並行で岸田総理が去年11月のCOP26で世界に表明した「2030年までに温室効果ガス46%カット」「2050年にカーボンニュートラル」の宣言を進めるチャンスにする。石油に依存しない未来社会をどう構築するか、退路を絶つことで、まさに真剣勝負で考える時期が到来したようだ。

⇒2日(土)夜・金沢の天気     はれ

☆これは噛みそう ウクライナ地名の呼称変更

☆これは噛みそう ウクライナ地名の呼称変更

          「キエフ」を「キーウ」に、「チェルノブイリ」を「チョルノービリ」に。政府は文書で使用、あるいは発表するウクライナの地名について呼称を変更すると発表した。これまで使っていた地名はロシア語の発音に基づく表記だったことから、ウクライナ語の発音に基づくものへと変更する。

   外務省公式ホームページをチェックすると、「報道発表」のページ(3月31日付)に「ウクライナの首都等の呼称の変更」と題して経緯の説明が記載されている。それによると、「ロシアによる侵略を受け、日本政府としてウクライナ支援およびウクライナとの一層の連帯を示すための行動について幅広く検討を行ってきたところです」「適切な呼称についてウクライナ政府の意向について照会を行っていたところ、今般、ウクライナ側から回答が得られた」と。

   地名の呼称変更をニュースで知って、当初はゼレンスキー大統領やウクライナ政府からの要望によるものかとも考えたが、どうやら日本側からの提案のようだ。そして、外務省の報道発表では「決意」のようなものも述べられている。

「ロシアによる侵略は、明らかにウクライナの主権および領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反です。我が国は、引き続きウクライナおよびウクライナ国民に寄り添い、事態の改善に向けてG7を始めとする国際社会と連携して取り組んでいきます」

   外務省とすれば、ゼレンスキー大統領がアジアで初めての国会演説(オンライン、3月23日)を日本で行ったことの意義を重く受け止めているのかもしれない。日本側のこの動きに関して、ゼレンスキー大統領はさっそくにツイッター=写真=で反応している。

私たちの都市の名前について、時代遅れのソビエト音訳を廃棄して、正しいウクライナ語の形式を受け入れる時が来た。 日本と岸田総理には感謝する。呼称変更については、私たちも他の国の人々が日本に続くことを勧めていく」(グーグル翻訳をもとに意訳)

   ロシアによるウクライナ侵攻の一連の動きをたどってみると、表現は適切ではないかもしれないが、ゼレンスキー氏やプーチン氏という役者が立ち振る舞う、勧善懲悪のドラマのようだ。話は冒頭に戻るが、きょうの紙面によると、「オデッサ」は「オデーサ」、「ドニエプル」は「ドニプロ」となる。「チェルノブイリ原発」の呼び方は脳裏に焼きついているので、「チョルノービリ原発」とすらすらと口元から出るまでは時間がかかる。いらぬ心配だが、国会論戦で政治家が、ニュース番組でアナウンサーやキャスターがけっこう噛む(言い間違える)のではないか。

⇒1日(金)と午前・金沢の天気   くもり時々はれ   

★「ウォーホル」23億円 世界はどう反応するか

★「ウォーホル」23億円 世界はどう反応するか

     このブログの今月18日付「☆『森のたまご』が投げかけるアニマルウエルフェア問題」の続報。石川県と富山県の地元紙はきょうの朝刊で、アメリカのポップアートの旗手といわれたアンディ・ウォーホル(1928-87年)がハリウッド女優のエリザベス・テイラーのポートレイト作品「Silver Liz(シルバーリズ)」(1963年制作)が23億円で落札されたと一斉に報じてる=写真・上=。

   競売はきのう30日午後6時から、羽田空港第1ターミナル内6Fギャラクシーホールで開催された。オークションを開催した会社「シンワ・ワイズ・ホールディングス」の公式ホームページをチェックすると、確かに「落札価額23億円」と記されている=写真・下=。

   では、なぜ地元紙が大きな見出しで取り上げているのかというと、作品の出品者がイセ食品の前会長、伊勢彦信氏92歳だからだ。世界の「エッグ・キング」と称される実業家で、世界的な名画や彫刻、陶磁器の収集家としても世界的に知られる。もともと北陸・富山県高岡市の養鶏・鶏卵企業をグローバル企業として成長させたその人である。

   そのイセ食品とグループ会社は今月11日、債権者から東京地裁へ会社更生法を申し立てられ、同地裁から保全管理命令を受けた。「帝国データバンク」Web版(11日付)によると、M&Aなどで業務内容を拡大するなか金融機関からの借り入れが増加。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて卵価が下落、資金繰りが悪化していた。負債はイセ食品とグループ会社の2社の合計で453億円(うち金融債務は260億円)とみられる。その債務処理のため、伊勢氏は収集した美術品の売却を進めているとされる。ちなみに落札した人物は、北國新聞(31日付)によると、温浴施設・ホテル経営会社「大江戸温泉物語」を運営したことがある東京都在住の会社役員70歳という。

   この落札価格23億円は国内の競売作品では2018年のパブロ・ピカソの油彩「泣く女」10億円を大きく上回ったことから、「国内最高額」と紙面の見出しが躍っている。ただ、北陸中日新聞(31日付)によると、彦信氏の長男・俊太郎氏の申立書では、彦信氏は高額な美術品を会社の資金で購入しと主張している。ウォーホル作品の価値とは別に購入をめぐってドロドロした争いがあるようだ。

   前回のブログの繰り返しになるが、東京でウォーホル作品の落札価格はニュースは世界を駆け巡るに違いない。ただ、世界の眼は養鶏・鶏卵業者に対して厳しくなっている。とくに、狭いケージにニワトリを閉じ込めて生産性を上げる従来の養鶏・鶏卵のシステムは、「アニマルウェルフェア(Animal Welfare、動物福祉)」に反するとして、欧米ではケージフリー・エッグ(平飼いの卵)が主流になっている。これまでの手法で養鶏・鶏卵ビジネスで成功し、世界の美術品を買いあさって来たとなれば、世界の論調は今後厳しいものになっていくかもしれない。

   午前中にBBCやCNNのWeb版ニュースをチェックしたが、東京でウォーホル作品「Silver Liz」が23億円で落札のニュースはまだ報じられていない。

⇒31日(木)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

☆白神山地に横たわる「森の巨人」から学ぶこと

☆白神山地に横たわる「森の巨人」から学ぶこと

    白神山地のブナの老木にひこばえ(萌芽更新)ができるかどうかは分からないが、樹木の天命を終えて大地に横たわった姿をぜひ拝んでみたいと願う。そして、自然を生き抜く樹木を子どもたちへの環境教育の場として生かしてはどうだろうか。そのような話を冒頭のNPOの知人と交わしてみたいと思っている。

⇒28日(月)午後・金沢の天気    はれ

★吹き荒れる春の嵐と「モンスター・ミサイル」

★吹き荒れる春の嵐と「モンスター・ミサイル」

   きょう午後から強風が吹き荒れている。しかも、25度超える温かい風。時折、突風となって樹木を大きく揺らしている。気象台によると、最大瞬間風速は加賀地方、能登地方ともに陸上で30㍍の予想され、きょう夕方までに暴風警報を発表する可能性もあると伝えている(金沢地方気象台公式ホームページ)。北陸新幹線は強風の影響で、午後から長野駅と富山駅の間の上下線で運転を見合わせている。また、北陸本線は強風で小松駅から粟津間の架線に障害物が引っかり、特急「サンダーバード」や「しらさぎ」の上下14本が運休と午後のニュース番組で報じていた。まさに春の嵐だ。

   北朝鮮が24日に発射した新型ICBMは、日本にとって、そしてアメリカにとっても春の嵐だった。岸防衛大臣はきのう25日の閣議の記者会見で、「弾道の重さにもよるが、1万5000㌔を超える射程となりうる。アメリカの東海岸を含む全土が射程内ではないか」「我が国、そして国際社会の平和と安全に対する深刻な脅威だ」と語った。

   BBCニュースWeb版(25日付)は「N Korea claims successful launch of ‘monster missile’ Hwasong-17」=写真=の見出しで、大型化し全長23㍍と推測されるこの大陸間弾道ミサイルを「モンスター・ミサイル」と表現し、各国の反応を伝えている。ホワイトハウスの報道官は国連決議に反する「brazen violation」(恥知らずな違反)と述べ、国連のグテーレス事務総長も「地域における緊張の著しいエスカレーション」と述べたと伝えている。

   その国連では、25日に北朝鮮のICBM発射について安保理の緊急会合が開催された。アメリカ、イギリス、フランス、アルバニア、アイルランド、ノルウェーなど欧米の加盟国は安保理の決議違反として非難。アメリカは制裁を強化する決議を提案する方針を打ち出した。しかし、常任理事国の中国とロシアは追加制裁に反対し、中国は「むしろアメリカと北朝鮮は直接対話をすべきだ」と述べた。追加制裁の実現は難しい(26日付・テレビ朝日ニュースWeb版)。

   ICBMに不可欠なのは核弾頭だ。今後、核実験もICBMの発射実験と並行して繰り返していくだろう。さらに、これまでの日本海への着弾だけではなく、日本列島を飛び越えて太平洋への撃ち込みも狙っているのではないか。どんどんエスカレートしそうな気配が漂う。前述のグテーレス氏が危惧している「エスカレーション」はこの意味ではないかと解釈している。

⇒26日(土)午後・金沢の天気    くもり時々あめ