⇒トピック往来

★クマ出没とキノコ狩りの因果関係

★クマ出没とキノコ狩りの因果関係

           きのう16日朝のブログでツキノワグマの出没が相次いでいて、ことしに入ってクマの目撃情報は357件(10月9日現在)とこれまで過去最高だった2010年の353件を上回ったと述べた。ブログを書いてからのニュースだが、石川県白山市できのう午後、クマに襲われ4人がケガを負う被害があった。

   きょうの新聞各紙=写真=によると、正午過ぎに95歳の男性がクマに顔面をひっかかれて畑で倒れていると近くの人が通報。自宅で襲われた63歳の女性は自ら119番通報。住宅納屋に逃げ込んだクマを網で捕獲しようと猟友会の57歳と72歳の男性が納屋に近づいたところ、クマが飛び出してきて2人がケガを負った。クマはその後、猟銃で駆除された。体長132㌔、体重100㌔のオスだった。16日は同市のほか、金沢市など7市町で11件の目撃や痕跡情報が県生活環境部に寄せられていた。

   クマは場所を選ばない。金沢市内ではいろいろなところに出没している。金沢の野田山は加賀藩の歴代藩主、前田家の墓がある由緒ある墓苑だ。市街地とも近い。お供え物の果物を狙って出没するのだ。だから、「お供え物は持ち帰ってください」との看板が随所にかかっている。クマは中心街でも出る。兼六園近くの金沢城公園で、たびたび出没していたことから、捕獲用のおりを仕掛けたところ体長1㍍のオスがかかったことがある(2014年9月)。周辺にはオフィスビルなどが立ち並ぶ。

   クマは柿が大好物だ。一度食べたら、また翌年も同じところに柿を食べにくる。知人から聞いた話だ。痩せたクマが市街地の民家の柿木に登って、無心に柿の実を食べていた。通報を受けたハンターが駆けつけたが、その無心に食べる姿を見て、「よほどお腹がすいていたのだろう」としばらく見守っていた。満足したのか、クマが木から下りてきたところをズドンと撃った。クマはたらふく食べることができてうれしかったのか、目に涙が潤んでいた。

    金沢や加賀地方を中心にクマがひんぱんに出没していることの余波が能登地方にも及んでる。キノコ採りのシーズンだが、クマとの遭遇を嫌って加賀地方の山々は敬遠されている。そこで、クマが少ない能登地方の山々へとキノコ採りの人々の流れが変わってきているのだ。

   本来、能登地方の人々にとっては迷惑な話なのだが、能登の人たちが目指しているキノコはマツタケや、コノミタケと地元で呼ぶ大きな房(ふさ)のホウキダケの仲間だ。ところが、金沢や加賀地方からやってくる人たちは、能登ではゾウゴケ(雑ゴケ)と呼ぶシバタケがお目当てだ。目指すものが異なるので、山でトラブルになったという話は余り聞かない。クマの話がキノコへと横に逸れた。

⇒17日(土)夜・金沢の天気    くもり

☆クマの飢え、馬の嘆き

☆クマの飢え、馬の嘆き

   このところツキノワグマの出没が相次いでいる。石川県庁は先月9月11日にクマの出没注意情報を発令して注意喚起をしたが、以降でもクマの出没が急増していることから、人身事故の危険性が高まっているとして今月8日には出没警戒情報を発令した=写真=。ことしに入ってクマの目撃情報は357件(10月9日現在)とこれまで過去最高だった2010年の353件を上回った。

   クマの出没による農作物の食い荒らしなど被害も多発している。今月14日に金沢市山間部の果樹園でリンゴが数十個食べられているのが見つかったほか、カキの実などがあちらこちらで荒らされている。同じ日にあわや人身事故になりかけたこともあった。14日午前8時ごろに、小松市の小学校で体長1㍍の成獣のクマ1頭が学校正門から侵入した。クマは校外へ逃げ去ったが、この日は屋外の授業を中止し、教職員が付き添って集団下校させた。小松市ではことしに入って目撃情報が105件もあり、すでにケガ人も出ている。今月7日には同市の住宅街で79歳の女性が朝、新聞を取るために家から出たところ目の前にいたクマに突然襲われた。

   県によると、ことしはクマの冬眠前の餌となる木の実のうち特にブナが大凶作になっていて、エサを求めて人里近くに出没しているようだ。県では、庭のクマはカキやクリを早く収穫するように、合わせて屋外に生ゴミを放置しないなどの対策を徹底するよう呼びかけている。冬眠前のクマの飢えと住宅地での徘徊、解決策はあるのだろうか。

   地元紙では、「金大馬術部 存続危機」との大見出しで記事が掲載されていた(10月15日付・北國新聞)。新型コロナウイルスの感染拡大で、多くのイベントなどが中止となったが、金沢大学馬術部では収入の道が絶たれたカタチで餌代の確保に苦戦しているという内容だった。県内では気多大社「おいで祭り」(3月・羽咋市)や「お旅まつり」(5月・小松市)といった祭事や伝統的な行事が各地で開催されるが、その折に神馬として馬術部の馬も出場してアルバイト代を稼いでいた。これが中止となった。

   同部では13頭を飼育していて、年間で餌代や装蹄などに400万円ほどかかる(同紙)。所属する学生たちもアルバイトで費用を捻出していたが、そのアルバイトも減少。また、部員もこれまで30人ほどいたが、コロナ禍でオンライン授業が主流となり、新入部員の勧誘すらままならない状態のようだ。コロナ禍での馬の嘆きが聞こえる。

⇒16日(金)朝・金沢の天気    はれ  

☆カニの季節へ「Go To」

☆カニの季節へ「Go To」

   あと1ヵ月もすればカニの季節だ。毎年のことながら、そわそわする。11月6日午前0時で日本海側でズワイガニ漁が解禁される。香箱(こうばこ)ガニと呼ばれるメスは12月29日まで、オスは来年3月20日までの漁期だ。北陸人は、初日は高値がするので買い控え、1週間ほどして値が落ち着いてきたことから初物を味わう。この時季、スーパーマーケットの魚介類の売り場に行くと、同じ思いの人たちが大勢いて、茹でガニのコーナーをじっとのぞき込む人々の姿が一つの風物詩のようでもある。

   先日、東京に住む知人が、「山手線の駅で北陸のカニの解禁がポスターが貼られているよ」とメールで画像を送ってくれた。かなり凝ったデザインだ。「本当は、こっちか会いに行きたいくらい。」とチャッチコピーで、ズワイガニが北陸新幹線に乗っかっている図柄=写真・上=。新幹線に乗って北陸にカニを食べに来てね、という単純なデザインなのだが、カニを新幹線に乗せるという発想が面白い。逆にもう一つの図柄は、パソコンとカニを組み合わせた意外性もあるが、「このおいしさは、オインラインじゃ伝わらない。」のキャッチコピーがむしろ心に響く=写真・下=。

   これらのポスターはひょっとして、東京のカニ愛好家の心を揺さぶり、コロナ禍で冷え込んだ経済対策として、政府が打ち出している「Go To Travel」とマッチするかもしれない。旅行会社のサイトをのぞくと、1泊5万円近くのカニのフルコース付プランなどが続々と出ている。 何度か宿泊したことのがある能登半島の和倉温泉の旅館のサイトをチェックすると、カニのフルコース付で1泊2名で8万3600円(税込9万1960円)だが、「Go To クーポン35%+ポイント5%で3万2595円引、地域共通クーポン1万2000円分も使えてさらに安く」とキャンペーンをはっている。このプランは人気なのだろう、来年1月いっぱいまで予約でほぼ埋まっている。

   「カニには地酒が合う」と言われる。能登のズイワガニには能登の地酒がマリアージュ(料理と酒の相性)と自身も勝手に思い込んでいる。ぴっちりと締まったカニの身には少々辛口が、カニ味噌(内臓)には風味のある地酒がしっくりなじむ。至福の季節が待ち遠しい。

⇒5日(月)午前・金沢の天気    あめ時々くもり

★輸出すれど食さず、欧米人の「マツタケ観」

★輸出すれど食さず、欧米人の「マツタケ観」

           金沢の気温はきょう36度もあった。南風のフェーン現象だろうと想像がつく。体温並み、うだる暑さの猛暑日だ。ただ、庭先に出てみると、コオロギの鳴き声が聞こえて秋の気配を感じる。ヤフーニュースで目を引いた記事(9月8日付)があった。アメリカのオレゴン州のマツタケが危機というのだ。

   記事によると、アメリカ西海岸の山林で毎年のように起きる山火事が今年は異常に広がっていて、マツタケの採取ができず、日本への出荷に待ったがかかっている。オレゴン州ではマツタケは高価で売れることから、「白いゴールドラッシュ」と呼ばれているそうだ。   

   フィンランドやスウェーデンからもマツタケが日本に輸出されている。森林にマツタケがもともとはえていたが、食する習慣がなく放置されていた。日本のマツタケとほぼ同じDNAを持ち、価格も安く、日本では人気がある。ここで不思議に思うのは、欧米では、すしなど日本食ブームでそれに合う日本酒の売れ行きも好調と聞く。にもかかわずらず、輸出はすれど、欧米人はマツタケを食さない。それはなぜか。

   これは知り合いの料理人からかつて聞いた話だ。いわく、「欧米の人がマツタケを食さない理由は、マツタケの香りが靴の中のこもった臭気を連想させるからだそうですよ」と。確かに、そう言われればそのようなにおいかも知れない。欧米では靴の歴史が長いので、「においマツタケ、味はシメジ」などと説明しても理解はしてもらえないだろう。日本では靴が入ってきた文明開化の明治以前からマツタケを珍重していたので、「においマツタケ」は昔から脳にすり込まれていた。

   でも、ひょっとして日本の若い世代が「あんな靴の中の臭いがする高価なマツタケなんて食べたくない」と言い出す日がくるかもしれない。あるいは、「オレたちの感覚が間違っていた。これこそ世界最高の食文化だ」とすき焼きにマツタケを入れて食する欧米人が増える日がくるかもしれない。

⇒8日(火)夜・金沢の天気     はれ

★深夜の寝込みを襲った「震度3」

★深夜の寝込みを襲った「震度3」

   おそらく金沢に住む多くの人は今朝、寝不足ではないだろうか。午前2時50分ごろ、寝ていると下から突き上げるような揺れを感じて飛び起きた。テレビにスイッチを入れると地震速報が流れた。「金沢で震度3」だった。震源地は石川県と富山県の県境の富山側で震源地は深さ10㌔、マグニチュードは4.6と。その震度3の揺れは石川県の白山市や加賀市、そして福井県の坂井市にまで及んでいた。その後、本震が来るのではないかとしばらく身構えていたが、再び眠りに就いた。そのため、寝不足状態でブログを書いている。

    金沢での震度3の揺れは今年に入って2度目だ。3月13日、これも真夜中の午前2時18分だった。能登半島の輪島市で震度5強、穴水町で震度5弱、金沢市は震度3だった。マグニチュード5.5で、震源地はあの震度6強を記録した2007年3月25日の能登半島地震のときと同じ場所、輪島市門前町沖だ。今年入って2度も深夜の寝込みを襲った地震、不気味だ。  

   不気味と言えば、新型コロナウイルスの感染拡大が金沢市などで続いている。きのう1日、新たに男女27人の感染が確認された(県発表)。一日の人数としてはこれまでで最も多い。そして、また、医療機関がクラスターとなった。兼六園と道路を挟んだ隣にあり、土塀に囲まれた有名な総合病院「金沢医療センター」。ここで、入院患者と看護師ら16人の感染が確認され、前日の4人と合わせて20人となった。

   この病院では、はやくから感染対策を徹底していて、出入り口は正面玄関のみとし、その正面玄関でサーモグラフィーによる発熱者のチェックを行っている。マスク着用も徹底され、忘れてきた人向けに自動販売機も設置している。その病院が感染クラスターになるとは、病院側のショックも大きいのではないか。

   寝不足の上に、きょうも最高気温が35度以上になる猛暑日になると予報が出ている。猛暑はこのところずっと続いている。台風9号が東シナ海を北に進んで起きるフェーン現象のようだ。マスクをして外出すると熱中症が気になる。地震、コロナ禍、猛暑と熱中症、なんとうっとうしい夏だ。 (※写真は日本気象協会 tenki.jp公式ホームページより)

⇒2日(水)朝・金沢の天気     はれ

★「マスクを外す」猛暑日の新ニューノーマル

★「マスクを外す」猛暑日の新ニューノーマル

   きのう石川県内は強烈な暑さに見舞われた。最高気温が小松市で38.3度、金沢市で36.6度、七尾市で36.1度と加賀・金沢・能登、県全体が「猛暑日」となり、隣県の富山や岐阜でも38度を記録した(8月10日付・NHKニュースWeb版)。きのう午後、所用でマスクをして繁華街を歩いたが、息苦しさからマスクを外さざるをえなかった。新型コロナウイルス感染もさることながら、熱中症も怖くなった。

   コロナ感染も猛威をふるっている。石川県で10日、新たに12人の感染が確認されたとローカルニュースが伝えている。3日連続で二桁の感染者数だ。感染者はこれまで376人に上り、亡くなった方も28人になる。石川や日本だけでなく、世界でウイルス感染が拡大傾向にあり、ジョンズ・ホプキンズ大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)をチェックすると、世界全体で感染者1980万人と2千万人に迫り、死亡者は73万人に。

   これに追い打ちをかけているのが世界的な猛暑ではないだろうか。世界の人口の約30%が死者を伴うような猛暑に年間20日以上さらされており、温室効果ガスの排出量を削減できなければ、こうした猛暑のリスクが大きく高まるという研究報告もある(Nature Climate Change公式ホームページ)。コロナ感染に猛暑が加わり、人類は大きな危機に直面しているのではないかと考え込んでしまう。

   これまでのコロナ感染予防のための「新しい生活様式(ニューノーマル)に熱中症予防が加わって、さらなるライフスタイルが求められている。厚生労働省と環境省が最近つくったポスターは「マスクをはずしましょう」だ=写真・上=。マスクを着けたままだと、自らがはいた熱い息を吸うことで、熱中症のリスクが高まる、というのだ。そこで、人と人の間で2㍍以上の十分な距離がとれるのであれば、「マスクをはずしましょう」となる。さらに、家庭用エアコンは換気の機能がないため、コロナ対策としてこまめに換気をする。これが夏場の「新ニューノーマル」になっている。

   熱中症予防と言えば、最近新しい用語が生まれた。「熱中症警戒アラート」=写真・下=。気象庁と環境省が共同でつくった指標だ。温度のほかに湿度や日射などを入れ込んだデータで、「熱中症警戒アラート」アプリを入れるとスマホなどにアラートが出る。ただ、試行段階なので関東甲信地方が対象地域にとどまっている。

   きょう11日も午後にかけて猛暑日になる所が増えると予想され、気象庁は全国の大半の地域に高温注意情報を出している。関東と山梨県には熱中症警戒アラートがすでに出された(8月11日付・時事通信Web版)。きょうもまた寝苦しい夜となりそうだ。アエコンを27度に設定して寝るとなんとかこの暑さから解放される。そんな日々が続いている。

⇒11日(火)朝・金沢の天気    はれ

☆されど墓参り

☆されど墓参り

          政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長がきのう夕方、臨時の記者会見で、政府として盆帰省に関する提言を出すべきと述べた。「盆と正月にはふるさとに帰る」とよく言う。ファミリーの絆(きずな)を確かめ合う場であり、とくに盆の墓参りは肉親を亡くして初盆を迎えるなど個々人によって意味合いがまったく異なる。それを政府に対して自粛や「オンライン帰省」を求めるというのは、こればかりは「おせっかい」の領域ではないだろうか。それぞれが考えて行動すればよいだけの話だ。 

   もし実家に祖父や祖母といった高齢者がいれば、接する機会を少なくし、飲酒・飲食の機会もなるべく避けた方がいい。基本的な感染防止策(手指の消毒やマスク着用、換気など)で気をつけることは、国から言われるまでもなく、すでにニューノーマルだ。

   そもそも盆帰省に国が関与する権限はない。墓参りをして先祖に感謝し自らの心の安寧を得るのは、憲法が保障する基本的人権の一つ、幸福追求権(第13条)ではないだろうか。国がとやかく言うレベルのものではない、と考える。

   盆の帰省について、西村経済再生担当大臣はきのう4日の記者会見で、政府として一律に控えることまでは求めない考えを重ねて示したうえで、帰省先で重症化するリスクの高い高齢者に感染を広げないよう感染防止策の徹底を呼びかけた(8月4日付・NHKニュースWeb版)。また、大臣は帰省について「県をまたぐ移動については、国として『一律に控えてください』とは言ってはいない」と述べた(同)。その通りだ。盆帰省と旅行は趣が異なる。墓参りは個々人にとって年に1度の格式ある行事なのだ。

   個人的には墓参りで帰省したいと思っている。その場合、墓参をし、実家にあいさつし、「このご時世ですので」と飲食などを避け金沢に戻る。それでよいと思っている。

   ところで、知人から聞いた話だが、「ゴーグル墓参り」という有料サービスを石材店が実施しているという。ネットで検索すると、このサービスを行っているのは一般社団法人「全国優良石材店の会」で、依頼を受けた地域の加盟店のスタッフが墓参りを代行し、周囲360度を撮影したデータを依頼者に送る。依頼者はその動画データをスマホに入れ、VRゴーグルに接続して見る。墓参りを自宅で疑似体験することになる。

   体が不自由なシニアにとってはこのようなゴーグル墓参りであっても、墓参りをすることで安堵を得るだろう。墓参りも時代とともに変化する。たかが墓参り、されど墓参りではある。

⇒6日(木)朝・金沢の天気     はれ

☆ウィズコロナだから、次は「Society5.0」

☆ウィズコロナだから、次は「Society5.0」

   新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「3密」を避ける発想と同時に、「Society5.0」への関心がこれまで以上に高まっているのではないだろうか。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムで社会の課題解決をめざす新技術だ。「Society5.0」は2016年に策定された国の第5期科学技術計画の中で用いられ、日本が進むべき未来社会の姿として提唱されている。

   それによると、20世紀後半に到来した情報社会(Society4.0)では知識や情報が共有されず、年齢や障害の有無などで労働や行動範囲に格差や制約が生じた。さらに、少子高齢化や地方の過疎化などの諸課題にも十分に対応することが困難だった。Society5.0の社会ではAI(人工知能)によるロボットや自動走行車などで、ビジネス創造と課題解決が可能になるかもしれない。

   たとえば、①社会保障費や医療費を増大させる高齢化対策として、人間の健康状態をセンサーを使って情報収集し、AI解析を活用して予防検診やロボット介護に反映させる  ②エネルギーの安定確保と温室効果ガスの排出削減のため、エネルギーの多様化と地産地消を図る ③食料の増産やロスを削減するため、農作業の自動化や最適な配送システムを確立する ④持続可能な産業化の推進と人手不足解消のため、最適なバリューチェーンと自動生産を整備するーなど(内閣府公式ホームページ「Society5.0」「第5期科学技術計画」より引用)。

   これらを実現させるためのキーテクノロジーとなるのがIoT、AI、VR(仮想現実)、ブロックチェーンなどに代表されるデジタルの新技術だ。そして、この新技術が社会の隅々にまで普及していく上で追い風になるのが通信インフラの「5G」だろう。

   このSociety5.0の中には、国連が2015年に定めた「SDGs(持続可能な開発目標)」も入っている。SDGsは気候変動や海洋汚染などの環境問題や貧困や差別などの社会問題、雇用や教育の問題など、社会が抱えるさまざまな問題に対して取り組むもので、2030年に向けて世界で協力して達成するための17のゴール(目標)を設けている。デジタルの新技術はこれらの難題を切り拓くかもしれない。SDGsはビジネスにおける取引条件として、より重視されていくことは間違いない。

   安倍政権が「働き方改革」を声高に唱えても定着しなかったが、コロナ禍で一気に「テレワーク」「リモートワーク」が進んだ。次はSociety5.0だ。デジタル技術への理解や習熟も進んでいる。SDGsを念頭に入れてオープンイノベーションのあり方を描くことが、このウィズコロナの時代にこそ不可欠なのではないか。そしてチャンスではないか。

⇒23日(木)夜・金沢の天気  くもり時々あめ

☆ワインの独り夜話

☆ワインの独り夜話

    今月22日から始まる政府の観光支援事業「Go To トラベル」について、時期の見直しや感染者数の少ない地域から段階的に始めるべきといった意見が出ているようだ。一方で、「巣ごもり」生活もまだまだ続くのではないだろうか。先日、近くのスーパーマーケットの空き瓶回収箱に空き瓶を持って行った。自らも酒量が少々増えたせいか、このところ行く回数が増えている。回収箱を開けてその都度思うことだが、ワインの空き瓶が圧倒的に多い。酒瓶の全体の8割はおそらくワインだ。

   巣ごもり生活で家飲みが増えた。家族団らんで飲むとなると、日本酒や焼酎よりワインかビールが多いだろう。コンビニでも最近、ワインのコーナーがかなりの幅を取っていて、しかもフランス産やイタリア産もある。1本2千円近いものもあり、コンビニの売れ筋はワインではないだろうか。おそらく、昨年2019年2月に日本とEUとの経済連携協定(EPA)が発効して、ヨーロッパ産ワインの関税が撤廃されたことにもよるのだろう。日本にワインブームが起きている。今年になってさらにそれを加速させているのがコロナ禍だろう。

   昨夜、金沢市内のワインバーを知人と訪れた。客はまばらだったが、オーナーソムリエが別室でオンラインによるワイン教室を開いていた。受講者は8名でほとんどが女性。自宅でワインを飲みながら学べる、そんな気楽さもあってオンライン教室は人気だそうだ。

   数年前までコンビや酒販店に並んでいたワインはチリ産が多かった。日本とチリが2007年にEPAを結び、段階的に関税が引き下がられた効果でもあった。それが、昨年EUとのEPA発効でブランド中のブランドであるフランス産、イタリア産の輸入が急増し、女性たちがワイングラスを手にするようになった。ソムリエとそんな話をしたことがある。

   ワインバーでは、ブルゴーニュのワインを味わった。ブドウ品種はピノ・ノワール。ソムリエの解説によると、ピノ・ノワールは水はけがよい石灰質の土壌で冷涼な気候で育つが、病気にかかりやすくデリケートで栽培が難しい。農家泣かせのこの品種のことを欧米では「神がカベルネ・ソービニオンを創り、悪魔がピノ・ノワールを創った」と言うそうだ。ヴィンテージものだがまだ果実味もあり、優しく熟成を重ねたブルゴーニュワインだった。とりとめのないワインの独り夜話になってしまった。

⇒19日(日)夜・金沢の天気     くもり

★「世は常ならず」 ニューノーマルな日々

★「世は常ならず」 ニューノーマルな日々

   きのう高校時代からの友人と3人でランチを楽しむために金沢のステーキ店に入った。それぞれがステーキとサラダバーを注文した。さっそく、サラダを取りに行く。バイキング形式で色とりどりのサラダが並んでいて、好きなものを取って自らの皿に盛る。友人の一人がつぶやいた。「これでコロナ対策は大丈夫なのか」と。野菜をつまむトングは盛り皿ごとにそれぞれついているが、つまむ客が10人いれば10人が同じトングを使うことになる。友人の指摘は同じトングを使い回すサラダバーは、ウィズコロナのこのご時世に不適切という見方だ。確かに、箸のように1人で一つのトングを使う形式が時代のニーズだ。

   新型コロナウイルスの感染拡大で「ニューノーマル(new normal)」という言葉が広がった。新たな常識、という意味で解釈している。ウィズコロナの時代を生き抜く知恵としてのニューノーマルだ。身近な事例を拾ってみる。

   やはり、筆頭は「ソーシャルディスタンス(social distance)」だろう。人と人の距離を置く。スーパーマーケットのジレでは買い物客がさりげなく距離を空けて列をつくっている。レジで精算するときに買い物カゴとマイバッグをいっしょに出すと、以前は店員が商品をダイレクトにバッグに入れてくれたが、今はそれがない。買ったものは自らがマイバッグに入れる。これは客と店員のソーシャルディスタンスではある。

   「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉が金沢にあるが、このご時世は「弁当忘れてもマスク忘れるな」である。外出するときにマスクは必携だ。マスクをしていないと常識や人格までもが疑われる。さらに、マスクをしていても咳やくしゃみの音に周囲が過剰反応する。先日訪れたあるオフィスでマスクを着けていたものの、むせて2度咳をした。すると、「保健所にはやく行ってよ」と言わんばかりのきつい目線を浴びた。

   マスクのニューノーマールで言えば、使い捨てから洗濯で再利用が当たり前になった=写真=。マスクの色も黒や花柄など実にバリエーションに富んでいる。マスクに人の個性が表れている。人とマスクとの長い付き合いが始まったのだろう。

   最近では聞かれなくなったが、外出を控える社会現象を「巣ごもり」という言葉でたとえた。このブログで「巣ごもり」の言葉を使ったのが3月20日だった。ちなみに、アメリカでは「シャットイン(shut in)」と言うそうだ。この巣ごもりがその後、「テレワーク(telework )」や「リモートワーク(remote work)」という在宅勤務へと大きく展開した。安倍政権が「働き方改革」を声高に唱えても定着しなかったが、コロナ禍で一気にニューノーマル化した。自らもリモートワークで、会議はオンラインだ。たまに職場に行くとリフレッシュした気分になる。オンライン飲み会も結構楽しい。

   病院でのニューノーマルもある。4月22日に金沢市内の病院で検査で胃カメラ(内視鏡)を入れた。えずき(嘔吐反射)がつらいので、これまでは口からではなく鼻から入れてもらっていた。ところが、病院側では鼻から内視鏡を出し入れすると検査室にウイルスが飛び散る危険性があるということで、現在は口からでしか入れていない、と説得された。受け入れざるをえなかった。鎮静薬を注射して口から入れた。つらさはまったくなかった。

   病院でのニューノーマルをもう一つ。待合室はいつも混雑していたが、予約待ちの人たちだけなのだろう、コロナ以前に比べ人の入りが少ない。他の病院でも同じだ。「病院は3密、ちょっとしたことで病院にかからない」という社会風潮かもしれない。病院の経営にとってはマイナスだろう。逆にドラッグストアが混雑している。金沢市内でもこのところ新しいドラッグストアチェ-ンの店が次々と開店している。

   身近な事例でも、この社会的な常識の変化は著しい。「世は常ならず」。人の世には何が起こるか分からない。せめて、悔いのない毎日を送ろう。60歳も後半に入った友人たちとのランチもそんな会話でお開きとなった。

⇒17日(金)午前・金沢の天気   はれ