★「金沢嫌い」

   「使えない」と実感することがある。その一つがマイナンバーカードだ。新型コロナウイルス対策として、国が国民1人に10万円を配る特別定額給付金。パソコンとマイナンバーカードがあれば申請できる。机を探すとマイナンバーカードの暗証番号が書かれた記載票もあった。さっそくオンライン申請をしようとPC画面と向き合った。ところが、申請サイトの入口でつまずいた。「ICカードリーダー」が必要とある。カードの情報を読み取るためとある。カードリーダーなんて持っていない。この時点で「使えない」と判断した。スマホによる申請も可能とあったがまるでゲームのようだったのでこれも諦めた。申請書が郵送されてくるのを待つことにした。

   市役所から送付される申請書に銀行口座の番号など必要事項を記入し、通帳のコピーと運転免許証のコピーを添付して返送すればそれで済む。オンライン申請は本人確認の書類の添付は不要であり、入力も短時間で済むはずなのだが。デジタルの利点がまったく活かされていない。ICカードリーダーを差し込まなくても、受付画面にカード番号と暗証番号を入力するだけでもよいのではないだろうか。

   マイナンバーカードの「使えない」と意味合いはまったく違うが、車のナンバーにも気遣う。石川県には金沢ナンバーと石川ナンバーがある。金沢ナンバーはいわゆるご当地ナンバーなのだが、この新型コロナウイルスのご時世で、「気になるナンバー」になっている。石川県の感染者はきょう13日現在で284人、うち金沢市は129人。人口10万人当たりだと金沢市は27.9人と東京都35.9人に次いで多い。これが、感染者が出ていない能登北部などからは警戒されている。4月の大型連休のとき、能登の知人から「いま金沢から来ない方がいい。周囲の人も金沢に行かないようにしている」と電話で聞かされ、自身もショックを受けた。

   7月から能登各地ではキリコ(奉灯)祭りという祭礼が営まれるが、今年は中止が相次いでいる。キリコ祭りで代表的な「あばれ祭り」(7月3日・4日、能登町)も4月には中止を決定した。金沢からキリコ担ぎや見学に大勢やってくる。いわゆる「3密」になるからだ。「来てほしくない」という正直な気持ちが痛々しく伝わる。

   政府が4月7日に緊急事態宣言を発令し、16日に全国に拡大した。あす14日には「特定警戒」の石川を含め39県で解除する方針を固めたと各メディアが報じている。では、解除によって「非常」から「日常」にたんたんと戻るのか。あのトヨタが2021年3月期の業績予想を営業利益79%減と発表し、「リーマンショックよりインパクトがはるかに大きい」と述べた(12日付・時事通信Web版)。経済、社会、そして世界にどのような余派が広がるのか。それにしても、能登を始め加賀地方や富山県、福井県の人たちには「金沢嫌い」にはならないでと願うばかりだ。

⇒13日(水)夜・金沢の天気     はれ