
日本列島では相次ぎ台風が吹き荒れているが、東南アジアのインドネシアではスラウェシ島でマグニチュード7.5の地震(9月28日)と、それによる津波の被害が日々拡大、その後ソプタン山(1830㍍)の噴火(今月3日)があった。3つの重なる災害での死者は1500人とも報じられている。住民の不安心理を増幅させるかのように、SNSでは「M9.0の大地震が来る」や「ダムが決壊した」といったフェイクニュース(流言飛語)も飛び交っているようだ。小売店やガソリンスタンドで略奪行為など混乱に拍車をかけてるとBBCなど海外メディアが伝えている。
災害に乗じたフェイクニュースは国内でもある。2016年4月に熊本でマグニチュード7.0の地震が発生したとき、熊本市動植物園のライオンが逃げたと画像をつけて、ツイッターでデマを流したとして偽計業務妨害の疑いで神奈川県の男が逮捕された。災害時のデマで逮捕されるのは国内では初のケースだった。男は2017年3月に「反省している」として起訴猶予処分となった。が、世界ではフェイクニュースによる人種差別や選挙妨害などエスカレートしている。
そのフェイクニュースが巧妙に進化している。ネット上で「ディープフェイク」と称される「フェイク動画」のことだ。大学の知人から教えてもらった、アメリカのニュースサイト「BuzzFeed」がユーチューブで公開している動画を視聴して考え込んでしまった。「You Won’t Believe What Obama Says In This Video!」( この動画でオバマが言っていることを信じられないだろう!)のタイトルで、オマバ氏がホワイトハウスで声明を発表しているように見える映像だ。その中で、「President Trump is a total and complete dipshit.」(トランプ大統領はまったく本当に愚か者だ)などと罵っている。
動画の最後の方に出てくるが、別人のコメディアンの語りに、オバマ氏の映像を被せたものだ。声も口の動きも表情も全て、このコメディアンのもの。つまり合成動画なのだ。膨大なオバマ氏の動画をAI(人工知能)が学習し、コメディアンの口の動き表情ととまったく同じオバマ動画をつくり、それを声に被せた。AIのテクノロジーの進化を感じさせるが、これでフェイク動画を作ることができると考えると穏やかではない。たとえば、トランプ氏と似た声の持ち主が「北朝鮮の非核化では日本が全面的に北に資金援助することで安倍氏と合意が出来ている」などとトランプ動画をつくり公開するとどうなるだろう。真贋をめぐって外交問題になるかも。
セイオウボの花を眺めながら、台風が無事過ぎ去ることを願う。
⇒6日(土)夜・金沢の天気 くもり