☆花束を投げる、柔道家を投げる 絶妙に風刺を込めたバンクシー作品
アメリカのトランプ大統領が「解放の日(Liberation day)」と称して今月2日に世界各国からの輸入品に対して「相互関税」をかけると公表して以来、金融市場が荒れている。週明けのきょう7日も東証日経平均で2900円超下げで一時3万1000円を割り込んだ。メディア各社の報道によると、アメリカの相互関税に対して、中国もアメリカからのすべての輸入品に34%の追加関税をかけると発表していて、関税の応酬が世界経済の急激な減速につながるのではないかとの警戒感が市場関係者に広がっているようだ。
「弱気相場」に陥るのは2020年3月以来ではないだろうか。当時、新型コロナウイルスのパンデミックによる景気後退の懸念が広がった。ニューヨークの
株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に売買を停止する「サーキットブレーカー(Circuit Breaker)」が何度か作動し、3月23日にはダウが1万8591㌦にまで下がり、東京株式も3月19日に1万6552円にまで下落した。今回の「トランプ関税」がもたらす不安定な値動きはいつまで続くのか。
先日(5日)金沢のデパートで開催されている「バンクシー新作版画展」の鑑賞に行ってきた。バンクシーは公共空間にスプレーと型紙で作品を描き去るストリートアーティストで知られ、正体が謎に包まれていることから、「覆面のパロディ画家」とも称されている。展示会場に入ると、主催者(「サロン・ド・ヴェール株式会社」)のスタッフから声をかけられ、何点かの作品の解説をいただいた。
チラシに掲載されている作品「FLOWER THROWER」=写真・上=は、野球帽を反対に被り、バンダナで顔を隠した男が花束を投げる様子が描かれている。2003年にパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が建設された時に、反対する暴徒が火炎瓶を投げる描写がモチーフとされる。それをバンクシーは花束を投げるという描写に仕立てた。そのことによって、火炎瓶(暴力)
よりも、花束(愛)を投げて戦えというポジティブなメッセージを作品に込めた、との解説だった。
もう一つ、これは面白いと思ったは作品「JUDO」=写真・下、チラシより=。柔道少年が大人の柔道家を投げるシーンが描かれている。2022年11月にウクライナの首都キーウ近郊にある街で発見された作品という。同年2月に始まったウクライナ侵攻でロシアは世界から批判にさらされることになる。プーチン大統領は柔道家としても知られる。少年がウクライナで大人の柔道家がロシアと見立てると、この絵は「ロシアに負けるな」というウクライナに対する応援メッセージが読み取れる。
バンクシーは大量生産や消費社会、そして時事性のある事柄を風刺してきたアーティストだ。そのバンクシー作品を堪能させてもらった。今月13日まで金沢エムザで。
⇒7日(月)午後・金沢の天気 はれ
千秋楽はじつにドラマチックな勝利だった。結びの一番で大関・琴櫻と対戦。11勝3敗の大の里は、土俵中央で琴櫻に激しくぶつかり、そのまま土俵際まで追い込んで寄り切りで勝ち。そして、12勝3敗で並んだ前頭4枚目の高安との優勝決定戦に。大の里は、高安にまわしを取られて重心を崩されたものの、立てなおして送り出しで勝った。3場所ぶり3回目の賜杯を手にした。
が並べられている=写真=。能登町の「花の力」プロジェクト実行員会のメンバーの話によると、1ヵ月ほど前から石川県立大学(野々市市)の温室に持ち込み、研究者の協力で開花時期を調整し、満開の状態できのう18日に展示した。
開業10年を迎えた金沢駅前もてなしドームに行くとこれまでにない光景が目を引いた。能登の祭りのキリコだ=写真=。高さ6㍍ほどのキリコで、説明書きには「珠洲市上戸町のキリコ」と紹介されている。上戸のキリコは毎年8月の第一土曜日の地域の祭りに担ぎ出され、鉦や太鼓の響きとともに街中を練り歩く。今回のお披露目は、金沢開業10年のイベントが行われる15日に合わせて、金沢市の呼びかけで珠洲市から出張してきたようだ。それにしてもドームとキリコは風景として悪くない。そして、石川県民はキリコを見ると能登をイメージするので、能登半島地震を忘れてほしくないというメッセージが込められているのかとも思った。
称しているようだ。結ぶ作業は、木の横にモウソウ竹の芯(しん)柱を立て、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。解く作業は、枝に結んだ縄の部分をハサミで切って取り除く=写真=。低い場所の縄の結びは地面から切り落とし、高い枝の縄の結びはハシゴを登り切り落とす。最後に竹の柱を外す。
メールマガジンの中では理路整然と酷評するとのイメージがある大前氏だが、被災者の気持ちに寄り添ったこの記事内容に別の一面を見た思いだった。その大前氏が創業した教育関連企業「Aoba-BBT」が金沢市のミッション系スクールとして知られる北陸学院と業務提携を結ぶことになったと、地元メディア各社が報じている。大前氏は1998年に株式会社「ビジネス・ブレークスルー」を設立し、インターネットを介して学ぶオンライン大学やインターナショナルスクール、社会人向けのリスキリング(学び直し)スクールを運営。2023年10月に社名を「Aoba-BBT」として、これまでの社会人向けの実践的マネジメント教育に加え、幼児教育から高等学校課程までの国際教育を加えた。
経験豊富なAoba-BBTと業務提携を結ぶことになった。IBを通じて世界を学ぶと同時に、カリキュラムを取得すると海外の大学の入学資格になるメリットもある。
た。外の寒気と総湯の湯の温度差から血圧が上昇・降下して、心筋梗塞などが発生したのかもしれない。10数年ほど前、学生たちと「能登スタディツアー」で訪れたのがきっかけで、以降何度かお会いした。前向きな発想をする人で、能登地震で被災した自らの旅館の再建を進めるかたわら、能登の震災復興プロジェクトのリーダーとして旗振り役を担う、存在感のある人だった。冥福を祈る。
話は変わる。環境省はきのうトキ野生復帰検討会を開催し、国の特別天然記念物のトキの放鳥を2026年度上半期をめどに能登地域で行うことを決めた(14日付・環境省公式サイト「報道発表資料」)。本州でのトキの放鳥は初めてとなる。環境省は本州における「トキと共生する里地づくり取組地域」にを目指す自治体を2022年度に公募し、能登と島根県出雲市の2地域を選定していた。今回のトキ野生復帰検討会で能登が野生復帰をするに足るだけの自然的、社会的環境と地域体制が着実に整備されていると認め、来年度の放鳥が正式に決まった。(※写真は、輪島市三井町洲衛の空を舞うトキ=1957年、岩田秀男氏撮影)
今回新しくなった大の里のパネル=写真・上=と、これまでのパネル=写真・下、去年7月撮影=を比べてみる。大きく2点が異なる。一つは髪型の大銀杏の姿だ。これまでのパネルはざんばら髪だった。2023年12月に展示され、同じ年の秋場所で十両に昇進したときのものだ。2024年の夏場所からはちょんまげで土俵に上がり、同年の秋場所で2回目の優勝を果たして大関昇進を決めた。以降も髪型は変わらず、「ちょんまげ大関」と呼ばれていた。史上最速と称されたスピード出世に髪の伸びが追いつかなかったのかもしれない。大銀杏の姿を披露したのはことし1月の初場所だった。
前のパネルと異なるもう一つが化粧まわし。これまでのものは青色を基調としたもので、ロゴには「上を目指す」「一番を」などの意味が込められていた。今回のパネルでは、墨絵で描かれたような龍の図柄だ。所属する二所ノ関部屋のX(旧ツイッター)によると、足立美術館に所蔵されている作品で横山大観の『龍興而致雲』(りゅうおこりてくもいたす)。「龍は雲を得て天を目指す」という意味で、乱雲と雷鳴の中でごつごつとした岩肌にもめげず激しい動きを見せる龍の気迫が表現されている作品という。確かに、並んでいる遠藤、輝、欧勝海と比べても、大の里の体は大きく、龍のような力強さを感じさせる。ちなみに大の里の身長は192㌢、体重185㌔だ。大銀杏と化粧まわしで生まれ変わったような力士の姿ではある。
時を超えるダイナミックなストーリーだ。主人公の能太(のうた)は不登校がちで頭を金髪に染めた14歳の男子中学生。教室で、今晩はキリコ祭りを見に行こうと話しているうちに気を失って、江戸時代の能登にタイムスリップする。170年余りの時を超えて能登のキリコ祭りで出会ったのが、大飯食らいで江戸に出て横綱になった阿武松緑之介。最初は、飯ばかり食べて相撲が上達しなかったため、親方から「お前は能登に帰れ」と言われ帰途に就く。が、「このままでは死んでも死にきれない」と一念発起して江戸に戻り、ひたすら稽古に励み、「天下に敵なし」と言われた横綱となる。花相撲で故郷に錦を飾った阿武松からそんな話を聞かされる。