能登半島の尖端、珠洲市できらびやかな山車と曳山が練ることで知られる「燈籠山(とろやま)祭り」が今月20日と21日に行われた。現地に行くと、町衆が木遣り歌『きゃーらげ』を大声で歌い、曳山が街中を巡行していた=写真・上=。去年元日の能登半島地震、そして9月の豪雨に見舞われ、2年ぶりの山車と曳山のお披露目とあって、市民や県内外からの大勢の見物客でにぎわっていた。

江戸時代に始まったと伝えられる珠洲市飯田地区の燈籠山祭りは、毎年この時期に地区にある春日神社で行われる祭り。祭りでは「えびす様」の人形を載せた高さ16㍍の山車「燈籠山」=写真・下=が夜になれば、こうこうと明かりを灯して、8基の曳山とともに市の中心部を往復する。

2022年からの群発地震に始まり、2023年5月、2024年元日と立て続けに大地震があった珠洲市では、道路の一部に損傷が残っていることから、例年よりルートを短縮して巡行が行われた。「ヤッサー、ヤッサー」と掛け声に合わせて、街中を練り歩くに能登の祭りの意気込みを感じた。
能登の祭りにパワーを感じる。ことし5月には、能登半島の中ほどの七尾市で2年ぶりに開催された「青柏祭(せいはくさい)」を見学に行った。「でか山」と称される、高さ12㍍あり、重さ20㌧にも及ぶ山車。平安時代から伝わる能登半島の代表的な春の祭りとされ、でか山が練り歩く「曳山行事」は2016年にユネスコ無形文化遺産に登録されている。
その後、今月4日に半島北部の能登町宇出津にキリコ祭りの先陣を切る「あばれ祭(まつり)」を見物した。地元でキリコと呼ぶ「切子灯籠(きりことうろう)」を老若男女が担ぎ、「イヤサカヤッサイ」の掛け声が港町に響き渡っていた。熱気あふれるとはこの事をことを言うのだろうと実感した。絶好調になると、神輿を川に投げ込んだり、火の中に放り込むなど、担ぎ手が思う存分に暴れる。それを神が喜ぶという伝説がある祭りだ。
能登では「1年365日は祭りの日のためにある」、「盆や正月に帰らんでいい、祭りの日には帰って来いよ」という言葉があるくらい、人々は祭りにこだわる。その祭りを盛り上げる人々のパワーや地域のネットワークに「復興力」というものを感じる。
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