☆続・夏安居の「どぶろく」
きょう(24日)日中の気温は33度、昨日に比べ2度下がった。空に雲が時折かかり、それが猛暑を和らげてくれている。雲がこれほど有難いと思ったことはない。前回のブログで「どぶろく」を話題を取り上げたが、読んだ東京の知人からさっそくメールが入っていた。「田の神さまのコラーゲンたっぷりの顔だちってどんなものか。画像を見せてほしい」と。
話は繰り返しになるが、尾関健二氏(金沢工業大学バイオ・化学部教授)のどぶろくに関する講演をブログで紹介した。日本酒の旨味成分であるタンパク質「α-エチル-D-グルコシド(α-EG)」が含まれ、皮膚の真皮層のコラーゲン密度が増加する作用がある。また、甘酒には消化器官内で消化と吸収がされにくい、難消化性のタンパク質「プロラミン」が含まれ、食物繊維のような物質として機能す
るため、コレステロールの排出促進や便秘改善、肥満抑制の作用がある。どぶろくには日本酒と甘酒の2つの効果が兼ね備わっていると興味深い講演だった。
この講演を聞いて真っ先にイメージしたのが、能登町柳田植物公園にある古民家「合鹿庵」の掛け軸に描かれている、農耕儀礼あえのこと神事(2009年ユネスコ無形文化遺産登録)の「田の神さま」だった。田の神さまは甘酒(どぶろく)が好みとの言い伝えがあり、神事には甘酒が供えられる。掛け軸の田の神さまはもちろん想像図なのだが、ふっくらツヤツヤした顔だちが印象的だ。そこで「コラーゲンたっぷりの顔だち」と書いた。
田の神さまには別の言い伝えもある。田の神さまは各農家の田んぼに宿る神であり、それぞれの農家によって田の神さまにまつわる言い伝えが異なる。共通しているのが、目が不自由なことだ。働き過ぎで眼精疲労がたたって失明した、あるいは稲穂でうっかり目を突いてしまったと諸説ある。目が不自由であるがゆえに、それぞれの農家の人たちは丁寧に接する。座敷に案内する際にも介添えをし、前に供えた料理を一つ一つ口頭で説明する。「もてなし」を演じる家の主(あるじ)たちは、自らが目を不自由だと想定し、どうすれば田の神さまに満足していただけるのだろうかとイマジネーションを膨らませる。
ある農家の主はこんなことを話していたのを思い出した。「もっとおいしい甘酒を差し上げたいのだが」と。現在は「甘酒」を供しているが、明治ごろまでは各家庭で造っていた「どぶろく」を供していたそうだ。ところが、明治政府は国家財源の一つとして酒造税を定め、日清や日露といった戦争のたびに増税を繰り返し、並行してどぶろくの自家醸造を禁止した。これがきっかけで家庭におけるどぶろく文化は廃れていった。
これは思い付きだが、「どぶろく特区」(中能登町)で製造されたどぶろくを能登町のあえのこと農家に持参してはどうか。田の神さまは「どぶろく飲むのは久しぶりじゃ」と喜んでくださるのではないか、と。
⇒24日(火)午後・金沢の天気 はれ時々くもり


「保存が効くマデイラワインは大航海時代に重宝され、旅するワインとも言われたようです」とマスターは歴史の話を持ち出した。15世紀ごろからポルトガル、スペイン、イギリスなどからアフリカ、アジア、そしてアメリカ大陸への航海が始まる。保存性が良い酒精強化ワインは大航海の必需品となった。マデイラワインをもっとも有名にしたのは1776年、後に大統領となるトーマス・ジェファーソンが起草したアメリカ独立宣言が大陸会議で承認され、祝った酒がマデイラワインだったとの伝説だ。
それにしても「三八(さんぱち)豪雪」(昭和38年、1963年)を思わせる降り方だ。きょう13日の夕方で能登半島の先端・珠洲市で69㌢、金沢で57㌢の積雪となっている。正直、自宅前の「雪すかし」の作業はきりがない。どんどん積もって来る。交通機関にも影響が出ていて、JR北陸線では午後6時現在、特急列車24本と普通列車29本が運休したほか、小松空港発着の便でも合わせて34便が欠航となっている。
近畿大学の新年広告について大学の職場で話題になったのは昨年1月のこと。「これは、自虐ネタですよ」。先輩教授が3日付の全国紙の広告を見て笑った。『早慶近』の特大文字とマグロの頭の写真が掲載された全面カラーの広告だった。読者が普通に読めば、「早稲田、慶応、そして近大」。これまでは「早慶上智」だったが、最近は上智にとって代わって近大が早稲田、慶応と並んだ、と言いたいのだろうと解釈した。ところが最後に下段の右隅で「早慶近」の意味を披露している。「みなさまに早々に慶びが近づきますように」。この広告の練り方は深い、と印象に残ったものだ。
「小池にハマって さぁ大変! 化かされた後始末も大変です」と賀状を送ってくれたのは東京に住む出版社の友人。世論調査(12月、産経・FNN合同調査)では、小池東京都知事の支持率が19.0%で過去最低を記録。衆院解散前の9月には66.4%に達していた高支持率はもはや崩れ落ちている。小池氏が国政よりも都知事の仕事を優先すべきなのに、先の総選挙で希望の党を立ち上げ、「排除」発言で墓穴を掘ってしまった。都民とすれば信頼できなくなったのだろう。「夢もチボーもない」(©東京ぽん太)年になりそうです!? と結んでいる。切れ味の鋭いユーモア。
警察庁が平成28年7月にまとめた「犯罪情勢」によると、過去10年の殺人事件の認知件数は平成17年が1338件で以降が減少傾向にあり、同27年は戦後最少の933件だった。件数は戦後最少に減っているのに、マスメディア(新聞やテレビなど)やインターネットでは殺人事件ばかりが目立つ。
これは大雪になるぞ、と予感していたが、きょう(17日)北陸は大雪に見舞われた。午前、「のと里山海道」を車で走行したときに、路面が完全に雪に覆われていた。海岸沿いの道路なのだが、対馬暖流の影響でめったに雪は積もらない。点々と4台の乗用車がスリップ事故などを起こしていた。深夜から降り始め、金沢周辺で正午現在で30㌢だ。商店街の街路樹も樹氷と化していた=写真、車内から撮影=。
午前9時、能登空港に集合し乗り合いで山林に入った。アテ(能登ヒバ)とスギの50-60年の人工林だ。ハーベスター=写真=が機敏に動いている。立木の伐倒、枝払い、玉切りなど造材を担うのはハーベスターヘッド。枝払いなどは1秒で5㍍もアッという間に。ディーゼルエンジンに直結した発電機で発電し、発電機から得る電力でモーターを駆動させる。燃料のこと気になって、休憩に入った操縦士に質問すると。1回の給油(軽油)で160㍑、2日でなくなるので1日当たり80㍑の計算だ。現地を案内してくれた能登の林業者は「道づくりは山づくりなんです。道づくりによって、山の資産価値も高まるんです」と。なるほど、その道づくり(森林作業道)も別の重機でこなしていく。山にマシーンは欠かせない。