☆イフガオ州大学長からのメッセージ
先月(10月)11日、金沢大学が石川県能登半島の4自治体(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)などと連携して実施している、社会人の人材養成講座「能登里山里海マイスター育成プログラム」(実施代表・中村浩二特任教授)の第三期生入講式が、珠洲市の金沢大学能登学舎で執り行われた。この入講式は通算で7回目となるが、今回初めて海外からの参加があった。フィリピンのイフガオ州大学、セラフィン・ゴハヨン学長だ。イフガオ州大学は、先日このコラムで紹介したイフガオ里山マイスター養成プログラムを実施するにあたっての、金沢大学のカウンターパートでもある。入講式ではゴハヨン学長から祝辞をいただいた。イフガオからの心のこもったメッセージだった。
I am deeply honoured and privileged to be invited here again and be a witness to the enrolment of a new batch of trainees under the Noto Satoyama Satoumi Meister Training Project being spearheaded by Kanazawa University. We are always awed and inspired by your extraordinary commitment and passion towards sustaining your GIAHS. Since the launching of the Ifugao Satoyama Meister Training Program in March 25, 2014 various activities were already conducted. Our trainees attended various lectures such as overview of the satoyama landscapes in Japan and Philippines, land utilization, ecological concepts and practices, Natural farming system, management of heirloom rice production and training in native delicacy preparation. They also visited successful small scale industries in Ifugao such as taro production facility and traditional and modern rice wine facilities. But it is their visit and interaction with their counterpart trainees here in Japan that really opened their eyes and helped them internalize the objectives of the program that we are trying to achieve.Now, the 17 trainees in Ifugao have started their GIAHS conservation projects in their field of interests. These study projects were presented and shared with their counterparts/ experts here in Japan 3 weeks ago.
The Ifugao State University considers the Meister Program as one of its banner program. We commit to work with the same passion, commitment and indefatigable energy that you have in your meister program here. We are convinced that the program will surely help conserve and revitalize our Ifugao Rice Terraces, declared by FAO as a GIAHS site. This is a heritage developed by our forefathers for us. If it sustained them in the last 2000 years, surely, when harnessed, it can also sustain us in the next 2000 years to come.
Allow me to manifest our sincerest invitation to all of you, our partners here in Japan, to visit our place and see for yourself the various life changing initiatives of our trainees that is starting to unfold. Our university and province will be most happy to accord you with the same friendship and hospitality you have accorded us here.
金沢大学が主導されている能登里山里海マイスター育成プログラムの三期生入講式に招待いただき、たいへん光栄です。能登GIAHSの持続的発展に向けた、金沢大学の日頃からの格別の取組と熱意に心から敬意を表します。本年3月25日にイフガオ里山マイスター養成プログラムが設立され、すでにいろいろな活動がスタートしています。受講者は、いろいろな講義を受けています。たとえば、日本とフィリピンの里山概論、土地利用、生態学的なものの見方、伝統的なコメつくり、地元食材の料理法などです。また、タロイモやライスワインの作業場も見学しました。しかし、能登訪問や能登里山マイスター達との交流こそが、かれらの目を開かせ、課題をグローバルに考えることに役立ちました。現在、17名のイフガオ受講生がそれぞれの関心分野において、GIAHS課題に取り組みはじめました。3週間前の能登訪問では、課題発表会とともに能登マイスター受講生やスタッフ、関係者と意見交換の場をつくっていただきました。
イフガオ州大学では、マイスター・プログラムを、特別プログラムとして全学の旗印としています。私たちは、能登マイスターと同じだけの情熱とエネルギーでイフガオ里山マイスターに取り組んでゆく決意です。このプログラムが、FAOによって認定されたGIAHSイフガオ棚田を保全し、活性化することを信じます。イフガオ棚田は、私たちの祖先が、2000年かけて築き上げてきた遺産であります。私たちは、これをこれからの2000年にわたり持続してゆく決意です。
私は、パートナーである皆さまをイフガオへ招待したく思っています。イフガオ・マイスターの活動が、イフガオの生活を変えつつあることを、ぜひ、ご自分の目で確かめて下さい。イフガオ州大学、イフガオ州政府は、いまこの能登において、皆さまが私にくださっている友情と歓待でもって皆さまをお迎えいたします。
⇒1日(土)朝・金沢の天気 くもり
能登の里山保全や祭り参加をする「能登ゼミ」について、「能登ゼミ・SFS(学生の短期滞在型実習) による、現場主義的な地域づくり」と題して事例報告した。学生にとって、過疎化は能登の魅力になりうる、人が少ないからこそ一人ひとりの存在が大きく、人同士の強い結びつきが生まれる点がメリットと述べた。
然•風土•歴史を活かした、この地域でしか出来ないアートプロジェクトで国際芸術祭を開催する計画だ。アートによる地域社会の活性化、環日本海のアジアとのアートネットワーク、アジアから世界への発信を奥能登が拠点となる」。
事例報告で4組が報告。最初に、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンターの加藤基樹助教が、学生2人と演壇に立ち「学生の地域活動の教育効果」と題して述べた=写真・上=。同センターは、「社会貢献」と「体験的学習」をキーワードに、昨年度実績で13600人の学生たちが地域活動に参加。東京からバスと電車で9時間かかる岩手県田野畑村へ50年間、年4回の合宿を通して育林作業を中心に活動しているサークルもある。学生のボランティアセンターでは日本最大で最古かもしれない。
げて大学との連携を図ろうとしており、コーディネーターの役割は地域と大学の双方のメリットを生み出す潤滑油であると述べた。
キャンパス構想推進協議会(会長・福森義宏金沢大学理事・副学長)は10月17、18日の両日、「地域・大学連携サミット2014㏌穴水」を開催した。協議会では、平成23年度「地域再生人材大学サミット」(輪島市)、同24年度「域学連携サミットin能登」(珠洲市)、同25年度「地域・大学連携サミット」(能登町)を開いており、今回4回目となった。学生・研究者との交流を拡大して地域再生を目指すシンポジウムで初日170人が訪れた=写真=。
1年間に凝縮されたカリキュラムで、受講生たちは月2回の土曜日、能登学舎(珠洲市三崎町小泊)でこれからの能登の里山里海をどのように活かしてゆくべきかについて、多彩な講師陣の指導を受けながら、熱心に議論を積み重ねてきた。その間、様々な戸惑いや悩みもあった。受講生たちは、それを乗り越え、自らの課題研究をまとめ上げて、審査と評価を得て、この日の修了式を迎えた。
そのため同様の課題を有する、日本の2つの世界農業遺産認定地域(能登・佐渡)との結びつきを強化し、金沢大学が能登で培った里山里海をテ-マとした人材育成のノウハウを移転し、同地において魅力ある農業を実践し、地域を持続的に発展させる若手人材養成のプログラムの構築を支援するというもの。また、GIAHSの理念の普及を通じた国際交流・支援を実施することにより、能登および佐渡地域において、国際的な視点を持ちながら地域の課題解決に取り組み、国際社会と連携するグローバル人材の育成につなげていく。少々欲張った取り組みではある。
、古民家の活用などついて耳を傾けた。21日午後からはイフガオ里山マイスターの受講生5人が現在取り組んでいる「ドジョウの水田養殖」や「外来の巨大ミミズの駆除・管理」などについて発表した。これに能登の受講生やOBがコメントするなど、研究課題の突き合わせを通じて、相互の理解を深めた。
イフガオ里山マイスター養成プログラムでは月1回(1泊2日)、イフガオ州大学を拠点に現地の若者20人がフィリピン大学やイフガオ州大学の教員の指導で地域資源の活用や生物多様性と環境、持続可能な地域づくり、ビジネス創出について学んでいる。能登研修を通じて、GIAHSサイト間の交流を深める。今回参加した受講生10人は教員スタッフ3人とともに12日にイフガオ現地からマニラを経由し、13日深夜金沢に到着した。
、収穫に感謝する歌と踊りを披露した。イフガオで自らも農業を営むマリージェーン・アバガンさんは「能登の棚田はとても手入れが行き届いている」と感想を話した。
中村教授らが着手したのは、「イフガオ里山マイスター」養成プログラムの設立だ。金沢大学のパートナーは、イフガオ州大学、フィリピン大学、地元自治体で構成する「イフガオGIHAS持続発展協議会」だ。まずは、学習カリキュラムの作成から。座学と実習の組み立て、農業や養殖、政策などの専門家による講義の手配、卒業課題の進め方などをアドバイスした。「プログラムを実施する地元の教員などの意見を聞き、現地に即した体制づくりを目指しています」と中村教授は話す。2ヶ月かけて、現地の大学、行政、住民代表らとの人材養成ニーズやカリキュラム概要をめぐる討論会をおこなってから、2014年2月には受講生の募集を開始した。約60人の応募者の中から、第1期生20人を迎えた。月2回、1泊2日の日程で1年間学ぶプログラムだ。年代は20~40代、職種も農家、大学教員、行政マン、主婦など、さまざまな経歴を持つ人が集まった。地元の農家、ジェニファ・ランナオさんは、「どうしたら村のみんなが豊かになれるのか学びたい」と参加した理由を話す。
能登半島山の斜面に積み重なる緑の幾何学模様。その先に広がる青い海。石川県能登半島にある棚田、白米千枚田はまさに絶景だ。この棚田のように、山や森林などに人が手を加えながら自然と共生してきた地域を“里山”と呼ぶ。能登の人々は、近代化が進む中でも地域ぐるみで里山を守り続け、2011年には、国連食糧農業機関(FAO)から伝統的な農業の保全・継承を目指す世界農業遺産(GIAHS)に認定された。
フィリピンの1000ペソ紙幣の裏側に棚田が描かれている=写真・上=。高度1欧米人000-1500㍍に展開する棚田。この風景を見た欧米人は「天への階段」とイメージするそうだ。1995年にユネスコの世界文化遺産に登録されてから、海外からのツアー客が格段に増えた。25日に宿泊したイフガオのホテルのレストランでは、英語だけでなく、おそらくオランダ語が飛び交っていた。アジア系の顔は我々だけだった。何しろ、マニラから直行バスで9時間ほどかかる。コメ作りが日常で行われているアジアでは、それだけ時間をかけて、田んぼを見に行こうという観光客はそういないのかも知れない。
数十年前の写真と比較をしてみる。右下の三角状の小山は現在も同じカタチだが、全体に樹木が広がっている。とくに左下の棚田は林に戻っている。また、そして右真ん中くらいに展開していた棚田はすでに耕作放棄されているのが分かる。私は農業の専門家ではないが、素人目でもこのエリアは数十年前の写真を見る限り、20%ほどの棚田が消滅しているのではないだろうか。写真を撮っていると、民族衣装を着たお年寄りの男女が数人寄ってきた。「1人20ペソでいっしょに撮影できる」という。お年寄りの小遣い稼ぎだろうが、この現在の棚田の現状を見て、その気にはなれなかった。