☆震源から何千㌔離れていても津波は来る 教訓生かす能登尖端の地区

ロシアのカムチャツカ半島付近できのう(30日)発生したマグニチュード8.7の巨大地震で、太平洋沿岸部に津波の影響が広くおよんだ。震源から1500㌔離れた日本では津波警報が発令された=図、気象庁公式サイトから=。警報を受け、北海道、東北など沿岸部の21都道県229市町村が約200万人に避難指示を出すなど対応に追われた。津波はきのう夕方までに22都道府県の沿岸部に到達し、岩手県宮古市では1.3㍍が観測された。また、アメリカのハワイ州で1.7㍍の津波が観測された(メディア各社の報道)。
今回のM8.7の地震規模は1900年以降に世界で発生した地震の中で8番目に大きいとされる。日本列島から遠い海外の地震に伴って津波警報が発令されるのは、2010年2月27日にチリで発生したM8.8の地震以来15年ぶりとなる(同)。

話は逸れる。自身の体験談だが、津波で危ない思いをしたことがある。1983年5月26日正午ごろ、秋田沖を震源とする日本海中部沖地震が起きた。当時、新聞記者で輪島支局員だった。輪島は震度3だったが、津波がその後に押し寄せた。高さ数㍍の波が海上を滑って走るように向かってくる。輪島漁港の湾内に大きな渦が出来て、漁船同士が衝突し沈没しかかっている船から乗組員を助け上げているを見て、現場へ走り、数回シャッターを切ってすぐ高台に避難した。大波が間近に見えていた。あの時、取材に欲を出してさらにシャッターを切っていたら、津波に足をすくわれていたかもしれない。乗組員の2人は無事だった。(※写真・上は、日本海中部沖地震で津波が輪島漁港に襲来したことを記載した紙面)

もう一つ。体験ではないが、津波への警戒を共有している地域がある。能登半島の尖端に位置する珠洲市の三崎地区。海岸沿いの道路を車で走ると、「想定津波高」という電柱看板が目に入る。中には「想定津波高 20.0m以上」もある=写真・下=。同市では2018年1月に「津波ハザードマップ」を改訂した際にリスクがある地域への周知の意味を込めて電柱看板で表記した。石川県庁がまとめた『石川県災異誌』(1993年版)によると、1833年12月7日に新潟沖を震源とする大きな津波があり、珠洲などで流出家屋が345戸あり、死者は約100人に上ったとされる。1964年の新潟地震や1983年の日本海中部沖地震、1993年の北海道南西沖地震などでも珠洲に津波が押し寄せている。
半島の尖端という立地では、震源地が遠く離れていたとしても常に津波を警戒する心構えが必要なのだろう。「想定津波高」の電柱看板からそんなことを学んだ。
⇒31日(木)午後・金沢の天気 はれ