⇒ニュース走査

☆国会議員の秘書給与詐欺事件 読売の誤報の背景には何が

☆国会議員の秘書給与詐欺事件 読売の誤報の背景には何が

新聞社の役割とは何だろう。今さらこのような問いを発すると識者から叱られそうだが、明確に答えた人を知らない。ただ一人、もう14年前だが、アメリカの週刊誌「ニューズウィーク」の元編集者スティーブン・ワルドマン氏がインタビューに分かりやすく答えていたことを覚えている。以下、2011年10月29日付・朝日新聞の記事からの引用。

「ニュースの鉱石を地中から掘り出す作業をしているのは今日でももっぱら新聞です。テレビは、新聞の掘った原石を目立つように加工して周知させるのは巧みだが、自前ではあまり掘らない。ネットは新聞やテレビが報じたニュースを高速ですくって世界へ広めるチカラは抜群だが、坑内にもぐることはしない。新聞記者がコツコツと採掘する作業を止めたら、ニュースは埋もれたままで終わってしまう」

新聞記者のニュース発掘の作業はたとえば、「夜討ち朝駆け」という言葉で言い表される。捜査ネタを発掘するために警察や検察関係者の自宅を夜、あるいは朝に訪れて取材する。関係者も庁舎内では言いにくいことも、自宅というプライベイトな場であればつい言葉の弾みで語ってしまうこともある。新聞記者は夜討ち朝駆けを繰り返しながら、捜査関係者との阿吽(あうん)の呼吸をつかんでいく。

読売新聞社は今月28日付の一面で、前日27日付の一面で日本維新の会の池下卓衆院議員が採用していた公設秘書2人について、東京地検の強制捜査が行われると報じたことに対し、記事は誤報で訂正しておわびしますと謝罪記事を掲載した=写真=。そして28日付の一面では維新の石井章参院議員が国から公設秘書の給与をだまし取っていた疑いがあるとして東京地検は国会議員会館の事務所や茨木県取手市の自宅を詐欺容疑で捜索したと報じている。読売新聞は27日付の記事で本来、石井章参院議員とすべきところを、池下卓衆院議員と取り違えて報道してしまった、というわけだ。間違えていなければスクープになっていた。

なぜこのような取り違えが起きたのか。以下、自身の憶測だ。読売の記者は26日の捜査関係者への夜討ち朝駆けで27日の強制捜査のネタを仕入れた。そのとき、イシイをイケシタと聞き違えたのだろうか。記者は原稿の締め切り時間に追われ無我夢中で書いたので、名前を確認する時間もなかったに違いない。一連の記事、おわび記事を読んでそんなことを思った。

⇒30日(土)夜・金沢の天気  はれ

★読売調査で内閣支持率が急上昇、ところで「防災庁」はどうなった

★読売調査で内閣支持率が急上昇、ところで「防災庁」はどうなった

内閣支持率が急上昇している。きょう付の読売新聞の世論調査(22-24日・電話調査・有効回答991人)によると、石破内閣について「支持する」との回答は39%で前回調査(7月21、22日)の22%を大幅に上回った=写真・上=。「支持しない」は50%で前回調査より17ポイント減ったものの、過半数を占めている。また、参院選の結果を受けて、総理は辞任すべきだと思うか、との問いには、「思う」が42%、「思わない」が50%だった。

朝日新聞(今月18日付)の世論調査(今月16、17日・電話調査・有効回答1211人)も同様の傾向を示していて、内閣支持率は36%で前回調査(7月26、27日)の29%を上回り、不支持は50%で前回調査より6ポイント減った。そして、参院選の結果を受けて辞めるべきだと思うか、との問いには、「辞めるべきだ」が36%、「その必要はない」が54%だった。朝日の調査について記した今月20日付のブログでも述べたが、衆参両選挙で自民が大敗を喫したそもそもの原因は裏金問題であり、自民党内の「石破降ろし」の動きは責任の転嫁ではないのか、というのが有権者の目線ではないだろうか。内閣支持率の上昇は石破氏へのある意味で同情票のように感じる。

ところで、有権者の一人として、「アレはどうなりましたか」と石破総理に尋ねたいことがある。防災庁の創設のことだ。自身が初めて耳にしたのは、石破総理が就任早々の去年10月5日に、元日の能登半島地震、そして9月の「記録的な大雨」の被災現場を輪島市を訪れ視察した。そのとき、インタビューに答え、「日本国中どこで何が起きても、同じ支援が受けられるよう内閣として尽力していく。そのための防災庁を創設する」と述べた(2024年10月5日付・NHKニュース)。その後、政府は12月20日に全閣僚が参加する「防災立国推進閣僚会議」の初会合を総理官邸で開催し、2026年度中の創設を目指すことを確認している。

ことし7月4日、参院選で党公認候補の応援のため能登空港を訪れた石破総理の演説=写真・下=を直に聴いた。石破氏は「世界有数の災害大国ならば世界一の防災大国にしなければならない」と述べ、事前防災と災害対応の司令塔となる「防災庁」の必要性について強調した。ただ、どこに本部を置くかなどの具体案はなかった。そして、参院選以降、防災庁構想は進展しているのだろうか。

新しい省庁の新設で思い起こすのが、東日本大震災や福島第1原発事故の発生翌年の2012年2月に発足した「復興庁」だ。設立時は「スーパー官庁」と位置付けられ、複数省庁にまたがる課題を「ワンストップ対応」で調整し、予算を含めた復興政策を一元的に統括することが主な役割だったが、13年を経てその役割は最終ステージの段階に入っている。石破氏が構想するのは復興庁の「後継庁」なのだろうか。総理肝いりの防災庁だ。国民に早くビジョンを示してほしい。

⇒25日(月)午後・金沢の天気  はれ

★内閣支持率が上昇、「石破降ろし」に対する有権者の同情か

★内閣支持率が上昇、「石破降ろし」に対する有権者の同情か

有権者の政治に対するこの思いをなんと表現すればよいのだろうか。石破総理が率いる自公政権は去年10月27日の衆院選、そして先月20日の参院選で大敗したものの、世論調査の内閣支持率が上がっている。今月18日付の朝日新聞の世論調査(16、17日に電話調査・有効回答1211人)の結果を読んで、少々驚いた。見出しは「首相辞任『必要ない』54%に増 内閣支持率上昇36%」とあった=写真=。

自身も先月24日付のブログ「★『信なくば立たず』 続投に執着する石破総理が失う求心力」で、「参院選で過半数を失ったにもかかわらず、比較第1党として『国政に停滞を招かない』と続投を表明。さらにアメリカとの関税交渉を理由に再び続投を表明した。なぜここまで執着する必要があるのかと有権者の一人として考え込んでしまう」と石破氏の政権執着を批判的に述べた。参院選からきょうで1ヵ月経ったが、政治は何も変わっていない。ただ、支持率が上昇しているのだ。

先の朝日新聞の世論調査は見出しにあるように、今回の内閣支持率は36%と前回調査(7月26、27日)の29%から上昇している。そして「参院選の結果を受けて、石破首相は首相を辞めるべきだと思いますか」の問いには、「辞めるべき」が36%で、前回41%から低下、「その必要はない」が54%で、前回47%から上昇し、過半数を占めた。政党支持率は自民20%と前回と同数値、公明は3%、前回4%だった。ちなみに、自民党支持層での「辞めるべき」は20%、前回は22%、「その必要はない」が76%、前回70%だった。

政党支持率は上がっていないのに内閣支持率が上がっていることをどう読めばよいのか。一つの見方として、参院選の敗北直後から高まってきた、いわゆる自民党内の「石破降ろし」にむしろ有権者は石破氏に同情を寄せているのかもしれない。そもそも衆院選、そして参院選の敗北の根底には「裏金問題」が尾を引いていた。この裏金問題に絡んで議員に対して、石破総理は即決感のある対応で方針を公表した。党の処分が継続中なら政治倫理審査会で説明した場合を除き非公認とし、不記載議員は公認する場合も比例代表への重複立候補を認めない、など。

衆参両選挙で大敗を喫したそもそもの原因は裏金問題であり、自民党内の石破降ろしは責任の転嫁ではないのか、という有権者の目線が石破氏には同情として注がれているのかもしれない。

⇒20日(水)夜・金沢の天気  はれ

★地震と大雨で能登の「盛り土」道路であちこち土砂崩れ

★地震と大雨で能登の「盛り土」道路であちこち土砂崩れ

能登半島はリアス式海岸なので海岸線の道路だけでなく、途中から山間地を走ることになる。また、金沢と能登を結ぶ自動車専用道路「のと里山海道」も平地を走る海岸沿いから山間地を行く。この山間地では山から山をつなぐ道路は、いわゆる「盛り土」で造成された道路だ。その盛り土の道路が去年元日の能登半島地震、そして9月と先日の「記録的な大雨」であちらこちらで大きく崩れている。

去年元日の地震で「のと里山海道」では道路の盛り土部分が20ヵ所余りで崩れるなどしたため、いまも被災した区間では制限速度は時速40㌔に引き下げられたままとなっている。また、里山海道で震災の悲惨さが見えるのが、横田IC近くの盛り土の道路の崩落現場だ。乗用車が転落したままの状態となっている=写真、ことし4月25日撮影=。現場は走行していて、運転席から見えるので、当時の様子が伝わってくる。

そして、今回の大雨でも盛り土の道路が崩れ事故が起きた。報道によると、七尾市中島町小牧の国道249号で、12日午前5時ごろ、道路の盛り土の部分がおよそ30㍍にわたって陥没し、そこにトレーラーや乗用車3台が相次いで転落した。乗っていた3人が重軽傷を負った。崩落した場所は、70年ほど前に盛り土をして造られた道路で、去年の能登地震で被害などは確認されていなかった。車3台は現在も転落したままで、通行再開の見通しは立っていない(12日付・MROニュースweb版)。きょう石川県の馳知事が現場を視察に訪れたと昼のニュースで流れていた。

能登での盛り土の事故は道路だけではない。大惨事がかつてあった。1985年7月11日午後、穴水町の山中で金沢発の急行「能登路5号」(4両編成)が脱線し、前方3両が7.5㍍下の水田に転落。乗客の7人が死亡した。事故の12日前から大雨が続いていた影響で、線路の盛り土が崩れ、線路が宙づり状態になっていたところを列車が走り、大惨事となった。能登線は2005年に廃止となり、現場から線路は消えたが慰霊碑が立っている。

能登半島の大動脈であるのと里山海道では、震災で大きく崩落した個所は盛り土での造成ではなく、新たに鉄橋を架ける工事が進められている。地震や大雨でも持ち堪える安全な道路があってこそ復旧・復興につながる。

⇒13日(水)午後・金沢の天気  くもり

☆食品添加物などの排除に動くトランプ政権 これが世界の手本となるか

☆食品添加物などの排除に動くトランプ政権 これが世界の手本となるか

関税交渉やロシアのプーチン大統領との首脳会談など、アメリカのトランプ大統領の一挙手一投足が注目されているが、中には割と地味で共感できる政治交渉もあるようだ。トランプ政権がポシリーの一つに掲げているのが、「MAHA(Make America Healthy Again)」。アメリカを再び健康に、とのスローガンでトランプ政権はことし2月にMAHA委員会を立ち上げ、食品添加物や清涼飲料水に含まれる人工甘味料の規制に動いている。

ABCニュース日本語Web版(7月17日付)によると、トランプ大統領は先月16日付のSNSで、アメリカ飲料大手のコカ・コーラが国内で販売する飲料にサトウキビ由来の「本物の」砂糖を使用することに合意したと発表した。コカ・コーラは現在、アメリカ国内で流通する飲料にコーン・シロップ(トウモロコシの澱粉を酵素や酸で分解し糖に変えた糖液)を使用しているが、健康への影響を懸念する声も上がっていた。トランプ氏は「アメリカ国内の製品に『本物の』ケーン・シュガー(サトウキビ糖)を使用することについて、コカ・コーラと話し合ってきた。彼らはそうすることに同意した」、「コカ・コーラの責任者全員に感謝したい」と投稿している。(※写真は、アメリカの政権中枢であるホワイト・ハウス=Wikipediaより)

このアメリカでの食品添加物などの規制の動きは広がっている。きょうの日経新聞web版(12日付)によると、アメリカの乳製品企業が多く加盟する業界団体、国際乳食品協会(IDFA)は先月、アイスクリーム大手など数十社が、2027年12月末までに国内市場向けのアイスクリーム商品で合成着色料を不使用とする方針に合意したと発表した。また、加工食品大手のクラフトハインツとゼネラル・ミルズも、それぞれ2027年末までに国内で販売する全商品で合成着色料を不使用とする方針を表明した。トランプ政権下でロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官が食品業界に対し、使用廃止への圧力を強めているのが背景にあるようだ。日本企業も対応を迫られることになる。

日本でも以前から食品添加物や人工甘味料は腸内の細菌に悪影響を与える、あるいは子どもに本来必要な栄養摂取を妨げになるなどと規制の対象を広げてきた。トランプ政権はMAHAをスローガンに一気に排除に乗り出している。これが、世界各国の手本となるのかどうか。

⇒12日(火)午後・金沢の天気  あめ

★不祥事の処分と公表は早めに 悪評が拡散するSNSの時代

★不祥事の処分と公表は早めに 悪評が拡散するSNSの時代

スポーツ紙をはじめメディア各社が大々的に報じている。夏の甲子園で10日、1回戦を勝ち上がり2回戦を控えていた広島代表の広陵高校が出場辞退を発表した。報道によると、発端はカップラーメンだった。ことし1月、硬式野球部の寮で禁止されているカップラーメンを食べた1年生部員が複数の2年生部員から殴るなどの暴力行為を受けた。学校側から報告を受けた日本高野連は3月、同校に対して厳重注意の処分を出していた。

ところが、同校が夏の甲子園出場を決めた7月下旬以降、この暴力事案に関する様々な情報がSNS上で拡散し、一部報道もされた。今月5日に大会が開幕するとさらにSNSで上でエスカレートし、高野連は厳重注意の事案があったことを公表。同校は1回戦が行われる前日の6日になって暴力行為を初めて公表した。7日の1回戦で旭川志峯高(北北海道)に勝利。この日、高野連は同校の監督やコーチらによる暴力を訴える別の元部員からの情報提供があったことを発表。同校も「第三者委員会を設置して現在調査中」とした。9日には同校が緊急理事会を開き、出場辞退を決め、10日に同校の校長が甲子園の大会本部に出場辞退を申し入れて受理された。(※写真は、広陵高校の出場辞退を報じる11日付メディア各社)

校長が大会本部での記者会見で、「本校にいる生徒が登下校で誹謗中傷を受けたり、追いかけられたり、寮で爆破予告があったり、そういったようなこともSNS上で騒がれています」と出場辞退を決めた理由について述べている(10日付・NHKニュースweb版)。爆破予告については同校に対する直接の予告ではなく、SNS上での情報のようだ。

広陵高が辞退するまでの一連の流れを読んでの感想は、本来ならばことし3月に日本高野連から厳重注意を受けた段階で同校は暴力事案と高野連からの処分を公表すべきではなかったか、と考える。この場合、校長と監督が責任者として記者会見で謝罪し、警察に事案を届け出ればよかったのではないか。高野連の学生野球憲章の規則では厳重注意は原則として非公表となっているようだが、それは説得次第で不可能ではない。自身の記憶にある似たような事案は、2005年の高知の明徳義塾高校の一件。夏の甲子園の出場を決めた後で、野球部員による暴力行為や喫煙などが明らかになり、大会前に出場を辞退した。1992年の夏の甲子園で、星稜高校の松井秀喜選手に対し、ピッチャーが5打席連続で敬遠した、あの高校だ。大会前の事案の公表と辞退表明は英断だと、そのとき納得したのを覚えている。

公表のタイミングを遅らせばそれだけ世論の憶測を呼び悪評へと広がるものだ。SNSはその広がりを加速、さらに炎上させる。なので、不祥事の処分と公表は早めにする。そんな時代だ。

⇒11日(月・祝)午後・金沢の天気   くもり時々あめ

★今月15日に米露トップ会談 ウクライナ侵攻は事態打開へ動くか

★今月15日に米露トップ会談 ウクライナ侵攻は事態打開へ動くか

メディアやネットでビッグニュースが飛び交っている。アメリカのトランプ大統領は、ホワイトハウスのサイトで掲載しているSNS「X」の投稿=写真=で、今月15日にアメリカのアラスカ州でロシアのプーチン大統領と首脳会談を行うことを明らかにした。

「“The highly anticipated meeting between myself, as President of the United States of America, and President Vladimir Putin, of Russia, will take place next Friday, August 15, 2025, in the Great State of Alaska. Further details to follow. Thank you for your attention to this matter!” 」(意訳:アメリカ合衆国大統領である私とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との待望の会談が、来週の金曜日、2025年8月15日にアラスカ州で開催される。詳細は後日お知らせする。この件に関心を寄せいただき、ありがとう)

詳細は後日ということだが、対面でのアメリカとロシアの首脳会談はロシアによるウクライナ侵攻後、初めてとなる。この会談で事態の打開が図れるのか、停戦に向け動き出すのか。それにしても、このニュースで気になったのは、なぜアラスカ州での開催なのか。以下、憶測だ。アラスカ州はベーリング海を挟んでロシアのカムチャツカ半島と向かい側にある。7月30日に半島沖でマグニチュード8.8の巨大地震が起きた。相当の被害が出ていることは想像に難くない。当然、プーチン氏は現地を視察に訪れるだろう。米露首脳会談はこのタイミングに合わせているのかもしれない。プーチン氏はカムチャツカの現地で視察を行い、その後、アラスカへ飛ぶというシナリオだろうか。

トランプ氏は別件でも「停戦のコーディネーター」として動いている。係争地をめぐり30年にわたって対立していたアゼルバイジャンとアルメニアの両首脳は8日、トランプ氏の仲介のもとで和平に向けた共同声明に署名した(9日付・NHKニュースweb版)。また、イスラエルがイランの核関連施設などに対する空爆を行い、イランもミサイルなどによる攻撃で応酬するなど中東情勢が一気に高まったが、トランプ氏が仲裁に入り、6月24日に両国は停戦合意に至った。

トランプ氏が「和平の仲介者」として自身を演出する背景にはノーベル平和賞の受賞という野心があると解説するメディアの論調もある。それはそれとして、ウクライナとロシアの双方が納得して停戦にごきつけることができるのだろうか。トランプ氏はどのような秘策をもっているのだろうか。

⇒9日(土)午後・金沢の天気  はれ

☆豪雨で浮上したアンダーパス冠水のリスク  エンジン停止や水没

☆豪雨で浮上したアンダーパス冠水のリスク  エンジン停止や水没

きのう金沢は線状降水帯の影響で激しい雨が降った。7日正午までの12時間の雨量は331.5㍉と観測史上最大で、8月の平年の1ヵ月分の1.8倍の雨がわずか半日で降った。今月5日までは連日、強烈な暑さが続いていた。4日には小松市で40.3度の酷暑となるなど日照り続きで水不足が心配されていた。金沢の7月の降水量はわずか37.5㍉で、平年値の16%だった。去年9月に奥能登で降った48時間で498㍉の「記録的な大雨」を含めると、酷暑と豪雨という気候変動のリスクを抱え込んだようだ。

きのう金沢での豪雨の様子をテレビで視聴していて、聞きなれない言葉が飛び交っていた。「アンダーパス」。立体交差の道路や鉄道などの下をくぐるように掘り下げて作られた道路のこと。ニュースで取り上げられていたのは、大雨で冠水したアンダーパスに乗用車が進入して水につかり、エンジンが停止状態になったケースが相次いだこと。隣県の富山県高岡市ではアンダーパスで、車が水没しているのが見つかり、消防隊が乗っていた80代の女性を救助したとニュースも流れていた。

きょうその一つ、金沢市に接する野々市市扇が丘のアンダーパス=写真=の現場を見てきた。ニュースによると、きのう午前9時40分ごろに冠水し、乗用車2台が立ち往生した。運転者はそれぞれ自力で脱出した。車が進入したときの水位は30㌢から40㌢ほどだったが、当時、交通規制などは敷かれていなかった。現地ではすでに車は引き上げられ、アンダーパスの冠水も解消していた。

以下、現地で思ったこと。道路に設置されている標識や冠水情報板を確認することがもちろん重要なのだが、うっかりと冠水したアンダーパスに入り込んでしまった場合どうすべきなのか。まず、くぐり抜けようと思わないこと。ネットで検索すると、ボンネットの近くまで水が来てしまっている状態では、確実にエンジンの中まで水が入っているので、絶対にエンジンはかけない。エンジンをかけた瞬間に火花が散って、そこから火災につながる危険性もあるようだ。まず、ドアを開けて脱出する、ドアが開かない場合は窓を割ってでも車外に脱出することだ。この窓ガラスを割るという作業は人手ではできない。そこで、脱出用ハンマーを常備しておくことも大切との解説もある。

それよりも何より、集中豪雨の際はアンダーパスに近づかないことを肝に銘じたい。あるいは運転そのものを控えるしかない。

⇒8日(金)夜・金沢の天気   はれ

★石川・加賀に線状降水帯 半日で331㍉、金沢で避難指示

★石川・加賀に線状降水帯 半日で331㍉、金沢で避難指示

未明に激しい雨音で目が覚めた。スマホで日本気象協会「tenki.jp」公式サイト「石川県の雨雲レーダー」をチェックすると、雨雲で能登から加賀まですぽっりと雨雲に覆われていた=図=。そして、明け方、また激しい雨となり確認すると、気象庁は午前5時前に、石川県加賀地方で線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が同じ場所で降り続いているとして「顕著な大雨に関する情報」を発表していた。

これを受けて金沢市は午前6時15分、市内の8つの校下の住民に対して避難指示を出した。小学校や公民館など25ヵ所に避難場所を設置した(午前10時47分時点)。きのう6日は能登地区で輪島市と珠洲市が両市併せて7651世帯、1万5727人に避難指示を出していて、県内は2日続けてとなる。

金沢地方気象台によると、金沢市では正午までの12時間の雨の量が統計を取り始めてから最も多い331.5㍉を観測した。これは平年の8月、1ヵ月分の1.5倍以上の雨が半日で降ったことになる。午前中、所用があり市内に車で出かけた。市内中心部を流れる犀川と浅野川の河川水がかなり上昇していた。降りしきる雨で浅野川沿いに建ち並ぶマンション群はかすんで見え、まるで「天空の城」のような=写真・午前9時ごろ、天神橋から撮影=。

大雨による影響はさまざまに出ている。メディア各社の報道によると、北陸新幹線は大雨のため、午前7時過ぎから金沢駅と長野駅の間の上下線で運転を見合わせている。また、金沢市内の河川の一部で氾濫が起きている。道路の冠水や土砂崩れなどの被害も出ている。

以下は自身の憶測だが、去年元日の能登半島地震で金沢は震度5強の揺れだった。このため、金沢城の石垣の一部が崩れ、市内の住宅街でも土砂崩れがあった。地震で地盤が緩んでいる場所がほかにもあるのではないだろうか。今回の大雨はその緩みに土砂崩れをもたらすことになりはしないか。その事例が能登だ。震災後の9月に「記録的な大雨」に見舞われた輪島市や珠洲市で山間地や台地でのがけ崩れなどが目立った。そんなことを懸念している。

⇒7日(木)午後・金沢の天気 あめ時々くもり

☆能登半島に叩きつける雨、そして高潮、雷と4つの警報・注意報

☆能登半島に叩きつける雨、そして高潮、雷と4つの警報・注意報

朝から能登半島を中心に強烈な雨が降っている。気象庁によると、停滞する前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、半島の尖端部分の輪島市では午前7時11分までの1時間に47㍉の激しい雨が観測された。このため同市では、雨が強まり土砂災害のおそれがあるとして午前7時すぎに6414世帯、1万3335人に避難指示を出した。隣接する珠洲市も午前8時すぎに1237世帯、2392人に避難指示を出した。避難指示は5段階の警戒レベルのうち警戒レベル4の情報で、両市では早めの避難を呼びかけている(※図は、日本気象協会「tenki.jp」公式サイト「石川県の雨雲レーダー」より) 。両市は去年9月21、22日の48時間で498㍉という「記録的な大雨」に見舞われている。

日本気象協会「tenki.jp」公式サイトの予報によると、能登地区には「大雨警報(土砂災害)」、「洪水警報」、「雷注意報」、「高潮注意報」の4つもの警報・注意報が出されている。大雨・洪水警報にさらされ、さらに追い打ちをかけるように高潮の注意報もある。

能登半島はリアス式海岸で、海沿いに国道などが伸びている。今月9日の満月前後は大潮に当たる。月と地球、太陽がほぼ一直線に並び、海水に及ぼす引力が大きくなることで潮位が上る現象だ。低気圧が通過することで潮位がさらに上昇することに注意を呼びかけている。去年元日の能登半島地震の影響で富山湾に面した内浦(うちうら)と呼ばれる海岸沿いは地盤が沈下している。このため沿岸部ではとくに7日に高潮が予想され、警戒が必要となっている。

さらに雷にも注意だ。雷は発達した積乱雲によってもたらされる放電現象だが、日本海に突き出すような地形の石川県は年間を通じて雷が多く、気象庁の雷日数では45.1日(観測地点・金沢)と全国で最多となっている。最近では、「雷サージ」という言葉が県内でよく使われるようになった。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合に瞬間的に電線を伝って高電圧の津波現象が起きる。電源ケーブルを伝ってパソコンの機器内に侵入した場合、部品やデータが一瞬にして破壊される。

自然災害が一度にやって来て、4つの警報・注意報をもたらす。「天災は忘れたころにやってくる」は物理学者・寺田寅彦の有名な言葉だが、現代は「天災は一度にやってくる」、なのか。

⇒6日(水)午後・金沢の天気  くもり