★日米首脳会談で浮かんだ「安倍レガシー」と高市外交のこれから

「同盟の新たな黄金時代を共につくりたい」。高市総理がきょう午前、アメリカのトランプ大統領と臨んだ日米首脳会談で交わした言葉が印象的だった。会談をNHK中継番組で視聴していた=写真・上=。「黄金時代」と述べるだけあって、日米双方が利する投資を含めたさまざまな話がテーマに上っていた。

高市総理から「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)について日米で進展に向けた協力を進めたいと表明。その後、日米両首脳がレアアースなどの供給と確保についての合意文書に署名した。日米で半年以内に担当閣僚会議を開催し、どのようなプロジェクトに日米で資金を投じるべきか議論を積み上げていく。その上で、日米はオーストラリアなど供給網の多様化を進める国々と連携し、半年以内に投資を実施することを目指す。まさに黄金時代への第一歩と言える。

また、会談の冒頭で高市総理は「安倍総理に対する長きにわたる友情に感謝している。安倍氏からはよく大統領のダイナミックな外交について話を聞いていた」と笑顔で述べた。すると、トランプ大統領は、「私の偉大な友人だった。彼はあなたのことを大変評価していた」と応じた。トランプ大統領と安倍氏はかつて、趣味のゴルフでとともにホールを回り、「ドナルド」「シンゾー」とファーストネームで呼び合う仲だった。写真・下は総理官邸のツイッター(2019年5月26日付)で公開されたもの。安倍総理と(右)とトランプ大統領(左)が千葉県のゴルフ場で自撮りした写真だ。

今回の日米首脳会談の中身が濃く、しかもスムーズに運んだのも、安倍氏が総理在任中に築いたトランプ大統領との蜜月関係がよりどころとなっていたのだろう。メディア各社の報道によると、高市総理はトランプ大統領へのプレゼントとして、安倍氏が使っていたゴルフクラブを用意した。高市総理を安倍氏の「後継者」と印象づける狙いがあったようだ。

首脳会談の後、高市総理とトランプ大統領は都内の在日米軍基地から大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に同乗して、アメリカ軍横須賀基地に行き、停泊中の原子力空母「ジョージ・ワシントン」に乗艦した。中国の海洋進出などが目立つことから、日米同盟に基づく安全保障協力を強化する姿勢を強調したようだ。高市総理は「日本の防衛力を抜本的に強化してこの地域の平和と安定により一層積極的に貢献していく」と述べた。トランプ大統領は「アメリカと日本の大切な同盟は全世界で最も卓越した関係のひとつだ」と語り、第2次世界大戦を念頭に「悲惨な戦争の灰の中から生まれ、80年以上にわたり我々の絆は成長し、現在の美しい友好関係にある」と強調した。

日米会談による新たな経済協力と、横須賀基地での日米同盟の確認。高市総理にとって「安倍レガシー」を乗り越える高市外交のきっかけとなったのかどうか。少なくとも内閣支持率はさらにアップするかもしれない。

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