⇒トピック往来

☆コウノトリとトキの共生、能登で描くあるべき自然の姿

☆コウノトリとトキの共生、能登で描くあるべき自然の姿

能登でコウノトリとトキは共生できるのか・・・。きょう金沢市にある石川県立図書館で開催された生物多様性を考える集いで話題になったテーマの一つだった。能登半島では志賀町の山中のほか、金沢市に隣接する津幡町の平野でもコウノトリのヒナが誕生。また、奥能登の珠洲市と穴水町でも営巣が新たに確認されている。「コウノトリが住み着くと幸福が訪れる」「コウノトリが赤ん坊を運んでくる」との伝承がヨーロッパにあるように、コウノトリが能登ににぎわいもたらすのではないかと話が弾んだ。

そして、環境省は来年2026年6月にも能登で放鳥を行うことをすでに決めている。具体的な放鳥の場所についてはことし7月ごろまでに決定し、1度に15から20羽ほどを複数年にわたって放鳥する計画のようだ。トキもコウノトリも国の特別天然記念物であり、全国的に注目される「国鳥の聖地」になるかもしれない。(※写真・上は、能登の電柱で営巣するコウノトリ=今月3日撮影)

トキもコウノトリもエサとしているのが、カエルやドジョウ、メダカなどだ。そこで出た話が、エサをめぐって鳥同士が争いをしないだろうか、という点。これについて鳥類の研究者の話。かつて、佐渡を訪れたとき、トキのエサ場にコウノトリ1羽が舞い降りた様子を観察したことがある。トキは数羽いたが、コウノトリがエサをついばんでも威嚇することもなく、「知らんぷりという様子だった」。しばらくして、コウノトリは飛び立っていった。

コウノトリの研究者の話。コウノトリ同士がエサをめぐって威嚇する様子をこれまで見たことがあるが、コウノトリがほかの鳥にちょっかいをかけたりすることは見たことがない、と。カラスがコウノトリを威嚇することもある、との話だった。(※写真・下は、輪島市三井町洲衛の空を舞うトキ=1957年、岩田秀男氏撮影)

2人の研究者の話として、「コウノトリやトキに限らず、動物を野生復帰、そして定着させる際には、自然状態で十分なエサを捕ることができる環境が大切。エサをめぐって鳥同士がたとえ争っても、人が関わらないことが大切では」とのことだった。

⇒16日(金)夜・金沢の天気  くもり

☆「トキが来る田んぼに」 千枚田レジリエンスの田植え250枚 

☆「トキが来る田んぼに」 千枚田レジリエンスの田植え250枚 

去年元日の能登半島地震、そして9月の「記録的な大雨」の被害を受けた輪島市の白米千枚田で田植えが行われている。きょう現地を見に行った。地元の人たちと棚田のオーナー、そして支援ボランティアの50人ほどが裸足で田んぼに入り、苗を植えていた=写真=。

白米千枚田は4㌶の斜面に1004枚の棚田が広がり、2001年に文化庁の「国指定文化財名勝」に指定され、2011年に国連食糧農業機関(FAO)から認定された世界農業遺産「能登の里山里海」のシンボル的な存在だ。それが、去年の地震で8割の田んぼにひび割れなどの被害が出た。地元や棚田のオーナー、ボランティアの人たちが懸命に修復作業を行い、去年は120枚で田植えを行った。ところが、120枚の稲刈りを終えた9月21日に48時間で498㍉という「記録的な大雨」に見舞われ、棚田に土砂が流れ込むなどの被害が出た。これも3者で土砂の除去作業などが行い、ことしは250枚で田植えを行うとのこと(白米千枚田景勝保存協議会)。

現地で見学していると、地元の人が転枠(ころがしわく)を田んぼで回し、その後に棚田のオーナーやボランティアが苗を植えていた。近くの駐車場で停めてあった車のナンバーを見ると、「金沢」を始め「世田谷」などがあり、全国から集まっているようだ。一人から話を聞くと、「トキが来てくれるといいなと思っています」と。来年6月に環境省が能登でトキを放鳥することを意識して、千枚田にトキのエサとなるドジョウやメダカなどが繁殖するように、ことしは無農薬で有機肥料を使って田植えを行っているという。

2重災害にめげず、さらにトキが訪れる田んぼを目指して田植えをしている。千枚田を耕す人びとのモチベーションの高さには敬服する。6月に草を取り、9月に稲刈りを行う。

⇒11日(日)夜・金沢の天気  くもり

★トキとコウノトリが運ぶもの 能登復興のささやかな願い

★トキとコウノトリが運ぶもの 能登復興のささやかな願い

国の特別天然記念物のコウノトリの日本の北端の営巣地といわれる能登半島の志賀町富来に先日(今月3日)行ってきた。前回見に行ったのは4月18日だったので2週間ぶりだった。電柱の巣に親鳥1羽のほかにヒナの姿が2羽見えた=写真=。前回のときはヒナがいるようには見えなかったので、その後に孵(ふ)化したのだろうか。地元の人も見に来ていたので話を聞くと、ヒナは全部で4羽いるとのことだった。コウノトリには一度営巣した場所で毎年子育てをする習性があり、この巣でのヒナの誕生は4年連続となる。

このところ石川県内でコウノトリの営巣が増えている。地元メディアの報道によると、志賀町のほかに金沢市に隣接する津幡町でも3年連続でヒナが誕生。また、奥能登の珠洲市と穴水町でもこの4月に営巣が新たに確認されている。「コウノトリが住み着くと幸福が訪れる」「コウノトリが赤ん坊を運んでくる」との伝承がヨーロッパにある。能登から巣立ったコウノトリが伴侶をともなって再び戻って定着すれば、繁殖地としての能登もにぎやかになるのではと夢を膨らませてしまう。

もう一つ膨らませる夢が、能登がコウノトリとトキの繁殖地になってほしいとの期待だ。トキも国の特別天然記念物であり、環境省は2026年6月にも能登で放鳥を行うことをすでに決めている。具体的な放鳥の場所についてはことし7月ごろまでに決定し、1度に15から20羽ほどを複数年にわたって放鳥するようだ。

これは自身が子どものころ、親戚の能登の爺さんから聴いた話だ。トキとコウノトリは兄弟のような鳥で仲がいい。コウノトリが兄貴分で、トキが弟分のような関係だと教えてくれたことを覚えている。以下は鳥の専門家でもない素人の思い付き。兄貴分はすでに能登で営巣しているので、弟分もこれを習うのではないか。なので、コウノトリの営巣地の付近でトキを放鳥してはどうか。志賀町の営巣地の周辺地には、カエルやドジョウ、メダカ、たくさんの虫たちがいて、同町ではトキ放鳥の受け入れ候補地として、県に申請している。

トキとコウノトリが舞う能登、そんな夢のような光景を見る日がやって来るのを楽しみにしている。

⇒7日(水)夜・金沢の天気    はれ

★人とクマの境界ぼやけ 石川県が「警戒準備情報」を発令

★人とクマの境界ぼやけ 石川県が「警戒準備情報」を発令

冬ごもりから目覚めたツキノワグマが活発に動き始める季節に入った。石川県自然環境課は春から夏にかけて親離れした若グマの出没や、エサとなるブナが今秋は凶作と予想されることから出没の可能性が高いとして、「出没警戒準備情報」を発令した(今月24日)。県内ではブナの大凶作でクマが大量出没した2020年に目撃情報が869件、人身被害が15人にも上った。ことしはこれに準ずる危険性が予想されることから、警戒を呼びかけた。警戒準備情報の発令は2年連続となる。人身事故が発生した場合、県では「警戒情報」に切り替えて警備をさらに強化する。

クマの出没は始まっている。小松市役所の公式サイトによると、ことし4月に入ってクマ出没情報がすでに3件(7日・11日・13日)寄せられていて、サイトでは「鈴やラジオなどの音のなるものを身につけ人間の存在をクマに教えてください」や「暗くなるとクマは人を恐れなくなり、エサ探しに夢中になって、人間の接近に気づかなくなります。事故をさけるために、夕暮れには山をおりましょう」と注意を呼びかけている。

エサ不足のクマが人里に下りてきて、ペットフードや生ごみなどをあさる。最近では「アーバンベア(都市型クマ)」と呼ばれていて、市街地周辺で暮らし、街中に出没するクマも増えているようだ。県内でのクマの出没は白山ろくの加賀地方に多いが、最近では行動範囲を広げて、能登地方でも出没事例が多くなっている。(※イラストは、石川県公式サイト「ツキノワグマによる人身被害防止のために」から)

クマの市街地での出没や人身事故は石川県だけでなく全国的な問題となっている。このため国は今月18日、クマやイノシシが市街地に出没し、建物内に立てこもったり、木の上に登ったりするなど膠着状態が続いた場合、市町村の判断で発砲できるようにする「改正鳥獣保護管理法」を成立させた。6ヵ月以内に施行される。

日本は狭い国土の中で3分の2が山林で、これまで人とクマは隣り合って生きてきた。その境界が人の山林放棄やアーバンベアの出現でなくなりつつり、人とクマとの軋轢は今後ますます大きな問題になってくるだろう。改正鳥獣保護管理法だけでは済まないステージに入ってきたのではないだろうか。

⇒26日(土)夜・金沢の天気 くもり

☆見納め桜と、祭りの季節告げる曳山巡行を能登で堪能

☆見納め桜と、祭りの季節告げる曳山巡行を能登で堪能

能登半島の尖端、奥能登に春の訪れを告げる能登町宇出津(うしつ)地区の「曳山祭」を見学に行ってきた。毎年4月の第3土曜日と日曜日に催され、ことしは19日と20日に曳山が街を練り歩いた。金沢から車で出かけ、自動車専用道路「のと里山海道」を走行し、のと里山空港ICで県道「珠洲道路」に乗り換え、能登町に行く。

途中、道の駅「桜峠」がある。桜峠の名称通り、道路の左右に桜並木が並び、満開の時季を迎えていた=写真・上=。この周辺では2㌔にわたって春は桜、夏(6-9月)にはサルビアの真っ赤な花が沿道両サイドを飾り、ドライバーの目を楽しませてくれる「能登のフラワーロード」でもある。

夕方午後5時ごろに同町宇出津地区に到着。チョーサ、チョーサと先導する掛け声とともに、人形で飾り立てた2基の曳山(高さ6㍍、全長8㍍)が街中を練っていた=写真・下=。宇出津の酒垂神社、白山神社の両社の春祭りで、そろいの法被を着た大勢の老若男女が威勢よく綱を引いていた。去年の曳山祭は元日の地震で道路が歪むなどの損傷が出たため、曳山が街を練ることができなかった。ことしは2年ぶりの巡行となる。

沿道で見学していて、「お見事」と感じたのは、交差点や狭い路地で山車の方向を一気に転換する辻廻しだ。470年の歴史があるとされる祭りだけに、木遣り(きやり)歌と引手の呼吸の合った動作はさすがだと感服した。能登で耳にする言葉がある。「盆や正月に帰らんでいい、祭りの日には帰って来いよ」、「1年365日は祭りの日のためにある」。能登の祭りは地区や集落、町内会での単位が多く、それだけ人々が祭りに関わる密度が濃い。祭りの伝統は絶やさない。能登の人たちの意地をこの言葉から感じる。

能登半島では5月4、5日に七尾市で高さ12㍍、直径2㍍の車輪の「でか山」(山車)が街を練る「青柏祭」が、そして7月4、5日には能登町宇出津で40本余りのキリコが勇壮に街を練る「あばれ祭り」が催されるなど、能登の祭りはこれから本番を迎える。曳山祭は能登の祭りのシーズンの幕開けを告げるファンファーレなのかもしれない。

⇒20日(日)夜・金沢の天気 くもり時々あめ

☆インバウンド観光客が「サムライ寺」で剣道や太鼓を体験 金沢に新たなスポット

☆インバウンド観光客が「サムライ寺」で剣道や太鼓を体験 金沢に新たなスポット

ふと思ったことだが、トランプ大統領に大阪・関西万博に来てもらうよう、石破総理は誘ったらどうだろうか。アメリカのパビリオンは、「宇宙探査」を体験することができることが目玉で、「月の石」が人気で行列ができているとメディア各社が報じている。月の石は1970年の大阪万博でも人気だった。石は同じものではない。前回の万博で展示された石はアポロ12号(1969年)の宇宙飛行士が持ち帰ったもの。今回の万博の石はアポロ計画の最後の有人月面着陸が行われたアポロ17号(1972年)が持ち帰ったもの。55年を経たいまも月の石は輝きを放ち、人々の関心を誘っている。トランプ氏にはぜひ万博を訪れ、アメリカの偉業を語ってほしいものだ。相互関税ではなく、月の石をテーマに。

話は変わる。きょう午前、金沢市の妙立寺(通称「忍者寺」)の前を通ると、エイ、ヤーッと声が聞こえた。忍者寺の向かいにある承証寺という寺の境内でインバウンド観光客の数人が竹刀を振り上げ降ろして剣道を体験していた。寺の前にポスターがあり、「Morning activities at the temple! Kendo Practice Experience」と書いてある=写真・上=。インバウンド向けの剣道体験のようだ。夕方の体験ブログラムもあり、「Japanese Drum」(和太鼓)や「Matcha green tea」(抹茶)、「Listening to incence」(聞香)などのメニューがあるようだ。金沢ではこのほかに兼六園近くの弓道場で、弓道や合気道の個人向け体験ツアーも実施されている。

金沢城や武家屋敷などの観光名所から、金沢は「サムライ」のイメージがインバウンドの観光客には印象に残る。そして、俳優の真田広之氏主演の映画『SHOGUN 将軍』 がゴールデン・グローブ賞など獲得していて、サムライ文化を求めるニーズが金沢で高まっているのだろう。

それにしても、忍者寺の前にサムライ寺があるとは、インバウンド観光にとっては絶好のロケーションではないだろうか。

⇒17日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪万博で鼓動する「心筋細胞シート」

☆「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪万博で鼓動する「心筋細胞シート」

バンパクという言葉を初めて聞いたのは15歳のころ。当時、歌手の三波春夫がテレビで歌っていた、あの歌はいまでも覚えている。「こんにちは こんにちは 世界のひとが こんにちは こんにちは さくらの国で 1970年のこんにちは こんにちは こんにちは 握手をしよう」。あれから半世紀余り、55年が経つ。

きのう(12日)大阪・関西万博の開会式が催され、NHKで視聴していた。今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。歌舞伎役者の尾上菊之助の出演など伝統芸能を織り交ぜたステージの演出は、まさに過去から現在をつないで未来を創造するというコンセプトなのだろう。(※写真は、大阪・関西万博の開会式の模様=NHK中継番組から)

今回の万博は10月13日までの半年間。日程はまだ決めていないが、ぜひ見学に行きたいと思っている。その目的はAIやロボットではなく、「心筋細胞シート」が動いている様子を見るために。メディア各社の報道によると、この心筋細胞シートは大阪ヘルスケアパビリオンで展示されている。iPS細胞(人工多能性幹細胞)でつくられた心筋細胞をシート状にしたもので、大きさは5㌢ほどで、1分間に約50回ほどびくびくと鼓動するように動いているという。

この心筋細胞シートの開発を手掛けたのは、大阪大学の澤芳樹特任教授を中心とするベンチャー企業。このシートを心筋梗塞や狭心症などが原因で心臓の筋肉がうまく機能しなくなった「虚血性心筋症」の患者の心臓に貼り付けることで、心臓の機能が回復することが期待されている。これまで8人の患者にシートを移植する臨床試験を行い、いずれも経過は良好だという。 澤教授らのベンチャー企業は今月8日、心筋細胞シートについて厚労省に製造・販売の承認申請を行ったと発表している (4月10日付・TBSニュースweb版)。

iPS細胞は「万能細胞」とも言われ、体をつくるあらゆる細胞に成長する能力を持つとされる。京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の作製に初めて成功し、2012年にノーベル医学生理学賞を受賞。これをきっかけにiPS細胞が広く知られるようになった。iPS細胞は再生医療への応用が期待されているだけに、心筋細胞シートは「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる大阪・関西万博のシンボルではないだろうか。

⇒13日(日)夜・金沢の天気    あめ

★踏めず歩めず、桜舞い散る花道 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」

★踏めず歩めず、桜舞い散る花道 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」

満開の桜が散り始めている。金沢市内の桜の並木道を行くと、花びらがひらひらと舞っていた。淡いピンクの花びらが積もり、桜の花道になっている=写真=。並木路を前に進もうとしたが、二の足を踏んだ。これまで楽しませてくれた花を靴で踏むことになんとなく躊躇したのと、ひらひらとはかなく散る姿が我が人生のようにも思えて、踏んで歩くことにためらいを感じた次第。踏めず歩めず、結局、回り道をした。

「世の中は三日見ぬ間の桜かな」は江戸時代の俳人・大島蓼太の句だが、桜は三日見ないと変わるように世の中も移り変わりが早いことのたとえとしてよく引用される。この1週間で世の中が大きく動いたことと言えば、「トランプ関税」ではないだろうか。

アメリカのトランプ政権による相互関税は、カナダとメキシコを除くほぼ全ての国・地域に適用する一律10%の基本税率と、そのうちアメリカの貿易赤字が大きい約60ヵ国・地域に適用する上乗せ税率で構成される。相互関税は日本時間の9日午後1時すぎに発動した。ところが、発動からわずか13時間で、トランプ大統領は相互関税上乗せ分を中国を除いて90日間停止すると発表した。ただし、一律10%の基本税率は実施される。発動した直後に急ブレーキ、この背景にいったい何が。

取り沙汰されているのが、株式や通貨に加えて安全資産とされたアメリカ国債まで売られる「トリプル安」が発生したこと(メディア各社の報道)。とくに米国債の売却が加速することはトランプ政権にとって予想外のことだった。そこで金融市場の動きをいったん落ち着かせる意味で、中国を除いて90日間停止の措置に出た。その後、さらに米中の報復関税が激化する。トランプ政権は10日、中国に対する相互関税の税率を84%から125%に引き上げた。中国からの合成麻薬の流入を理由に課している20%と合わせて、追加関税は累計145%になる。これに対し中国は11日、アメリカに対する追加関税を125%に引き上げるという報復措置を発表、きょう12日に発動させている。

相互関税について各国は今後、トランプ政権と個別交渉に入る。日本は今月17日、赤沢経済再生担当大臣がアメリカ側との直接交渉に出向く。トランプ大統領はアメリカにおける大量の輸入車について、日本を「最大の輸入元の国の一つ」と名指し、「日本にはアメリカ車がない」「日本はアメリカ車を受け入れない」とやり玉に挙げている(3月12日・ホワイトハウスで記者団に)。踏めず歩めずの厳しい交渉になるのだろうか。

⇒12日(土)午後・金沢の天気 はれ

☆桜かすみに浮かぶ金沢城  「能登さくら駅」満開トンネルを列車がくぐる

☆桜かすみに浮かぶ金沢城  「能登さくら駅」満開トンネルを列車がくぐる

これを「霞(かすみ)たなびく春」と言うのだろう。きょうの金沢は朝から市街地や野山の風景がぼんやりとかすんでいた。きのう訪れた金沢城石川門を車で再度向かう。すると、車のフロントガラスに微細な水分が付着する。昨夜は雷雨だったので、霞はその余韻なのだろうか。金沢城石川門に到着すると、満開のソメイヨシノと金沢城もかすんで見える=写真・上、午前8時ごろ撮影=。「桜霞(さくらかすみ)」という言葉がある。桜が霞のように見える風景のことを言うが、この風景はまさに霞と満開の桜が溶け込んで、お城が浮かんで見える。幻想的な水墨画のようなイメージだ。

この後、さらに満開桜を鑑賞するために能登に向かう。金沢の桜は散り始めだが、能登の桜はいまが満開の頃だ。2時間余りで目的地に到着した。半島の北・奥能登の穴水町にある「のと鉄道」能登鹿島駅。桜の観光名所で知られ、「能登さくら駅」の愛称で親しまれている。正確に数えたわけではないが、180人ほどが見学に来ていた。

無人駅のホームに入ると、線路を囲むようにソメイヨシノが咲いている。説明の看板を読むと、昭和7年(1932)に鉄道の開通を祝って桜が植えられた。それ以降も鉄道会社や地域の人たちが少しずつ植え、いまでは100本余りのソメイヨシノやシダレ桜が構内を彩っている。

列車が到着する信号音が聞こえた。午前10時40分、上下の列車2本が到着した。待ち構えていたアマチュアカメラマンたちが押し寄せ、撮影が始まった。それぞれのアングルで満開の桜のトンネルと列車を撮っている。桜のトンネルをくぐる列車のようで、じつに絵になる光景だ。

絵になるのは駅だけではない。海岸線がすぐ近くにあり、桜の並木の向こうに見える穴水湾の海も桜色に染まっているように見える。さらに向こうを眺めるとコバルトブルーの海と桜が絶妙な景色を醸し出す。天気にも恵まれ、能登の桜と海を楽しむことができた。

⇒11日(金)午後・金沢の天気 くもり

☆花束を投げる、柔道家を投げる 絶妙に風刺を込めたバンクシー作品

☆花束を投げる、柔道家を投げる 絶妙に風刺を込めたバンクシー作品

アメリカのトランプ大統領が「解放の日(Liberation day)」と称して今月2日に世界各国からの輸入品に対して「相互関税」をかけると公表して以来、金融市場が荒れている。週明けのきょう7日も東証日経平均で2900円超下げで一時3万1000円を割り込んだ。メディア各社の報道によると、アメリカの相互関税に対して、中国もアメリカからのすべての輸入品に34%の追加関税をかけると発表していて、関税の応酬が世界経済の急激な減速につながるのではないかとの警戒感が市場関係者に広がっているようだ。

「弱気相場」に陥るのは2020年3月以来ではないだろうか。当時、新型コロナウイルスのパンデミックによる景気後退の懸念が広がった。ニューヨークの株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に売買を停止する「サーキットブレーカー(Circuit Breaker)」が何度か作動し、3月23日にはダウが1万8591㌦にまで下がり、東京株式も3月19日に1万6552円にまで下落した。今回の「トランプ関税」がもたらす不安定な値動きはいつまで続くのか。

先日(5日)金沢のデパートで開催されている「バンクシー新作版画展」の鑑賞に行ってきた。バンクシーは公共空間にスプレーと型紙で作品を描き去るストリートアーティストで知られ、正体が謎に包まれていることから、「覆面のパロディ画家」とも称されている。展示会場に入ると、主催者(「サロン・ド・ヴェール株式会社」)のスタッフから声をかけられ、何点かの作品の解説をいただいた。

チラシに掲載されている作品「FLOWER THROWER」=写真・上=は、野球帽を反対に被り、バンダナで顔を隠した男が花束を投げる様子が描かれている。2003年にパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が建設された時に、反対する暴徒が火炎瓶を投げる描写がモチーフとされる。それをバンクシーは花束を投げるという描写に仕立てた。そのことによって、火炎瓶(暴力)よりも、花束(愛)を投げて戦えというポジティブなメッセージを作品に込めた、との解説だった。

もう一つ、これは面白いと思ったは作品「JUDO」=写真・下、チラシより=。柔道少年が大人の柔道家を投げるシーンが描かれている。2022年11月にウクライナの首都キーウ近郊にある街で発見された作品という。同年2月に始まったウクライナ侵攻でロシアは世界から批判にさらされることになる。プーチン大統領は柔道家としても知られる。少年がウクライナで大人の柔道家がロシアと見立てると、この絵は「ロシアに負けるな」というウクライナに対する応援メッセージが読み取れる。

バンクシーは大量生産や消費社会、そして時事性のある事柄を風刺してきたアーティストだ。そのバンクシー作品を堪能させてもらった。今月13日まで金沢エムザで。

⇒7日(月)午後・金沢の天気    はれ