⇒キャンパス見聞

★モリアオガエルの卵と心臓

★モリアオガエルの卵と心臓

  金沢大学角間キャンパスの創立五十周年館「角間の里」横に湧き水があり、池になっています。モリアオガエルがゲロゲロと勢いよく鳴いていると思ったら、産卵の季節なんですね。けさ(9日)大きな卵を木の枝にぶら提げるようにして産み付けてありました。直径20㌢以上はあるでしょうか。じっとみつめていると、人の心臓にも見え、気のせいか生命の鼓動がかすかに聞こえたようにも感じられました。

  昨夜(8日)、金沢大学教授(自然計測応用センター)の中村浩二教授が朝日新聞金沢総局で「里山に学ぶ~金沢大学の実践から~」というテーマで講演しました。以下は要約です。「里山(さとやま)」という言葉は割りと新しく、岩波書店の「広辞苑」で登場したのは1998年の第5版でした。むしろ、「奥山(おくやま)」という言葉の方が古いようです。これは、ひとえに注目度の違いです。奥山は原生的な森であるのに対し、里山はどこにでもある農山村です。ようするに有難味のない風景なのです。その里山が俄然注目を集めたのは、去年、西日本を中心に起きた「クマ騒動」でした。新聞紙面に「里山にクマ出没」「里山になぜクマが」などと見出しが躍りました。里山と奥山の区別がつかないほど里山が荒れ、クマ自身がその領域の見分けがつかず、里山に迷い込んでくるのです。これを人災と見るか、害獣の侵入と理解するかは人間の感性の問題なのかもしれません。
                   
  里山がなぜ荒れるのかー。講演会が終了して、講師と聞き手を交えた意見交換がありました。林業として農業として成り立たない、つまり里山に住むことの経済効果が得られない、だから過疎化する、というのは誰もが理解することだと思います。ところが、ヨーロッパ、特にドイツでは「自然療法士」というセラピストがいて、里山をフィールドとした山野草の摘み取りから摂取、森林浴の効果的なノウハウを指導しています。医療分野での里山の利用価値は十分にあるのです。また、子供たちへの教育の場としての里山活用法も紹介されました。
                   
  昨夜はサッカー・ワールドカップ・ドイツ大会アジア最終予選「日本VS北朝鮮戦」がバンコクであり、講演と同じ時間帯にテレビ中継(関東地区の視聴率43.4%・ビデオリサーチ調べ)されました。日本がバーレーン戦(6月3日)に勝って、W杯出場の可能性が出た段階で、講演に人は集まるのだろうかと心配していました。ところが、定員50人のセミナールームは満杯でした。こんなに里山に対する関心度が高いのか、と驚いたくらいです。これもクマ騒動が一石を投じてくれたお蔭でしょうか。

⇒9日(木)午後・金沢の天気 晴れ

☆数字で読み解く金沢大学③

☆数字で読み解く金沢大学③

  金沢大学に学生(大学院生含む)が10800人が在籍することは前に述べた。それでは、どんなところに住んでいるのだろうか。学生のうち、自宅から通っているのは19.8%、5人に1人である。アパートやマンションに住んでいる学生は71.8%、次いで学生寮が4.4%となる。この学生寮は3つあり、定員が754人、入居率は76%だ。(出典は金沢大学広報室発行のパンフレット「データで見る金沢大学」)

  学生寮をちょっと覗いてみる。大学周辺のアパートでは家賃のみで3万円から5万円が相場。これに比べ寮費は断然安い。寮の寄宿料、つまりアパートの家賃に当たるものが1ヵ月700円で3寮とも一律である。3寮のうち、もっとも大きい金沢市弥生にある北溟(ほくめい)寮(定員396人)のケースで見てみる。昭和43年建設ですでに築37年。電気代や水道代など様々な諸費用(基本料金)は全員で等分し、月当たり4000円ー8800円になる。倍近くの値段変動があるのは、人数で頭割りのため、寮から卒業生が抜け、新1年生が入る前の4月ごろが一番高くなる。寮の食事は平日の夕食のみで、給食センターから届く。北瞑寮の場合は1食は370円で、フルでとったとしても月6000円-7000円となる。合計して一番高いときでも1万6000円くらいである。

  いまの学生に欠かせないインターネットの環境も工夫している。北溟寮にはHNS(ほくめいネットワークサービス)という会があり、独自のサーバーと光ファイバーによる快適なインターネット環境を構築している。しかも月額300円で使い放題だ。

  こんなにリーズナブルでも寮の入居率が70%台に留まっているのは、それなりの理由がありそうだ。3寮とも金沢大学が金沢城の中にあった時代に建設されたもので、移転した現在では大学から遠くなった。大学と比較的近い女子寮の白梅寮でもバス通学で30分ほどかかり、バス賃は片道350円である。ひと部屋は8畳ほどのスペースだが、2人で共用することになる。

  問題は3寮の共同浴場。利用できるのは一日おきだ。しかも、白梅寮では入浴可能時間は15時ー23時だが、22時になると湯沸しのためのボイラーが停止し、23時以降は水しか出ないこともあるとか。夏場は毎日入浴したい。しかし、銭湯は遠くて面倒、さらに300円-350円と高い。現代っ子は汗を嫌う。案外、入浴問題がいまいち学生寮に人気がでない原因かもしれない、と私は睨んでいる。

⇒8日(水)午前・金沢の天気 くもり

☆数字で読み解く金沢大学②

☆数字で読み解く金沢大学②

  金沢大学の「情報の防衛」最前線と言えるのが総合メディア基盤センターだ。2001年にギガネットワークが構築され、およそ1万台のパソコンがネットワークに接続されている。ちなみにギガネットワークは岩波書店の「広辞苑」が1秒で送れる伝送帯域に相当する。情報ハイウエイの防人(さきもり)と言ってよい。この総合メディア基盤センターがこのほど金沢大学のサイバー白書とも言える「COM.CLUB」=写真=を発行した。これを呼んで自分の目を疑った、「いち日ではなくひと月ではないか」と。なにしろ金沢大学のネットワークへ入ろうとする不正アクセスは「1日平均200万件に及ぶ」という驚くべき統計が掲載されていたからだ。

  白書を詳しく読んでみよう。この平均値は2004年1月から12月までのまとめで、1日当たり200万から300万件のアクセスがある。そのアクセスのうち、正常なものはわずか10-20%なのだ。不正アクセスの代表格がポートスキャン。任意のコンピューターのサービスポートに総なめでアクセスを試み、もしファイアウォールで接続拒否をしていないものがあれば入り込み、そこを足がかりにコンピューターの乗っ取り、情報の漏洩などをやらかす。この場合、そのコンピューターの持ち主は被害者ではなく、加害者になる。

  白書をさらに読む。金沢大学では、学外から配信されてくる電子メールのすべてにウィルスチェックを行っている。駆除件数は1日当たり千通以上にも及ぶ。2004年4月には1日7千通に及んだことがある。宣伝目的のスパムメールは全メールのうちの3分の2以上にもなる。面白いのは、このスパムメールは4月と9月のある日にいきなりドカンと来る。おそらく新学期や夏休み明けを狙った学生向けの勧誘のメールだ。ウィスルメールも2月、4月、6月、8月にヤマが来る。メール系のウィルスは新種・亜種の発生頻度が高いので波状的に来ているのかもしれない。

 この4月、個人情報保護法が施行された。上記のようなサイバー上のセキュリティー攻防戦がある一方、大学ならではのたとえば成績判定保留の学生呼び出しの張り紙を今後どう扱うか、また、大学病院で患者を診察室に呼び込む際に行っている実名のアナウンスをどうするかといったことも議論の対象として浮かび上がってきた。「古くて新しい問題」ではある。

⇒6日(月)午前・金沢の天気 晴れ

★数字で読み解く金沢大学①

★数字で読み解く金沢大学①

  金沢大学で「地域連携コーディネーター」という仕事をしている関係で、大学の概要を説明する際に数字を駆使する。きょうはその一例を。(※数字は流動するので四捨五入する。出典は金沢大学広報室発行のパンフレット「データで見る金沢大学」)

  学生(大学院生含む)は意外と多く10800人。一番多いのが工学部の2100人。そのうちの女子生徒は3分の1に当たる3700人である。これはまったくの主観だが、採用に7年間携わってきた元テレビ局プロデューサーの目で、「この子はアナウンサーに向いているかもしれない」と思わせる女性もいる。私がこだわる条件は①会話などに論理性がありブレない②トレーニングをすれば発音がよくなる可能性があること③ルックスに華(目元や顔の輪郭など)がある④態度に前向きさと謙虚さがある-の4点である。学生がよく集まる2つの学食で、「この子なら最終面接まで行きそう」と思った女性がこれまで3人いた。もちろん、「発掘」の余地はまだまだあり、半年後に同じテーマで書けばその数字は増えているだろう。私は学食でも目と耳をフル回転させている。

  一方の教授、助教授ら教育研究職員は1200人いる。「教える側」と「学ぶ側」の比率で言えば、1200:10800である。1人が9人を教えている計算だ。

  ちょっと驚く数字が収支だ。収入、支出とも概ね491億円(平成16年度)である。収入の45%は附属病院の収入と学費で賄われる。他のほとんどが運営費交付金などの税金である。金沢大学を学生と教職・事務職合わせて1万3000人の自治体だと仮定しよう。人口46万人の金沢市の今年度の一般会計予算が1550億円、人口11万人の小松市の一般会計予算が373億円である。金沢大学の予算は人口が8.5倍もある小松市より予算がひと回りも大きいのである。金沢大学は面積的に金沢市角間町という谷あいの山里に集中している。そういう風に見ると、とてもリッチな山里の町のようにも思える。

⇒5日(日)午前・金沢の天気 くもり 

☆教授が市民に語るとき

☆教授が市民に語るとき

  私は、金沢大学「地域連携コーディネーター」という肩書きの名刺をもらい仕事をしています。その仕事の一つが、大学が取り組んでいるプロジェクトを地域に広く知ってもらうという、いわば広報なのです。そこできょうは以下のお知らせをさせてください。
                 ◇
6月8日に朝日新聞金沢総局で勉強会
「里山に学ぶ――金沢大学の実践から」をテーマに/中村浩二・金沢大学教授が講演

 読者と記者が語り合う朝日新聞金沢総局の第17回勉強会が6月8日(水)午後7時から、金沢市片町1丁目の総局4階ホールで開かれます。今回の講師は金沢大学教授(自然計測応用センター)で、同大学が角間キャンパスに99年に開校した「角間の里山自然学校」の代表を務めている中村浩二さんです。豊かな自然と人間の触れ合いの場である里山は、教育・研究の場であるとともに、地域住民の生涯学習や子どもたちの自然体験の場として近年、注目を集めています。金沢大学では、自然科学、人文・社会科学の諸分野の成果を生かした体系的な「里山学」の構築に取り組んでいます。中村教授はそのリーダーで、昆虫の生態学を中心に環境と生物の多様性についての研究を重ねています。勉強会では、金沢大学のこれまで取り組みや里山のもつ多様性などについて、スクリーンに拡大写真を写すなどしてわかりやすく説明します。参加は無料です。お気軽にご参加ください。問い合わせと申し込みは金沢総局(076・261・7575)へ。
                      ◇
  写真の人が中村教授です。教授はちょっと嫌がりましたが、写真を撮らせていただきました。中村教授は上記の紹介のように生態学の優れた学者ですが、おそらく本人も気付いていない、別の才能を私は見出しています。ちょっと強面(こわおもて)の風貌、関西弁の交渉術、褒(ほ)め上手の人心掌握術、根回しの外交術、そして何より野性味のある創造力が持ち味です。これは政治家の才なのです。歴史上の人物でいえば、司馬遼太郎が「国盗り物語」で描いた斉藤道三とその人物像がダブります。

  6月8日は、FIFAワールドカップ・アジア最終予選の「日本-北朝鮮」戦の日ですが、おそらくこの時点では勝負もついていることでしょう。朝日新聞金沢総局に足をお運びいただければ幸いです。
  
⇒29日(日)午前・金沢の天気 晴れ 

★バーチャルを出よ

★バーチャルを出よ

  作家・村上龍氏の近未来小説「半島を出よ」が話題になっている。北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠し、続いて輸送機で484人の特殊部隊が来襲、市中心部を制圧する。彼らは「反乱軍」を名乗り、財政破綻し国際的孤立を深める日本がパニックに陥るという設定だ。村上氏には、何を話題にすれば「ミリオンセラーになるか」を見抜くクールなビジネス感覚がある。90年代の金融危機、日本人の自信喪失、学歴社会の崩壊、子どもの就業意欲などテーマ選定はどちらかというとジャーナリスト的かもしれない。小説のタイトルをもじった訳ではないが、今回は「バーチャルを出よ」をテーマにした。

  きょう28日、金沢大学の角間キャンパスで「里山自然学校」の田植えがあった。市民ボランティアがキャンパスの谷間にあるかつての棚田を復元してくれた。そこに家族連れらが集って、田植えをしたのである。写真は苗床から自分が植える分の苗を取っている光景だ。この苗床でちょっとしたハプニングがあった。就学前と思われる男の子が田んぼに入ろうとしないのである。「ヌルヌルで気持ちが悪い。汚れる」と頑なに皆の誘いを拒否する。強制もできないので、しばらく様子を見ることにした。そして苗床にほとんど人がいなくなって、自分の身の処し方に困ったか、男の子は突然、田んぼに入り苗を取り始めたのである。

  いったん田に入ると、男の子は田植えに夢中になった。頑なに田に入るのを拒否していたときの顔と、田植えに夢中になっている顔が全然違うのである。時間にして30分ほどの時間差でこれほど生き生きとした表情になるのかと周囲が驚いたくらいだ。男の子は田に入ることを拒否したものの、どうしようか葛藤したはずだ。そして、自分で決断し、ヌルヌルの田に自ら入ったのである。

  いまの子供達はテレビゲームなどバーチャルの環境に浸りきっている。バトルゲームであっても自分が苦痛や汚れを感じることはない。従って、内なる葛藤は存在しない。没頭するだけである。しかし、田植えなどの作業は疲労や汚れ、アンバランスなどリアルの感覚を伴う。しかし、人はリアルな場面に直面し、心理的葛藤を経て初めて解決の方法を創造していくことができる。これが精神的成長だ。この男の子がたどった心理的なプロセスはおそらくこのようなことだったのだろう。そして、「半島を出よ」で北朝鮮の特殊部隊に立ち向かっていく若者たちも戦場のリアリティーを目の当たりにし、戦いに挑んでいくのである。

→28日(土)午後・金沢の天気 晴れ 

☆学食グルメで「5月病」対策

☆学食グルメで「5月病」対策

   職場である金沢大学へはバスで通勤している。時間にして30分ほど。途中で、大学の女子寮の学生が大勢乗ってきて、バスは立錐(りっすい)の余地がないくらいに混む。ところが最近、バスに乗ってくる学生の数が目に見えて減ったように感じる。さては、「5月病」かと。教育学部のある教授によると、「学部によっては20%余りの学生が5月のゴールデンウィーク明け頃から学校に来なくなる」という。確かに、5月病はいまに始まったことではない。30年前、私が学生時代にもその言葉はあった。だからあえてその説明は繰り返さない。

   私がオヤっと思ったのは、その「5月病」になりかけた学生をいかに大学に来させるかという工夫である。それは「学食」を楽しくすることに尽きる。友と語らい、おいしい物を食べる。大学っていいな、と思わせる。つまり、食べ物で「釣る」のである。ずばり「九州・沖縄フェア」、今月9日から始まった学食のグルメ・キャンペーンである。「大阿蘇鶏卵とじ丼」(380円)、「黒豚メンチかつ」(240円)など盛りだくさん。中でも私が気に入っているのは、「冷やし五島うどん」(380円)だ。越前そばの「おろしそば」と同じく、辛みのダイコンおろしに花がつおが添えてあって、細麺のうどんののど越しが絶品である。これが380円なら、毎日でも食べたいと思う。最近人気の沖縄ゴーヤチャンプルなどもメニューにあって、会話が弾まないはずがない。ひと昔前の「安い、まずい、冷たい、混む」の学食とは様変わりである。このフェアはきょう27日まで。おそらく「5月病」対策第2弾を考えているはずだ。期待したい。

   ついでに、学食で拾った小咄(こばなし)を2つ。女子大生の会話である。A子「最近、ケータイのストラップを首にかけている男の子って多いよね」。B子「男の子って、生まれつきぶら下げて歩くの好きなんじゃないの」。B子「・・・・?」。もう一つ。ちょっと甲高い声で話すファンキーな感じのC子が帽子のコレクションの自慢話をしていた。C子が飲み物を買いに席を立った。D子とE子の会話である。D子「あの子って、APAのCMに出てくるおばさんに感じ似ているよね」。E子「そうそう、アパおば子・・・」。

→27日(金)午後・金沢の天気 晴れ

★「珍客」の多い館

★「珍客」の多い館

 日照りに負けず 
先週14日、金沢大学「角間の里山自然学校」のボランティアの人たちが大学の空き地を耕し、サツマイモやトウモロコシの苗を植えました。ところが、今週は日照りの日が多く、せっかく植えた苗ですが元気がないのです。そこで、きのう19日に水撒き用のホースを購入し、ボランティアやスタッフが交代で本格的な水遣りを開始しました。 

  カメムシからアオダイショウまで
ところで、畑の奥に見える私のオフィスは築280年の古民家を再生した大学としては珍しい、文化財級の施設です。古風な建物だけに、「珍客」も多く寄ってきます。4月完成したばかりのころはカメムシがいたるところにいました。踏んだりすると強烈なにおいを発するあの虫です。ガラスの外にへばりついているのではなく、家の中に多いのです。どうやら、移築する前の旧・白峰村で解体工事中にカメムシが柱の裂け目などに入り越冬したらしいのです。私を含めたスタッフは、「自然学校だからカメムシと共存しよう」と意見が一致し、「カメムシを踏まないで」と貼り紙をし、駆除はしませんでした。カメムシは、5月になり気温が上昇するにつれ山に戻っていきました。

   カメムシが去った後は今度はツバメがやってきました。白いフンを落とし、土間や廊下が汚れましたが、「ツバメは縁起物」と追い出すことはしませんでした。が、適当な営巣場所が見つからなかったせいか、ツバメは一日で去っていきました。スタッフの一人は「今回は下見で後日やってくる」と。来訪があれば、温かく迎えるつもりです。

  招かざる客もいます。アオダイショウです。ボランティアの一人が「大きい」のを近くで見たというのです。「もう床下に入っているかもしれない」と。農作物を食い荒らすネズミを好んで食べるために、昔から農家では大切にされてきたようです。ちょっと気持ち悪いですが、アオダイオショウとも共存を、と考えています。

⇒20日(金)午前・金沢の天気 

☆里山自然学校の初夏

☆里山自然学校の初夏

 金沢大学角間キャンパス(200㌶)は昔から金沢市民の里山として親しまれてきました。アベマキ、コナラ、スギ、モウソウチクが茂るほか、多くの動植物が生息しています。かつて金沢大学は「お城の中にある大学」と呼ばれましたが、移転後は「里山の中にある大学」と言えます。大学ではこの自然を教育・研究のフィールドとして利用するだけでなく、地域住民や子どもたちの自然体験の場として開放するため1999年に「角間の里山自然学校」をスタートさせました。そしてこの春、里山自然学校の活動の拠点として、築280年の古民家を旧・白峰村から移築し、創立五十周年記念館「角間の里」をつくったのです。きょうはその活動の一端を紹介します。
畑のある風景

 写真を見てください。竹林で採れたタケノコです。グッと反り返った姿がエビに似ているので、自然学校のスタッフが「えび竹」と名付けました。なぜこれほどまでに「エビ反り」しているのか。実は竹林が荒れているのです。竹が密生し根が地下で縦横に絡まっているため、このタケノコは身を反らしながらようやく頭を地上に出したのです。竹林を整備中のボランティアが「努力して地上に這い上がってきたが、潜伏期間が長い分ひねていて(味は)まずいだろう」と苦笑していました。というわけで、観賞用として「角間の里」で展示されています。

 きのう14日、里山自然学校のボランティアの人たちが「角間の里」の前の空き地を耕し、サツマイモやトウモロコシの苗を植えました。なるべく農薬を使わず栽培しようとの申し合わせです。来週は大学付属養護学校の子どもたちも苗植えをします。おそらく今後、水やりや害虫などさまざまな問題がこの畑をめぐって生じることでしょう。それを一つ一つ知恵を出し合って解決していくのです。

⇒15日(日)午前・金沢の天気  

★珍客がキャンパスに

★珍客がキャンパスに

金大院生の井上耕治君撮影 

 私のオフィスがある金沢大学の記念会館の裏山では、クロサンショウウオが産卵を終え、もうそろそろモリアオガエルが産卵の時季です。季節は確実に夏へと移ろっています。ところで、上の写真をご覧ください。ニホンカモシカです。角間キャンパスの里山に現れました。栄養が行き届いているのか、毛並みもつややかです。確かに最近数が多くなっているのですが、大学の構内に野生のカモシカがいるのはユニーク、まさに珍客です。

⇒7日(土)午前・金沢の天気