ツキノワグマの大量出没が懸念されるとして、石川県自然環境課はきのう(27日)、「出没注意情報」を出して警戒を広く呼びかけている。ツキノワグマの出没注意報は4年連続となる。人身事故が発生した場合、県では「警戒情報」に切り替えて警備を強化する。

県内の各自治体や県警、猟友会などの関係者を集めて開かれたクマ出没対応連絡会議での県の説明によると、5月下旬から6月にかけて行ったクマの餌となる植物3種(ブナ、ミズナラ、コナラ)の雄花の落下数を調査した結果、クマの主要な餌であるブナは22地点のうち20地点で大凶作、2地点で凶作となり、今秋は全体で大凶作が予想されると判断した。ミズナラは豊作、コナラは並作だった。これまでのデータで、ブナが大凶作だった2020年にはクマの目撃件数は869件となり、人身被害は15人に上った。
ことしに入り県内ではすでに129件の目撃情報が寄せられている。地域別では小松市など南加賀が99件ともっとも多く、次いで金沢市周辺での21件などとなっている。春から夏に向かう今の季節では、交尾期のクマや親離れした若いクマの行動が広範囲で活発となる。
また、最近では「アーバンベア(都市型クマ)」と呼ばれ、市街地周辺で暮らし、街中に出没するクマも増えている。ペットフードや生ごみなどをあさる。(※イラストは、石川県公式サイト「ツキノワグマによる人身被害防止のために」から)
クマの市街地での出没や人身事故は石川県だけでなく全国的な問題となっている。このため国はことし4月18日、クマやイノシシが市街地に出没し、建物内に立てこもったり、木の上に登ったりするなど膠着状態が続いた場合、それぞれの自治体の判断で発砲できるようにする「改正鳥獣保護管理法」を成立させた。施行日は公布から6カ月以内とし、クマの出没が増える秋をめどとしている。
以下は憶測だが、能登に行くと山々がうっそうとしていて、スギやアテ(能登ヒバ)などにツル草が絡んで、まるで原生林に戻ったように山が荒れている。去年元日の能登半島地震で山を手入れする人や業者の手が回らないのだろうか。クマやイノシシはそこを狙ってやって来るのかもしれない。県に寄せられた能登地区の9市町での目撃情報は去年1年で36件、ことしは9件(今月25日時点)となっている。秋にかけてさらに増えていくのか。
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