地元石川県出身の郷土力士、横綱・大の里は横綱として初の優勝を果たした。じつにドラマチック展開だった。結びの一番、1敗でトップの大の里は2敗で追う横綱・豊昇龍と対戦し、押し出しで敗れて2人が13勝2敗で並んだ。そして、横綱同士の優勝決定戦。大の里は寄り倒しで優勝を決めた。大の里の優勝は2場所ぶり5回目で、ことし夏場所後に横綱に昇進してからは初めとなった。

テレビで観戦していてもハラハラする優勝決定戦だった。取組前まで豊昇龍には、1つの不戦勝を除くと1勝6敗だった。合口のよくない相手に本割で敗れて13勝2敗で並び、正直に嫌な予感が漂ったが、優勝決定戦で雪辱を果たした。実況アナウンスによるとと、横綱同士による優勝決定戦は、2009年初場所の朝青龍と白鵬(優勝は朝青龍)以来、じつに16年ぶりだった。(※写真は、横綱・大の里=日本相撲協会公式サイトより)
大の里の地元の津幡町福祉センターではパブリック・ビューイングが開催され、住民など260人が集まり観戦した。優勝決定戦の土俵に大の里があがるとファンは大きな声援を送ったり大の里の名前を書いた紙を掲げたりして取組を見守った。そして、寄り倒しで大の里が優勝を決めると、会場は一斉に立ち上がって喜び、大きな歓声があがった(28日付・NHKいしかわニュースWeb版)。
大の里にとって今回の優勝は面目躍如だったのではないだろうか。前回の七月場所は、新横綱での優勝を目指していたが、4つの金星を与え、千秋楽を待たずに賜杯争いから脱落してしまった。当時のインタビューでは「反省している。最後優勝争いに加われなかったのは悔しい」と唇を噛みながら語っていた。無念だったに違いない。
きょうの優勝後の場内インタービューでこう答えていた(抜粋)。
―横綱という最高位についてからは初めての優勝。どんな胸の内
「先場所、苦しい経験をして、もうあの経験は二度としたくないということで、稽古に励んで、今日こうやって2場所目で優勝することができてうれしいです」
―横綱という立場になっての2場所目になりましたが、何か横綱とはというところを今感じていることはありますか
「いや、もうあまり考え過ぎずに、いつも通り、今まで通りを、自分をやることが全てかなと思ったんで。今回いつも通りのことをやることができたので、優勝することができました」
大の里は2場所ぶりに優勝を決め、七月場所の無念さを晴らしたのだろう。「いつも通り、今まで通り」の想い戻ってきたようだ。
⇒28日(日)夜・金沢の天気 くもり時々あめ