能登半島の先端部に位置する能登町の九十九(つくも)湾にイカの巨大モニュメントがある。全長13㍍、全幅9㍍、高さ4㍍のサイズ。素材は航空機などに使う繊維強化プラスチックのFRP製だ。名付けられた愛称は「イカキング」=写真・上=。能登のちょっとした名所にもなっていて、子どもたちが中に入って遊んだり、大人たちが写真を撮ったりと、けっこう人気がある。

イカキングと隣接するのは観光交流センター「イカの駅つくモール」。イカ料理などが味わえるレストランやイカの加工品を中心とした物産の販売コーナーがある。九十九湾にイカの巨大モニュメントや観光交流センターが設置されたのは、同湾にある小木漁港がスルメイカなどイカ類では全国屈指の水揚げを誇るからだ。能登町が特産イカの知名度向上と観光誘客を狙って2020年6月にセンタ-、イカキングを翌年2021年4月に設置した。
前置きが長くなった。回転ずしチェーン店「スシロー」は小木漁港で水揚げされた「船凍イカ」を使ったラーメンをきょうから期間限定(今月28日まで)と販売数限定(45万食)で提供すると記事で掲載されていた(9日付・新聞メディア各社)。イカのラーメンは初めてだったので、さっそく食べに行った。船凍イカは獲れたてのスルメイカなどを船内で急速冷凍したもの。メニューには「能登小木港いかのせ いか白湯醤油ラーメン」(460円)と記されている。

回って来たラーメン丼のフタを開けるとイカの香ばしい匂いがした。イカの煮付けと鳥むね肉のチャーシュー、そして海苔、刻みネギがトッピンクされている=写真・下=。スープもイカの旨みが漂っている。以下は憶測だ。白湯醤油は煮干しを煮詰めてつくったタレ、そこにスルメイカを煮込んだ出汁を加えているのではないだろうか。先の記事によると、スシローは去年6月から「ジモメシ」プロジェクトとして銘打って、地域のご当地グルメとコラボした商品開発を行っている。今回は第3弾となる。プロジェクトだけに相当の調味の工夫とアイデアを凝らしたに違いない。
それと、小木漁港の特産が選ばれたのは能登半島地震で被災した地域の海産物を商品化することで復興に寄与したい、企業のそんな想いが込められているのではないだろうか。温かなラーメンをすすりながらふと思った。
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