☆イフガオ再訪-4
維持する仕組み、あるいは自然の恵みに感謝する農林漁業とその文化が高く評価されている。同じ国連の機関であるユネスコが登録する世界遺産との違いは、ユネスコは遺跡や土地といった不動産であるのに対し、GIAHSは伝統的な農業の仕組み(システム)、つまり無形文化遺産なのだ。
イフガオに移出する能登里山マイスター養成プログラム
GIAHSに認定されたものの、現実問題として、能登は過疎・高齢化が進行している。特に、年代別の人口統計を見ても、20代、30代の若者が極端に少ない。能登の魅力や価値を再発見し、若い人たちが能登に住んでみたい、ビジネスを創造したい、そのようなことを学ぶ場として、金沢大学と能登の4市町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)が連携して「能登里山里海マイスター」育成プログラムに取り組んでいる。
スタートは2007年10月。文部科学省から予算を得て、「能登里山マイスター」養成プログラムを始めた。石川県珠洲市に廃校となった学校施設を借り受け、「能登学舎」として拠点化した。45歳以下の男女を対象とし、里山里海の豊かな自然資源を活かし、能登の地域課題に取り組む人材、自然と共生し持続可能な地域社会モデルを世界に発信する人材など、この地域の次世代のリーダーを育成した。国の助成金が終わる2012年3月までの4年6ヵ月間で、62人の「能登里山マイスター」を輩出した。これがフェーズ1。
フェーズ2が始まったのは2012年10月。今度は国の助成に関係なく、金沢大学と地域自治体(石川県、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)が共同出資して運営する「能登里山里海マイスター」育成プログラムをスタートさせた。これまで2年間のカリキュラムだったものを、今度は1年間のカリキュラム、月2回の集中講義に濃縮させ、3年間で60人の「マイスター」を養成を目指している。博士研究員ら5人を能登に常駐させ、受講生に基礎科目(講義や実習)と実践科目(ゼミナール)を指導している。修了要件は、基礎科目7割の出席と実践科目での卒業論文等の審査の可否となる。フェーズ2では新たなテーマとして、能登の世界発信プログラムも始まっている。ことし9月に1期の修了生は22人を輩出、10月には40人余りの新たな受講生を迎えた=写真・下=。フェーズ1と2でこれまで84人の「マイスター」を育成したことになる。
では、どのような人材が活躍しているのか紹介したい。フェーズ1で学んだA氏(七尾市在住)は、企業参入における農業経営の課題について学んだ。勤務する水産加工会社が農業部門に参入、2012年に独立した農業法人会社では統括を担当している。耕作放棄地の再生農地を活用して約26haを経営、現在能登半島で100haを目指している。B氏(珠洲市在住)は、能登地域の製炭業(炭焼き)の希少な担い手で、付加価値の高い茶道用炭の産地化に取り組んでいる。平成22年度地域づくり総務大臣表彰(個人表彰)、若者の地域活動を顕彰する「2011いしかわTOYP大賞(金沢青年会議所)」を受賞するなど地域リーダーとして注目されている。行政マンのC氏(宝達志水町在住)は、オムライスの考案者が町出身者であったことをヒントに「オムライスの郷」構想を課題論文で練り上げ、現在、それを地域振興の目玉として実践している。女性では、Dさん(輪島市在住)がいる。家族で能登に移住したデザイナー。地元住民とともに土地の自然と文化を学ぶ「場」の創出を課題論文とし、修了後は、自らが媒介者となって人と人をつなぐこと、地域を「出会いの場」として創り出すことに貢献している。その仲間は50人余りに広がっている。
ビジネスから地域起こし運動まで、自らが置かれた能登という「場」で新たな取り組みを始める人材が育っている。イフガオでは、「イフガオ里山マイスター養成プログラム」を来年から実施する。地域の自然環境や伝統文化の価値、2000年継がれてきた農業技術の価値を見直し、耕作放棄地が広がったイフガオ棚田に新風を吹き込むことができるのか、身震いするほどの壮大なテーマではある。28日夜、イフガオ州立大学のゲストハウスに到着した。
⇒28日(木)夜・イフガオの天気 あめ
話の中で話題になったことを2つ。ポルツガル氏が「こんな動画がユーチュ-ブで話題になっているのを知ってるかい」と、タブレットで見せてくれたのは、
きょう26日は成田9時30分発のマニラ(ニノイ・アキノ)国際空港行きの便で、現地時間で14時ごろに到着した。時差は1時間だ。空港で両替をする。この日の円とペソの交換レートは0.43、つまり1ペソ2.32円だ。マニラは晴れてはいたが、乗合タクシーのジープニーなど車が激しく行き交い、クラクションもやまない。そして、ジーゼルエンジンの排気ガスのにおいが充満している感じだ。ガソリンスタンドに目をやると、ジーゼルが1㍑44ペソ、レギュラーガソリンが1㍑50ペソとなっている。円換算でレギュラーが116円。正規雇用の最低賃金が月7000ペソと言われる、フィリピン人の庶民にとっては随分と高値だ。そしてホテルに入るとテレビや新聞はレイテ島を襲った台風の被害を伝えている。
そのイフガオへ、きょう(25日)出発する。小松空港から成田へ、成田からマニラへ。10時間ほどの旅だ。「人生七掛け、地球八分の一」とはよく言ったものだ。これまで、8日間かけて行った世界各地が1日で行けるようになった。イフガオは昨年1月に世界農業遺産(GIAHS)の視察を兼ねて現地でワークショップ(金沢大学里山里海プロジェクト主催)を開催したので1年11ヵ月ぶりとなる。現地の壮観な棚田の風景もさることながら、青ばなを垂らした子どもたちもどこか昔の自分を見ているようで懐かしい。再訪を楽しみにしている
もう7年前、地域資源の発掘の一環として、能登半島で「里山里海自然学校」のプログラムを運営していた折、地元の女性スタッフに協力してもらい、100種類の郷土料理を選び、それぞれレシピを作成した。その手順は①地元で普段食べている古くから伝わる家庭料理を実際に作り写真を撮る②食材や料理にまつわるエピソードや作り方の手順をテキスト化する③写真と文をホームページに入力する④第3者にチェックしてもらい公開する‐という作業を重ねた。簡単そうに思えるが、普段食べているものを文章化するというのは、相当高いモチベーションがなければ続かない。女性スタッフも「将来、地域の子供たちの食育の役に立てば」とレシピづくりに励んだ。それが1年半ほどで当初目標とした100種類を達成し、それなりの
訪問先のワイナリーは能登ワイン株式会社(石川県穴水町)。今回の国産ワインコンクール2013では、赤ワイン「2011 クオネスヤマソーヴィニヨン」が金賞を、ロゼワイン「2012 マスカットベリーAロゼ」が銀賞を、赤ワイン「2012 心の雫」が銅賞を受賞した。同ワイナリーが金賞を受賞したのは初めてで、「能登で栽培されるブドウと醸造技術が全国でもトップレベルの高い評価をいただきました」とブドウ畑を案内してくれた社長は終始にこやかだった。
北陸新幹線の金沢と東京間を最速で走る速達タイプの列車名が「かがやき」、停車駅を多くする停車タイプは「はくたか」、金沢駅と富山駅を結ぶシャトルタイプは「つるぎ」、東京駅と長野駅を往復する長野新幹線タイプは「あさま」と列車名がついた。名称については、事前に公募(5月31日‐6月30日)があり、約14万5千件の応募があった。この結果で一番多かったのは「はくたか」(9083件)で、2位「はくさん」(7323件)、3位「らいちょう」(5408件)だった。
そうした希望ある試算が奏功してか、新聞やテレビなどでは連日のように、「おもてなし」のキャンペーンをどう繰り広げるかといったたぐいのニュースが掲載されている。面白いのは、石川県が先月27日、金沢開業のPRのために新たに作ったマスコットキャラクター。その名も「ひゃくまんさん」。加賀百万石にちなんだ名前だそうだ。郷土玩具の「加賀八幡起き上がり」をモチーフに、だるまに手足が生えたようなデザインだ。都内で開くイベントに向け、着ぐるみを現在制作中だとか。伝統工芸の加賀友禅を思わせる図柄に金箔や輪島塗もあしらうそうだが、マスコットキャラクターにしては面白味がない。そもそも、加賀百万石はキャラクターになりにくいイメージだ。そもそも「百万石」の意味すら理解できない人が多いだろう。たとえば、徳川幕府は何万石だと問われて、回答できる人や、1石を説明できる人すら少ないだろう。現代では死語なのだ。そんなものをテーマにマスコットキャラクターにしてどうキャンペーンを展開するのだろうか。むしろ、「けんろくくん」が分かりやすい。
自民党の西川公也TPP対策委員長は、TPP交渉が開かれているバリ島で記者団に対し、「聖域」として関税維持を求めてきたコメなど農産物の重要5品目について、関税撤廃できるかどうかを党内で検討することを明らかにしたのだ。自民は前回の衆院選で、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」との公約を掲げていた。こうした公約を放棄したともいえる。
局地的な豪雨が発生するたびに、全国各地で山の地盤が崩れ、流出土砂が川にたまり、砂防ダムや土砂ダムが決壊し、人里に被害が及ぶ。先月29日、石川県小松市周辺が豪雨に見舞われ、梯(かけはし)川流域の1万8000人に避難指示・勧告が出されたが、治水上の計画高水位ぎりぎりで氾濫寸前でとどまった。まだ記憶に新しいのは2008年7月28日の金沢市の浅野川水害である。集中豪雨で55年ぶりに氾濫が起き、上流の湯涌温泉とその下流、ひがし茶屋街の周囲が被害を受けた。当時、浅野川流域の2万世帯(5万人)に避難指示が出されたのだ。