⇒ドキュメント回廊

☆「2023 アレどうなった」➁ ドラッグストアのシェア争い

☆「2023 アレどうなった」➁ ドラッグストアのシェア争い

   政治の次は、経済のアレ。金沢はドラッグストアのシェア争いの主戦場なのだろう。なにしろ、ドラッグストアがまるで、コンビニのように乱立している。地元・石川県白山市に本社がある東証上場企業の「クスリのアオキ」は、最近自宅近くに1店舗増え=写真・上=、周囲に4店舗もある。同社の公式サイトによると、石川県内のドラッグストアの数は99店舗、北陸3県で246店舗あるようだ(2023年11月30日現在)。

    超高齢化社会のマーケットの主導権を握るか   

   これに挑むかのように店舗数を増やしているのが、同じく上場企業の「スギ薬局」(本社・愛知県大府市)や「ゲンキー」(本社・福井県坂井市)だ。とくに、「スギ薬局」は2020年に金沢に初めて3店舗を開設。2024年2月までに北陸で一気に100店舗を計画している(同社公式サイト)。中でも目立っているのが、片町きらら店だろう=写真・下=。片町通りは金沢の繁華街にあり、多くの市民は「まさかドラッグストアが片町に」と思ったに違いない。ドラッグストアは繁華街ではなく、病院がある住宅街の近くにある店舗というイメージだったので、それが覆された。ちなみに、クスリのアオキは片町通りにはない。

   以下は自身の憶測だが、後発で店舗を構えたスギ薬局にとって、片町きらら店は採算性というよりPR効果を狙ったものなのだろう。と同時に、同業者であるクスリのアオキに対する挑戦状なのかもしれない。というのも、近くにある両店舗はスギ薬局がクスリのアオキに接するように店舗を構え、距離にして200㍍ほど。素人目で見ても、シェア争いに挑んでいるようにも見える。他でも、スギ薬局はクスリのアオキに付きまとうように店舗を配置している。悪い意味ではなく、業界の熾烈なシェア争いを間近に見ているようで迫力ある光景なのだ。コンビニ業界も同じだ。

   さらに、店舗のコンセプトにも工夫がある。クスリのアオキは複数の医療機関から幅広く処方せんを受け付け、「地域のかかりつけ薬局」としての機能を重視している。これに対し、後発のスギ薬局は店舗の多様性をアピールしている。繁華街にある片町きらら店は売り場面積の半分を化粧品やスキンケア、ヘアケア用品をそろえた「ビューティー強化型店」として、「美の拠点」と位置付けている。また、地域の在宅医療における訪問調剤サービスなど行っている。それぞれ個性を打ち出している。

   ドラッグストアチェーンのこうした積極的な経営戦略は超高齢化社会を迎えるマーケットの主導権を握るだろう。ドラッグストアと食品スーパ-、ドラッグストアと介護・診療施設の併設、あるいはドラッグストアと家族葬を中心とした葬儀場もあり、かもしれない。そのくらい勢いのある業界ではないだろうか。何しろ、スギ薬局は2024年2月期の連結売上高を前期比11%増の7425億円、クスリのアオキは2024年5月期の連結売上高を前期比15%増の4350億円と見込んでいる(両社公式サイトより)。

⇒28日(木)夜・金沢の天気   くもり時々あめ

★「2023 アレどうなった」① 馳知事の不測の発言

★「2023 アレどうなった」① 馳知事の不測の発言

   ことしも残すところあと4日となった。この一年の世相を振り返ってみると、釈然としない自民党の裏金問題やロシアによるとウクライナ侵攻が続く一方で、大谷翔平選手の大リーグでのMVP満票受賞や7億㌦契約など前例のない快挙もあった。そこで、阪神の岡田監督が使って話題となった「アレ」を自分なりの解釈で、この一年を振り返ってみる。題して、「2023 アレどうなった」。

   一回目は、全国ニュースにもなった、石川県の馳知事の不測の発言。馳氏は11月17日に都内でスポーツ振興の会合で講演し、自身が自民党代議士で東京オリンピック・パラリンピックの招致推進本部長だった当時のことを語った裏話が物議をかもした。

      官房機密費とIOC委員アルバム発言 その始末はお粗末

   「当時、総理だった安倍晋三さんからですね。『国会を代表してオリンピック招致は必ず勝ち取れ』と。ここから、今からしゃべること、メモを取らないようにしてくださいね。『馳、カネはいくらでも出す。官房機密費もあるから』」 「それでね、IOCの委員のアルバムを作ったんです。IOC委員が選手の時に、各競技団体の役員の時に、各大会での活躍の場面を撮った写真があり、105人のIOC委員全員のアルバムを作って、お土産はそれだけ。だけども、そのお土産の額を今から言いますよ。外で言っちゃダメですよ。官房機密費使っているから。1冊20万円するんですよ」(メディア各社の報道)

   秘匿すべき官房機密費の使い道をばらし、さらに、アルバムは買収工作としてIOCの倫理規定に抵触したのではないかとメディアなどで報じられると、馳氏は発言を「事実誤認があった。全面的に撤回する」と口を閉ざした。その後、県議会での質問にも「全面的に撤回している」をひたすら繰り返した。(※写真は石川県庁公式サイト「知事のホームページ 」より)

   発言に変化があったのは、今月に入ってから。県議会予算委員会(15日)の後の記者会見で、アルバムについて問われ、「自民党の予算しか使えないと言われた。私が関知する限り、官房機密費は1円ももらっていない」と述べている(地元メディア各社の報道)。これを今ごろになって言うのは釈明の筋道が違う。「全面的に撤回」を言う前に、「官房機密費ではなく党の予算だった。当方の誤解」とまず釈明すべきだったろう。

   ことしの元旦に東京の日本武道館で開催されたプロレス興行の試合に参戦し、得意技のジャイアントスイグンなどで会場を沸かせた。正月の休暇中だったとはいえ、側近はけがなどの負傷を心配し出場を止めるよう進言したが、それを押し切って、リングに立った。その後、年頭記者会見(1月4日)で問われ、「私は死ぬまでプロレスラー」と述べ、再度登板することに含みを持たせるような発言をした。これも釈明の仕方が異なり、知事職を軽視した発言のようにも聞こえる。「知事が最優先」と明言すべきだったろう。不測の発言は来年も続くのか。

⇒27日(水)午後・金沢の天気    くもり時々はれ

☆道路への倒木で問われる 山の所有と境界の問題

☆道路への倒木で問われる 山の所有と境界の問題

   きょうの金沢は寒気から一転して寒さがやわらぎ、金沢では日中の最高気温が9度だった。あさからときおり雨も降り、積もっていた雪がずいぶんと溶けている。自宅2階からの雪景色が一変している。左の五葉松の枝に積もっていた雪がまったくなく、屋根雪も少なくなった。(※写真は、26日午前7時59分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   積雪60㌢の記録的な大雪となった能登半島の輪島市では、雪による倒木で道路がふさがれ、一時220世帯余りが孤立状態となっていたが、きのう25日夕方にはすべて解消した。また、停電となっていた2200戸はほとんどが復旧したものの、80戸でまだ停電が続いている。

   雪害に遭われた方々に申し訳ない言い方になるかもしれないが、今回の能登の集落の孤立や停電は過疎高齢化による里山問題の象徴的な事象ではないかと考えている。孤立した集落の市道などは車2台がすれ違うのが精一杯の細い道で、雪の重みで倒れた樹木などが道をふさいだ。輪島など奥能登の中山間地の道路には杉やアテ(能登ヒバ)など常緑樹が多く植林されているが、枝打ちなどがなされず、横に傾いて、道路を覆うようになっている木も多く見かける。本来ならば山の持ち主が枝打ちなどするが、所有者が地域で不在になって、山の木々が荒れ放題になるケースが増えている。

   また、「境界管理」の問題もある。森林には私的所有権が設定されているが、実のところオーナーが健在である場合、その隣地との境界は代々からの言い伝えで分かるが、代を重ねるごとにあいまいになり、分からなくなる。すると、道路沿いの境界にある杉やアテをだれも管理しないということが起きる。こうした木々が今回の大雪で道路に倒れ込む、さらに倒木で電柱の電線を切断することは想像に難くない。また、山道の倒木問題は冬だけでなく、地盤が緩みやすくなる梅雨の時期にも起きる。

   里山の管理の問題はこれまでクマやイノシシなどの獣害でよく指摘されてきたが、今回の倒木による集落の孤立問題をきっかけに、危機管理として所有や境界を超えた対策が必要ではないだろうか。

⇒26日(火)夜・金沢の天気   くもり時々あめ 

★雪国の環境問題マイクロプラスチック どう対応すべきか

★雪国の環境問題マイクロプラスチック どう対応すべきか

   22日、23日と続いた大雪はいったん収束した模様だ。きょうは朝から雨が降り、雪はずいぶん溶けた。連日の雪すかしで少々くたびれた。それと、この雪すかしには環境問題を考えてしまう。このブログで何度か取り上げた、除雪にともなうマイクロプラスチックごみの問題だ。

   雪すかしをしているご近所を見渡すと、スコップの8割がプラスチック製で、2割がアルミ製ではないだろうか。除雪する路面はコンクリートやアスファルトなので、そこで雪すかしをすると、プラスチック樹脂が摩耗する=写真=。この微細なプラスチックの破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。

   粉々に砕けたマイクロプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持つとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

   かつてスコップは鉄製が多かったが、軽量化とともにアルミ製に変化し、最近ではプラスチックなど樹脂製が主流となっている。自身はなるべくステンレス製のスコップを用いるようにしている。ただ、ご近所を見渡すとほとんどがプラスチック製だ。北陸のほか雪国から排出されるマイクロプラスチックは想像を絶する量ではないだろうか。

   この問題を解決する方法はただ一つ。一部には製品化されたものもあるが、スコップのさじ部分の尖端をステンレスなど金属にするしかない。これを法令で措置すべきではないだろうか。

⇒25日(月)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

★冬将軍が来た さっそく「エンヤコラ」と雪すかし

★冬将軍が来た さっそく「エンヤコラ」と雪すかし

   気象庁の予報通り、金沢は大雪となった。きょう夕方までに自宅周辺では30㌢ほど積もった。そして、朝からさっそく「雪すかし」を行った。「雪かき」という言葉を使う人もいるが、いわゆる除雪のこと。雪の晴れ間をぬって作業を行った。

   町内会でお達しがあったわけではないが、不思議と道路沿いの家々の人たちが一斉に出てきて、雪すかしの作業を行っている。平日の朝、通学路でもあるので児童生徒たちが多く通る。子どもたちから「ごくろうさまです」と声をかけられ、「滑らないように気をつけて」と応える。また、通学路は午前9時まで車が通れないので除雪作業にはタイムリーな時間帯でもある。そして、「よく降りましたね」は、ご近所のみなさんと交わす朝のあいさつとなる。(※写真は、22日午前6時57分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   金沢の雪すかしにはちょっとした「暗黙のルール」のようなものがある。雪をすかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角の家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。登校の児童生徒たちが歩く歩道の部分でよい。すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく。冬場の側溝は雪捨て場となる。

   暗黙のルールに従わなかったからと言って、罰則や制裁があるわけではない。雪は溶けて消えるものだ。しかし、町内の細い市道でどこかの家が積雪を放置すれば、交通の往来に支障をきたし雪害となる。もちろん、道路の雪害は住民の責任ではなく、行政にある。一方で道路を使うのは住民なので、公共の意識で出来る範囲で除雪を行う。そんなルールだ。町内の雪すかしは、雪国の住民の「自助・共助」の光景でもある。

   金沢の雪はじっとりと湿っていて重い。その雪を側溝や空きスペースに放り投げる。「エンヤコラ」と『ヨイトマケの唄』を心で歌いながら作業を40分ほど続けた。

⇒22日(金)夜・金沢の天気    くもり時々ゆき

☆「撤回している」発言を繰り返す馳知事の大あくび

☆「撤回している」発言を繰り返す馳知事の大あくび

   最近、会話の中で「デジャブ」を使うようになった。フランス語の「déjà-vu」で、既視感という意味で使う。以前どこかで見たような風景やテレビのシーンを思い出して、「デジャブやな」と言ったりする。

   そのデジャブを思い起こすのが、馳浩石川県知事が東京オリンピック招致のために官房機密費を使ってIOC委員105人にそれぞれアルバムを作成して配ったと述べた問題。11月17日の講演での発言だが、問題視されると、本人は「五輪招致に関する発言は全面撤回する。今後一切発言しない」と繰り返している。

   きのう6日の石川県議会12月定例会でも、代表質問に立った自民党の議員から問われ、「誤った事実が報道を通じて拡散することは本意ではないことから、その日のうちに全面撤回したものです」と答えていた。その後もこの質問に関しては「全面的に撤回をしております」と繰り返していた。(※写真は石川県庁公式サイト「知事のホームページ 」より)

   この議会での知事と議員のやりとりで、デジャブ感が脳裏に漂ってきたのが、あのロッキード事件での国会での追及だ。1976年、アメリカの航空機メーカー「ロッキード」社への発注をめぐって日本国内で汚職事件が表面化した。この事件で国会に召喚され、「記憶にございません」を連発していたのが、当時、日本財界のドンと言われた小佐野賢治氏(1917-1986)だった。「記憶にございません」はこの年の流行語大賞にもなっている。

   この議会での「記憶にございません」と、馳氏の「全面的に撤回しております」が妙にダブって感じるのは自身だけだろうか。ちなみに、小佐野氏の国会での証言は偽証罪(議院証言法違反)に問われ、翌年77年に起訴され、81年には懲役1年の実刑判決を受けている。

   話はずれるが、きのうの県議会本会議で馳知事が大あくびを繰り返したことが地元紙のコラムに掲載されている。議員の質問中での大あくびだ。記者のぶら下がり取材で質問されると、「きょうはかみ殺していたつもり」とばつが悪そうに答えたという(7日付・北國新聞)。本人は毎朝4時に起きるそうだ。これにアルバム発言の議会での追及が重なって心労が重なったのか。

⇒7日(木)夜・金沢の天気   くもり

☆枯れ葉舞うイチョウ並木と「ぬれ落ち葉」の話

☆枯れ葉舞うイチョウ並木と「ぬれ落ち葉」の話

         紅葉も深まった。金沢市内では北風も吹いていて、イチョウ並木では枯れ葉が舞っていた=写真・上=。くもり空と黄ばんた並木の風景は絵画の世界のようで心が和む。イチョウの大木は「オオイチョウ」と呼ばれ、長寿の樹木が多い。花言葉も「荘厳」「長寿」「鎮魂」などがある。撮影した場所は、金沢工業大学キャンパスの近く。道路を新設する際に周辺の風景に配慮してイチョウ並木を植栽したのだろう。地域全体が黄色く染まったいるような光景だった。

   話は変わる。市内の道路や広場、駐車場などいたるところで落ち葉が舞い落ちている。緑の街である金沢らしい晩秋の光景でもある。そして、この季節一番の仕事は落ち葉かき。一度すっきりと掃いても、数日たつとまた降り積もり落ち葉かきに追われる。

   落ち葉かきで一番やっかいなのが、ぬれ落ち葉。水気のある舗装面などに張りついていると、ほうきで掃いてもなかなか剥がれない=写真・下=。結局、手で一枚一枚取る。

   つい先日もぬれ落ち葉を剥いでいて、ふと「岸田政権もぬれ落ち葉か」などとイメージを膨らませた。読売新聞の11月の世論調査(17-19日)で内閣支持率は24%と前回10月調査より10ポイントも下げた。読売調査の内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」とよく言われる。さらに、9月の内閣改造以降で、政務三役である文科政務官や法務副大臣、財務副大臣が相次いで不祥事で辞任した、いわゆる「辞任ドミノ」。それでも、政権にべったり張りついたままだ。

   「ぬれ落ち葉」内閣が内政や外交に今後どのような影響を及ぼすのか、そして鬱陶(うっとう)しさを募らせた有権者の投票行動は。などと、とりとめのないことを頭に浮かべながら落ち葉かきをしていた。

⇒28日(火)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

★ココロの風景が師走へと動き出す きょうこのごろ

★ココロの風景が師走へと動き出す きょうこのごろ

   きょうは朝から師走並みの寒さ。さきほどパラパラと音が聞こえたのでアラレかと思って外を見ると、大粒の雨だった。きょうの予想最高気温は10度、雷雨になるところもあるという。北陸ではこの時節の雷を「ブリ起こし」と言う。いよいよ寒ブリの季節がやって来る。

   午前中、金沢市内のクリニックで新型コロナワクチンを接種してきた。6月以来で7回目の接種だ。つい数日前まで、感染症法上の位置づけが5類に移行していることだし、「もういいだろう」と接種を止めようと思い、9月に市役所から郵送されてきた接種券をほったらかしにしていた。ところが、5類以降でコロナに罹った知人から発熱とのどの痛みに悩まされたと聞かされ心が動いた。間もなく師走、そして年の瀬ともなれば年末の行事や買い物など忙しくなり、人と会う機会も格段に増える。で、「やっぱり打っておこうか」と接種を申し込んだ次第。さて、インフルエンザの予防接種はどうするか。(※イラストは厚労省公式サイトより)

   年末のテレビ番組と言えば、フィナーレを飾るNHK「紅白歌合戦」か。じっくり視聴したことはなかったが、一度だけ印象に残る歌のシーンがあった。2019年の紅白歌合戦にテレビメディアにはほとんど露出しない竹内まりやが初出場し、歌った『いのちの歌』が胸にしみた。「生きてゆくことの意味 問いかけるそのたびに 胸をよぎる 愛しい人々のあたたかさ この星の片隅で めぐり会えた奇跡は どんな宝石よりも たいせつな宝物・・・」。命をつなぐことの大切さ、平和の切望、実に生命感があふれていた。この年は香港の民主主義が中国政府と真っ向から向き合い、そして、16歳の環境活動家、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリが地球温暖化対策を世界に強烈にアピールした。

   ことしの紅白歌合戦の出場者がきょう発表された。メディア各社の報道によると、出場者一覧に、「SMILE-UP」(旧ジャニーズ事務所)所属タレントの名前は1組もなかった。前年は6組が出演していた。ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川による性加害問題を受け、NHKでは所属タレントへの新規の出演依頼を当面行わないとしている。ことしの紅白歌合戦は何だか事件の後始末のような、後味の悪い番組になりそうだ。

⇒13日(月)午後・金沢の天気     あめ

☆金沢の紅葉はアメリカ楓と兼六園、そして隠れた名所

☆金沢の紅葉はアメリカ楓と兼六園、そして隠れた名所

   きょうは雲一つない秋晴れの空だった。朝は冷えていたものの、日中の気温は25度と夏日。前回ブログの続き。兼六園で雪吊りが始まるころに、紅葉の色どりを見せてくれる場所がいくつかある。

   金沢市役所近くにある「しいのき迎賓館」(旧県庁)と「四高記念館」に挟まれた通りで、「アメリカ楓(ふう)通り」と呼ばれている。紅葉が青空に映えてこの季節の人気スポットだ。樹木のアメリカ楓は別名で、正式には「モミジバフウ」。原産地がアメリカだったことからアメリカ楓と呼ばれている。空を見上げると赤と青のコントラスが目に映える=写真・上=。

   兼六園にも「紅葉山」とも称される名所がある。本来の名称は「山崎山」。高さ9㍍ほどの、いわゆる築山(つきやま)、造られた山だ。雪吊りの唐崎松の雰囲気とはまったく異なる景色で、カエデやトチノキなどが赤や黄に色づいている=写真・中=。山頂にある茅葺き屋根の四阿(あずまや)からは兼六園の紅葉、そして雪吊りを見渡すことができる。

   この時季の紅葉の隠れた名所もある。金沢大学角間キャンパスだ。中山間地にあるキャンパスで、この時季は晩秋と初冬を告げる天候が入り混じる。キャンパスの回廊から見える紅葉の風景だ=写真・下=。木々はゆっくりと紅葉していくが、山間だけにその紅葉を追い立てるかのように風も吹き、冷たい雨も降る。紅葉と冬の訪れを同時に感じさせる、季節のスクランブルが楽しめるスポットだ。

⇒9日(木)夜・金沢の天気    はれ

★持続可能な事業継承とは何なのか 茶道・天然忌の教え

★持続可能な事業継承とは何なのか 茶道・天然忌の教え

   茶道・表千家には「天然忌(てんねんき)」という行事がある。茶道を習っている社中でも、きのう5日に行われ、表千家の中興の祖といわれる七代・如心斎(1705~51)の遺徳をしのんで、お茶を供えた=写真=。如心斎は9月に亡くなったので本来は同月の稽古で天然忌を行うが、今回、参加者が多く集える日を優先して10月となった。如心斎が工夫し制定されたとされる七事式の一つ、「且坐(さざ)」と呼ばれる稽古をするのが習いとなっている。

   茶道の先輩諸氏から話を聴くと、如心斎は「求道者」のイメージがわく。その典型的なエピソードの一つが、大徳寺に毎日のように坐禅に通ったことだ。書物にもこう描かれている。「如心斎は、千家の伝統に従って、茶の湯は究極において禅に通ずる、と考えた。彼にとって、稽古は単に芸ごとの習練ではなく、悟りに達する自己鍛錬の道であった」(千宗左著『茶の湯 表千家』)。そして、死後も自分の肖像画を掛けることを禁じたという。ここから察するに、名誉欲をもたず、禅と茶道を極めた家元だった。

   このイメージが表千家では代々共有されて、天然忌では「円相」の掛け物を飾る。中国・唐代の禅僧である盤山宝積の漢詩である「心月孤円光呑万象」(心月  孤円にして、光 万象を呑む)をイメージして描いたのが円相と言われる。円は欠けることのない無限を表現する、つまり宇宙を表している、とされる。茶の道も同じで、物事にとらわれず、純粋に精進することが茶の湯の道である、と。その心の宇宙の象徴が満月、円なのである。

   如心斎が生きた江戸時代の中期は将軍家ほか大名も茶をたしなみ、茶道人口が増加したころだった。と同時に、茶の湯が遊芸化へと傾きつつあった時代ともいえる。そこで、原点回帰を進めた。茶道の祖といわれる千利休の150年忌を機に元文5年(1740)に利休像をまつった祖堂を建立。家元の一子相伝を明確にすることで、茶の湯の継承争いを避けることに苦心した。趣向に偏りがちな茶の湯の世界に禅の教えと厳しい作法を導入することで、その後、明治、大正、昭和と表千家の伝統が連綿と受け継がれることになる。   

   きのうの天然忌では、円相の掛け軸「人間万事 一場 夢(じんかんばんじ いちじょうのゆめ)」を掛けた。曹洞宗管長を務めた板橋興宗氏が金沢の大乗寺住職だったときの筆だ。そして、花は如心斎が好きだったとされる白い芙蓉を本来は飾るが、季節が少しずれたので白いムクゲを飾った。

⇒6日(金)夜・金沢の天気     くもり