新型コロナウイルス感染症への不安が拡大する中、アメリカ国内で銃や銃弾を購入しようとする動きが広がっているとアメリカのCNNなどメディアが伝えている。小売店で水や食料などの品切れが相次いでいることから、略奪行為に備える防衛本能だろう。銃に頼るアメリカ人の思考回路は変わらないようだ。
いよいよ東京オリンピックがやって来る。報道によると、IOCは電話会議の形式で臨時理事会(17日)を開催し、以下のコミュニケを公式ホームページで発表した=写真=。「The IOC remains fully committed to the Olympic Games Tokyo 2020, and with more than four months to go before the Games there is no need for any drastic decisions at this stage; and any speculation at this moment would be counter-productive.」。要約すると、東京大会まで4ヵ月あり、今は抜本的な決定をすべき時ではなく、開催に向け準備を進めていく、と。
これを受けて、オリンピックの聖火を開催都市の東京に引き継ぐセレモニーがきょう19日にギリシャで行われ、あす20日午前中に宮城県東松島市に聖火が到着する。聖火は東日本大震災の被災地の東北3県で展示され、今月26日から国内で聖火リレーがスタートする。
ここからは憶測だ。IOCとすれば、新型コロナウイルスの感染防止のため、無観客の大会になろうとも東京オリンピックは予定通り実施するだろう。と言うのも、IOCの収入は放送権料が73%、スポンサー料が18%とされる。放送権料の中でも大口とされるのはアメリカのNBCテレビだ。「刑事コロンボ」や「大草原の小さな家」など数々のヒット作を生み出したNBCが最初にオリンピックを放送したのが、1964年の1回目の東京大会。1988年のソウル大会以降は全米のオリンピックの放送権を独占している。
では実際にNBCはどれだけIOCに払っているのか。韓国・平昌冬季大会(2018年)と東京大会の合算した数字だが、21億9000万㌦とされる。日本はNHKと民放がコンソ-シアムを組んでIOCに払っているが、5億9400万㌦だ。アメリカと日本では人口の違いがあるので1人当たりで計算すると、アメリカの人口を3億2800万人として1人当たり6.7㌦、1億2600万人の日本は1人当たり4.7㌦なので、チカラの入れようが分かる。IOCにとって「NBC様様」なのだ。
アメリカでは競泳、陸上、体操がオリンピックの花形競技に視聴率が集まる。先のリオ大会(2016年)でアメリカは46個の金メダルを獲得したが、競泳16個、陸上13個、体操4個と花形3種で7割を占める。これが大会に何をもたらすかと言うと、北京大会(2008年)でも問題になったが、NBCはこうした花形競技の決勝戦をアメリカのゴールデンタイムに強引にもってこようとする。つまり、日本とニューヨークの時差は13時間(サマータイム)なので、日本では午前中の決勝へとシフトしている。
では、秋へ延期の可能性はどうか。これもないだろう。アメリカではアメリカンフットボールが始まり、メジャーリーグのポストシーズン、プロバスケットNBAとまさにスポーツの秋を迎える。NBCとすればCMスポンサーの獲得が難しくなるので、この時期でのオリンピックとの重複は避けたいだろう。
東京ビックサイトに設営されたIBC(国際放送センター)には、来月4月になるとIOCから放送権を得たRHBs(Rights Holding Broadcasters)と呼ばれる放送メディアが続々と準備のためにやって来る。その第一陣はおそらくNBCか。IOCはもう後には引けない。無観客でも東京オリンピックは実施する。バッハ会長はそう覚悟を決めているのではないか。
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