☆田んぼ2題~児童の「田んぼアート」と千枚田のイバウンド観光~

能登の小学生たちがことしも「田んぼアート」にチャレンジした。描かれた作品は「のと」の文字だった。輪島市町野小学校の5年生と6年生の9人の児童がデザインを考えて、田植えから始めた。少し赤い色は古代米の赤米、緑の色は同じく古代米の緑米で、黄色い部分はコシヒカリの色だ。児童を指導したのは地元のベテランの農家の人たち。

きょう現地を見学に行ったが、すでに田んぼの稲刈りが終わっていた。そこで、現地の関係者の方から写真を見せてもらった。左側の丸い顔のようなデザインが「の」、そして、すでに稲刈りが一部行われているが、右の部分が「と」の文字。面白いのは「の」を顔に動物の見立て、下が4本足の犬か猫のようなかわいい動物の姿に見える。(※写真・上は、地元の関係者からの提供)

児童たちの「田んぼアート」には歴史があり、2002年から始まった。最初は田植えと稲刈りを通じて、コメづくりの大切さを学ぶというコンセプトだった。コメは収穫期になると赤米、緑米、コシヒカリにそれぞれの色があることから、その色を利用して2004年から田んぼアートを行うようになった。

自身は去年初めて現地を訪れた。そのときの作品は「生きる」という文字と、ハートを抱きしめた人の姿が描かれていた=写真・下=。去年元旦の能登半島地震では家屋の下敷きになるなどして多くの人が亡くなった。田んぼアートに描かれた「生きる」というメッセージは、子どもたちが「亡くなった人たちの分も頑張って生きましょう」との想いを込めたのだろう。そして、ことしの「のと」は震災からの能登復興の想いを込めたのだろうか。そんなことを思い巡らしながら現地を後にした。

帰りに輪島市の白米千枚田に立ち寄った。稲刈りはすでに終わっていたが、多くの観光客が訪れていた。中でも目立つのインバウンド観光客だ。中には稲刈りの後の田んぼのあぜ道を歩いているグループの姿もあった。日本人の観光客の場合は展望台から眺める姿が多いものの、欧米からと思われるインバウンド観光客の場合は下りて間近に見学する行動パターンが多いように感じる=写真・下、ことし9月19日撮影=。

「ダークツーリズム(Dark tourism)」という言葉がある。戦場跡地や被災地などを訪れる欧米の観光スタイルを指す。危険な場所であったとしても、あえて現場に行く。ツーリズムそものが徹底した現場主義なのだろう。日本人の場合は「危ないところに行くな」と身内や周囲から止められるだろう。この違いは何だろう。

⇒24日(金)夜・金沢の天気    はれ