首都直下地震が東京で起きたらどうなるのか。政府の中央防災会議の作業部会「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」が19日、被害想定と対策についての報告書を公表した。ページをめくると、冒頭で「首都直下地震は、その被害想定からして、まさに国難級の災害」と記している。この国難級地震とはどのような事態なのか。
報告書によると、地震の揺れや火災に伴う死者は最大1万8000人となり、前回想定(2013年)より5000人減っている。住宅や多くの人が利用する建物の耐震化率が約90%(全国平均)に向上していることを挙げている。今回初めて試算された災害関連死は最大4万1000人としている。報告書は「避難行動や避難生活に伴い心身の負担が増えたり、平時に受けていた医療や看護、介護サービスを受けられなくなって健康状態が悪化したりするなど、多数の災害関連死が発生するおそれがある」と記している。

「これは問題」と注目したのが、「停電」について。関東9都県で前回想定の1220万軒より1.3倍増え、1600万軒に及ぶ。通信やインターネット環境を直撃することになり、復旧が遅れれば首都の政府・行政の中枢機能や企業の本社機能、経済活動などに多大な影響が出る。そして、照明のない生活となり、通勤通学の電車も止まる。(※写真は、能登半島地震で倒れた電柱。地震直後に最大で約4万軒が停電した)
報告書での停電に関する項目を読んで、能登半島で起きた「事件」を思い出した。地震が発生した去年元日の夜、ある県立高校に設置されていた自動販売機3台が避難してきた住民らによって破壊され、飲料が持ち出された。停電で硬貨を入れても自販機は使えず、しかも地域は断水となっていた。同校は指定避難所ではなかったので、水や食糧などの生活必需品の備蓄品はストックされていなかった。自販機は、災害時には鍵で扉を開け、無料で商品を取り出せる「災害支援型」だった。その鍵は学校が飲料会社から預かり、事務室で管理していたが、正月休みで職員はいなかった。寒く、暗く、水も食糧もない中での事件。飲料会社は壊した人たちに賠償請求はしなかった。
小さな事件だが、首都直下地震で停電が起きれば、能登で起きたようなことが各地で起きるかもしれない。消費支出額に占めるキャッシュレス決済比率は43%にまで増加している(※経産省「2024 年のキャッシュレス決済比率を算出」)。そのキャッシュレス決済が震災後の大規模停電で使えず、現金以外での決済は出来なくなる。ATMで現金を下ろせない。コンビニやスーパーは混乱するのではないだろうか。震災と停電がもたらす「不都合な真実」ではある。
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