アメリカ国防総省HPをチェックすると、射程範囲についての分析は紹介していない。注目したのは、この日(29日)のICBMの発射を受けて、アメリカ軍と韓国軍は合同で、ATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)の発射訓練を実施したと伝えていることだ。ATACMSとは有事の際に北朝鮮司令部に正確に着弾する「deep-strike precision capability(深い打撃の精密能力)」のあるミサイルで、しかも「a full array of time-critical targets under all weather conditions(どのような天候でも危機的な状況下にも対応する)」とすでに臨戦態勢の入っていることを示唆しているのだ。今月4日の発射時にも合同訓練を行っており、2回目だと記載している。なぜこの記事をいち早く掲載したのか、アメリカ国防総省の意図を以下推察してみた。
そのキーワードは「夜襲」ではないだろうか。このブログでも何度か紹介したが、ことし5月10日夜、アメリカ軍は嘉手納基地上空でMC130特殊作戦支援機を使って、パラシュート降下訓練を実施している。MC130特殊作戦支援機は赤外線暗視装置、地形追随レーダーを装備し、敵の防空網を突破することができる。その目的は敵地での特殊部隊の潜入・退去・補給、捜索救難活動の支援、心理作戦などに活用されるという。これは、前述のATACMSとリンクした、北朝鮮への「斬首作戦」の訓練である可能性もある。少なくとも、北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党委員長を心理的に追い詰める作戦と言えるかもしれない。
北朝鮮が今回、夜中の「午後11時時42分」にICBMを発射したのか。それは、「夜襲をかけるのであれば、夜襲でアメリカに打ち込む」との強いメッセージを込めている、と読む。
⇒30日(日)午前・金沢の天気 くもり