⇒ドキュメント回廊

☆震度7・記録的大雨・最強寒波 3災の能登冬路をめぐる~1~

☆震度7・記録的大雨・最強寒波 3災の能登冬路をめぐる~1~

  去年元日の震度7の地震、48時間で498㍉という9月の記録的な大雨、そして今月4日から北陸に吹き荒れる最強・最長の寒波。 「3災」ともいえる能登半島を3日間(今月6-8日)かけて一周した。 被災地や観光名所などの冬の現場で気が付いたことなどまとみてみる。

  隆起した岩ノリ畑 『ゼロの焦点』ヤセの断崖

  先日、能登の知り合いから「岩のり」が届いた。 お礼の電話をすると、「地震で海岸が隆起したのでことしは採れるか心配したが、隆起した岩場でも採れました」とのこと。 そこで、海岸が隆起した能登の北側の外浦をめぐった。 岩のりは外浦の岩場で採れた天然のノリで、干したもの=写真・上=。 養殖のノリに比べて厚みがあり、さっとあぶると磯の香りが広がる。 ノリが採れる海沿いの家々では、波が穏やかな冬の日を見計らって海岸に出かける。 手で摘み、竹かごに入れて塩分を洗い流して水切りした後、自宅の軒下などで竹かごの上に乗せて陰干しする。 

  地域によっては「岩ノリ畑」を造ってところもある。 岩場を利用して平海面すれすれのところでコンクリート面を造成すると、冬の波で覆われた岩ノリ畑にノリが繁殖する。 ところが、地震で数㍍隆起した海岸では岩ノリ畑が干上がって使えなくなった畑もある。 一方で海底から隆起した岩場でノリが採れるようなったところもある。 知人は「シケの日が続き収穫は少なかったが、ノリの出来は上々」とのこと。 岩ノリ採りは今月中旬まで続く。 (※写真・中は、地震で隆起した「岩ノリ畑」=輪島市門前町の海岸)

  能登の現場を訪ねるとダイナミックな光景を目にすることがある。 震度7の揺れがあった志賀町香能の近くにあり、松本清張の推理小説『ゼロの焦点』で登場する名勝「ヤセの断崖」。 1961年に初めて映画化され、観光名所となった。 日本海からの強烈な波と風によって形成された断崖絶壁で、訪れた日も台風を思わせる暴風が吹いて、白波が打ち寄せていた=写真・下=。

  海面からの高さが35㍍から55㍍もある、断崖を眺めると、海の向こうの暗い雲の切れ間から光りが指している。 まるで映画のシーンのような光景だった。 もう少し近づいて撮影しようとした瞬間、強烈な風が吹いてきて、身の危険を感じて現場を離れた。

⇒7日(金)夜・金沢の天気     雪

★重くのしかかる雪に耐える  北陸の「雪吊り」に込められた知恵と工夫の職人技

★重くのしかかる雪に耐える  北陸の「雪吊り」に込められた知恵と工夫の職人技

  気象庁が「今季最強・最長寒波」と緊急会見で発表した今回の寒波は3日目に入った。けさ7時半ごろ自宅2階から撮った写真と前回ブログ(4日付)のものと比較してみる。きょうも空にはどんよりと雪雲が連なっている。左側に見える雪吊りの五葉松には前回と比べ、倍くらいの厚さで雪が積もっている。目分量だが、多いところで20数㌢ほどだろうか。右側のガレージの屋根にも同じくらいの厚さで積もっている。写真下の部分は屋根雪。前回と比べてもその分厚さが見て取れる。35㌢ほどあるだろうか。北向きなので雪が溶けにくい。同じ家の屋根雪でも向きによって溶け方がまったく異なる。(※写真・上は、金沢市内の積雪の様子=4日午前7時40分、自宅2階から撮影)

  先ほど述べた雪吊りの五葉松の話。北陸の雪は湿ったような重さがある。その理由でよく言われているのが、大陸からの偏西風にのってやって来る冷たい空気が日本海で水分を多く含み、白山や立山連峰などの高い山に当たって上昇し冷えることで雪となるので、北陸の雪は湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。このため、金沢の兼六園をはじめ一般の民家でも庭木に雪吊りを施すの恒例となっている。

  その雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法があると言われている。単に枝が折れるのではなく、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった樹木の形状によりさまざまな雪害が起きる。これに対応する雪吊りは素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼することになる。プロは樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの雪対策の手法を判断する。

  雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・下=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートでもある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様の手法を用いていたようだ。

  雪吊りを眺めていると職人の知恵と工夫、庭木をいたわる気持ちが伝わってくる。と同時に、雪吊りの経費は春の撤去も含めてそれなりに掛かる。たとえ気象予報が暖冬であったとしても、今季のようにいつドカ雪が来るか分からないので、「庭税」だと思いながら毎年雪吊りの備えをする。なのでいまは、五葉松に雪吊りをしていてよかったと安堵の気持ちで眺めている。

⇒6日(木)午前・金沢の天気    くもり時々ゆき

☆しんしんと降り積もる雪 道路で車がスタックしたらどうする

☆しんしんと降り積もる雪 道路で車がスタックしたらどうする

  きょう(4日)朝7時の自宅前の積雪は10㌢ほどだった。その後も断続的に雪が降り、大雪警報が出ている。午前中の気温は1度。金沢地方気象台の降雪量予想(4日6時時点)によると、きょう6時から18時までの12時間の積雪量は金沢の平地で10㌢から20㌢、さらにきょう18時からあす6時までの12時間で10㌢から20㌢の積雪予想となっている。単純に計算すると、金沢の平地ではあす朝までに多いところで40㌢ほど積もるようだ。

  朝9時に開店するスーパーが近くにあるので買い物に行くと、開店まもなくの時間にもかかわらず混雑していた。普段だったらそれほど客はいない時間帯なのだが、昼前や夕食前の時間帯のあの混雑ぶりだ。大雪になる前に買い物を早く済ませておこうという消費者心理が働いているのだろう。そう言う自身もそのために店に入った。

  何しろ雪が積もれば積もるほど予想外のことが起きる。たとえば、よく使われる言葉で「スタック」。車の立ち往生のことで、英語で「stuck」。とくに、雪道のわだちに入ってしまい、車の底が雪上に乗り上げて立ち往生する。そんな時はスコップで車の底の雪を除き、他の人に後ろから車を押してもらいながら前進するとなんとか抜け出すことができる。雪国の人たちはその場面をよく理解しているので「お互いさま」という共助の気持ちで手伝ってくれる。金沢市でも道路のスタック対策として2021年12月から除雪計画を見直し、それまで15㌢以上の積雪で除雪車を出動させていたが、10㌢以上積もれば除雪作業を行うことにした。市内幹線の雪道の安全度は確実に高まった。雪道における「自助・共助・公助」ではある。

  ちなみに、スタックでJAFに電話してもなかなかつながらない。つながったとしても半日は待たされる。大雪であちらこちらに立ち往生が起きているからだ。そして、スタックと並んで気をつけるのが、「ブラックアイスバーン」だ。路面に雪がなくても、路面が凍結している状態で、アイスバーンはスリップ事故につながる。道路に積雪がないからとスピードを出していて、急にブレーキをかけても止まらずにそのまま車が滑りる。雪国の道路では時速20㌔ほどでゆっくり走行することはよくあることだ。

 (※写真・上は、雪がしんしんと降り積もる金沢市内=4日正午すぎ、自宅2階から撮影。写真・下は、立ち往生した車を周囲の人たちが車の後ろから押して助けている様子)

⇒4日(火)正午すぎ・金沢の天気    ゆき 

★金沢でもドカ雪か 気象庁と国交省が緊急会見で「大雪警戒」呼びかけ

★金沢でもドカ雪か 気象庁と国交省が緊急会見で「大雪警戒」呼びかけ

  きょうは二十四節気の立春。春の兆しが現れてくるころかと思いきや、さきほど午後2時に気象庁と国土交通省は緊急会見で「大雪警戒」を呼びかけた=写真、テレビ画像より=。気象庁の担当者は、この冬一番の強い寒気が流れ込み、北日本から西日本にかけての日本海側の広い範囲で山地、平地ともに大雪となる日が数日続くと述べ、暴風や暴風雪、高波に警戒するよう呼びかけた。また、国土交通省の担当者は、大雪による交通への影響、とくに車両の立往生、道路の通行止め、公共交通機関の大幅な遅延や運休が発生し通勤・通学などに影響が出るおそれがあると述べ、テレワークの活用などを含め不要不急の外出を控えてほしいと呼びかけた。

  プレスリリース「大雪に対する国土交通省緊急発表」(12時発表)によると、北陸地方の多いところであす4日12時までの24時間降雪量は50㌢、5日12時までの24時間降雪量は70㌢、6日12時までの24時間降雪量は100㌢としている。また、能登の平地でも多いところで 4日12時までの24時間降雪量は15㌢、5日12時までの24時間降雪量は30㌢、6日12時までの24時間降雪量は30㌢となっており、「能登半島地震で損傷を受けた家屋では積雪の重みによる倒壊に、損傷を受けた海岸施設の周辺では、越波による浸水に注意」と呼びかけている。文中の「越波(えっぱ)」は、暴風などにより打ち寄せる波が堤防や護岸を超えることを指し、能登などでは5日に最大瞬間風速30㍍、波の高さ6㍍が予想されている。  

  北陸に強烈な寒波をもたらすのは大陸からの西回りの風と北風がぶつかり合って出来るJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)が発生するからで、これまでも大雪をもたらしてきた。直近では2018年2月5日から8日にかけての大雪で、福井で147㌢の記録的な豪雪となり、国道8号で1500台を超える大規模な車両滞留が発生し、自衛隊の災害派遣も行われた。金沢の平地でも70㌢を超える積雪となった。(※図は6日までの72時間降雪量=日本気象協会「tenki.jp」公式サイトより)

  能登では去年元日の地震で全半壊となった家屋など公費解体が進められ、さらに一部損壊の住宅の修繕も行われている。今後の大雪と暴風で作業はストップせざるを得ないだろう。さらに、能登の中山間地では集落の孤立化も、そして仮設住宅は圧雪に耐えうるだろうかと懸念する。金沢の週間予報ではあす4日から10日までは雪、そして雷とある。冬将軍は雷鳴とともにやってくる。

⇒3日(月)午後・金沢の天気    くもり

★能登地震から1年1ヵ月、「住まい」問題でふるさとに戻れず悩む被災者

★能登地震から1年1ヵ月、「住まい」問題でふるさとに戻れず悩む被災者

  きょうは2月1日、去年元旦の能登半島地震から1年1ヵ月が経った。数字で振り返ってみる。震災で亡くなった人は能登を中心に石川県では、家屋の下敷きになるなどして亡くなった直接死が228人、避難所などでの疲労やストレスが原因で持病などが悪化して亡くなった災害関連死が290人(1月28日時点)。さらに、新潟県で5人、富山県で3人の災害関連死があり、直接死を合せた能登半島地震による死者の数は526人となる。関連死を判断する医者と弁護士で構成する審査会はこれまで17回開かれていて、遺族からの申請で審査が進むと今後さらに増えることになる。  

  住宅の被害は消防庁災害対策本部のまとめによると、10府県で全半壊・一部損壊を合せ15万5751棟に及んでいる。このうち、石川県は10万7976棟、新潟県2万4380棟、富山県2万2534棟、福井県832棟、長野県21棟などとなっている。このほか、店舗やテナントビル、土蔵、作業所など非住家の被害は石川県で3万6053棟、富山県1203棟、新潟県68棟などとなっている(12月28日時点・消防庁公式サイト)。このうち半壊以上の被害が出た住宅などを自治体が所有者に代わって解体や撤去を行う「公費解体」は、石川県の発表で12月末までに1万4152棟の解体を終えている。石川県が見込む公費解体は3万9000棟なので3分の1余り完了したことになる。ことし10月までに解体を終えるとしている。(※写真は、輪島市内で行われている公費解体の現場=去年12月26日撮影)

  問題は住宅の修理だ。石川県では、住宅被害の範囲が全体の1割以上ある場合に修理費を最大70万円を補助する「応急修理制度」を設けていて、1月24日時点で制度の申請は1万2105件に上っている。ところが、工事業者の不足から修理の見通しが立たないケースが出ているため、県ではことし3月末までとしていた制度対象の工事完了の期限を12月末まで延長した(石川県庁公式サイト「住宅の応急修理について」)。

  気になる数字がある。地元メディア各社の報道によると、石川県外の公営住宅に暮らしている被災者255世帯を対象に、石川県庁が電話で意向調査(12月9-27日)を行った。回答があった176世帯の集計で44%に当たる78世帯が「石川県には戻らない」と答えた。その理由は「高齢であり、親族のそばで住む」や「安定した仕事を見つけた」が多かった。一方で、21%に当たる37世帯が「戻りたいが課題がある」と答えた。その中では、公費解体や修繕など「住まい」の問題を挙げる世帯が多かった。公費解体を申請しているが工事がなかなか進まない、修繕を依頼しているが業者の手が回らない。ふるさとに戻れず、悩んでいる被災者がいる。

⇒1日(土)午後・金沢の天気   くもり時々はれ

☆「雪すかし」の時季に思うこと スコップによるマイクロプラスチック汚染

☆「雪すかし」の時季に思うこと スコップによるマイクロプラスチック汚染

  けさも金沢の自宅周辺では5㌢ほど雪が積もっていた。ご近所さんたちが、朝から「雪すかし」を始めたので、「暗黙のご近所ルール」で自身もスコップを手に取って始めた。何㌢以上の積雪があると町内が一斉に除雪するというルールや当番がいるわけではない。児童たちが登校する前の7時半前ごろ、ご近所の誰かが、スコップでジャラ、ジャラと始めるとそれが合図となり、周囲の人たちもスコップを持って家から出てる。「よう降りましたね」「冷え込みますね」とご近所が朝のあいさつを交わす。いつの間にかご近所が一斉に雪かきをしている。

  さらに雪をすかす範囲についても暗黙のご近所ルールがある。すかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角にある家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。つまり、登校の児童たちが歩く「歩道」部分でよい。

  すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく=写真・上=。冬場の側溝は雪捨て場だ。気温が5、6度に上がると雪解け水が側溝を流れると、積み上げられ固まった雪を融かして近くの用水や川に流れていく。翌朝、また側溝に雪を捨てるということを繰り返す。

  ただ、スコップで雪すかしをするこの時季になるといつも思うことがある。マイクロプラスチックのことだ。スコップのさじ部はかつて鉄製やアルミ製だったが、最近はプラスチックなど樹脂製が多い。雪をすかす路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとなるとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。その破片は側溝を通じて川に流れ、そして海に出て漂っているのではないか。日常の雪すかしが、無意識のうちに「マイクロプラスチック汚染」を増長しているのではないだろうか、と。

  マイクロプラスチック汚染は、粉々に砕けたプラスチックが海に漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

  ご近所で仲良く雪すかしをするが、それが知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを陸上で大量生産することになっているとすれば、それこそ不都合な真実ではある。そう考えると、樹脂製のスコップには製造段階でさじ部分の先端に金属を被せることを義務づけるなどの対策が必要なのではないだろうか。

⇒31日(金)午前・金沢の天気     くもり

★能登で地震、金沢でカミナリは止まず 「弁当忘れてもPCの雷対策忘れるな」

★能登で地震、金沢でカミナリは止まず 「弁当忘れてもPCの雷対策忘れるな」

  能登で地震が続いている。きのう(29日)午前9時前に震度3の揺れがあった。震源地は半島の北で深さ10㌔、マグニチュード3.6と推定されている。2ヵ月前の11月26日は半島の西方沖を震源とする震度5弱の地震があり、このときは深さ7㌔、マグニチュード6.6だった。このほかにも震度1や2の揺れが日に数度起きることもある。不気味に感じるのは、きのう、そして11月26日の地震、去年(2024年)元日の震度7、マグニチュード7.6の地震は震源地が異なることだ。一部の地震学者は「能登半島地震の余震活動が、震源近くの断層を刺激して地震を発生させている可能性もある」と指摘している。

  素人の当て推量なのだが、元日の震源は半島北端の珠洲市だったが、このところの震源は半島を南下している。断層が断層を刺激して南下しているのか。このまま南下すると限りなく金沢に近づいてくる。金沢には「森本・富樫断層」がある=図=。国の地震調査研究推進本部の「主要活断層」によると、切迫度が最も高い「Sランク」の一つだ。断層は全長26㌔におよび、今後30年以内の地震発生確率が2%から8%とされる。金沢市の公式サイトに掲載されている「平成24年度(2012)被害想定調査結果」によると、この森本・富樫断層で金沢市内中心部に直下地震が起きた場合、マグニチュード 7.2、最大震度7と想定されている。あくまでも憶測だが、南下する揺れに連動するのか。金沢に住む一人としては不気味だ。

  話は地震から雷に移る。このところ雷が鳴り止まない。きのうも未明にかけて落雷が相次いだ。能登半島の中ほどにある志賀町役場の富来支所では落雷のため館内の受電施設や電源ケーブルが破損したため、職員のパソコンや銀行のATMが使用できなくなるという状況が発生。支所では窓口業務などが出来なくなり業務停止とした(30日付・地元メディア各社の報道)。このニュースで「雷サージ」のことが頭をよぎった。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合に瞬間的に電線を伝って高電圧の津波現象が起きることを指す。電源ケーブルを伝ってパソコンの機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。役場のPCのデータは大丈夫だったのか。(※写真・下は、北陸電力公式サイト「雷情報」より)

  週間予報をチェックすると、石川県には2月4日から6日まで雷マークが出ている。何しろ金沢は「カミナリ銀座」だ。きょうも金沢で雷注意報が出ている。全国の都市で年間の雷日数が30年(1991-2020)平均でもっとも多く、45.1日ある(気象庁公式サイト「雷日数」)。雷マークがあるなしに関わらず、自身は外出するときにはPCの電源をコンセントから抜いて出かける。晴れていても急に雨雲になるのが金沢の天気だ。なので、昔から「弁当忘れても傘忘れるな」という金沢独特の言い伝えがある。現代風に言うと「弁当忘れてもPCの雷対策忘れるな」。

⇒30日(木)午後・金沢の天気    くもり時々ゆき

★韓国大統領が「反乱」の容疑で身柄拘束 どう読むこの国のカタチ

★韓国大統領が「反乱」の容疑で身柄拘束 どう読むこの国のカタチ

  韓国の公共放送KBSはネットニュースで「[속보] ‘내란 수괴 혐의’ 윤 대통령 체포…헌정 사상」(【速報】尹大統領が「反乱」の容疑で身柄を拘束…憲政史上初めて)と報じている=写真・上=。尹大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り、高官犯罪捜査庁と警察でつくる合同捜査本部はきょう15日午前10時半過ぎ、内乱容疑で尹氏を身柄を拘束。大統領は憲法で不訴追特権が保障されているが、内乱罪は例外となっている。捜査当局は今月3日にも身柄の拘束を試みたが失敗していた。韓国で現職大統領が身柄拘束はこれが初めて。合同捜査本部は拘束期限である48時間以内に逮捕状を請求する。

  尹氏は独裁者になろうと決意したのか、あるいは野党に対する脅しだったのか。去年12月3日深夜の演説には正直驚いた。「非常戒厳」を宣布すると発表した。韓国の憲法では、非常戒厳は戦時やそれに準じる国家非常事態に陥った際に大統領が宣言するものなので、世界は朝鮮戦争を再開するのかと身構えた。ところが、尹氏は戒厳令をその後、6時間で解除した=写真・下=。あれはいったい何だったのかと、混乱を招いた。ソウルでは大規模な市民による抗議行動と支持行動が連日のように起きていた。

  そもそも、尹氏を支える与党「国民の力」は2022年の政権発足時から少数与党だったが、それが去年4月の総選挙で大敗を喫した。このため、国会運営がままならない状態に陥っていた。追い詰められ、衝動的に戒厳令を発したのだろうか。その後は裁判所が出した拘束令状の執行を拒否し、公邸で籠城を続けていた。

  冒頭に戻る。報道によると、合同捜査本部は捜査員1000人余りを動員し、午前4時半ごろから大統領公邸前で大統領の警護側と捜査側が3時間にわたって対峙した。公邸では尹氏の弁護士と捜査員が協議を続けた。弁護側は自ら出頭すると提案したが、捜査側は拘束令状の執行で譲らなかった。7時半ごろから捜査員らが築かれた壁にはしごを架けるなどして続々と敷地内に入った。合同捜査本部は「午前10時33分、尹氏の拘束令状を執行した」と発表した。尹氏は拘束前に映像メッセージを公開した。「流血の事態を防ぐため、不法捜査だが、高官犯罪捜査庁の出頭要請に応じることにした」と述べた。午前10時半過ぎ、大統領を乗せたとみられる車両が公邸を出て、ソウル近郊の高官犯罪捜査庁の庁舎に向かった。午前11時から取り調べが始まっている。

  戒厳令から2ヵ月足らずで大統領拘束という激震が走った韓国。歴代大統領では李明博氏や朴槿恵氏が離任後に有罪判決を受けて収監されている。この国のカタチをどう表現すればよいのだろうか。

15日(水)午後・金沢の天気     あめ

★変わる光景、変わらぬ光景~2024能登地震・豪雨 その6~

★変わる光景、変わらぬ光景~2024能登地震・豪雨 その6~

  この1年、能登を何度も往復した中で、よい意味で変わらぬ光景だったのが祭りだった。能登では元日の地震で2万4千棟の住家が全半壊した。それでも、能登の祭りのシンボルでもあるキリコや神輿を出せる町内は出して祭りを盛り上げていた。7月5日に見た能登町宇出津の「あばれ祭」に能登の人々の心意気を感じた。

           逆境にめげず祭りを楽しむ能登人の心意気

  宇出津は港町でもある。元日の地震で沿岸の地盤が沈下して港町の一部では海水面より低くなったところもある。そんな中で祭りの掛け声が響き渡っていた。「イヤサカヤッサイ」。掛け声が鉦(かね)や太鼓と同調して響き渡る。高さ6㍍ほどのキリコが柱たいまつの火の粉が舞う中を勇ましく練り歩く。神輿2基とキリコ37基が港湾側の祭り広場に集った。キリコの担ぎ手は老若男女で衣装はそれぞれ。キリコに乗って鉦と太鼓をたたく、笛を吹く囃子手(はやして)にも女性も多くいた=写真・上=。  

  この祭りにはルーツがある。江戸時代の寛文年間(1661-73)、宇出津で疫病がはやり、京都の祇園社(八坂神社)から神様を勧請し、盛大な祭礼を執り行った。そのとき大きなハチがあらわれて、病人を刺したところ病が治り、地元の人々はこのハチを神様の使いと考えて感謝した。それから祭りでは「ハチや刺いた、ハチや刺いた」とはやしながら練り回ったというのが、この祭りのルーツとされる(日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」公式ホームページより)。逆境に立たされれば、立たされるほど闘争心をむき出しにして元気よくキリコを担ぐ、そのような言い伝えのある祭りなのだ。

  8月24日には輪島大祭の住吉神社の祭りに行ってきた。境内は震災で本殿が全壊し、高さ7㍍もある総輪島塗の山車や曳山も倒壊、鳥居や石灯籠も倒れた。そんな中でも、若い衆がガレキの山をバックに祭り太鼓を披露していた=写真・下=。前日までは人手が足りないのでキリコは出さないことになっていたが、祭り当日になって仮設住宅や金沢などの避難先からキリコ担ぎの仲間たちが続々と集まり、夕方になってキリコも担ぎ出された。「やっぱりキリコが出んと祭りにならん」。祭りを盛り上げたいという若い衆の気持ちが伝わったのだった。

  能登の祭りは地域の参加者だけが楽しむのではなく、参加したい人をどんどんと受け入れ、みんなで楽しむ。逆境にめげずに祭りを楽しむ能登人の心意気が伝わってくる光景だった。

⇒31日(火)夜・金沢の天気   くもり

☆変わる光景、変わらぬ光景~2024能登地震・豪雨 その5~

☆変わる光景、変わらぬ光景~2024能登地震・豪雨 その5~

       能登半島を車で走っていてこの一年変わらぬ光景がある。それは、山頂に並ぶ長さ30㍍クラスの風力発電のブレイド(羽根)が回っていないことだ。日本海に突き出た能登半島は風の流れがよいとされ、ブレイドが回る風力発電は能登では見慣れた風景でもあった。ところが、元旦の最大震度7の揺れ以降、ブレイドがストップした。風力発電が立地する場所は珠洲市が30基、輪島市が11基、志賀町が22基、七尾市が10基の合わせて73基で、その後に再稼働したのは志賀町にある日本海発電(本社・富山市)の9基とほか数基ようだ。

     この一年、ブレイドは回らず 凍える風力発電 

  今月27日に半島の尖端の珠洲市を訪れたときに国道249号の大谷トンネル付近から見えた5基はすべて止まったままだった。山には積雪があり、まるで風車が凍えているかのようにも見えた。同市にある30基の風力発電を管轄している「日本風力開発」(東京)の公式サイトによると、発電所や変電所の敷地内外を徒歩によるアクセスやドローンおよび航空写真で確認した。その結果、1基についてはブレイド1枚の損傷を確認した、としている。「6月10日現在の状況」として、ブレイドの損傷原因を現在も引き続き追究中で、それ以外の風車およびほかの設備についても周辺安全に影響する損壊がないことを確認しながら、具体的な復旧方法や工程を関係機関とともに策定中、とある。しかし、再稼働の日程については公式サイトでの記載はなかった。

  風力発電のブレイドは地震の揺れで自動的に止まるため、メンテナンスを施して再び稼働させる。では、なぜ再稼働がなぜ進まないのだろうか。以下は憶測だ。再稼働させるための器材を積んた車で現地にたどり着くことが困難なのだろう。山の道路に亀裂ができたり、がけ崩れなどで寸断されていることは想像できる。さらに、9月の記録的な大雨で山道そのものが崩れたりと、アクセスがさらに難しくなっている可能性がある。実際、今月27日に同市を訪れた際も、これまで行ったことがある風力発電の場所に車で行こうとしたが、山の道路の入り口に「がけ崩れ危険」と立ち入り禁止のカラーコーンが置かれてあった。

  能登半島では今後さらに風力発電の増設が計画されていて、13事業・181基について環境アセスメントの手続きが行われている。風力発電は再生可能エネルギーのシンボルでもある。以前、珠洲市で現地見学をさせてもらったことがある。風速3㍍でブレイドが回りはじめ、風速13㍍/秒で最高出力1500KWが出る。半島の沿岸部、特に北側と西側は年間の平均風速が6㍍/秒を超え、一部には平均8㍍/秒の強風が吹く場所もあり、風力発電には最適の立地条件にある、との説明を受けた。

  能登での風力発電の立地に地震というネックがあることが露呈した。果たしてこのまま181基の立地計画は進むのか。それより何より山の道路が再び整備され、再稼働が可能なのか。

⇒30日(月)午後・金沢の天気    はれ