☆二地域居住めぐり「運よく能登地震」発言、政治家として許されるのか

自民党の参院予算委員長の鶴保庸介氏がきのう(8日)、去年元日の能登半島地震について「運のいいことに能登で地震があった」と発言したことが物議を醸している。

メディア各社の報道によると、鶴保氏は参院選和歌山選挙区の公認候補の個人演説会が和歌山市であり、応援演説を行った。その中で、地方から都市部への人口流出に対して危機感を持っていると語り、その解決策として、地方と都市部の両方を行き来する『2地域居住』を推進すれば地方の関係人口の創出につながると主張。その事例として、能登半島地震の被災者が居住する自治体以外でも住民票の写しを取得できるようになったことに触れ、「運のいいことに能登で地震があった。緊急避難的だが金沢にいても輪島の住民票がとれるようになっていて、『やればできるじゃないか』と思った」などと発言した。(※写真は、能登半島地震で火災が発生し、焦土と化した輪島市の朝市通り=2024年2月5日撮影)

この発言について、鶴保氏がきょう和歌山市内で会見を行い、「能登地方が被災したことを『運よく』などと発言してしまったが、思った発言ではまったくなく、失言だった。ことば足らずで被災地への配慮が足りなかった。心苦しい思いをさせてしまったのなら陳謝しかない」と述べ、発言を撤回した。また、辞職や離党の考えについて問われたのに対し「私が責任を取ることで皆さんの気持ちがおさまるならやぶさかではないが、現状ではそこまでは考えていない」と述べた(9日付・NHKニュースWeb版)。

鶴保氏は自民党の「二地域居住推進議員連盟」の会長を務める。二地域居住の促進を図るための法律(広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律)が2024年5月に国会で成立。具体的な背策として、地方に魅力的な学びの場づくりや、「稼げる」地方経済の実現に向けた農林水産業の振興など、地方創生を実現する切り札として注目が集まっている。

そんな最中の「運のいいことに能登で地震があった」発言。二地域居住に注目が集まっているときだけに、この動きに冷や水を浴びせた。能登に立ち寄り、失言の詫びを態度で示した方がよいのではないか。

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