石破内閣の少数与党のことをこのブログで2回、「ハング・パーラメント」と「比較第1党」という言葉で取り上げたことがある。簡単に振り返ってみる。ハング・パーラメントは去年10月27日の衆院総選挙の結果を受けて、10月30日付「☆与党は過半数割れ『宙づり』状態をどう乗り切るのか」で使ったキーワードだった。以下。

「政策の実効性を確保するために『議会を解散して民意を問う』と石破政権は選挙に打って出たものの、与党の過半数割れとなった。このままでは何も決められない、いわゆる『宙づり議会』、ハング・パーラメント(hung parliament)の状態だ。この言葉は議会制民主主義の歴史が長いイギリスが発祥で、直近では2017年の総選挙で保守党が第1党を維持しながらも過半数割れとなり、宙づり状態に陥った。この時は、北アイルランドの地域政党の閣外協力を得て、何とか政権を維持し、その後2019年の総選挙で保守党が単独過半数を獲得した。日本の自民党もハング・パーラメントを乗り切るために、部分連合や閣外協力に躍起になっているようだ」(※写真・上は、衆院選で少数与党となり野党との連合について取り上げる各紙)
そして、比較第1党はことし7月20日の参院選の結果、1955年の自民の結党以来初めて衆参両院で過半数を割り込むことになったことを受けて、7月21日付「☆衆院に続き参院も少数与党に転落 能登では復興に寄せる期待」で使った。以下。

「石破総理はきのう夜のテレビ朝日の選挙特番で『比較第1党の議席をもらったことの重さもよく自覚しなければいけない』と述べ、キャスターから『(その言葉を)続投すると受け止めてよいか』と問われ、『けっこうだ』と答えた。これまで耳にしたことがなかった『比較第1党』は、議会の過半数には達しないが、議席数をもっとも多く有する政党を意味する言葉だ。続投の理由を問われ、石破総理は『敗北の責任を私が担っていく』と述べ、アメリカとの関税交渉や選挙期間中に訴えた物価高を上回る賃金上昇、地方創生、防災対策などをあげて、『きちんとした道筋をつけることは国家に対する責任だ』と語った」(※写真・下は、衆参両院の選挙敗北など理由にした石破総理の退陣表明を伝える各紙)
自身もこれまで少数与党にはそれほど違和感はなかったが、こうして振り返ってみると、少数与党による政権運営は至難の業であり、さらに党内から党首に対して不満が噴き出すプロセスが石破総理の辞意表明までの報道でじつによく見て取れた。
メディア各社の報道によると、自民党は石破総理(党総裁)の後継を選ぶ総裁選の日程を「22日告示、10月4日投開票」とする方向で最終調整に入ったようだ。ただ、少数与党というアリ地獄に陥っているので、誰が総理・総理になってもここから抜け出すのは至難の業ではないだろうか。イギリス保守党のような離れ業をやり切る政治家は自民にいるのか。
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