☆万博そぞろ歩き(上)・・鼓動する「iPS心臓」に未来医療の可能性

あのパビリオンをぜひ見てみたいと意識はなかったが、誘われるままに「万博見学ツアー」に今月23、24日の両日参加した。企画したのは金沢市内のある生産者団体。金沢から大阪の万博会場まではバスで移動し、休憩が数回入って5時間30分で到着した。梅雨の猛暑と騒がれていたので熱中症を心配したが、大阪は両日とも曇り空でにわか雨もあり、日中の最高気温も30度前後だった。

入り口は西ゲート。結論から言えば、来た甲斐があったと思ったのは、iPS細胞で創られた「小さな心臓」が鼓動する様子を見たときだった。円筒形の容器の赤い培養液の中でドク、ドクと動いている。人には五感というものがあるが、それが強烈に刺激されたような感覚に陥った。人には心と体がある。その生命の源(みなもと)は心臓だと改めて思うと同時に、鼓動するその姿は生命の神秘を感じさせる。(※写真・上は「PASONA」パビリオンで展示されている「iPS心臓」)

説明書きによると、この小さな心臓は大阪大学のチームが作成したもので、コラーゲンの土台にiPS細胞由来の心筋細胞を植え込み、3.5㌢ほどの原型をつくった。血液を循環させる本来の心臓のような機能はない。そういえば、大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。まさに、この小さな心臓はテーマそのものではないか。この作品展示を見た次世代を担う若者たちが生命の可能性を信じて、「iPS心臓」を完成させる未来がやってくるかもしれない、と想像を膨らませた。

万博会場に来て初めて気がついたことは、実にさまざま企業や法人・団体が新技術を用いて作品展示を行っている。その一つがロボット。「未来の都市」パビリオンで展示されている川崎重工業が開発した四足歩行ロボット「CORLEO(コルレオ)」=写真・下=は、2050年の移動手段をイメージして開発した乗り物で、山岳地帯など険しい道での走行を想定している。体を動かしていろいろなポーズを取っていたが、まるで未来世界の映画を見ているような光景だ。ぜひ乗ってみたかったが、残念ながらまだ試乗はできないとのこと。

iPS心臓や四足歩行ロボットを見て、ふつふつと未来社会のイメージが湧いてくる。それが万博の面白さかもしれない。

⇒25日(月)午後・金沢の天気   くもり