★きょうから施行「改正鳥獣保護法」 クマ問題の根深さ浮かぶ

きょうから9月、残暑どころか猛暑が続く。予報によると、きょうの金沢の最高気温は36度になる(日本気象協会「tenki.jp」公式サイト)。そしてきょう1日は「防災の日」。関東大震災が発生した1923年9月1日にちなんで、震災の惨禍を忘れず、防災・減災を進めるために制定された。そして、きょうから「改正鳥獣保護管理法」が施行される。このブログでも何度か取り上げているクマ問題と関わる改正法なので検証してみる。

石川県自然環境課に寄せられたことしのクマの目撃情報は204件(8月27日時点)となっていて、その多くが金沢市の医王山や、白山のふもとの白山市、能美市、小松市となっている。懸念されるのはこの秋だ。同課がクマの餌となる植物3種(ブナ、ミズナラ、コナラ)の雄花の落下数を調査した結果、クマの主要な餌であるブナは22地点のうち20地点で大凶作、2地点で凶作となり、今秋は全体で大凶作が予想されると判断した。これまでのデータで、ブナが大凶作だった2020年にはクマの目撃件数は869件となり、県内の人身被害は15人に上った。同課では、6月27日にツキノワグマに対する「出没注意情報」を出して警戒を広く呼びかけている。(※イラストは、石川県公式サイト「ツキノワグマによる人身被害防止のために」から)

エサ不足のクマが人里に下りてきて、ペットフードや生ごみなどをあさるケースも増えている。最近では「アーバンベア(都市型クマ)」と呼ばれ、市街地周辺で暮らし、街中に出没するクマもいる。改正鳥獣保護管理法では、クマが市街地に出没し、建物内に立てこもったり、木の上に登ったりするなど膠着状態が続いた場合、それぞれの自治体の判断でハンターの銃猟が可能性になった。ただ、ハンターにとっては重圧ではないだろうか。

これまでハンターは森の中での銃猟だった。ところが、市街地となると銃弾がコンクリートなどで跳ね返りどこに飛んでいくか行くか分からない。このため、ハンターに銃猟を依頼する自治体は住民退避の誘導や交通規制などに当たる。また、銃弾が民家の壁面に当たり損傷が発生するなどしたケースでは自治体が補償することになる。

市街地でのクマの駆除が新たなステージに入った。同時に懸念するのは、人々がいわゆる里山と呼ぶ中山間地そのものに危険を感じて入らなくなったことだ。キノコや山菜を白山のふもとで採っていた人たちが能登で採ることが増えている。人が山に入らなければ、クマの領域を増やすことになる。むしろ生い茂った里山の木を伐採して活用、苗木を植えるという循環を図らなければ、クマのエリアが広がり、頭数がさらに増えることになる。クマ問題は根深い。

⇒1日(月)午前・金沢の天気  はれ