★日本を洗濯-3-
節電ムードで夜がこれまでより薄暗くなった東京の街の印象を、知人がこう言った。「ようやくパリ並みになったじゃないか。これまでが明る過ぎたんだ」と。東京やニューヨークしかり、都市は膨張し輝度を競った。文明の象徴だった。今回は電力をテーマに考えてみる。
、 「全国一斉」という発想を崩して見える可能性
石原東京都知事は、「節電」ではなく「無駄」を省けと主張している。そのヤリ玉に上げているのが自動販売機とパンチコ店だ。自動販売機は果たしてどこまで必要だろうかと問いたくなる。先日、能登半島の先端にある大学の施設に、ある飲料メーカーが自販機の設置を打診してきた。結局「近くに店があり、飲みたい人はそこで購入すればよい」との判断で設置を断った。空き缶の放置問題や、自販機そのものが原色で景観上もなじまい。一つ置けば、「当社も」と別の飲料メーカーも来るだろう。都知事の真意は、こうしてわずかな利益を競って不要不急のモノがはびこる日本の社会の悪しき断面を指摘したのだ、と考えている。
話を「節電」に戻す。蓮舫・節電啓発担当大臣は「節約・倹約」を訴えている。しかし、今回の問題は節電よりむしろ「ピーク崩し」「集中排除」だろう。恐れられている東京のブラックアウト(停電)は、電力消費がピークに達した時であり、いくら節電を訴えても、ピーク時の電力消費量を抑えることができなければ意味がない。つまり、消費量が低い真夜中にあえて冷房を止めて寝苦しい思や、暖房を止めて寒い思いをしてまで節電する必要はない。もちろん節電するに越したことはないが、今回の問題の趣旨とは様相が異なる。
個々の節電よりむしろ、政策的にどう電力消費のピーク崩しを行うかだろう。たとえば、最近は盆休みやゴールデンウイークの休暇日の選択の幅が広がり分散型となってきた。このため、JRの乗車率や高速道路の混雑も随分と平準化している。これに倣う。電力需要量は土曜と日曜、祝日が少ない。そこで、会社や製造業は週5日間を月曜から金曜の固定ではなく、土曜と日曜を取り込んだ選択制で操業し、電力需要を均(なら)すのである。つまり、「全国一斉」という発想を崩せば、電力消費量を抑えることができるのではないか。
そもそも、電力需要のピークを生むのは「真夏のエアコン」だろう。そこで、消費電力が少ないエアコンや冷房効果を高めるペアガラス(複層ガラス)を導入する家庭はエコポイントをもらえるようにする。また、短期的には消費電力が少ないLED(発光ダイオード)照明を。長期的には電力網のスマートグリッド化は必要だ。電力の送配電網をIT化して、太陽光や風力発電を家庭や地域で生かしていく。こうした未来型の省エネの発想を政策として進めることだ。
東西に長い日本では、真夏の電力消費は地域によってタイムラグがある。ところが、静岡県の富士川と新潟県の糸魚川付近を境にして東側は50Hz、西側は60Hzの電気が送られている。そこで、東西の電力を接続し、電力会社がいつでも電力の貸し借りができる体制をつくるべきだろう。もちろん、相当の工事費用はかかることは想像に難くない。
菅総理は4月1日の記者会見で「すばらしい東北、日本をつくる夢を持った計画を進めたい」と述べ、津波対策のために高台の住居から海沿いの事業所に通勤する都市構想を例示した。被災地だけでなく、この際、日本を再構築する発想と政策を具体的に提示すべきだ。
⇒26日(火)朝・金沢の天気 はれ
「トモダチ作戦」と呼ばれる在日アメリカ軍による被災者の救援活動も印象に残る。沖縄の普天間基地から来たヘリコプターや貨物輸送機などが、物資を厚木基地から山形空港や東北沖にいる空母ロナルド・レーガンなどに輸送した。また、一時使用できなくなった仙台空港の瓦礫の撤去作業など行った。ロナルド・レーガンは原子力空母であり、平時だったらメディアでも問題視されいたことだろう。それを差し引いてもその迅速な救援活動は好印象で伝えられた。
震災後から始まった外国人の帰国ラッシュ。身近でも、能登半島の観光施設で働いていたアメリカ人女性が最近タイに移った。両親から勧められたらしい。「日本にいては危ない」と。悲惨な津波の様子や原発事故は世界中のテレビで繰り返し流れている。それを視聴すれば、普通の親だった日本にいる娘や息子の身を案じるだろう。まして、政府が帰国を勧めれば、在日外国人の日本脱出は当然の成り行きだ。ただ、そこから浮き上がってくる問題がある。
「森は海の恋人」運動の提唱者、畠山重篤さんの安否の続報を書く。畠山さんの消息が知りたいと切望している方々は多いと思う。15日付の『自在コラム』で畠山さんの安否について書いたところ、3件ものコメントが寄せられた。前回のブログで引用した『牡蠣復興および被災地救援対策会議』のサイトでの記事を今回も紹介する。畠山さんに関する新しい情報が入っている。畠山さんの親戚という人(「オイスターマイスター(OM)小屋めぐみさん」)が、畠山さんの娘(「愛子さん」)からの情報として安否情報を以下のように掲載している。読みやすくするために、掲載順番を新しいものを上にする。
気仙沼市在住で、漁民による広葉樹の植林活動「森は海の恋人」運動の提唱者、畠山重篤さんのことを今月12日付の『自在コラム』で書いた。畠山さんの消息が知りたいと思い、ネット上で探した。「畠山重篤」「安否」で検索すると、『牡蠣復興および被災地救援対策会議』のサイトに当たった。カキの愛好家がカキ養殖業者を支援するサイトだ。ここに畠山さんの親戚という人(「オイスターマイスター(OM)小屋めぐみさん」)が、畠山さんの娘さん(「愛子さん」)からの情報として安否情報を以下のように掲載している。
この巨大地震の被害は甚大であり、あるい意味では国難でもある。知人は善意でこのメールを知り合いに届けた。このメールを疑問に思った知人がさらに、次のようなメールを受け取った知人らに回した。
金沢市内で良く使うガソリンスタンドで3日、レギュラーが店頭価格143円をつけた。今月に入って市内でガソリン1㍑当たり140円台が相場となった。昨年末は120円台だったので、一気に20円も上がったことになる。今回のガソリンの値上がりは分かりやすい。「中東産油国の政情混乱」だ。問題は、これが一時的な現象なのだろうか、さらに値上がりするのではないか、ということだ。
京都大学側が2月28日に京都府警に被害届を提出し、さらに世間の注目を集めた。おそらく大学側は対応できないと判断したのだろう。京都府警もネットを使った犯罪にはチカラを入れていて、生活安全部のハイテク犯罪対策室が対応を担っている。その罪は、偽計業務妨害罪。つまり、偽計を用いて人の業務を妨害した、というもの。3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
ニュージーランド南島の中心都市クライストチャーチ付近で22日に発生した大地震。救出された富山外国語専門学校の男子学生(19)の被災体験が朝日新聞の24日付紙面で掲載されていた。学生はビルの4階にいた。昼食をとっていて、大きな揺れを感じた。いきなり、足元の床ごと、体が落ちた。周りの学生も「痛い」などと言いながら、一緒に落下していった。気づいたら、周囲は暗闇だった。右足が動かない。何かに、挟まれていた。奈落の底に落ちるような恐怖だったに違いない。学生は右足を切断し、救助された。
若者の姿が見えない理由の一つが、学生がいないことだった。ニュージーランドに7つある大学の一つ、学生数1万3千人のカンタベリー大学がクライストチャーチの中心街から郊外に移転した。金沢の街の事情と少々似たところがある。もう一つの理由が、若者が仕事を求めてオークランドに流れていた。オ-クランドは北島にある人口110万人を数えるニュージランド最大の経済都市である。いうならば一極集中の構造になっているこの国では、2番目の都市規模を誇る35万人のクライストチャーチであっても「ストロー現象」で若者が吸い上げられていたのだ。
クライストチャーチは思い出深い街だ。夏休みを利用して家族でニュージーランドを旅行したのは2006年8月15日のこと。当時のメモを見ながら、被災した街を追想してみる。関空からのフライトで、10時間半でニュージーランド南島のクライストチャーチ国際空港に着いた。現地の時間は午後0時30分、到着を告げるアナウンスでは日中気温は7度。金沢だと2月下旬ぐらいの気温だった。