☆日本企業に期待寄せる対米投資 トランプ大統領「私に電話を」

それにしても総理就任から1週間で日本にとって最も重要な日米外交を高市総理はこなし切ったイメージだ。会談に関する共同文書は作成しなかったが、ことし7月の日米関税合意で約束した巨額投資の履行と、レアアースなど重要鉱物の供給と確保に向けた協力の2つの文書に署名した。署名は実行を約束したことになる。中でも気になるのが、5500億㌦(約84兆円)とされる巨額な対米投資の内容だ。メディア各社の報道(29日付)によると、すでに国内の21社が名乗りを上げているようだ。

首脳会談に合わせ日米両政府はきのう(28日)「日米間の投資に関する共同ファクトシート」を発表した。ファクトシートは事業主体の候補企業と事業内容をまとめたもの。内容は、①原子力発電などのエネルギー、②AI向けの電源開発、③AIインフラの強化、④重要鉱物などーの4分野で21件のプロジェクトが掲げられている。このうち、事業費が明記された16件の総額は3931億㌦(約60兆円)だった。(※写真・上は、日米首脳会談で署名された合意文書を掲げる高市総理とトランプ大統領=28日付・総理官邸公式サイトより)

以下、日経新聞(29日付)ならびに読売新聞(同)の解説記事=写真・下=から以下、引用する。トランプ大統領は日米首脳会談、ならびにアメリカ軍横須賀基地での原子力空母「ジョージ・ワシントン」の乗艦の後、駐日米国大使館の公邸で、投資を名乗り出ている日本の企業経営者らと夕食会を開いた。その時の演説で、「途方もない富と安全保障を太平洋の両岸にもたらす」「もし物事がうまく進まなかったら私に電話してほしい。他の閣僚を差し置いてでも、私が対応する」とアピールした。このコメントを読んで、トランプ大統領は政治家というより、やはり投資家なのだ、との印象を強くした。夕食会はこのひと言で和んだに違いない。

では、日本の企業はどのような対米投資をもくろんでいるのか。ソフトバンクグループはエネルギー関連として「大規模電力インフラ構築に向けた設計と開発」(事業規模・250億㌦)、ニュースケール/ENTRAIエナジーはAI向け電源開発として「AI向けのガス火力や原子力開発を検討」(同・記載なし)、三菱電機はAIインフラの強化として「データセンター向けの発電システムや機械」(同・300億㌦)、パナソニックは同「エネルギー貯蔵システムやその他の電子機器、部品」(同・150億㌦)、カーボン・ホールディングスは重要鉱物関連として「アンモニアや尿素肥料施設の建設」(同・30億㌦)、などとなっている。

アメリカ政府とすれば、日本企業の技術力を高く評価しており、アメリカでの事業展開や米企業との連携に期待を寄せているのだろう。繰り返しになるが、トランプ大統領の「物事がうまく進まなかったら私に電話して・・・私が対応する」の言葉はまさにこの期待を表現している。

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