★参院選で若い世代の投票率アップ 共感呼ぶSNSが決め手

けさスマホのメールをチェックすると、「警察庁」から「重要なお知らせ」が届いていた。「組織犯罪対策部」からの連絡で、「あなたはマネーロンダリングの疑いがあります。保釈金として180万円を下記の口座にお振り込みください・・・」と。真夜中に到着したメールだ。こうしたメールは開かないことにしてるが、眺めているうちに段々と腹が立ってきた。おそらく日本語を知らない人物の仕業だろうと想像がつく。「疑い」で「保釈金」を払うことの意味が通らない。まさに架空料金請求詐欺だ。警察庁をかたっての詐欺行為を警察はなぜ真っ先に取り締まらないのか。ほかにも、「NTTドコモ」から「請求書支払いについての詳細」などが届いていた。最近この手の迷惑メールが多すぎる。

話は変わる。この数値は、日本の選挙行動の常識を根底から変えるシグナルではないだろうか。総務省がまとめたことし7月20日投開票の参院選の年齢別投票率(抽出調査)によると、2022年7月の前回選や2024年10月の衆院選と比べて19~39歳の若い世代の投票率が大幅に上昇したことが分かった(今月5日付・メディア各社の報道)。今回の参院選全体の投票率は58%で、前回選の52%を6ポイント上昇したものの、上昇幅が最も大きかったのは20歳代後半の52%で、これは前回選の37%や衆院選の38%から14ポイント前後増加した。さらに、30歳代前半は56%で前回選から12ポイント、30歳代後半は57%で同じく11ポイント上昇した。

これまでよく言われていた投票率は「年齢≒投票率」で、60代は60%、30代は30%という直線的な相関の数値だった。ところが直近の参院選で20〜30代の投票率が大幅に上昇した。この背景は何なのか。大きな要因として、SNSを基盤とした情報流通の断層化があるかもしれない。若い世代はテレビや新聞などの選挙報道よりも、共感できる発信者とプラットフォームを媒介に投票行動を決める傾向がある。つまり、政策の中身だけでなく、どの媒体で誰が何を語るかが決定的に重要になるのだろう。

とは言え、SNSの潮目は速いので、同じプラットフォームが次回以降も持続するかどうかは不確実だ。一つ言えることは、これまでの「高齢者向け施策を優先すれば選挙に勝てる」という政界の暗黙の前提が崩れつつあるということだ。政治家に求められるのは若い世代に刺さる政策、そして選挙ではプラットフォームごとに適合させたコミュニケーションの仕方が勝敗を分けるのかもしれない。※経営戦略のコンサルタントで知られる大前研一氏のメールマガジン(11月14日付)の記事を一部引用

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