⇒ドキュメント回廊

☆黄砂の季節がやってきた 厄介者だが海や空に恵みをもたらす

☆黄砂の季節がやってきた 厄介者だが海や空に恵みをもたらす

ばんやりと黄砂でかすんで見えるのはきのうの金沢市内の様子だ(※写真は、23日午後4時ごろ大乗寺丘陵のふもとから撮影)。車のフロントガラスなどは白くなっていて、ガソリンスタンドの洗車場には列ができていた。いよいよ黄砂の季節がやってきた。

黄砂は、大陸のタクラマカン砂漠など中国の乾燥地域で巻き上げられ、偏西風に乗ってやってくる。わずか数マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)の大きさの砂だが、日本に飛来するまでに、さまざまに変化する。その一つが「汚染物質の運び屋」。日本の上空3㌔で捕らえた黄砂の表面には、硫黄酸化物が多くついていて、中国の工業地帯の上空で亜硫酸ガスが付着したものと考えられている。もう一つ、黄砂は微生物を乗せてやってくる。研究によると、中国の敦煌上空で採取した黄砂のおよそ1割にDNAが付着していて、そのDNAを解析すると、カビや胞子であることが分かった。

日本海に面した北陸は黄砂との歴史的な付き合いも長い。金沢では古(いにしえ)より黄砂を忌み嫌ってきた。江戸時代からの金沢の老舗料亭では黄砂を「唐土(とうど)の鳥」となぞらえたこんな歌が伝わる。七草粥をつくる際に、調理場の七つ道具で音を立てながら歌う。「ナンナン、七草、なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先にかち合せてボートボト」。旧暦正月6日の晩から7日の朝にかけて唐の国(中国)から海を渡って、悪い病気の種をまき散らす鳥が日本に飛んで来る、渡って来る前にやっつけて撃ち落とせ、という意味のようだ。(※図は、23日午前3時の黄砂情報=気象庁公式サイトより)

黄砂は「厄介者」とのイメージがあるが、生態系の中ではたとえば、魚のエサを増やす役割もある。3月と4月には大量の黄砂が日本海に注ぎ、「ブルーミング」と呼ばれる現象が起きる。海の表面が一面に白くなるほど植物プランクトンが大発生する現象だ。黄砂の成分とされるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促される。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという海の食物連鎖が起きるという研究がある。確かに、地球規模からすれば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜクジラやサメ、ブリ、サバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に生息するのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

また、黄砂研究から商品化されたものもある。黄砂に乗って浮遊する微生物、花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。金沢大学のある研究者はその中に発酵に関連する微生物がいることを発見し、採取したバチルス菌で実際に納豆をつくり、商品化した。空から採取したので商品名は「そらなっとう」。納豆特有の匂いが薄いことから、機内食としても使われている。日本の納豆文化のルーツはひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの研究者の解説を聞いて、妙に納得した。

⇒24日(火)午前・金沢の天気   はれ

☆金沢に恵みの「2月の20度」/能登にまた漂着船、不気味さ漂う海

☆金沢に恵みの「2月の20度」/能登にまた漂着船、不気味さ漂う海

きょうは朝から日差しが強く、まるで夏日のようだ=写真・上、金沢の自宅2階から午前9時ごろ撮影=。予報では金沢の最高気温は20度になるという。きのうは15度だったので、このところの暖かさで庭の梅の花のつぼみも一気に膨らんできたように見える。近所では朝から、雪すかしで自宅空き地に積み上げた雪の山をスコップで崩す作業が行われている。崩して道路に撒けば、1時間もあれば融ける。この暖かさはきょうがピークで、あすから10度台の前半に戻るようだ。それにしても、北陸に住む者にとって、「2月の20度」はありがたい。「雪どかし」の作業が進む。

話は変わる。きのう能登半島の中ほどに位置する石川県志賀町の百浦(ももうら)海岸に行ってきた。地元メディア各社が百浦海岸に木造船が漂着した、と報じていたので、現場を見て来た。海岸べりの岩場は冬場に岩ノリが繁殖する地域で、木造船が打ち上げられている岩場のすぐ横には、コンクリートで平にした「ノリ畑」がある。金沢海上保安部の調べによると、木造船は長さ5.3㍍、幅1.6㍍で、船体にハングルのような文字と数字が記載されている=写真・下=。付近で不審な残留物などはなかったという。

金沢海上保安部は今月13日にもこの現場から10㌔ほど南の羽咋(はくい)市滝町の海岸に木造船が漂着しているのを確認している。船は長さ6.4㍍、幅1.5㍍で、船体全体にコールタールのような塗料が塗られていた。船体にハングルのような文字や数字が記されており、北朝鮮籍の船とみられる(地元メディア各社の報道)。今回、百浦海岸で見つかった木造船にも船体全体にコールタールが塗布されている。ということは、この2つの船には同じ目的、つまり脱北の長期航行を想定して、船の水漏れを防ぐためにコールタールを塗ったのだろうか。能登半島の近隣で2つ船が見つかったということは、このほかにも相当数の木造船が日本海を漂っているのではないだろうか。それにしても不気味さを感じる。

北朝鮮では5年に1度開く朝鮮労働党大会が20日が開幕し、金正恩総書記は前回の党大会(2021年)で掲げた各政策を総括した。5年間の成果について「より大きな変革と成功を保証する飛躍の土台となる」と評価した。金氏は19日の開幕の辞でも主要産業の整備や強化により、「長期の停滞と低迷から脱した」と強調した。党大会は数日間続く見通し。外交や核・ミサイル開発、経済などで新たな方針を発表するとみられる(メディア各社の報道)。

党大会が華やかに開催され、別の一面では前述の漂着船の現実がある。「高市内閣2.0」の施政方針演説では拉致問題には触れていたが、対岸のこの国とどう向き合うべきなのか示してほしかった。今後の大きな安全保障のテーマではないだろうか。

⇒22日(日)午前・金沢の天気   はれ

★能登の海岸に大量の漂着ごみ 間近に見える日本海の国際問題

★能登の海岸に大量の漂着ごみ 間近に見える日本海の国際問題

きのう(15日)午後、能登半島の羽咋市の海岸に漂着した北朝鮮の木造船を見に行ったついでに、周辺の海岸沿いを歩いた。ペットボトルや廃棄された漁具など大量の漂着ごみが流れ着いている=写真・上=。このブログでも何度か日本海の海洋ごみについて述べてきたが、あらためて考えてみたい。

ごみを見ると、日本語のものも多数あるが、ハングル文字やロシア語、中国語などが多くある。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し、山陰や北陸などの沿岸に流れてくる=海流図=。とくに能登半島は日本海に突き出ているため、近隣国の漂着ゴミのたまり場になりやすいとされる。

どのようなものが、どれだけ、どこから流れてくるのだろうか。石川県資源循環推進課が羽咋市柴垣海岸で実施している「漂着ごみ組成調査」(2025年10月15日)によると、回収したごみ1101個のうちプラスチックが79%(前年調査74%)、発砲スチロール8%(同10%)と続いた。そのうち、ペットボトルに記されていた言語表記では中国・台湾が41%(同46%)、日本が41%(同29%)、韓国が11%(同20%)、ロシアが2%(同3%)だった。数字で見る限り、直近の調査で6割から7割のごみが対岸から流れて来ている。

懸念されるのは人体へ影響だ。粉々に砕けたプラスチックは海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。不都合な真実ではある。

海洋ごみと生態系について知られた国際条約に、バルセロナ条約(汚染に対する地中海の保護に関する条約)がある。UNEP(国連環境計画)の主導で1976年に本条約が採択され、21ヵ国とEUが締約国が加盟し、1978年に発効した。特別保護地域などを特定し、海洋環境、生態系バランス、自然や文化遺産として重要な海洋や沿岸地域を保護するための対策が盛り込まれている。

UNEPで条約を担当していたアルフォンス・カンブ氏と能登の海岸をテーマに意見を交わしたことがある。カンプ氏が「いしかわ国際協力研究機構(IICRC)」の所長時代に金沢で知り合い、何度か能登視察に同行した。廃棄物が漂着した海岸を眺めながら、日本海は生け簀(いけす)のような小さな海域であり、このまま放置すれば大変なことになるとカンプ氏は危機感を抱いていた。そのとき、バルセロナ条約によって、地中海の海域が汚染されるのを何とか防いでいると教えてもらった。「日本海の環境を守る能登条約が必要ですね」とカンプ氏が語っていた。20年ほど前の話だが、まさにそのときが来ていると、今回能登の海岸を眺めて実感した。

⇒16日(月)午後・金沢の天気   くもり

☆巨大な権力を手に、「重い重い責任」背負う高市総理のこれから 

☆巨大な権力を手に、「重い重い責任」背負う高市総理のこれから 

衆院選で歴史的な大勝を収めた高市政権と今後どのように接したらよいのか、政治も経済も右往左往しているのではないだろうか。第2次高市内閣は18日に召集される特別国会で首班指名選挙が行われ発足する。円相場は日本時間9日早朝には1ドル=157円90銭台を付けていたが、きょう11日は5円の大幅高となった。今月上旬に高市総理が外為特会の運用について「円安でホクホク状態」と発言したことから円相場がさらに下落していたが、総選挙後は円が買われている。こうした揺れる現象をどう読むか。

メディア各社は、このところの円高について、アメリカ商務省が10日に発表した去年12月の小売り売上高(季節調整値)が前月比で横ばいとなり、市場予想を下回ったことで消費減速の見方が広まり、円を買ってドルを売る動きにつながったと報じている。そうなのだろうか。あくまでも私論だが、むしろ、世界の投資家は高市内閣が3分の2の議席を獲得したことに驚きと同時に今後の可能性に興味を持って、「高市買い」をしているのではないだろうか。「鉄の女」と称されたイギリスのサッチャー首相をイメージしているのかもしれない。(※写真・上は衆院解散について説明する高市総理=1月23日付・総理官邸公式サイトより、写真・下は国会議事堂)

国内では評価が加速している。読売新聞社の緊急世論調査(今月9、10日)によると、与党が3分の2を上回る議席を獲得し中道改革連合が大きく議席を減らした選挙結果について、「よかった」と答えた人が55%で、「よくなかった」の32%を上回った。共同通信社の世論調査(同)でも選挙結果について、「よかった」が56.3%で、「よくなかった」38.2%を上回った。そして、内閣支持率は読売調査で67%で、前回調査(1月23-25日)の69%と同様に高支持を維持した。共同調査の内閣支持は67.3%で、前回調査(今月6、7日)の63.3%から4ポイント上昇している。

そして、自民党が大きく議席を増やした理由について、読売調査では、「高市首相の政治姿勢が期待された」が最も多く81%、「野党の党首に魅力がなかった」が64%、「野党の選挙準備が不十分だった」が59%と続いた。共同調査では、立憲民主と公明で結成した中道改革連合の最大の敗因を尋ねたところ、「最近まで争っていた二つの党が合流したから」が35.6%でもっとも多く、次いで「結党直後で準備不足だったから」が23.0%、「野田佳彦、斉藤鉄夫両共同代表に魅力がなかったから」が21.4%と続いた。

高市総理は9日の記者会見で「重い重い責任の始まりだ」と述べていた。今回の選挙で印象付けられたことは、「高市総理が大統領になった」とのイメージだ。議会制民主主義は与党が3分の2の議席を超えて、事実上機能しなくなった。そして、自民党内も派閥という党内の政治的な動きはストップしたのではないだろうか。「重い重い責任」を一人で背負いながら高市総理は巨大な権限を有し、今後の政治や経済を差配していくことになるのだろう。高市大統領が日本を担う、そのようなイメージだ。

⇒11日(木・祝)夜・金沢の天気  くもり

★期日前投票に人、人、人 / 能登の田んぼにコハチョウの群れ

★期日前投票に人、人、人 / 能登の田んぼにコハチョウの群れ

きょう期日前投票に行ってきた。あす8日は衆院選の投開票日だが、金沢地方気象台によると、冬型の気圧配置が強まる影響で日本海側を中心に警報級の大雪となる可能性があるようだ。予想されるあす午後6時までの24時間の降雪量は多い所で、北陸では70㌢となっている。金沢の有権者とすると、そんな大雪の日には投票に行けない。それなら、曇り空のきょう期日前投票に行っておこう。そんな気持ちになったのだろう、自宅近くの期日前投票所に行くと、有権者が列をなしていた=写真・上=。

これまで投票には何度も出かけているが、投票に列をなすというのは自身も初めて経験だった。150人ほどだろうか、順番待ちをした。15分ほど待って、投票を終えた。石川県選挙管理委員会のまとめでは、きのう6日までに期日前投票を済ませた人は約25万4000人で前回2024年10月の衆院選より5万3000人あまり増えているようだ(地元メディア各社の報道)。

あすの投票は県内で409ヵ所に投票所が設けられるが、大雪の影響が予想されるため、能登半島の中ほどに位置する七尾市が全ての投票所を1時間早く閉めるなど、7市町あわせて107カ所で最大で2時間早く投票が締め切られるようだ(同)。

話は変わる。きょう午後、所用で能登半島の中ほどにある志賀町に向かった。そこで見た光景が、田んぼでエサをついばむハコクチョウの群れだった=写真・下=。数え切れなかったが、数百羽はいただろうか。能登半島はコハクチョウや国の指定天然記念物オオヒシクイなどの飛来地として知られるが、自身がこれほど数多くのコハクチョウの飛来は初めてだった。毎年11月初旬ごろに越冬のためにシベリアからコハクチョウが能登に飛来し、3月になると北へ帰って行く。これまで能登の尖端に位置する珠洲市で何度か見かけたが、30羽ほどだった。

この地点より北側の志賀町富来の山間地には毎年春夏にコウノトリがつがいが台湾などからやって来て営巣している。去年は4羽のヒナを育てていた。そして、ことし5月31日には佐渡のトキが志賀町と隣接する羽咋市の邑知潟(おうちがた)周辺で放鳥される。冬にはコハクチョウ、春夏にはコウノトリ、そしてトキが飛び交う、なんとも珍しい光景が能登の空で描かれる。そんな日がやって来る。

⇒7日(土)夜・志賀町の天気   くもり

☆立春のひととき、ロウバイの花咲く 衆院選投票日は再び大雪に

☆立春のひととき、ロウバイの花咲く 衆院選投票日は再び大雪に

きょう4日は二十四節気の立春。降雪も一服し、金沢の気温は10度にまで上がり、3月上旬並みとなった。自宅の庭を眺めると、ロウバイ(蠟梅)が黄色い花をつけていた=写真=。雪の白さ、どんよりした空のグレイの風景にロウバイの薄い黄色が映えている。そして、ほんのりと梅の花のような香りが漂ってくる。

「雪中四友(せっちゅうしゆう)」という言葉がある。冬のこの季節に咲く4つの花(ロウバイ、ウメ、サザンカ、スイセン)のこと。ただ、庭の積雪は40㌢ほどあり、ロウバイの木の下にスイセンが生えているものの、雪に埋もれてしまっている。ウメとサザンカはまだ花のつぼみが固い。「雪中一友」の庭ではある。そして、立春の暖かさもつかの間、大雪はさらに続くようだ。

週末にかけて強い寒気が日本海側に流れ込む影響で、衆院選の投票が行われる今月8日には石川県内では警報級の大雪となるおそれが出ている。このため、石川県選挙管理委員はきょう県内19の市町の選管に通知を出して投票に影響が出ないよう対策の徹底を呼びかけた、とニュースが流れていた(地元メディア各社)。県選管では、小学校や公共施設などあわせて409ヵ所に投票所の設置を予定している。

通知では、▽大雪による渋滞や交通機関の遅れも予想されるとして自治体の職員などに早めに投票所に集合するよう求め、▽除雪の契約を結ぶ建設業者などと連絡を取り合い投票所周辺の除雪体制を確認することを呼びかけた。また、大雪で有権者が投票所に行くことが難しくなる可能性もあるとして、期日前投票を活用するよう周知することを求めた(同)。

この時季、北陸人はひたすら寒さに耐えながら春の気配が日に日に高まる「三寒四温」を待つ。そして、春一番の南風が吹くと、加賀や能登では「ぼんぼら風が吹く」と言って気持ちが踊り出すくらいにうれしくなる。「ぼんぼら」は生暖かいという意味だ。ゆっくりと春の訪れを待つ。

⇒4日(水)夜・金沢の天気   はれ

★かに、そばの旨味に「越前」文化を感じる沈黙のひと時

★かに、そばの旨味に「越前」文化を感じる沈黙のひと時

同じ日本海で獲れたズワイガニでも味が違う。地元石川県の業者には申し訳ない言い方だが、料理として出されたズワイガニの味は「越前がに」の方が金沢で食べる「加能がに」よりは旨みというものを感じる。これは、先日(1月26日)に福井県に越前がにを食べに訪れた4人の仲間たちとほぼ同じ感想だった。では、福井と石川で何が違うのか。

ズワイガニはご当地の呼び方があり、福井の「越前がに」や石川の「加能がに」のほかに、島根など山陰地方の「松葉がに」は有名だ。そして、市場に出荷されるときには、越前がには黄色いタグ、そして加能がには青色のタグ、松葉がには水揚げされた漁港や地域によって色が異なり、鳥取全域では赤色のタグが使われ、島根では漁港によってピンク色や緑色、白色などがある。同じズワイガニでも地域や港によって名称やタグに違いがあるということは、ズワイガニに対する地域の人々の思い入れが強いのだろう。

越前がにを堪能したのは坂井市の宿泊施設。越前加賀海岸国定公園が広がり、間近に海を眺めることができる宿だ。いよいよ夕食、黄色いタグのカニとの格闘が始まる。茹(ゆ)でカニに包丁は入っていない=写真・上=。カニの脚を関節近くで自分の手で折り、両端をハサミで切り、身をズボッと一気に口で吸い込む。このダイナミックな食べ方こそがカニ食いの醍醐味なのだと感じる。それを料理人は知っている、なので、あえて包丁を入れないのだろう。金沢の料理屋だと包丁が入る。この違いは何か。

福井では「カニ見十年、カニ炊き一生」という言葉がある。カニ料理のポイントは塩加減や茹で加減と言われる。単に茹でてカニが赤くなればよいのではない。カニの目利きが上手にできるには十年かかり、カニを満足に茹で上げるには一生かかるという意味だそうだ。この言葉から、福井の人々のカニに対する執着心は石川より強いと感じる次第。

翌日、「越前そば」を食べに越前市を訪れた。同市では215年前の古文書(池端家文書・文化八年献立帳)で「そば切り」という文字が見つかっている。そば切りは、包丁で細かく切ったそばの麺のこと。この発見をきっかけに、越前そばを地域振興に活かそうと同市では「越前そば200年祭」と銘打って、イベントを開催している。冬季の目玉のイベントが、「蟹そば大祭」(1月16-31日)=写真・中=。商店街のめん処を訪れてもどこも満席。そのうちの1軒で、30分余り待ちようやく席に着けた。

頼んだメニューは『蕎麦湯仕立て 蟹つけそばとご飯』。たっぷりのそば湯に太めに打ったそばを入れ、カニの身を添える。それをカニ味のそばつゆで楽しむ=写真・下=。カニとそばの旨味が凝縮されたまさに越前の冬の醍醐味。ちなみに価格は2100円(税込み)。この季節で、ここでしか味わえないメニュー。満足度の高い、沈黙のひと時だった。

⇒1日(日)午前・金沢の天気    くもり

★金沢大雪60㌢、玄関前を雪すかし、さてどうする屋根雪下ろし

★金沢大雪60㌢、玄関前を雪すかし、さてどうする屋根雪下ろし

金沢は大雪だ。自宅周辺では60㌢余りの積雪となっている。庭の五葉松の枝に雪が積もり、すっぽりと覆われた=写真、自宅2階から午前9時10分ごろ撮影=。今月23日付のブログでも同じ場所から撮影したものをブログでアップしたが、その時は30㌢ほどの積雪だった。随分と周囲の雪景色も異なって見える。まさに「10年に一度」の光景かもしれない。

金沢地方気象台によると、金沢市では午前6時までの6時間に降った雪の量が37㌢と、短時間に降った積雪としては1997年に統計を取り始めてから最も多くなった。午前中から小やみになったものの時折、雪が降っている。ただ、ピークは過ぎ、石川県内に発表されていた大雪警報などは午前11時前に解除された。金沢地方気象台は引き続き、降雪による交通障害などに警戒を呼びかけている。

大雪による事故も多発している。地元メディア各社の報道によると、金沢市内の男性が除雪作業中に転倒して重傷を負うなど、きのうは午後5時時点で3人が救急搬送されている。また、県内ではきのう午前9時までの24時間で雪によるスリップなど交通事故が40件発生し、3人が負傷した。JR西日本はきのう午後8時から北陸線の特急「サンダーバート」と「しらさぎ」の運転を取りやめ、きょうも午後6時ごろまで運休の予定。北陸新幹線は通常通り運行している。空の便は、小松ー羽田便のJALとANAの発着便が始発でそれぞれ欠航となった。

大雪の天気情報でこのところよく耳にする言葉が「JPCZ」。日本海を直撃する寒波で、この影響で日本海から活発な雪雲が断続的に流れ込み、局地的に降雪量が多くなる。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などに流れ込んでくる。漢字で書けば「日本海寒帯気団収束帯」。JPCZ、最近この言葉を聞くとゾッとする。

豪雪は他人事ではない。自宅前の雪すかしは降雪期の通常作業だが、どうしようかと気になるのは屋根雪だ。これは経験則だが、屋根に60㌢余り雪が積もるとミシリ、ゴトッと屋根裏から不気味な音がかすかに聞こえてくるようになる。自身はこの音を「屋根雪下ろしのアラーム音」と考えている。ブログや日記で調べてみると、直近の屋根の雪下ろしは2018年2月7日だった。このときは、晴れ間をぬってスコップを持って屋根に上がった。大屋根ではなく、2階の屋根だ。2006年1月にも屋根雪下ろしをしているので実に12年ぶりだった。屋根の上で怖いのは予期せぬ突風。平地ではそれほどではない風も、屋根に上がるとまともに受け、倒れそうになることがある。積雪60㌢、さて、リスクを承知で屋根に上がるか、迷うところだ。「10年に一度」のつぶやきではある。

⇒25日(日)午後・金沢の天気    くもり時々ゆき

★ネット・通信環境を大きく変えた阪神淡路大震災

★ネット・通信環境を大きく変えた阪神淡路大震災

あれから31年の歴史を刻んだことになる。「1・17」の記憶は自身の脳裏から徐々に風化している。こんなときに重宝しているのが自身のブログだ。あのときの自身の行動はどうだったのか、書き留めておいたことが検索で浮かんでくる。きょう検索すると、「2017年1月17日」付のブログに当たった。「1・17」だけでなく、当時のネットやメール、通信環境のことなど絡めて記していて、まだ記憶が鮮明だったころの備忘録でもある。以下、2017年1月17日付「★『あのとき』のケータイとネット」を再録する。

                     ◇

1995年1月17日5時46分、金沢も大きく揺れた。当時、テレビ局で報道デスクの仕事をしていた。確か、当時は成人式が1月15日だったので、翌16日は振り替え休日、その連休明けの朝だった。22年前の阪神淡路大震災のことである。

さっそくテレビをつけた。「近畿地方で大きな地震がありました」とアナウンサーはコメントで繰り返し述べているが、映像が入ってこない。そこでキー局のテレビ朝日の報道デスクに電話をした。情報が錯綜していたのだろう、これもなかなかつながらない。地震で死者が出ていれば、取材の応援チームを現地のテレビ局(大阪ABC)に派遣する準備をしなければならないので、その情報が知りたかった。

まもなくしてNHKで映し出された映像を見て仰天した。倒れたビル、横倒しになった高速道路などの空撮の映像が次々と。あの映像を見ただけでも、事態が容易に想像できた。すぐに若手の記者とカメラマンに現地に行くよう指示した。その時、記者に持たせたのが携帯電話だった。被災地では安否を親族に伝えるため、公衆電話に長い行列ができていたこともあり、当時会社に数台しかなかったケータイを連絡用に持たせた。

このときは携帯電話は「売り切り制」(1994年)に移行した時期だった。つまり、それ以前はNTTとのレンタルで携帯電話を契約していた。デジタルホングループ(現在「ソフトバンク」)などが新規参入したころで、携帯電話が一般で普及する初期のころだった。その後、爆発的に普及したのは言うまでもない。

このとき、聞き慣れない言葉が飛び交った。「インターネット」だ。神戸大学の研究者たちが、インターネットを通じて被災地の状況を世界に発信したことがニュースとなった。当時はインターネット、メールを知る人も少なく、通信環境も一般化していない時代だった。私が勤務していた職場(テレビ局)で初めて、メールを使い始めたのは大震災から1年たった1996年だった。このときはネット環境をいち早く手掛けていた朝日新聞東京本社から中古のパソコン(確か富士通製)を払い下げてもらい、社内の数人で試験的に使ったのだった。その後、会社全体で通信環境が整備され、社内で一気にネット環境が整った。

1995年、ケータイとネットの幕開けは阪神淡路大震災だった。その後、2011年3月の東日本大震災では避難所でケータイを使う姿が普通になっていた。

                        ◇

⇒18日(日)午前・金沢の天気   はれ

★雪をすかすとスコップの先から海の環境問題が見えてくる

★雪をすかすとスコップの先から海の環境問題が見えてくる

けさ午前5時過ぎに能登半島の尖端、珠洲市で震度4の地震があった。震源をチェックすると、2024年元日の震度7、マグニチュード7.6の能登半島地震の震源と近い。まだ、能登地震は収まっていないのか。そしてけさから強風が吹いている。気象庁では、大気の状態が非常に不安定となる見込みで、北陸地方に落雷や突風、高波が発生する恐れががり、注意を呼びかけている。大雪の心配はないようだ。

このところ毎日のように「雪すかし」をしてきたが、やはり気にかかるのはマイクロプラスチックのことだ。かつて、スコップは鉄製が多かったが、軽量化とともにアルミ製に変化。さらに、最近はプラスチックなど樹脂製が主流だ。除雪する路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・上=。微細な破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。

粉々に砕けたプラスチックは海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。この不都合な真実の解決方法はただ一つ。一部には製品化されたものもあるが、スコップのさじ部分の尖端を金属にすることだろう。これを法令で措置すべきではないだろうか。使い捨てプラスチック製品を規制す法律はあるものの、スコップ先まで規制する細やかな規制はまだない。

海の環境問題をテーマにした作品を思い出す。2021年に能登半島先端の珠洲市で開催された「奥能登国際芸術祭2020+」で、インドの作家スボード・グプタ氏の作品「Think about me(私のこと考えて)」。大きなバケツがひっくり返され、海の漂着物がどっと捨てられるというイメージの作品だった=写真・下=。プラスチック製浮子(うき)や魚網などの漁具のほか、ポリタンク、プラスチック製容器など生活用品、自然災害で出たと思われる木材などさまざまな海洋ゴミだ。実際にグプタ氏が能登の海岸を歩き、この作品づくりを発想した。作品の漂着ごみのほとんどが実際にこの地域に流れ着いていたものを拾い集めた、とあった(ガイドブック)。

日本海の漂着ごみは大陸の沿岸からも流れてくる。ポリタンクのほか、医療系廃棄物の不法な海洋投棄もあり、まさに国際問題だ。「地中海の汚染防止条約」とも呼ばれるバルセロナ条約(1978年)があるように、日本海にも汚染防止条約が必要だ、とグプタ氏の作品を見て考えるようになった。「Think about me」と訴えかけてくる。

⇒13日(火)午前・金沢の天気    くもり時々あめ