★「負けとられん珠洲」 円相の熱いメッセージ
「負けとられん 珠洲!!」。5月5日に震度6強の揺れに見舞われた能登半島の尖端・珠洲市の知人から、メールで写真が送られてきた。ことし9月に同市で開催される「奥能登国際芸術祭2023」の企画発表会がきのう(10日)、多目的ホール「ラポルトすず」であり、作品紹介と同時に震災復興をアピールするロゴマークが公開された。それが、「負けとられん 珠洲!!」のキャッチコピーの作品=写真=という。「負けとられん」は能登の方言で、「負けてたまるか」の意味だ。
今回の震災で同市では1人が亡くなり、30人余りが負傷、全壊28棟、半壊103棟、一部損壊564棟(5月30日時点・石川県調べ)など甚大な被害を被った。知人は発表会に参加していて、メールでロゴの制作者のことも述べていた。考案したのは金沢美術工芸大学の研究生の男性で22歳。実家が珠洲市で最も被害が大きかった正院町にあり、自宅の裏山が崩れて祖母が負傷したのだという。
別の背景もメールに書かれてあった。奥能登国際芸術祭には毎回、金沢美大の学生チームが市内の古民家で作品を発表していたが、震災で作品制作を予定していた民家が使えなくなり、今回は出展を断念したということだった。そこで、奥能登国際芸術祭を主催する市側は、断念した金沢美大の学生チームに地震からの復興のロゴマークの制作を依頼した。学生チームには研究生も加わっていて、身内の負傷と出展断念の2重の痛手を乗り越えて、このロゴの制作に携わったようだ。
送られてきたロゴの写真を視ると、文字を取り巻く「円」が印象的だ。しかも、下から「円」が力強く描かれて、下で切れている。いわゆる「円相」だ。中国・唐代の禅僧である盤山宝積の漢詩である「心月孤円光呑万象」(心月 孤円にして、光 万象を呑む)をイメージして描いたのが円相と言われる。円は欠けることのない無限の可能性を表現する。そう解釈すると、被災者である市民が心を一つにして、災害を乗り越えようという、力強いメッセージのようにも読める。
3回目となる奥能登国際芸術祭は当初の開催予定より3週間遅れて9月23日から11月12日まで開かれ、14の国・地域から59組のアーティストが参加する。実行委員長である泉谷満寿裕市長が発表会で、「国際芸術祭が珠洲の復興に向けた光になればと思う」とあいさつしたとメールで書き添えられていた。市長のあいさつからも、「負けとられん珠洲」の熱いメッセージが伝わってくる。
⇒11日(日)夜・金沢の天気 くもり
れた赤い紙があちらこちらの家や店舗の正面に貼られてあった。貼り紙をよく見ると、「応急危険度判定」とある。
当時、金沢のローカル紙の新聞記者で、輪島支局で勤務していた。正午ごろ、日本海中部地震が起き、輪島も震度3の揺れがあった。金沢本社の報道デスクから電話があり、「津波が発生しているようだ。輪島にも来るかもしれないので港に行け」と指示があった。輪島漁港に駆けつけると、すでに津波が押し寄せていて、港内に巨大な渦巻きが起きていた。高さ数㍍の波が海上を滑って走るように次々と向かってくる。
サをねだっている様子が見え、シャッターを押した=写真=。静かだった辺りの雰囲気も親鳥やヒナの鳴き声でにぎやかになった。
さっそく行ってみると、公民館は避難所だった。玄関でスタッフに「バンさんのマジキリはどこにありますか」と尋ねると、案内してくれた。正直な話、珠洲市は国際芸術祭を開催しているので、泉谷市長から「バンさんのマジキリ」と聞いて、芸術作品かとも思っていた。ところが、実際に見てみると、避難所のパーテーションだった=写真・上=。
ックなどではなく、ダンボール製の簡単な仕組み。カーテン布が張られているが、プライバシー確保のために透けない。中にあるベッドもダンボールだ=写真・下=。坂氏は1995年の阪神大震災を契機に災害支援活動に取り組んでいて、このような「バンさんのマジキリ」を開発したようだ。
金沢から2時間ほどで珠洲市に着いた。今回の地震では同市を中心に1人が亡くなり、40人がけが。住宅被害は全壊が16棟、半壊15棟、部分損壊が706棟となっている。また、住宅以外でも蔵や納屋など62棟に被害が及んでいる(石川県危機管理監室まとめ)。被害が大きかった同市正院町に入ると、全半壊の家屋や、土蔵の白壁が落ちる=写真・上=などの被害があちらこちらにあった。
強の揺れでは、棚から出荷前の一升瓶が200本落ちて割れた。冬季の酒の仕込みに間に合うように酒蔵の改修工事を予定しているが、社長は「さらに強い地震が来るのではないかと不安もよぎる」と話した。
り、高さ9㍍もある大鳥居だった。近くを歩いていたシニアの男性に尋ねると、去年6月の地震6弱の揺れで鳥居が一部壊れ、修復工事を終えたばかりだったという。「また鳥居が崩れるなんて、残念です」と肩を落とした。
そうした状況の中で気になっているのが、珠洲市でことし秋に開催予定の「奥能登国際芸術祭」(総合プロデューサー・北川フラム氏)はどうなるのか、ということだ。2017年に始まった国際芸術祭は3年に一度のトリエンナーレで開催される。2020年はコロナ禍で1年間延期となり、翌年に「奥能登国際芸術祭2020+」として実施された。3回目のことしは9月2日から10月22日まで、14の国・地域の55組のアーティストによる作品が展示されることになっている=イラスト=。国際芸術祭の旗振り役の泉谷満寿裕市長が意外なタイミングで開催実施を表明した。
うためにも」などと述べていた。アナウンサーから質問があって述べたのではなく、自発的な発言だった。ある意味で公共の場でもあるテレビの生番組なので、開催実施を宣言したようなものだ。
知識豊富な友人から「草むしりは禅修行のようなものだよ」と聞かされたことがある。座禅を組みながら自分と向き合い悟りの境地を目指すように、草むしりは地面と向き合いながらひたすら手を動かし無心の境地に入る。草取りを終えて地面を眺めると、雑念が払われたかようにすっきりとした空間が広がる。その瞬間、草むしりという作業ができたことに感謝の念と充実感が心に漂う。
たとされる。ではなぜ、「利休梅」と名付けられたのかと調べても、明確は答えにはたどり着けない。そこで自己流の勝手解釈を。
スノーフレーク(鈴蘭水仙)は釣鐘型の白い花を咲かせている=写真・中=。これは上記のリキュウバイと違って、雪がちらちらと落ちる様子にも見えるので、「snowflake」(雪片)と名付けられたのだろう。原産地は東ヨーロッパだ。葉など外観がニラと似ているため、ニラの近くではスノーフレークを栽培しないように呼び掛けている自治体もある(広島県公式サイトなど)。有毒なアルカロイドを含有しているため、誤食すると吐気や下痢などの症状が出るようだ。花言葉は「純潔」「汚れなき心」だが、手ごわい植物でもある。。
イチリンソウ=写真・下=は1本の花茎に一つ花をつけるので「一輪草」の名だが、一群で植生する。「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と称されるように、春に芽を出し、白い花をつけ結実させて、初夏には地上からさっと姿を消す。一瞬に姿を現わし、可憐な花をつける様子が「春の妖精」の由来ではないだろうか。これも上記のスノーフレークと同様、可憐な姿とは裏腹に有毒なのでむやみに摘んだりすると皮膚炎を起こしたり、間違って食べたりすると胃腸炎を引き起こすといわれる。
きょう31日付の地元各紙を読むと、あす4月1日から台湾のエバー航空が毎日運航で再開すると、記事と広告で掲載されていた=写真・上=。この便の効果でさらに金沢はぎやかになるのではないだろうと憶測した。石川県観光戦略推進部「統計から見た石川の観光」(令和3年版)によると、コロナ禍以前の2019年の統計で、兼六園の日本人以外の国・地域別の入場者数のトップは台湾なのだ。数にして16万4千人、次は中国の4万4千人、香港3万7千人、アメリカ3万人の順になる。この年に兼六園を訪れた訪日観光客数は47万5千人なので、3割以上が台湾からの入りということになる。
台湾の日本統治時代、台南市に当時東洋一のダムと称された「烏山頭(うさんとう)ダム」が建設された。不毛の大地とされた原野を穀倉地帯に変えたとして、台湾の人たちから日本の功績として今も評価されている。このダム建設のリーダーが、金沢生まれの土木技師、八田與一(1886-1942)だった。ダム建設後、八田は軍の命令でフィリピンに調査のため船で向かう途中、アメリカの潜水艦の魚雷攻撃で船が沈没し亡くなった。1942年(昭和17年)5月8日だった。