☆スーパーに「ガイマイ」並ぶ 高騰するコメ価格への波及効果は

金沢の自宅近くのスーパーでは「外米(ガイマイ)」が並ぶようになった。もう60年も前の話だが、小学生のころに遊び仲間と「ガイマイなんか食えるか」と言っていたことを思い出す。炊き上げがパサパサしていて粘りの少ないまずいご飯のことをガイマイと称していた。この言葉を覚えたきっかけは、学校給食が始まるころで、親たちは学校で集会を開き、「ガイマイを子どもたちに食わせるな」「内地米(ナイチマイ)を食べさせろ」と訴えていたのを覚えている。

その後、再びガイマイという言葉を聞いたのはそれから5、6年経ったころだった。能登から出て金沢の高校に通うようになった。下宿先の近くにラーメンのチェーン店ができた。高校の仲間と行き、このとき初めてチャーハンを食べた。仲間は「ガイマイのチャーハンは美味い」と称賛していた。自身もなるほど思い、このときからガイマイのイメージがプラスに転じた。それぞれの料理によって使うコメが変わり、チャーハンのほかにピラフやリゾットならばガイマイに限る。食の多様化とともにガイマイの裾野も広がっている。

ただ、冒頭述べたス-パーでのガイマイの販売は食の多様性というよりむしろ高騰するコメの価格が背景にあるようだ。売り場に並んでいたのはアメリカ・カリフォルニア産の「カルローズ米」。5㌔袋が税込みで3867円となっている=写真=。備蓄米より少々安価だ。政府は「MA(ミニマムアクセス)」と呼ばれる仕組みで、毎年およそ77万㌧のコメを関税をかけず義務的に輸入していて、このうち10万㌧を主食用として民間に入札で販売している。落札されたコメは、例年より3ヵ月早く、今月11日から卸売業者への引き渡しが始まっている。カルローズ米はこのMAで輸入されたもの。つまり、政府は国産米の新米の時季を見計らったタイミングでカリフォルニア米を市場に投入したのだろう。

NHKニュース(16日付)によると、1㌔当たり341円の高い関税が課される民間のコメの輸入も急増していて、財務省の貿易統計によると、ことし7月の輸入量は2万6000㌧余りで、去年の同じ月のおよそ200倍になっているという。国産米の新米の価格が高値となる中、割安なガイマイ(外国産米)が市場に出ることで、今後のコメの価格はどうなっていくのか。価格の高騰は抑えられるのか。

⇒16日(火)午後・金沢の天気  はれ