⇒ドキュメント回廊

★能登「古墳まつり」で古代米おにぎりを食し、獅子舞を楽しむ

★能登「古墳まつり」で古代米おにぎりを食し、獅子舞を楽しむ

「これは世にも珍しいまつり」と好奇心がくすぐられて見学に行ってきた。「古墳まつり」。能登半島の中ほどに位置する中能登町にある国指定の史跡「雨の宮古墳群」=写真・上=。まつりはこの古墳群を保護する民間団体「雨の宮を護る会」が主催していて、ことしで14回目という。

古墳群に対する地元の思い入れを護る会のメンバ-が語ってくれた。町の北側に連なる眉丈山(びじょうざん)山系の尾根筋につくられた古墳群は、地元では古くから「雨乞いの地」として知られ、「雨の宮」という名称もこの思いが込められているという。山のふもとには邑知(おうち)平野と呼ばれる水田地帯が広がる。この水田を潤す雨が降ることを祈った、歴史ある場所なのだ。

祈りの地である古墳群には前方後方墳(1号墳)と前方後円墳(2号墳)を中心に全部で36基が点在している。全長64㍍の1号墳は、4世紀から5世紀の築造とされ、古墳を覆う葺石(ふきいし)も当時ままの姿。まるで山頂のピラミッドのようだ。1号墳からは山のふもとに広がる水田地帯を見渡すことができ、実に壮観だ。1987年に古墳近くの遺跡から炭化した「おにぎりの化石」が出土し、2千年前の弥生時代のものと推定され、日本最古のおにぎりとして当時話題になった。去年元日の能登半島地震では古墳群に亀裂が入り、現在も一帯は「立入禁止」となっている。

古墳まつりは山頂の古墳群から下手にある資料館「雨の宮能登王墓の館」の広場で開催され、午前10時には能登の震災復興祈願祭が執り行われた。古墳群の近くにある能登部神社の女性宮司が古墳群に向かって祈祷を捧げた=写真・中=。続いて行われたのが「芸能発表」。地域の子どもたちが太鼓や獅子舞を披露した。獅子と天狗がともに踊るにぎやかな獅子舞踊りで、地域の祭りのシンボルになっている=写真・下=。このほか、中学の吹奏楽部の生徒がコンサートを行うなど、午前中2時間余りのにぎやかなまつりだった。

会場には大勢の人が訪れていた。そのお目当ての一つが「古代米おにぎり」。前述した「おにぎりの化石」が遺跡から発見されたことをきっかけに同町では「古代米おにぎり」を町おこしのアイテムとしていて、人気がある。古墳群を眺めながら古代米おにぎりをほうばる。なんとも歴史観のあるまつりではある。

⇒11日(土)夜・金沢の天気    くもり

★茶席のさりげない花入れはあの日本の歴史事件を伝える器

★茶席のさりげない花入れはあの日本の歴史事件を伝える器

金沢市の21世紀美術館の敷地にある茶室「松涛庵」で開催された茶会に出かけた。開催名が「スペシャルオリンピクス石川 チャリティー茶会」という、初耳の名称だ=写真・上=。待合にいた係りの人に、「スペシャルオリンピクスとは何のことですか」と尋ねると、こうだった。「知的障がいのある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じ提供しているスポーツ組織なんです」と。

さらに丁寧な説明があった。障がい者のスポーツにいくつかの分類があって、オリンピックと並行して開催されているパラリンピックは身体障がい者が集う国際スポーツ大会であり、聴覚障がい者の国際大会はデフリンピック、そして知的障がい者の大会はスペシャルオリンピックスと称されている。今回の茶会はスペシャルオリンピックの地方組織であるNPO法人「スペシャルオリンピックス日本・石川」を支援するために開催された茶会という。

このチャリティー茶会は金沢の裏千家の社中が主催していて、27年前に始まり、コロナ禍の中止をはさんで今年で25回目だという。今回初めてお誘いを受けた次第。そんな歴史といわれのある茶会とは知らずに出席して、正客をと勧められるままに席に着いてしまった。

掛け軸は「山色不離門」。その意味を席主の山本宗茂氏に尋ねる。山の景色が門から離れない、つまり、門を開ければいつでも山の景色が目の前にあるという意味という。掛け軸の前にある花入れ=写真・下=のカタチが気になり、尋ねた。すると驚きだった。花入れは、25年ほど前に玄界灘から揚がった「海揚がりの筒」という。この土で焼かれた筒は独特の形状から、鎌倉時代中期にモンゴル帝国(元朝)と朝鮮半島の高麗が2度にわたり日本への侵攻を仕掛けた、いわゆる「元寇」に使われた火薬を入れた器だと分かった。

ある意味で歴史的に価値のあるものだが、席主の山本氏は「茶席では花を入れて床の間に飾り、平和の証として使っているんですよ」とほほ笑んだ。会記には「高麗筒」と記されている。茶道の世界では、歴史的な価値というより、場を和ませる発想で珍しい焼き物が使われることがよくある。その意味で茶席という場はじつにクリエイティブな世界と言えるかもしれない。おかげで日曜のお茶を楽しませてもらった。

⇒5日(日)夜・金沢の天気   はれ

★能登の隆起海岸の見どころ~上陸したゴジラ岩、白い貝付き岩~

★能登の隆起海岸の見どころ~上陸したゴジラ岩、白い貝付き岩~

能登半島の尖端に位置する珠洲市馬緤(まつなぎ)町の沿岸に「ゴジラ岩」と呼ばれる奇岩がある。空に向かって炎を吹き出す怪獣ゴジラに似ていて、その名が付けられた。日本海の高波に向かって、ゴジラが吠えているようにも見え、なかなか面白い。ことし9月13日、同市の須須神社に「寺家キリコ祭り」を見学に行った帰りにこのゴジラ岩を見るため立ち寄った。ことし2月8日にもこの地を訪れているが、この日は吹雪と高波で周囲はよく見えなかった。なので去年元日の能登半島地震以降でゴジラ岩をじっくり眺めるのは9月のこの日が初めてだった。

地震で海岸線は最大で4㍍隆起したことが観測されているが、ゴジラ岩周辺も例外ではなかった。もともとこの岩は波打ち際にあったが、1㍍ほど隆起したのだろうか、周囲の岩石とともに陸地に上がっている。まるでゴジラが上陸したようなイメージだ。このほかにも、輪島市門前町では細長い砂浜が隆起して砂丘地のようになったところもある。(※写真・上は、震災前のゴジラ岩、その下は震災後の隆起したゴジラ岩)

地震による隆起で石川県の面積が広がったようだ。国土地理院は全国の都道府県と市区町村の面積を公表した(9月26日)。それによると、能登半島地震による海岸線の隆起の影響で、石川県の面積が4.74平方㌔拡大した。顕著だったのは能登外浦の2市1町(輪島、珠洲、志賀)で、輪島市は2.78平方㌔、珠洲市で1.72平方㌔、志賀町で0.24平方㌔だった。ちなみに金沢の兼六園の広さ0・11平方㌔なので、隆起で拡大した面積は兼六園の43倍に相当する。

では、広がった海岸線をどのように活用すればよいのだろうか。すでに、国道249号で崩落したトンネルや土砂崩れの道路では、隆起した海岸を活用した「緊急復旧道路」が整備されている。海岸線を走る実にダイナミックな道路だ。これは個人的に感じたことだが、4㍍隆起した輪島市の鹿磯海岸では海底の岩石がそのまま陸地化して、岩石にはアワビやサザエ、二枚貝などがびっしりと付着していて 全体が白くなっている=写真・下=。ここを能登の多様な貝類の観察の場にしてはどうか。冒頭で述べた、上陸したゴジラ岩も面白い。これらを震災の復興観光として活かせないだろうか。

⇒1日(水)夜・金沢の天気   はれ

★味覚の秋~冷めてもうまい新米、サンマの究極の楽しみ方~

★味覚の秋~冷めてもうまい新米、サンマの究極の楽しみ方~

秋分の日が過ぎて、日が暮れるのがめっきり早くなった。季節は急ぎ足で秋に向かっている。そんなことを感じさせるのがスーパーかもしれない。近所のスーパーに行くと、柿やナシ、イチジク、ブドウなどの果物や、金時草など加賀野菜も売り場に並んでいて、色鮮やかな実りの秋が目に飛び込んでくる。そして、秋は新米の時季でもある。石川県の新米の主要銘柄は、このブログで何度か紹介した「ゆめみずほ」、「コシヒカリ」、そして「ひゃくまん穀」だ。売り場に行くと、ひゃくまん穀がキャリーカートに積まれて並んでいた=写真・上=。県産ブランド米の3銘柄が店頭にそっていて、実りの秋本番を迎えたようだ。

ただ、値段を見て身を引いた。店頭価格は5㌔袋で4947円(税込み)だ。去年は2800円余り(同)だったので、7割ほど価格がアップしている。今月12日付のブログでも述べたが、同じ県産米の「一粒のきらめき」は5㌔税込み5379円だ。去年の新米は同2312円だったので、倍以上の値段になっている。7割、そして倍以上、コメの価格高騰は続いている。それでも、新米を買い求める客が次々と訪れていた。昔からよく言う、「冷めてもおいしい新米」と。

そして魚売り場に行くと秋の味覚、サンマが並んでいる。塩焼きの価格が1匹359円。「ただ今 焼きたて」「当店で焼きました!」と貼り紙がある=写真・下=。こんがりと香ばしいにおいがしたので1匹購入した。店員の話だと、ことしのサンマ漁は東北から北海道にかけて昨年より好調な水揚げが続いていて、価格も去年より3割ほど安いようだ。

サンマの塩焼きを見ると、子どもの頃を思い出す。「魚をきれいに食べる」とほめられたこときっかけで、身をほぐして食べるようになった。友人から、「ネコまたぎ」と言われた。ネコもまたいで通り過ぎるくらいに身を残さず食べる、との意味だ。ほめ言葉ではないが、そう言われても悪い気はしない。それがいまも続いている。

影響を受けたのは父親からだった。父親はご飯茶碗にその骨を入れ、熱湯を注ぎ、醤油を少したらして、すすっていた。「これが一番うまい」と。確かに晩酌をしながら、酒の肴にサンマをつつき、食べ終えて口直しに骨湯をすするというのは理にかなっているかもしれない。自身はそこまでしていないが、究極のサンマの楽しみ方なのかもしれない。

きょうは大相撲秋場所14日目。地元石川県出身の横綱・大の里は大関・琴桜の休場による不戦勝で13勝1敗となった。単独首位のまま千秋楽を迎え、優勝決定は2敗の豊昇龍との横綱同士の結びの一番に持ち越された。これも楽しみだ。

⇒27日(土)夜・金沢の天気  くもり

★能登「記録的な大雨」から1年 国の名勝・時国家庭園を修復へ

★能登「記録的な大雨」から1年 国の名勝・時国家庭園を修復へ

能登半島の北部で降ったあの「記録的な大雨」から間もなく1年になる。2024年9月20日から22日にかけて線状降水帯が発生し、輪島市では22日午後10時までの48時間雨量が498.5㍉に達する豪雨となった。このため、土砂崩れによる道路の寸断が各地で起き、輪島市を中心に山間地の集落115ヵ所が孤立した。さらに、裏山でがけ崩れが起きて民家が倒壊。また、大量の流木が増水した川に流れて市内の橋にひっかり、土砂ダム状態になった。家屋倒壊や濁流に巻き込まれるなど合わせて17人が亡くなった(関連死1人含む)。

記録的な大雨で文化財も被災した。輪島市町野町にある国の重要文化財である「時国家住宅」。日本史の教科書にも出てくる、平氏と源氏が一戦を交えた壇ノ浦の戦い(1185年)で平家が敗れ、平時忠が能登に流刑となった。その時忠の子孫が時国家とされる。2軒ある時国家のうち、山のふもとにある「時国家」は主屋が1963年に国重要要文化財に、庭園が2001年に国名勝に指定。また、丘の上にある「上時国家」は主屋が2003年に国重要要文化財に、庭園が2001年に国名勝に指定されている。両家の主屋はともに茅葺民家で、能登の厳しい気候風土に耐えながら紡いできた800年余りの歴史の風格を伝えてきた。

両家ともに去年元日の能登半島地震では最大震度7の揺れ、そして9月の豪雨では裏山が崩れ、主屋と庭園それぞれ被害を被った。地元メディアの報道によると、そのうち主屋の倒壊を免れた時国家では庭園の復旧作業が始まったとの報道があり、現地を訪ねた。復旧に取り組んでいるのは、庭園の保存継承を担う「文化財庭園保存技術者協議会」(事務局・京都市)。9月の豪雨では裏山が崩れ、大量の土砂が庭園全域を高さ1㍍から1.5㍍にわたって覆った。輪島市役所では今春から災害復旧事業の一環として庭園の土砂を撤去する作業を行い、今月初めまでに完了。引き続き、今月17日から文化財庭園保存技術者協議会が復旧作業に着手した(18日付・北陸中日新聞)。

庭園は「池泉回遊式」と称される書院庭園で、中心に池を配置し、園内を歩きながら楽しむ庭として造られている。作業初日の17日には全国から庭師のプロ24人が集まり、被災前に作成された図面を基に、流された飛び石を置き直したり、崩れた池の護岸の修復が行われた。11日間にわたり作業が続く(同)。震災と豪雨に見舞われた文化財の復興のシンボルになることに期待したい。(※写真は、時国家住宅にクレーンが持ち込まれ、石の置き直しなど庭園の修復作業が行われている=18日午後撮影)

⇒19日(金)午後・金沢の天気   はれ時々くもり

★輪島・千枚田に実りの秋 トキ舞う棚田へ農法転換

★輪島・千枚田に実りの秋 トキ舞う棚田へ農法転換

おととい(13日)午後に能登半島の尖端、珠洲市寺家のキリコ祭りを見学して、当日夕方に輪島市の白米(しらよね)千枚田を訪れた。この日に全国のボランティアが参加する稲刈りが始まると輪島市観光課の公式サイトにあったので、日本海の夕日と千枚田の稲刈りという光景を見ることができるかもしれないとイメージを抱いていた。現地に到着すると稲は実っていて、まさに棚田は黄金の輝きを放っていた=写真=。ところが、稲刈りが行われた様子がない。

あらためて、輪島市観光課サイトをチェックすると、「13日と14日」の予定が大雨などの天候不順が予想されるため中止し、「15日から21日」と変更されていた。確かに、金沢地方気象台は輪島市に断続的に大雨警報を出していて、千枚田の稲刈りの日程もこれまでのように2日間と特定せず、「15日から21日」と幅を持たせたのだろう。

日本海を望む千枚田は4㌶の斜面に大小1004枚の棚田が広がる。2024年元日の能半島登地震では、棚田に無数の亀裂が入るなどの被害が出た。地元住民らでつくる「白米千枚田愛耕会」のメンバーが中心となって修復を進めていて、去年は120枚の田んぼを耕し、ことしは250枚で田植えを行った。そして実りの秋を迎えた。

千枚田にとってことしは大きな転機となった。2001年に文化庁の「国指定文化財名勝」に指定され、2011年に国連食糧農業機関(FAO)から認定された世界農業遺産「能登の里山里海」のシンボル的な存在だ。白米千枚田愛耕会はことしから農法を除草剤などの農薬を使わない無農薬栽培に切り替えた。これは来年6月に環境省が能登でトキを放鳥することを意識し、千枚田にトキのエサとなるドジョウやメダカなどが繁殖する田んぼづくりくりに転換したのだ。除草剤などの農薬を使わないとなると草取りなどに手間ひまがかかるのは言うまでもない。コメの収穫量も減るだろう。

それでもトキが訪れる棚田に。このため白米千枚田愛耕会では、耕作の担い手を育てるために近くの空き家にボランティアらが常駐する滞在拠点をつくる構想も進めているようだ(15日付・地元メディア「北國新聞」)。また、コメの収穫量が減ることになったとしても、千枚田の無農薬米が市場に出回れば、「千枚田のトキ米」として一気にブランド化するのではないだろうか。地震や豪雨にめげず、耕す人びとのモチベーションが上がっているに違いない。千枚田の実りを眺めながら、そんなことを感じた。

⇒15日(月)午後・金沢の天気   はれ時々くもり

☆能登半島の尖端に日本最大の祭りキリコと義経伝説

☆能登半島の尖端に日本最大の祭りキリコと義経伝説

金沢地方気象台はきのう輪島市に出していた大雨警報をきょう午前5時すぎに解除した。ところが、午後6時30分に再び大雨警報を出した。あす14日にかけて大気の状態が非常に不安定となる見込みで、1時間に50㍉の非常に激しい雨が降るおそれがある。まさに目まぐるしく天候が変わる。繰り返される激しい雨に輪島市民は警戒しているだろう。去年9月、輪島市を中心に48時間で498㍉という「記録的な大雨」が降り、土砂崩れによる家屋倒壊などで17人が亡くなっている(関連死1人含む)。あれから1年だ。

輪島市と隣接する珠洲市は能登半島の尖端に位置する。同市三崎町の寺家地区では毎年9月の第2土曜日に、神輿とともに4つの集落がキリコを出して商売繁盛や子孫繁栄を祈る「寺家キリコ祭り」が開催される。きょうその祭りを見学に行ってきた。

社(やしろ)の須須(すず)神社で4基のキリコが並び、実に壮観な光景だった=写真=。寺家のキリコは「日本最大のキリコ」で知られる。高さ16.5㍍、重さは4㌧、屋根の大きさは畳12分もある。大きさに加え、黒漆塗りで金箔と彫物で装飾された豪華さが目立つ。夜通し町内を巡行する。去年は能登半島地震や津波の影響で巡行は見送られたので、2年ぶりとなる。大きさのほかに目立つのは担ぎ手。地元で「ドテラ」と呼ばれる派手な衣装を身に着け、独特の雰囲気を醸し出している。もともと女性の和服用の襦袢(じゅばん)を祭りのときに粋に羽織ったのがルーツとされ、花鳥風月の柄が入っている。

ヤッサーヤッサーと掛け声で息を合せてキリコが海岸沿いの道路をゆっくりと練る。何しろ高さ16㍍のキリコは5階建てのビルに匹敵する高さだ。ふと見ると地域の人が海に向かって手を合せていた。話を聴くと、須須神社はイルカを祭神の使いとして祀る。同神社前の海にイルカが現れると地元では「三崎詣(まり)り」と呼んで、その姿に合掌する習わしがあるそうだ。

また、この神社は国指定重要文化財の「木造男神像」や、この地を訪れた源義経が海難を免れたお礼にと奉納した「蝉折の笛」や「弁慶の守刀」が収められていることで知られる由緒ある社だ。キリコのスケール感と、能登の尖端に秘められた伝説に圧倒された想いだった。

⇒13日(土)夜・金沢の天気   あめ

☆石川の「水がめ」手取川ダムの貯水率32% 雨よ降れ降れ

☆石川の「水がめ」手取川ダムの貯水率32% 雨よ降れ降れ

「暗雲垂れこめる」という言葉があるが、まさにこのことを指すのだろう。きょう午後3時半ごろ金沢の上空を分厚い雲が覆い、午後4時ごろから雨音が激しくなってきた。気象庁は午後3時32分、石川県の加賀地方に「竜巻注意情報」を発表した。竜巻などの突風は、発達した積乱雲が近づいたときに発生する。気象台は、雷や急な風の変化、それに「ひょう」が降るなど、積乱雲が近づく兆しがある場合は突風に十分注意し、頑丈な建物などの中で安全を確保するようにと呼びかけている。まさに不穏な空模様だ。

きょう午後、石川県の「水がめ」でもある手取川ダムの様子を見てきた=写真=。県内は猛暑続きで、熱中症警戒アラートがおととい(2日)までに37回(初回7月4日)も出されていて、年間の発出回数ではこれまで最多だった2023年の36回を更新している。この猛暑、いつまで続くのかと思うと同時に水不足の事態になりはしないかと懸念を抱く。県内13の市と町に水を供給し、人口の7割の水道をまかなっている手取川ダムの貯水率は、きょう午後4時時点で32%となっている(「石川県防災ポータル」より)。

白山市白峰の手取川ダムに行くと、ダム上流の河川は半ば干上がった状態のようにも見え、心細く感じた。なにしろ、先に述べたように梅雨時の7月から8月初めにかけては極端な高温と少雨が続いた。一方で、8月6日から10日を中心には極端な大雨となり、石川県では線状降水帯が発生し7日の金沢の降水量は332㍉を観測、短期集中の大雨となった。ところが、その雨水は手取川ダムには届かなかったようだ。

前述した2023年の渇水期には手取川ダムの貯水率が9月末に一時16%まで低下した。行政が節水を呼び掛ける際の基準とされる20%を割り込んだが、その後に雨天となり節水にまでに至らなかった。天気予報では今月中旬ごろから加賀地方で雨の日が続くので余計な心配なのかもしれない。「暗雲が垂れこめる」、ある意味で実にありがたい。

⇒4日(木)午後・金沢の天気   くもり時々あめ

★きょうから施行「改正鳥獣保護法」 クマ問題の根深さ浮かぶ

★きょうから施行「改正鳥獣保護法」 クマ問題の根深さ浮かぶ

きょうから9月、残暑どころか猛暑が続く。予報によると、きょうの金沢の最高気温は36度になる(日本気象協会「tenki.jp」公式サイト)。そしてきょう1日は「防災の日」。関東大震災が発生した1923年9月1日にちなんで、震災の惨禍を忘れず、防災・減災を進めるために制定された。そして、きょうから「改正鳥獣保護管理法」が施行される。このブログでも何度か取り上げているクマ問題と関わる改正法なので検証してみる。

石川県自然環境課に寄せられたことしのクマの目撃情報は204件(8月27日時点)となっていて、その多くが金沢市の医王山や、白山のふもとの白山市、能美市、小松市となっている。懸念されるのはこの秋だ。同課がクマの餌となる植物3種(ブナ、ミズナラ、コナラ)の雄花の落下数を調査した結果、クマの主要な餌であるブナは22地点のうち20地点で大凶作、2地点で凶作となり、今秋は全体で大凶作が予想されると判断した。これまでのデータで、ブナが大凶作だった2020年にはクマの目撃件数は869件となり、県内の人身被害は15人に上った。同課では、6月27日にツキノワグマに対する「出没注意情報」を出して警戒を広く呼びかけている。(※イラストは、石川県公式サイト「ツキノワグマによる人身被害防止のために」から)

エサ不足のクマが人里に下りてきて、ペットフードや生ごみなどをあさるケースも増えている。最近では「アーバンベア(都市型クマ)」と呼ばれ、市街地周辺で暮らし、街中に出没するクマもいる。改正鳥獣保護管理法では、クマが市街地に出没し、建物内に立てこもったり、木の上に登ったりするなど膠着状態が続いた場合、それぞれの自治体の判断でハンターの銃猟が可能性になった。ただ、ハンターにとっては重圧ではないだろうか。

これまでハンターは森の中での銃猟だった。ところが、市街地となると銃弾がコンクリートなどで跳ね返りどこに飛んでいくか行くか分からない。このため、ハンターに銃猟を依頼する自治体は住民退避の誘導や交通規制などに当たる。また、銃弾が民家の壁面に当たり損傷が発生するなどしたケースでは自治体が補償することになる。

市街地でのクマの駆除が新たなステージに入った。同時に懸念するのは、人々がいわゆる里山と呼ぶ中山間地そのものに危険を感じて入らなくなったことだ。キノコや山菜を白山のふもとで採っていた人たちが能登で採ることが増えている。人が山に入らなければ、クマの領域を増やすことになる。むしろ生い茂った里山の木を伐採して活用、苗木を植えるという循環を図らなければ、クマのエリアが広がり、頭数がさらに増えることになる。クマ問題は根深い。

⇒1日(月)午前・金沢の天気  はれ

★金沢に雷鳴とどろく 1時間に61㍉の激しい雨、避難指示も

★金沢に雷鳴とどろく 1時間に61㍉の激しい雨、避難指示も

雷鳴とともに激しい雨が降って来た。午前10時ごろだった。ヤバイと思い、すぐにパソコンの電源ケーブルを抜いた。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合でも「雷サージ」と呼ばれる現象が広範囲に起きる。いわゆる電気の津波のこと。この雷サージがパソコンの電源ケーブルから機器内に侵入した場合、データなどが一瞬にして破壊される。「雷が鳴ったら電源抜き」は自身の反射的な行動パターンになっている。何しろ金沢はカミナリ銀座だ。雷日数の平年値(1991-2020年)で、年間の雷日数が全国でもっとも多いは金沢の45.1日なので、心がけている。

ウエザーニュースによると、金沢市では午前中の1時間で61.5㍉の非常に激しい雨が観測されたようだ。10時53分に金沢市を対象に大雨警報が発表され、局地的に非常に激しい雨となっている。きょうは小中学校の児童・生徒たちの登校日だった。自宅前は通学路なので、雷雨の中を帰宅する子どもたちの声が聞こえる。稲光がするたびに、「コワイッ」「アブナイッ」と叫び声が上っていた。確かに、雷雨の中で傘を差して歩いているので、傘に雷が落ちてくるかもしれないと思っただけでこれほど怖いことはないかもしれない。(※写真は、金沢市内の上空を覆った雨雲=27日午前10時半ごろ、自宅2階から撮影)

予報によると、夕方にかけて、落雷や竜巻などの激しい突風、急な強い雨となる所があり、金沢地方気象台では安全確保に努めるよう呼びかけている。大雨警報にともない、金沢市は正午に市内9地区、2万7520世帯・6万3730人に避難指示を出した。この地域周辺を流れる金腐川の一部では午前11時50分ごろ氾濫危険水位を超えている。

それにしても雷は鳴り止まない。午後0時35分ごろ、落雷の強烈な音がした。金沢の山手だ。いまのところ火の手など上がってはいない。ようやく雷雨が落ち着いてきて、パソコンに電源ケーブルを入れたのは午後1時ごろだった。また、金沢市が出していた河川の氾濫の危険性による避難指示は午後2時に解除された。

⇒27日(水)午後・金沢の天気  あめ