★トキとコウノトリが運ぶもの 能登復興のささやかな願い

国の特別天然記念物のコウノトリの日本の北端の営巣地といわれる能登半島の志賀町富来に先日(今月3日)行ってきた。前回見に行ったのは4月18日だったので2週間ぶりだった。電柱の巣に親鳥1羽のほかにヒナの姿が2羽見えた=写真=。前回のときはヒナがいるようには見えなかったので、その後に孵(ふ)化したのだろうか。地元の人も見に来ていたので話を聞くと、ヒナは全部で4羽いるとのことだった。コウノトリには一度営巣した場所で毎年子育てをする習性があり、この巣でのヒナの誕生は4年連続となる。

このところ石川県内でコウノトリの営巣が増えている。地元メディアの報道によると、志賀町のほかに金沢市に隣接する津幡町でも3年連続でヒナが誕生。また、奥能登の珠洲市と穴水町でもこの4月に営巣が新たに確認されている。「コウノトリが住み着くと幸福が訪れる」「コウノトリが赤ん坊を運んでくる」との伝承がヨーロッパにある。能登から巣立ったコウノトリが伴侶をともなって再び戻って定着すれば、繁殖地としての能登もにぎやかになるのではと夢を膨らませてしまう。

もう一つ膨らませる夢が、能登がコウノトリとトキの繁殖地になってほしいとの期待だ。トキも国の特別天然記念物であり、環境省は2026年6月にも能登で放鳥を行うことをすでに決めている。具体的な放鳥の場所についてはことし7月ごろまでに決定し、1度に15から20羽ほどを複数年にわたって放鳥するようだ。

これは自身が子どものころ、親戚の能登の爺さんから聴いた話だ。トキとコウノトリは兄弟のような鳥で仲がいい。コウノトリが兄貴分で、トキが弟分のような関係だと教えてくれたことを覚えている。以下は鳥の専門家でもない素人の思い付き。兄貴分はすでに能登で営巣しているので、弟分もこれを習うのではないか。なので、コウノトリの営巣地の付近でトキを放鳥してはどうか。志賀町の営巣地の周辺地には、カエルやドジョウ、メダカ、たくさんの虫たちがいて、同町ではトキ放鳥の受け入れ候補地として、県に申請している。

トキとコウノトリが舞う能登、そんな夢のような光景を見る日がやって来るのを楽しみにしている。

⇒7日(水)夜・金沢の天気    はれ