⇒トピック往来

☆見納め桜と、祭りの季節告げる曳山巡行を能登で堪能

☆見納め桜と、祭りの季節告げる曳山巡行を能登で堪能

能登半島の尖端、奥能登に春の訪れを告げる能登町宇出津(うしつ)地区の「曳山祭」を見学に行ってきた。毎年4月の第3土曜日と日曜日に催され、ことしは19日と20日に曳山が街を練り歩いた。金沢から車で出かけ、自動車専用道路「のと里山海道」を走行し、のと里山空港ICで県道「珠洲道路」に乗り換え、能登町に行く。

途中、道の駅「桜峠」がある。桜峠の名称通り、道路の左右に桜並木が並び、満開の時季を迎えていた=写真・上=。この周辺では2㌔にわたって春は桜、夏(6-9月)にはサルビアの真っ赤な花が沿道両サイドを飾り、ドライバーの目を楽しませてくれる「能登のフラワーロード」でもある。

夕方午後5時ごろに同町宇出津地区に到着。チョーサ、チョーサと先導する掛け声とともに、人形で飾り立てた2基の曳山(高さ6㍍、全長8㍍)が街中を練っていた=写真・下=。宇出津の酒垂神社、白山神社の両社の春祭りで、そろいの法被を着た大勢の老若男女が威勢よく綱を引いていた。去年の曳山祭は元日の地震で道路が歪むなどの損傷が出たため、曳山が街を練ることができなかった。ことしは2年ぶりの巡行となる。

沿道で見学していて、「お見事」と感じたのは、交差点や狭い路地で山車の方向を一気に転換する辻廻しだ。470年の歴史があるとされる祭りだけに、木遣り(きやり)歌と引手の呼吸の合った動作はさすがだと感服した。能登で耳にする言葉がある。「盆や正月に帰らんでいい、祭りの日には帰って来いよ」、「1年365日は祭りの日のためにある」。能登の祭りは地区や集落、町内会での単位が多く、それだけ人々が祭りに関わる密度が濃い。祭りの伝統は絶やさない。能登の人たちの意地をこの言葉から感じる。

能登半島では5月4、5日に七尾市で高さ12㍍、直径2㍍の車輪の「でか山」(山車)が街を練る「青柏祭」が、そして7月4、5日には能登町宇出津で40本余りのキリコが勇壮に街を練る「あばれ祭り」が催されるなど、能登の祭りはこれから本番を迎える。曳山祭は能登の祭りのシーズンの幕開けを告げるファンファーレなのかもしれない。

⇒20日(日)夜・金沢の天気   くもり時々あめ

☆インバウンド観光客が「サムライ寺」で剣道や太鼓を体験 金沢に新たなスポット

☆インバウンド観光客が「サムライ寺」で剣道や太鼓を体験 金沢に新たなスポット

ふと思ったことだが、トランプ大統領に大阪・関西万博に来てもらうよう、石破総理は誘ったらどうだろうか。アメリカのパビリオンは、「宇宙探査」を体験することができることが目玉で、「月の石」が人気で行列ができているとメディア各社が報じている。月の石は1970年の大阪万博でも人気だった。石は同じものではない。前回の万博で展示された石はアポロ12号(1969年)の宇宙飛行士が持ち帰ったもの。今回の万博の石はアポロ計画の最後の有人月面着陸が行われたアポロ17号(1972年)が持ち帰ったもの。55年を経たいまも月の石は輝きを放ち、人々の関心を誘っている。トランプ氏にはぜひ万博を訪れ、アメリカの偉業を語ってほしいものだ。相互関税ではなく、月の石をテーマに。

話は変わる。きょう午前、金沢市の妙立寺(通称「忍者寺」)の前を通ると、エイ、ヤーッと声が聞こえた。忍者寺の向かいにある承証寺という寺の境内でインバウンド観光客の数人が竹刀を振り上げ降ろして剣道を体験していた。寺の前にポスターがあり、「Morning activities at the temple! Kendo Practice Experience」と書いてある=写真・上=。インバウンド向けの剣道体験のようだ。夕方の体験ブログラムもあり、「Japanese Drum」(和太鼓)や「Matcha green tea」(抹茶)、「Listening to incence」(聞香)などのメニューがあるようだ。金沢ではこのほかに兼六園近くの弓道場で、弓道や合気道の個人向け体験ツアーも実施されている。

金沢城や武家屋敷などの観光名所から、金沢は「サムライ」のイメージがインバウンドの観光客には印象に残る。そして、俳優の真田広之氏主演の映画『SHOGUN 将軍』 がゴールデン・グローブ賞など獲得していて、サムライ文化を求めるニーズが金沢で高まっているのだろう。

それにしても、忍者寺の前にサムライ寺があるとは、インバウンド観光にとっては絶好のロケーションではないだろうか。

⇒17日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪万博で鼓動する「心筋細胞シート」

☆「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪万博で鼓動する「心筋細胞シート」

バンパクという言葉を初めて聞いたのは15歳のころ。当時、歌手の三波春夫がテレビで歌っていた、あの歌はいまでも覚えている。「こんにちは こんにちは 世界のひとが こんにちは こんにちは さくらの国で 1970年のこんにちは こんにちは こんにちは 握手をしよう」。あれから半世紀余り、55年が経つ。

きのう(12日)大阪・関西万博の開会式が催され、NHKで視聴していた。今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。歌舞伎役者の尾上菊之助の出演など伝統芸能を織り交ぜたステージの演出は、まさに過去から現在をつないで未来を創造するというコンセプトなのだろう。(※写真は、大阪・関西万博の開会式の模様=NHK中継番組から)

今回の万博は10月13日までの半年間。日程はまだ決めていないが、ぜひ見学に行きたいと思っている。その目的はAIやロボットではなく、「心筋細胞シート」が動いている様子を見るために。メディア各社の報道によると、この心筋細胞シートは大阪ヘルスケアパビリオンで展示されている。iPS細胞(人工多能性幹細胞)でつくられた心筋細胞をシート状にしたもので、大きさは5㌢ほどで、1分間に約50回ほどびくびくと鼓動するように動いているという。

この心筋細胞シートの開発を手掛けたのは、大阪大学の澤芳樹特任教授を中心とするベンチャー企業。このシートを心筋梗塞や狭心症などが原因で心臓の筋肉がうまく機能しなくなった「虚血性心筋症」の患者の心臓に貼り付けることで、心臓の機能が回復することが期待されている。これまで8人の患者にシートを移植する臨床試験を行い、いずれも経過は良好だという。 澤教授らのベンチャー企業は今月8日、心筋細胞シートについて厚労省に製造・販売の承認申請を行ったと発表している (4月10日付・TBSニュースweb版)。

iPS細胞は「万能細胞」とも言われ、体をつくるあらゆる細胞に成長する能力を持つとされる。京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の作製に初めて成功し、2012年にノーベル医学生理学賞を受賞。これをきっかけにiPS細胞が広く知られるようになった。iPS細胞は再生医療への応用が期待されているだけに、心筋細胞シートは「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる大阪・関西万博のシンボルではないだろうか。

⇒13日(日)夜・金沢の天気    あめ

★踏めず歩めず、桜舞い散る花道 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」

★踏めず歩めず、桜舞い散る花道 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」

満開の桜が散り始めている。金沢市内の桜の並木道を行くと、花びらがひらひらと舞っていた。淡いピンクの花びらが積もり、桜の花道になっている=写真=。並木路を前に進もうとしたが、二の足を踏んだ。これまで楽しませてくれた花を靴で踏むことになんとなく躊躇したのと、ひらひらとはかなく散る姿が我が人生のようにも思えて、踏んで歩くことにためらいを感じた次第。踏めず歩めず、結局、回り道をした。

「世の中は三日見ぬ間の桜かな」は江戸時代の俳人・大島蓼太の句だが、桜は三日見ないと変わるように世の中も移り変わりが早いことのたとえとしてよく引用される。この1週間で世の中が大きく動いたことと言えば、「トランプ関税」ではないだろうか。

アメリカのトランプ政権による相互関税は、カナダとメキシコを除くほぼ全ての国・地域に適用する一律10%の基本税率と、そのうちアメリカの貿易赤字が大きい約60ヵ国・地域に適用する上乗せ税率で構成される。相互関税は日本時間の9日午後1時すぎに発動した。ところが、発動からわずか13時間で、トランプ大統領は相互関税上乗せ分を中国を除いて90日間停止すると発表した。ただし、一律10%の基本税率は実施される。発動した直後に急ブレーキ、この背景にいったい何が。

取り沙汰されているのが、株式や通貨に加えて安全資産とされたアメリカ国債まで売られる「トリプル安」が発生したこと(メディア各社の報道)。とくに米国債の売却が加速することはトランプ政権にとって予想外のことだった。そこで金融市場の動きをいったん落ち着かせる意味で、中国を除いて90日間停止の措置に出た。その後、さらに米中の報復関税が激化する。トランプ政権は10日、中国に対する相互関税の税率を84%から125%に引き上げた。中国からの合成麻薬の流入を理由に課している20%と合わせて、追加関税は累計145%になる。これに対し中国は11日、アメリカに対する追加関税を125%に引き上げるという報復措置を発表、きょう12日に発動させている。

相互関税について各国は今後、トランプ政権と個別交渉に入る。日本は今月17日、赤沢経済再生担当大臣がアメリカ側との直接交渉に出向く。トランプ大統領はアメリカにおける大量の輸入車について、日本を「最大の輸入元の国の一つ」と名指し、「日本にはアメリカ車がない」「日本はアメリカ車を受け入れない」とやり玉に挙げている(3月12日・ホワイトハウスで記者団に)。踏めず歩めずの厳しい交渉になるのだろうか。

⇒12日(土)午後・金沢の天気    はれ

☆桜かすみに浮かぶ金沢城  「能登さくら駅」満開トンネルを列車がくぐる

☆桜かすみに浮かぶ金沢城  「能登さくら駅」満開トンネルを列車がくぐる

これを「霞(かすみ)たなびく春」と言うのだろう。きょうの金沢は朝から市街地や野山の風景がぼんやりとかすんでいた。きのう訪れた金沢城石川門を車で再度向かう。すると、車のフロントガラスに微細な水分が付着する。昨夜は雷雨だったので、霞はその余韻なのだろうか。金沢城石川門に到着すると、満開のソメイヨシノと金沢城もかすんで見える=写真・上、午前8時ごろ撮影=。「桜霞(さくらかすみ)」という言葉がある。桜が霞のように見える風景のことを言うが、この風景はまさに霞と満開の桜が溶け込んで、お城が浮かんで見える。幻想的な水墨画のようなイメージだ。

この後、さらに満開桜を鑑賞するために能登に向かう。金沢の桜は散り始めだが、能登の桜はいまが満開の頃だ。2時間余りで目的地に到着した。半島の北・奥能登の穴水町にある「のと鉄道」能登鹿島駅。桜の観光名所で知られ、「能登さくら駅」の愛称で親しまれている。正確に数えたわけではないが、180人ほどが見学に来ていた。

無人駅のホームに入ると、線路を囲むようにソメイヨシノが咲いている。説明の看板を読むと、昭和7年(1932)に鉄道の開通を祝って桜が植えられた。それ以降も鉄道会社や地域の人たちが少しずつ植え、いまでは100本余りのソメイヨシノやシダレ桜が構内を彩っている。

列車が到着する信号音が聞こえた。午前10時40分、上下の列車2本が到着した。待ち構えていたアマチュアカメラマンたちが押し寄せ、撮影が始まった。それぞれのアングルで満開の桜のトンネルと列車を撮っている。桜のトンネルをくぐる列車のようで、じつに絵になる光景だ。

絵になるのは駅だけではない。海岸線がすぐ近くにあり、桜の並木の向こうに見える穴水湾の海も桜色に染まっているように見える。さらに向こうを眺めるとコバルトブルーの海と桜が絶妙な景色を醸し出す。天気にも恵まれ、能登の桜と海を楽しむことができた。

⇒11日(金)午後・金沢の天気    くもり

☆花束を投げる、柔道家を投げる 絶妙に風刺を込めたバンクシー作品

☆花束を投げる、柔道家を投げる 絶妙に風刺を込めたバンクシー作品

アメリカのトランプ大統領が「解放の日(Liberation day)」と称して今月2日に世界各国からの輸入品に対して「相互関税」をかけると公表して以来、金融市場が荒れている。週明けのきょう7日も東証日経平均で2900円超下げで一時3万1000円を割り込んだ。メディア各社の報道によると、アメリカの相互関税に対して、中国もアメリカからのすべての輸入品に34%の追加関税をかけると発表していて、関税の応酬が世界経済の急激な減速につながるのではないかとの警戒感が市場関係者に広がっているようだ。

「弱気相場」に陥るのは2020年3月以来ではないだろうか。当時、新型コロナウイルスのパンデミックによる景気後退の懸念が広がった。ニューヨークの株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に売買を停止する「サーキットブレーカー(Circuit Breaker)」が何度か作動し、3月23日にはダウが1万8591㌦にまで下がり、東京株式も3月19日に1万6552円にまで下落した。今回の「トランプ関税」がもたらす不安定な値動きはいつまで続くのか。

先日(5日)金沢のデパートで開催されている「バンクシー新作版画展」の鑑賞に行ってきた。バンクシーは公共空間にスプレーと型紙で作品を描き去るストリートアーティストで知られ、正体が謎に包まれていることから、「覆面のパロディ画家」とも称されている。展示会場に入ると、主催者(「サロン・ド・ヴェール株式会社」)のスタッフから声をかけられ、何点かの作品の解説をいただいた。

チラシに掲載されている作品「FLOWER THROWER」=写真・上=は、野球帽を反対に被り、バンダナで顔を隠した男が花束を投げる様子が描かれている。2003年にパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が建設された時に、反対する暴徒が火炎瓶を投げる描写がモチーフとされる。それをバンクシーは花束を投げるという描写に仕立てた。そのことによって、火炎瓶(暴力)よりも、花束(愛)を投げて戦えというポジティブなメッセージを作品に込めた、との解説だった。

もう一つ、これは面白いと思ったは作品「JUDO」=写真・下、チラシより=。柔道少年が大人の柔道家を投げるシーンが描かれている。2022年11月にウクライナの首都キーウ近郊にある街で発見された作品という。同年2月に始まったウクライナ侵攻でロシアは世界から批判にさらされることになる。プーチン大統領は柔道家としても知られる。少年がウクライナで大人の柔道家がロシアと見立てると、この絵は「ロシアに負けるな」というウクライナに対する応援メッセージが読み取れる。

バンクシーは大量生産や消費社会、そして時事性のある事柄を風刺してきたアーティストだ。そのバンクシー作品を堪能させてもらった。今月13日まで金沢エムザで。

⇒7日(月)午後・金沢の天気    はれ

★大の里「荒れる春場所」制す 次は「綱とり」なるか

★大の里「荒れる春場所」制す 次は「綱とり」なるか

地元石川県津幡町出身の大の里が大関昇進後で初めての優勝を飾った。けさの地元紙は一面を「大の里 3度目Ⅴ」の大見出しで、「来場所綱とり」と横綱昇進を期待している。1面のほかに4面にわたって写真グラフと関連記事を掲載している。もう一紙も「大の里 優勝」の大見出しで、社会面では地元津幡町の「次は横綱」の声を紹介している。

千秋楽はじつにドラマチックな勝利だった。結びの一番で大関・琴櫻と対戦。11勝3敗の大の里は、土俵中央で琴櫻に激しくぶつかり、そのまま土俵際まで追い込んで寄り切りで勝ち。そして、12勝3敗で並んだ前頭4枚目の高安との優勝決定戦に。大の里は、高安にまわしを取られて重心を崩されたものの、立てなおして送り出しで勝った。3場所ぶり3回目の賜杯を手にした。

それにしても「荒れる春場所」だった。10日目で1敗で優勝争いのトップに並ぶ大の里と髙安が激突。大の里の投げは髙安を呼び込む形になり、髙安が体を預けながら寄り切った。「勝ち急いだ。焦りました」と大の里は苦り切った顔でインタビューに応じていた。13日目で大の里は王鵬の押し出しに敗れ、3敗に後退。13日目を終わって、2敗で高安が単独トップに立ち、3敗の大の里が追うことに。高安は大関経験者でもあり、14日目には初優勝を決めるのかと思われていたが、平幕の美ノ海に敗れて3敗に。大の里が大栄翔に押し出しで勝って3敗に踏みとどまった。大の里と高安は3敗で並んで千秋楽を迎えた。

優勝争いから一歩後退しながらも、再びトップに並び、混戦の場所を制した大の里は24歳。勢いのある風情は2023年夏場所に幕下で初土俵を踏んだときから漂っていた。同じ年の秋場所で十両に昇進したときもずっとざんばら髪だった。2024年の夏場所からはちょんまげで土俵に上がり、同年の秋場所で2回目の優勝を果たして大関昇進を決めた。以降も髪型は変わらず、「ちょんまげ大関」と呼ばれていた。大銀杏の姿を披露したのはことし1月の初場所だった。史上最速と称されたスピード出世に髪の伸びが追いつかなかったのかもしれない。この勢いで「綱とり」に期待したい。

⇒24日(月)午前・金沢の天気   はれ

☆春の訪れを深紅の花で彩る 金沢で「のとキリシマツツジ」観賞会

☆春の訪れを深紅の花で彩る 金沢で「のとキリシマツツジ」観賞会

きょう19日午後1時25分ごろ、能登半島西方沖で震源の深さは10㌔、マグニチュード4.7の地震があった。震度4が志賀町、震度3が羽咋市、かほく市、宝達志水町、中能登町だった。能登地方では、2024年11月26日に同じく西方沖を震源とする地震で震度5弱を観測している。志賀町の沖合には複数の海底活断層が並行して走っている。

話は変わる。深紅の花をつける、奥能登の花「のとキリシマツツジ」の観賞会が金沢市のしいのき迎賓館で開催されている。花は満開で目にまぶしい6鉢が並べられている=写真=。能登町の「花の力」プロジェクト実行員会のメンバーの話によると、1ヵ月ほど前から石川県立大学(野々市市)の温室に持ち込み、研究者の協力で開花時期を調整し、満開の状態できのう18日に展示した。

展示されているのは手塩にかけて育てられた「能登あかり」と深紅の「蓑霧島」「本霧島」という3品種。花の色やカタチはそれぞれ異なる。写真・左側の「能登あかり」は推定樹齢100年になる。

奥能登の庭先では4月中ごろから5月中旬にかけて見頃を迎えるが、「花の力」プロジェクト実行員会のメンバーほか地域の有志はこの時季に庭先を開放する「オープンガーデン」を実施し、家々で自慢ののとキリシマツツジの古木や大木が観賞できる。能登半島地震で家々は少なからず被災したものの、庭ののとキリシマツツジはいつものように美しい花を咲かせ、人々の心を和ませてくれる。

⇒19日(水)夜・金沢の天気   くもり

☆JR金沢駅ドームに能登キリコ 新幹線金沢開業10年と能登復興のシンボルに

☆JR金沢駅ドームに能登キリコ 新幹線金沢開業10年と能登復興のシンボルに

  北陸新幹線の金沢開業は今月14日で10年となった。当時を思い起こすと、その日のマスメディアは新幹線一色だった。朝からテレビはどのチャンネルも中継番組、JR金沢駅周辺の道路では交差点に交通警察官が張り付き、空にはヘリコプターが飛び交うという、一種異様な感じさえした。JR金沢駅周辺は地価が上がり、今もマンションやビルの建設に加え、ホテルの開業が相次いでいる。

  開業10年を迎えた金沢駅前もてなしドームに行くとこれまでにない光景が目を引いた。能登の祭りのキリコだ=写真=。高さ6㍍ほどのキリコで、説明書きには「珠洲市上戸町のキリコ」と紹介されている。上戸のキリコは毎年8月の第一土曜日の地域の祭りに担ぎ出され、鉦や太鼓の響きとともに街中を練り歩く。今回のお披露目は、金沢開業10年のイベントが行われる15日に合わせて、金沢市の呼びかけで珠洲市から出張してきたようだ。それにしてもドームとキリコは風景として悪くない。そして、石川県民はキリコを見ると能登をイメージするので、能登半島地震を忘れてほしくないというメッセージが込められているのかとも思った。

  そのメッセージが込められたキリコ祭りが金沢の中心街で繰り広げられたことがある。去年8月16日にキリコ5基が、ソーレ、エイヤの掛け声とともに担ぎ出され街中を練り歩いた。能登と金沢の神社2社が中心となって企画した、「能登復興祈願キリコ大祭」と銘打った祭礼イベントだった。輪島の神社が能登半島地震で社務所と拝殿の全半壊したため、夏場の大祭の自粛を検討していたところ、ご神体を一時避難で預かっていた金沢の神社からの提案でキリコ祭りが金沢で開催された。担ぎ手には市民や学生、そして輪島市から駆けつけた有志らも参加し、300人が5基のキリコを担いだ。金沢で2次避難している能登の人たちを励まし、能登復興の機運を盛り上げた。

  金沢駅もてなしドームと能登・珠洲のキリコ。北陸新幹線の金沢開業10年を祝うとともに、震災復興をアピールするシンボルとしてこれからもドームで掲げてほしいと願う。

⇒16日(日)夕・金沢の天気    あめ

☆金沢の春支度の風物詩 雪吊り「ほどき」の作業始まる

☆金沢の春支度の風物詩 雪吊り「ほどき」の作業始まる

けさは朝から日差しもあり、日中の気温は16度まで上がるとの予報だ。金沢もようやく春らしい陽気に恵まれそうだ。きのうJR金沢駅付近の車で走っていると、冬の間、雪の重みで樹木の枝が折れないよう縄で木を補強する「雪吊り」の取り外し作業が行われていた。雪吊りは冬支度、雪吊り外しは春支度をする金沢の風物詩でもある。

金沢駅東口前の大通りではクロマツの並木で作業が行われていた。その様子をしばらく見学させてもらった。「多変ですね」と声をかけると、作業をする造園業の職人さんは「(縄を)結ぶより解(ほど)く方がずっと楽だよ」と答えてくれた。業界では雪吊り作業を「結ぶ」、雪吊り外しを「解く」と称しているようだ。結ぶ作業は、木の横にモウソウ竹の芯(しん)柱を立て、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。解く作業は、枝に結んだ縄の部分をハサミで切って取り除く=写真=。低い場所の縄の結びは地面から切り落とし、高い枝の縄の結びはハシゴを登り切り落とす。最後に竹の柱を外す。

作業の職人さんと話していると、通りがかったインバウンド観光の人たちが寄ってきて、盛んにカメラのシャッターを押していた。オーストラリアの女性から「まるでアートですね。でもなぜ、このようなことを木に施すのですか」と、同行の通訳を介して尋ねられた職人さんは「冬の間、金沢の雪は湿っていてとても重い。なのでサポートしないと枝が折れる。もう春なので(縄を)外している」と説明した。すると、女性は「Japanese people are kind to trees」と感心した様子だった。

作業が行われていたのは高さ5㍍ほどのクロマツだったが、あの兼六園で随一の枝ぶりを誇る唐崎松には5本の芯柱が立てられ、結ぶ縄の数は800本にも及ぶそうだ。ちなみに、兼六園管理事務所に問い合わせると、あさって14日から兼六園では雪吊りを外す作業が始まり、今月21日の最終日に唐崎松での作業が行われる。

⇒12日(水)午前・金沢天気   くもり時々はれ