★「ニューヨーク」の復旧が未来志向の能登復興につながるか
能登半島の尖端をめぐる国道は「249号」、地元では数字をもじって「ニューヨーク」と呼ぶ人もいる。それほど地域に密着し、生活に欠かせない道路なのだ。そして観光ルートでもある。輪島市の白米千枚田を縦貫し、名所の窓岩がある曽々木海岸を通り、珠洲市の揚げ浜式塩田へとつながる。それが、元日の地震でニューヨークがズタズタになった。千枚田などがある北部海岸は「外浦」と称され、リアス式海岸で海と山々を通る249号は奥能登の大動脈でもあるが、土砂崩れなどで5ヵ所が寸断となった。
そのうちの1ヵ所は千枚田の近くあった。山が崩れ、海岸にまで土砂が落ちた。国土交通省が陣頭指揮を執って、地震で隆起した海岸沿いに迂回路(幅5㍍の1車線、長さ430㍍)を新設し、先月5月2日に通行が可能になった。もう1ヵ所、珠洲市街と外浦を結ぶ249号の大谷トンネルが崩れたため、県道などを迂回路として確保した。
249号の寸断箇所は残り3ヵ所。そのうちの一つ、勇壮な太鼓で知られる御陣乗太鼓の発祥の地の輪島市名舟町から曽々木海岸に行く途中の道の崩壊がすさまじい。ネット上で掲載されている国交省の「能登半島地震 国道249号 道路啓開5工区の状況」によると、道路そのものが大規模に崩落している=写真=。地元メディア各社の報道によると、国交省はこの現場で年内に1車線を確保するとしている。
ほかの2ヵ所について、輪島市中心部から同市門前町をつなぐ中屋トンネルの崩落では、ことし9月末までに1車線を、年内に2車線を確保する。また、珠洲市の逢坂トンネル付近の土砂崩れについては年内に1車線を確保する。
報道によると、政府は28日、能登半島地震の復旧・復興に向け、2024年度予算の予備費から1396億円を支出することを閣議決定した。道路などのインフラ復旧に充てる。予備費からの支出は5回目で総額で5500億円に上る。また、来月7月1日には各省庁による「能登創造的復興タスクフォース」が発足する。150人規模のスタッフが省庁横断で能登復興に取り組む。未来志向のさまざまなアイデアの実現に期待したい。
⇒29日(土)夜・金沢の天気 くもり
先日(今月24日)珠洲市を訪れた際、山を見上げるとやはり風車はストップしていた=写真・上=。同市にある30基の風力発電を管轄している「日本風力開発」(東京)の公式サイトによると、発電所や変電所の敷地内外を徒歩によるアクセスやドローンおよび航空写真で確認した。その結果、1基についてはブレイド1枚の損傷を確認した、としている。「6月10日現在の状況」として、ブレイドの損傷原因を現在も引き続き追究中で、それ以外の風車およびほかの設備についても周辺安全に影響する損壊がないことを確認しながら、具体的な復旧方法や工程を関係機関とともに策定中、とある。しかし、再稼働の日程については公式サイトで記載はなかった。
までのアクセス(山道)が相当に崩れているのだろう。そのため、風力発電とつなぐ回線なども切れて電気が共有できなくなっているのではないだろうか。市内を車で走行していても、あちこちでがけ崩れなどを目にする=写真・下=。
朝鮮による弾道ミサイル発射は5月30日以来で、その技術を用いた「人工衛星」の発射も含めてことしに入って7回目となる。(※イメージ図は、防衛省公式サイト「北朝鮮のミサイル等関連情報」より)
話は変わる。能登半島地震で金沢と奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)を結ぶ自動車専用道路「のと里山海道」は輪島方面のみの一方通行が続いているが、来月7月17日から対面通行が可能になる。国土交通省がきのう発表した。ただ、穴水町の能登大橋付近では路面が一部崩落しており、9月末まで工事用信号で行き交う片側交互通行となる。(※写真は、国交省公式サイト「報道・広報」資料より)
きのう(24日)半島の尖端、珠洲市の被災地をめぐった。同市では3ヵ所で陸上自衛隊が入浴支援を続けている。その一つが市立宝立小中学校に設置されている仮設風呂。校舎の裏手に「男湯」テントと「女湯」テントがある=写真=。通りかかった中年男性に尋ねると、午後3時から入浴の受付が始まるとのこと。近くの仮設住宅に住んでいるという男性は「無料でとても助かっている」と話した。仮設住宅にも小さな浴槽はあるものの、足の膝を痛めていて足を伸ばすことができないので、ここを利用しているとのことだった。
ったり、下水管が復旧していないために風呂の湯が流せないというケースもあるようだ。
「美しき川は流れたり」と讃えた犀川だが、けっこう暴れる川でもある。いつも通る橋から見ると、川かさはかなりだったが、なんとか治まりそうだったので安心した=写真・上=。
を結ぶ「才田大橋」(365㍍)。橋梁の取り付け部分が液状化により1.5㍍ほど地盤が沈下した=写真・中=。この周辺は河北潟干拓地で、大小あわせて9本の橋梁があり、その中でも一番長い橋だ。
はないだろうか。大橋の周辺では路面の沈下で大きな水たまりもできていた。
その作品が気になり、きょう午前中に21美を訪れた。美術館のメインエントランスに鎮座するこの作品は『死の海』。説明書きによると、ブラジルの作家、エンリケ・オリヴィエラの作品(2024)。生命体のように曲がりくねるフォルムはオリヴィエラが20年来続けているシリーズの一つで、入り口という空間を支配する生き物のようにも感じる。
て、家具や建物といった消費財にしている。こうした工程から出た木材をあえて作品として展示することで、人間と環境問題を考察してもらいたいとの意味を持たせている。今回の作品も、ブラジルで拾った膨大な合板の廃材に芸術作品という新たな生命に吹き込んだものだ=写真・下=。
梅雨の大雨で、案じるのは能登の被災地だ。震源近くの珠洲市や輪島市の中山間地をめぐると、山のがけ崩れ現場があちらこちらにあり、落ちてきた巨大な岩石が民家に迫っているところもある。あす予想される大雨でさらに土砂崩れによる二次災害が起きるのはないかと、被災地の人たちは懸念していることだろう。(※写真・上は、元日の地震で民家の裏山が崩れた輪島市内の中山間地)
孤立した輪島市内の民家=1月4日、国土交通省TEC-FORCE緊急災害対策派遣隊がドローンで撮影)
仮設住宅が造られているのは観光名所である見附島を望む同市宝立町の市有地で、坂氏が手掛けるのは6棟90戸。きょう入居が始まるのは、そのうち最初に完成した30戸分となる。仮設住宅には坂氏のこだわりがある。木の板に棒状の木材を差し込んでつなげる「DLT材」を使用している。DLT材を積み上げ、箱形のユニットを形成する。石川県産のスギを使い、木のぬくもりが活かされた内装となっている。間取りは、6、9、12坪の3タイプがある。
仕切りスペースを造って市に寄贈した。間仕切りはプラスティックなどではなく、ダンボール製の簡単な仕組み。個室にはカーテン布が張られているが、プライバシー確保のために透けないのだ。この透けないカーテーン間仕切りは、今回の震災でも珠洲市や輪島市などの避難所で活用されている。
隣接するスポーツ施設の屋上から眺めると、向こうには山並みが見え、近くには川が流れている。整備されているのは平屋建て木造長屋タイプの仮設住宅。周囲の風景とマッチしている。近くの市街地にはスーパーマーケットやガソリンスタンドなどもある。仮設住宅の町中を歩くと、子どもたちが遊んでいたり、ご近所さんたちが路上で会話する光景が見られた。また、掲示板には、週一の「日曜カフェ」のオープンや虫歯予防の「口腔ケア」、炊き出しなどのお知らせチラシが貼ってあった。駐車場も90台分が確保されている。冒頭で述べたように、ちょっとしたコンパクトタウンをイメージする風景なのだ。今月中にさらに70戸が完成する予定という。
で、能登半島地震282人は3番目の規模となる。以下、熊本地震は276人(うち関連死221人)と続く。