
猛暑日がきょう26日も石川県内に続くとして気象庁と環境省は8日連続となる「熱中症警戒アラート」を発表した(25日付)。さらに、気象庁は北陸などに高温に関する早期天候情報を発表した(24日付)。今月30日ごろからこの時期としては10年に一度程度しか起きないような著しい高温になる可能性があるとしている=予想図、気象庁公式サイトより=。このところ、気象庁は「10年に一度」を繰り返し述べているが、もう異常な暑さは日常になってきたのではないだろうか。それにしても、亜熱帯のような気候が続き、水不足にならないか、野菜やコメは育つのかと案じてしまう。
きのう午後、石川県内の河川でもっとも大きな手取川を巡った。白山(標高2702㍍)を源流とする手取川は加賀平野を流れ、日本海に注ぎこむ。手取峡谷にある落差32㍍のダイナミックな綿ヶ滝は見る人を圧倒する。さらに下流では、人々が手取川の水の流れと扇状地を加賀の穀倉地帯につくり上げた。2023年5月、ユネスコが定める世界ジオパークに白山と手取川の地質遺産や景観が認定された。

その手取川の上流にあるダムは、高さ153㍍の日本でも最大級のロックフィルダムとして知られる。手取川ダムの水は金沢市を中心として、北は七尾市能登島から南は加賀市まで供給されていて、県内の人口の7割をまかなっている。まさに「石川の水がめ」と言える。今回ダムを見渡して気になったのは、岩肌の一部が露出するなど貯水量が少ないように見えたことだ=写真、25日午後3時50分ごろ撮影=。ネットで調べてみると、きょう午前8時時点での貯水率は48.5%だ。雨が降らなければさらに貯水率は下がる。
2年前の2023年夏の渇水期のこと。北陸では7月下旬から高気圧に覆われて晴れの日が続き、ほとんどの地域で雨の量が平年の3割以下にとどまった。このため手取川ダムの貯水率は9月15日には18%にまで落ち込み、ダムが完成した1980年以降で最低を記録した。そして、全国的にコメが不作となり、2023年産米の供給が40万㌧足りなくなったことから、「令和のコメ騒動」などと騒ぎになった。
環境省公式サイトの「仮想水計算機」(バーチャルウォーター量自動計算)によると、コメ1合(約150㌘)分を収穫するには555㍑の水、そして茶碗1杯分のご飯を炊くまでには277㍑の水が必要とされる。猛暑が続けば、水不足が稲作の収穫量や品質に影響を及ぼす。「令和の米騒動」が再び起きないためにどのような対策を国や自治体は取るのか。手取川ダムの湖面を眺めながらそんなことを思った。
⇒26日(土)夜・金沢の天気 はれ