朝から能登半島を中心に強烈な雨が降っている。気象庁によると、停滞する前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、半島の尖端部分の輪島市では午前7時11分までの1時間に47㍉の激しい雨が観測された。このため同市では、雨が強まり土砂災害のおそれがあるとして午前7時すぎに6414世帯、1万3335人に避難指示を出した。隣接する珠洲市も午前8時すぎに1237世帯、2392人に避難指示を出した。避難指示は5段階の警戒レベルのうち警戒レベル4の情報で、両市では早めの避難を呼びかけている(※図は、日本気象協会「tenki.jp」公式サイト「石川県の雨雲レーダー」より) 。両市は去年9月21、22日の48時間で498㍉という「記録的な大雨」に見舞われている。

日本気象協会「tenki.jp」公式サイトの予報によると、能登地区には「大雨警報(土砂災害)」、「洪水警報」、「雷注意報」、「高潮注意報」の4つもの警報・注意報が出されている。大雨・洪水警報にさらされ、さらに追い打ちをかけるように高潮の注意報もある。
能登半島はリアス式海岸で、海沿いに国道などが伸びている。今月9日の満月前後は大潮に当たる。月と地球、太陽がほぼ一直線に並び、海水に及ぼす引力が大きくなることで潮位が上る現象だ。低気圧が通過することで潮位がさらに上昇することに注意を呼びかけている。去年元日の能登半島地震の影響で富山湾に面した内浦(うちうら)と呼ばれる海岸沿いは地盤が沈下している。このため沿岸部ではとくに7日に高潮が予想され、警戒が必要となっている。
さらに雷にも注意だ。雷は発達した積乱雲によってもたらされる放電現象だが、日本海に突き出すような地形の石川県は年間を通じて雷が多く、気象庁の雷日数では45.1日(観測地点・金沢)と全国で最多となっている。最近では、「雷サージ」という言葉が県内でよく使われるようになった。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合に瞬間的に電線を伝って高電圧の津波現象が起きる。電源ケーブルを伝ってパソコンの機器内に侵入した場合、部品やデータが一瞬にして破壊される。
自然災害が一度にやって来て、4つの警報・注意報をもたらす。「天災は忘れたころにやってくる」は物理学者・寺田寅彦の有名な言葉だが、現代は「天災は一度にやってくる」、なのか。
⇒6日(水)午後・金沢の天気 くもり